No.107376

真恋姫無双~覇道を支える者~魏√8

karasuさん

投稿です
こんなに長いのを投稿したのは初めてなのでミスが多いかもしれませんがよろしくです
過度な期待はせずに生暖かい目で見ましょう

<●><●>

2009-11-16 12:00:17 投稿 / 全20ページ    総閲覧数:30725   閲覧ユーザー数:19214

この作品はキャラ設定が崩壊しています。原作重視の方はご注意ください。

時代背景がめちゃくちゃです。

一刀くんがこれでもかってほどチートです。

それでもいいかたはどうぞ

 

袁紹が劉備たちの国、徐州の国境を越えた

そんな報が入ってきたのは、軍師達を集めての軍議が終わる直前のことだった

華琳「……そう。麗羽が」

一刀「ん? 意外と驚かないんだな」

華琳「ある程度は予想できていたもの。まさか本当にやるとは思わなかったけれど」

稟「袁術相手で精一杯の劉備を見て、好機と思ったのでしょうか?」

華琳「……袁術に徐州を一人占めされるのが急に惜しくなったんでしょうよ」

一刀「で、これからどうするんだ?」

華琳「そうね、皆の意見はどうなのか聞かせてくれるかしら」

稟「徐州の遠征軍には袁将軍の主力が揃っています。この機に南皮へ攻め入り、徹底的に袁紹を叩くべきではないでしょうか」

桂花「袁紹も袁術も大軍ではありますが、先見の明のない小物ゆえ、放っておいても良いでしょう。しかし、劉備はいずれ華琳さまの前に立ち塞がるであろう相手です。これを機に、まずは徐州を攻め、劉備を討つべきかと」

華琳「一刀はどう思う?」

一刀「俺は完全に武官のつもりなんだが……」

華琳「いいから言いなさい」

一刀「そうだな……今は力を蓄えておけばいいんじゃないか? どっちに攻めたとしても風評はあまり良くなさそうだからな」

風「そうですねー。風もお兄さんの意見に賛成なのですよー」

華琳「貸しは作らなくていいのかしら?」

一刀「思ってもいないことを人に聞くのはどうなんだ?」

華琳「あら、意外とわかってるじゃない。今は力を溜め、次の動きで最善の一手を打てるように静観すべきときでしょう」

華琳の一言によりその場は解散となったがその日の夜遅くに大至急の集合命令が出された

一刀「こんな時間になんだってんだよ……」

真桜「ふわ……ウチかて知らんわ……。急に伝令が来て、急いで全員集合て……何やろなぁ」

凪「…………」

一刀「おっ、凪。さすがに早いな」

凪「……………」

真桜「寝とるな……」

一刀「しかも目を開けたままな……」

沙和「……ぐぅ」

風「……むにゃむにゃ」

真桜「あっちは完全に寝とるな」

一刀「二人とも、そろそろ起きたらどうだ」

沙和&風「「おお!」」

稟「風、早くこちらに来なさい。貴方の場所はこちらでしょう」

風「おおっ。すっかり忘れてました」

全員が定位置についたところで華琳が入ってきた

華琳「全員揃ったようね。急に集まってもらったのは他でもないわ。秋蘭」

秋蘭「先ほど早馬で、徐州から国境を越える許可を受けに来た輩がいる」

霞「……何やて?」

一刀「はぁ……そういうことか」

華琳「あら、一刀はもう分かってしまったのかしら」

一刀「なんとなくな。それで、誰が来たんだ」

華琳「入りなさい」

愛紗「……は」

凪「な……」

桂花「関羽……!?」

華琳「見覚えのある者もいるようだけど、一応、名を名乗ってもらいましょうか」

愛紗「我が名は関雲長。徐州を治める劉玄徳が一の家臣にして、その大業を支える者」

霞「なんで関羽がこないな所に……」

一刀「話を聞けばわかるだろうさ」

華琳「そうね。話してくれるかしら」

愛紗「……私は、曹操殿の領地の通行許可を求めに参りました」

一刀「やっぱりか……」

春蘭「どういうことだ?」

華琳「一刀以外に分かった者はいるかしら」

流琉「あの……」

華琳「言ってみなさい流琉」

流琉「まさか、袁紹さんと袁術さんから逃げるために、私たちの領地を抜けて、益州に向かうという事ですか」

愛紗「……その通りです」

凪「なんと無謀な……」

真桜「けど、袁紹や袁術と正面からぶつかるよりは、マシやと思うで」

凪「それはそうだが、我々とて別に劉備殿の国と同盟を組んでいるわけではないだろう?」

華琳「そういうこと。それに正直、関羽もこの案は納得していないようでね……そんな相手に返事をする気にはなれないのよ」

霞「ほんならなんで、こんな決死の使いを買って出たんや?」

愛紗「我が主、桃香さまの願いを叶えられるのが、私だけだったからだ。それに我々が生き残る可能性としては、これが最も高い選択であった」

一刀「主のためにか。どっかの誰かさんみたいだな」

春蘭「わ……わたしはこんなに愚直ではないぞ!」

一刀「春蘭、こういうのは愚直なんじゃないさ。純粋に関羽さんが忠義の将なんだよ。もちろん春蘭もそうだけどね」

春蘭「当然だ!!」

華琳「とりあえずこれから、その返答をしに劉備の元へ向かおうと思うのだけれど……。誰か、付いてきてくれる子はいるかしら?」

華琳の言葉にその場に居る全員が頷いたように見えたが

一刀「俺は行かないよ。さすがに寝たいからな……」

そう言って欠伸をしながら一刀はその場を去ろうとするが

華琳「もちろん一刀も来てくれるわよね?」

そう言いながら華琳は一刀の首筋に「絶」をつきつけていた

 

一刀「みんな元気だな……。夜の行軍だってのに準備は早いし、誰も文句も言わないし。全員付いてきてるし」

華琳「そう言う一刀は不機嫌そうね」

一刀「誰のせいだと思ってんだよ」

一刀がそう言うと華琳はくすくすと笑い出した

愛紗「感謝してます、曹操殿」

華琳「さあ。その言葉は、無事に事が済んでから聞くことにするわ」

愛紗「それはどういう……?」

秋蘭「華琳さま。先鋒からの連絡が来ました。……前方に劉備の牙門旗。劉備の本陣のようです」

華琳「なら関羽、あなたの主の所に案内して頂戴。一刀、一緒に来なさい」

一刀「うえ!? 俺かよ~」

華琳「それから……」

桂花「華琳さま! この状況で劉備の陣に行くのは危険すぎます!」

春蘭「そうです! どうせなら劉備をこちらに呼び出すなど」

華琳「そうね。確かに私もそこまで劉備を信用はしてないわ。でも、覇者たらんとしている私がそんな臆病な振る舞いをよしとすると思っているのかしら?」

春蘭「……ぐっ」

華琳「だから関羽。もしこれが罠だったなら……貴方達にこの場で残らず死んで貰いましょう」

愛紗「ご随意に」

華琳「それで……一刀の他に誰が私を守ってくれるのかしら?」

春蘭「はっ!」

季衣「ボクも行きます!」

流琉「私も!」

華琳「なら、春蘭、季衣、流琉、霞……それから、稟も来なさい。残りはこの場に待機。異変があったなら、秋蘭と桂花の指示に従いなさい」

稟「はっ!」

桂花「華琳さま、お気を付けくださいませ。春蘭、絶対に華琳さまのことをお守りするのよ!」

春蘭「言われるまでもないわ」

華琳「では関羽。案内してちょうだい」

一刀「行ってらっしゃ~い」

霞「はいはい、一刀も行くで~」

『ズルズル』

一刀「う~~~~」

 

桃香「曹操さん!」

華琳「久しいわね、劉備。連合軍の時以来かしら?」

桃香「はい、あの時はお世話になりました」

華琳「それで今度は私の領地を抜けたいなどと……また、随分と無茶を言ってきたものね」

桃香「すみません。でも、皆が無事に生き延びるにはこれしか思いつかなかったので……」

華琳「まあ、それを堂々と行うあなたの胆力は大したものだわ。……いいでしょう。わたしの領を通る事を許可しましょう」

桃香「本当ですか!」

稟「華琳さま。劉備にはまだ何も話を聞いておりませんが……」

華琳「聞かずとも良い。……こうして劉備を前にすれば、何を考えているのかが分かるのだから」

桃香「曹操さん……」

華琳「ただし街道はこちらで指定させてもらう。……米の一粒でも強奪したなら、生きて私の領を出られないと知りなさい」

桃香「はい! ありがとうございます!」

華琳「それから通行料は……そうね。関羽でいいわ」

桃香「………え?」

華琳「何を不思議そうな顔をしているの? 行商でも関所で通行料くらいは払うわよ? 当たり前でしょう」

桃香「え、でも、それって……!」

華琳「あなたの全軍が無事に生き延びられるのよ?もちろん、追撃に来るだろう袁紹と袁術もこちらで何とかしてあげましょう。その代価をたった一人の武将の身柄であがなえるのだから……安いものだと思わない?」

愛紗「桃香さま…」

桃香「曹操さん、ありがとうございます」

朱里「桃香様!?」

鈴々「お姉ちゃん!」

桃香「……でもごめんなさい」

華琳「あら」

桃香「愛紗ちゃんは大事なわたしの妹です。鈴々ちゃんも、朱里ちゃんも……他のみんなも、誰一人欠けさせないための、今回の作戦なんです。だから、愛紗ちゃんがいなくなるんじゃ意味がないんです。こんな所まできてもらったのに……本当にごめんなさい」

そう言って桃香は華琳に頭を下げる

一刀(ふぅ……華琳がキレないことを祈ろう………俺は今にもキレそうだけどな)

華琳「さすがは徳をもって政事を成すという劉備だわ。……残念ね」

愛紗「桃香さま……私なら」

桃香「ダメだよ愛紗ちゃん。朱里ちゃん、他の経路をもう一度調べてみて。袁紹さんか袁術さんの国境あたりで抜けられそうな道はない?」

朱里「……はい、もう一度候補を洗い直してみます!」

華琳「劉備」

桃香「……はい?」

華琳「甘えるのもいい加減になさい!」

桃香「……!?」

華琳「たった一人の将のために、全軍を犠牲にするですって? 寝ぼけた物言いも大概にすることね!」

一刀(いいぞいいぞ♪ もっと言ってやれ~♪)

桃香「でも! 愛紗ちゃんはそれだけ大切な人なんです!」

華琳「なら、その為に他の将……張飛や諸葛亮、そして生き残った兵が死んでも良いというの!?」

一刀(そうだそうだ~♪)

桃香「だから今、朱里ちゃんに何とかなりそうな経路の策定を……!」

華琳「それがないから、私の領を抜けるという暴挙を思いついたのでしょう? ………違うかしら?」

桃香「………それは………」

華琳「諸葛亮」

朱里「はひっ!」

華琳「そんな都合の良い道はあるの?」

朱里「そ……それは……」

華琳「稟」

稟「はっ。幾つか候補はありますが……追跡を完全に振り切れる経路はありません。さらにそこには危険な箇所が幾つもあります。我が軍の精兵を基準にしても戦闘もしくは強行軍で半数は脱落するのではないかと……」

桃香「……っ。朱里ちゃん……」

朱里「………」

桃香「そんな……」

一刀(~♪)

華琳「現実を受け止めなさい劉備。本当に兵のことを思うのならば、関羽を通行料に、私の領を安全に抜けるのが一番なのよ」

愛紗「桃香さま……」

桃香「曹操さん……それだったら……」

華琳「もしあなたが関羽の代わりになる、などと寝惚けたことを提案するようならこの場であなたを叩き斬るわよ。国が王を失ってどうするつもりなの?」

一刀(♪ ♪ ♪ ♪)←心の中で小躍りしている

 

桃香「………!」

華琳「……どうしても関羽を譲る気はないの?」

桃香「………」

華琳「まるでだだっ子ね。今度は沈黙?」

桃香「…………」

華琳「いいわ。あなたと話していても埒があかない。………勝手に通って行きなさい」

桃香「………え?」

一刀(!!!!!!!)

華琳「聞こえなかった? 私の領を通って良いと言ったのよ。……益州でも荊州でもどこへでも行けば良い」

春蘭「華琳さま!」

桃香「そ、曹操さん……ありがとうございます!」

華琳「ただし」

桃香「……通行料、ですか?」

華琳「当たり前でしょう。……先に言っておくわ。あなたが南方を統一したとき、必ずあなたの国を奪いに行く。通行料の利息込みでね」

桃香「…………」

華琳「そうされたくないなら、私の隙を狙ってこちらに攻めてきなさい。そこで私を殺せれば借金は帳消しにしてあげる」

桃香「……そんなことは」

華琳「ない? なら、私が滅ぼしに行ってあげるから、せいぜい良い国を作って待っていなさい。あなたはとても愛らしいから……私の側仕えにして、関羽と一緒に存分に可愛がってあげる」

一刀(え~……そこで百合かよ………嫌いじゃないけど)

関羽「く……曹操どの! これ以上桃香さまを侮辱するといくら貴方とはいえ……!」

華琳「霞、稟。劉備達を向こう側まで案内なさい。街道の選択は任せる。劉備は一兵たりとも失いたくないようだから……なるべく安全で危険のない道にしてあげてね?」

稟「はっ」

霞「それでウチも連れてきたわけか。了解や」

華琳「それでは私たちは戻るわよ。……劉備、あなたがした選択……間違ってなければ良いけれどね」

桃香「………間違ってなんかいません。それを、絶対に証明して見せますから!」

華琳「良い返事だわ。……帰るぞ」

鈴々「うぅぅ…。ちびっこなんかに負けないのだっ!」

季衣「ぐぬぬ…。ボクもお前なんかに負けないから!」

流琉「ちょっと、季衣ってば」

一刀「華琳、俺は少しようがあるから残るぞ」

華琳「好きにしなさい、でも早めに戻るのよ」

一刀「わかってる」

そうして華琳たちが去った後その場には一刀と蜀の面々が残っていた

 

朱里「それで、北郷さんはどういった用件でしょうか?」

一刀「ここに星と華雄はいるかな? 出来れば会いたいんだけど」

愛紗「北郷殿は星と知り合いなのか?」

一刀「まぁね。一時期一緒に旅をしていたからね。ちなみに華雄は董卓軍の時に」

星「あの時はまともに相手をしてもらえませんでしたな」

華雄「そうなのか? まあ私も仲間でよかったとは思っていたがな」

一刀「星! 華雄! 久しぶりだな~」

星「そういう一刀も元気そうだな」

華雄「今は曹操の所に居るのか、そういえば霞は元気か?」

一刀「それは本人に直接聞いたらどうかな?」

華雄「ン?どういう……」

霞「かゆっち! 久しぶりやな~! 元気にしとったか?」

華雄「おお、霞! 当然だ、霞も元気そうでなによりだ」

稟「星殿、お久しぶりです」

星「稟か、久しぶりだな」

その後五人は一刀を中心に少しの間昔話に花を咲かせていた

そこに一人割り込む者がいた

 

愛紗「少々よろしいか?」

星「むっ? どうした愛紗よ?」

愛紗「北郷殿にお願いがあるのだが」

一刀「俺に? 何かな」

愛紗「今この場で鍛錬していただけないだろうか」

そう言う愛紗の眼差しは真剣だった。しばらくの間、一刀は黙ったまま愛紗の眼を見つめていたが

一刀「かまわないよ。ただし一回だけね」

そう言って一刀は愛紗と距離をおくと「風牙」と「雷牙」を抜く

愛紗もその正面にたって「青龍偃月刀」を構える

桃香「愛紗ちゃん!」

星「桃香さま、お下がりください。大丈夫ですよ、二人とも武の達人ですから」

鈴々「愛紗ずるいのだ!」

霞「一刀もずるいで! うちも関羽と手合わせしたいわ~」

周りがわいわい騒ぎ出す中、愛紗が少し深く腰を落とし

愛紗「参る!!」

一気に一刀との距離を詰める

霞「速いな」

華雄「ああ、だが」

愛紗はそのまま上下左右様々なところから連撃を仕掛けるが

華雄「一刀のほうが遥かに速い」

一刀はそれを「風牙」一本で全てを弾きかえす

一刀「まさかその程度なわけがないよね」

愛紗「もちろんです!」

その後も一刀と愛紗は何十合と刃を重ねるが愛紗はなかなか一刀に「雷牙」を使わせることが出来ない

さらに一刀はその間ずっと愛紗の悪い所を指摘し続けていた

一刀「そこ!」

そう言って一刀は愛紗の腹を殴る、愛紗はギリギリのところでそれを防ぐが少し後ろに吹き飛ばされる

愛紗「くぅっ! さすがですね北郷殿。全然相手にしてもらえませんね」

一刀「そんなことないよ。関羽は俺の言ったことをすぐに吸収するからちょっと「風牙」だけで相手するのは難しくなってた所だよ」

愛紗「他にどこか悪い所はありませんでしたか?」

一刀「最初から全力の速さで攻撃するんじゃなくてもっと緩急を付けたらどうだ?」

愛紗「こうみえても付けているつもりなのですが」

一刀「いやいや、関羽ならもっと出来るはずだ……こんな風に」

今度は一刀のほうから距離を詰め、連撃を放つ

愛紗「!!! 確かに……これは……やりにくい!!」

『ガキン』

一際甲高い音が鳴り響き二人はまた距離をおく

愛紗「はぁはぁ……」

一刀「関羽も疲れたみたいだし、次で最後にしようか」

そう言うと一刀は「風牙」を握りなおし

一刀「最高の一撃でこい!!」

今までとは比べ物にならない覇気と殺気を放つ、その姿からは恐怖よりも美しさを感じるほど完成されたものだった

愛紗(綺麗だ……北郷殿の武はきっと私の遥か先を行っているのだろう……)「だが!!」

そう言って心を切り替え、愛紗も「青龍偃月刀」を構えなおす

愛紗「いつかは追いつき! そして追い越してみせる!!」

そう叫ぶと愛紗は眼を閉じ集中し、ゆっくりと息を吐きながら眼を開け一刀を見つめる

一刀「いい眼だ……関羽ならきっと……」

そこで一刀は言葉を切り、「風牙」だけでなく「雷牙」も構える

一刀が構え終わると、まるで吸い込まれるように愛紗が一刀との間合いを詰める

霞「速いで!」

鈴々「あんな速さの愛紗は初めて見るのだ!」

華雄「ぬぅ。愛紗め、いつもは手を抜いていたのか?」

星「いや、あれは一刀が引き出したものだろうな」

愛紗自身も感じていた。今のこの一撃は今までの中でも最高のものであると……しかし

一刀「次に会う時はもっと強くなってなかったら本気で怒るからな」

そう言いながら一刀は二刀を振るう、その二刀は月明かりに照らされ光の筋の軌跡を残す

『ギャキン! ヒュンヒュン ドス』

宙に舞ったのは愛紗の「青龍偃月刀」

愛紗は「青龍偃月刀」を振りぬいたまま固まっていたが自分の愛刀が地に刺さるのと同時に片膝をついた

桃香「愛紗ちゃん!」

朱里「愛紗さん!」

愛紗「心配ありません、桃香さま、朱里。それよりも北郷殿」

一刀「何かな?」

愛紗「よろしければ私の真名を受け取ってはくれませんか?」

一刀「もちろん。喜んで受け取るよ」

愛紗「では、私の真名は愛紗と言います」

一刀「悪いんだけど俺には真名がないから、愛紗の好きなように呼んでくれ」

愛紗「では一刀殿、次に会うのがどこにしても私の成長を楽しみにしていてください」

一刀「わかった。期待して待ってるよ」

そう言うと一刀は「風牙」と「雷牙」をしまって華琳たちを追おうとしたが

 

 

一刀「あ! そうだそうだ!」

くるっと一回転すると桃香の前まで行き

一刀「劉備さん」

桃香「はい。なんですか?」

一刀「あなたの理想はとても素晴らしいものだと思いますが……」

そこまで言うと一刀は少し殺気を籠めながら

一刀「理想ばかり見続けて現実を見ずにもし星や華雄、愛紗を傷つけるようなことをしたら…………あなたをこれ以上ないくらい苦しませながら殺しますから」

そう笑顔で言い放ち口笛を吹きながら去っていった

稟「一刀殿の無礼、お許しください。悪い人じゃないのですが、なにぶん捻くれ者で」

桃香「いえ、いいんです。それよりも北郷さんに伝えておいてください。私が愛紗ちゃんたちを傷つけるわけがない。もちろん愛紗ちゃんたちだけじゃなくって民の皆もって」

稟「わかりました。伝えておきましょう」

 

その後、霞、稟のところには護衛用の兵が幾人か送られ、華琳たちは袁紹の迎撃に向かった

 

兵士「楽進将軍! 敵部隊の先鋒が見えました!」

凪「よし! 全員、戦闘用意!!」

凪の声と同時に、部隊の全員が弓矢を構える

凪「撃てっ!」

小さな号令と共に数百の矢と凪の気弾が放たれ、一斉に敵陣へと襲い掛かる

一刀「……あれ? 退いてってるぞ」

そう呟く一刀の視線の先では袁紹軍がゆっくりと後退を始めていた。それを見ていた凪も驚き顔だった

凪「凄いですね、桂花さまの予測は……」

一刀「ほんとだな……かなり見直した」

凪「それでは一刀さま。本陣と合流しましょう」

一刀「そうだな。次はきっと沙和たちのところに行ってるんじゃないかな」

 

 

兵士「干禁将軍!敵の追撃部隊を確認しました!!」

沙和「わかったの。なら、みんな弓の準備をするの!」

季衣「うー。弓って、苦手なんだけどなぁ……」

沙和「わたしも苦手なの。でも今回は、とにかく前に飛ばせばいいって言われたのー」

季衣「そのくらいなら大丈夫かなぁ……?」

兵士「敵陣の先端、射程圏内です!」

沙和「よーし。それじゃ、総員、てーっ! なのー!」

沙和の掛け声と共にまたもや数多の矢が袁紹軍を襲う。すると……

季衣「あっ! 袁紹軍が退いていくよ!」

沙和「やったのー!」

 

 

兵士「夏侯淵さまから伝言です! 袁紹の追撃軍が引き返したとのこと! 夏侯淵さまは次の地点に移動するそうです!」

華琳「これで三度目……予想通りね。見事な采配だわ、桂花」

桂花「文醜の思考は単純ですから。あれの性格を知っていれば動きを読む事は難しい事ではありません」

風「桂花ちゃん。随分詳しいですけど、文醜ちゃんとお知り合いなんですか?」

桂花「ええ。昔ちょっとね」

風「……ぐー」

桂花「聞いたんなら責任もって聞きなさいよ!」

風「……おお!」

華琳「さて次だけれど……文醜はどう動くと思う?」

桂花「三度目は顔良にたしなめられたでしょうが、彼女の我慢に四度目はありません。次は相手を見ずに突っ込んで来るかと」

華琳「……なるほどねぇ」

桂花「伝令! 本隊の春蘭に指示を送りなさい。敵を見つけたら思い切り一撃打ち込んで混乱させよ!」

兵士「はっ!」

 

 

兵士「敵部隊、撤退していきます!」

春蘭「なんだもうか。つまらん……」

華琳「ふふ……次は嫌でも全力で戦ってもらう事になるわよ、春蘭」

春蘭「華琳さま! このようなところにまで……」

華琳「他の皆にも撤収の指示を出してあるわ。袁紹もこの一撃で懲りたでしょうから、今日は攻めてはこないでしょう」

春蘭「はっ! ならばこちらも撤収させます」

真桜「総員撤収や! さっさとずらかるでー!」

兵士「応っ!」

華琳「さて……。次は袁紹と袁術の二面作戦かしら。劉備ではないけれど、これに勝ち残らなければ後はない……か」

 

袁紹を追い返してしばらくの時が過ぎ―――

桃香たちも無事に領内を抜け、案内役の霞たちも帰ってきて、次はいよいよ、袁紹たちと本格的に事えお起こす計画が進められていた

華琳「……敵軍が集結している?」

秋蘭「はい。どうも袁紹と袁術の両軍が、官渡に兵を集中させているようなのです」

一刀「それってまったく意味ないだろ」

風「兵力は単純に倍になりますけど、指揮系統が整ってないとただ人が増えるだけになりますからねー」

桂花「うまく連携が取れなかった場合、互いの足を引っ張り合って、むしろ不利になることのほうが多いわ」

稟「袁紹と袁術で連携は無理でしょうが」

華琳「けれど、二面作戦を取らなくて良い分、少しだけ楽になったわね」

一刀「兵を集結させて戦えるなら負ける要素はまずないだろうが……」

秋蘭「袁術の客将の孫策の一党は気をつけなくてはなりません」

華琳「その通りね。だから袁術の主力には春蘭、あなたに当たってもらうわ。第二陣の全権を任せるから、孫策が出てきたらあなたの判断で行動なさい。季衣、流琉、一刀は春蘭の補佐に回って」

春蘭「御意!」

流琉「わかりました!」

季衣「はい!」

一刀「了解」

華琳「袁紹に相対する第一陣は霞が務めなさい。補佐して欲しい子はいる?」

霞「それやったら凪たち三人がええなぁ」

華琳「わかったわ」

桂花「……そうだ。霞たちにはこちらの秘密兵器の講義を受けてもらうわよ。真桜たちが一緒だからちょうど良いわ」

霞「なんや? どんな兵器なん?」

桂花「秘密兵器は秘密兵器よ。それ以上はまだ教えられないわ」

霞「うーん……あんまり面倒なんは勘弁してほしいんやけどなぁ……」

華琳「そう言わないで。……その秘密兵器の運用と護衛を第一陣に任せましょう。敵部隊には第二陣の春蘭が当たりなさい」

霞「ええーっ! なんでやねんっ!」

一刀「面倒だな……」

春蘭「はっ!……ふふっ、すまんな霞。華琳さまの命令ではどうしようもない」

霞「うわー……貧乏くじ引いたぁ~」

華琳「袁術は作戦立案には顔を出さないはずだから、相手の指揮はおそらく袁紹が中心になるでしょう。桂花は袁紹の考え方を予測して、基本戦略を立てなさい」

桂花「御意!」

華琳「稟と風は桂花の補佐。予想が外れた時の対処が即座に出来るように戦術を詰めること」

風「分かったのですー」

稟「了解です」

華琳「他の皆も戦いの準備を整えなさい。相手はどうしようもない馬鹿だけど、仮にも河北四州を治める袁一族よ。負ける相手ではないけれど油断して勝てる相手でもないわ」

そこで一旦華琳は言葉を切り大きく息を吸い込むと

華琳「これより我らは、大陸の全てを手に入れる! 皆、その初めの一歩を勝利で飾りなさい。いいわね!」

それからあっという間に準備は整い戦場に向けて出陣した

 

官渡に辿り着いた華琳たちは見たものは辺りを埋め尽くす袁一族の連合軍と、巨大な櫓の列だった

華琳「あの櫓は厄介ね。あそこから陣形を読まれたり、矢を射かけられたりしてはたまらないわ」

桂花「大丈夫です。この時のための秘密兵器ですから。真桜、用意はできているわね」

真桜「完璧や! まかせとき!」

秋蘭「……華琳さま、袁紹が出て来ました。あの櫓も一緒です」

華琳「……動くの!? あの櫓は」

一刀(まあ、この時代でもあのくらいは可能だろうな)

華琳「……まあいいわ。行って来るから、準備をしておきなさい。いつでも攻められるようにしておいて」

桂花「御意!」

麗羽「おーっほっほっほ! おーっほっほっほ!」

華琳「…………なんか腹立つわね」

麗羽「既に勝ったも同然ですわ! おーっほっほっほ! 華琳さん、高いところから失礼いたしますわよ、おーっほっほっほ!」

華琳「笑うだけしか能がないのかしら? 随分と毛並みも悪くなっているようだし、もう年ではなくて?」

麗羽「なぁんですってぇ! 誰が目尻に小じわの目立ってきたオバハンですってぇ!」

華琳「……さすがにそこまでは言ってないわよ」

麗羽「だまらっしゃい! たかが宦官の孫の分際で生意気ですわよ!」

華琳「その宦官の孫の千ちょっとの手勢に、このあいだ良いようにされていたのはどこのどなたかしら?」

麗羽「………え?」

華琳「あら。気付いてなかったの? それは失礼。名門袁家の一族の目は、家柄と家名しかみえない節穴だったのを忘れていたわ」

麗羽「な、なななな……っ! 良いですわ! ここであなたを叩き潰して、この櫓の上からそのクルクル髪を吊してあげますわ! もうクルクルには戻らないでしょうね! おーっほっほっほ!」

華琳「残念。その前にあなたを打ち倒して、河北四州と袁術の領土、まるごと頂くことにするわ。だから……そんな光景が見られるのは、あなたの歪んだ妄想の中だけになるでしょうね」

麗羽「本性を現しましたね、この性悪小娘さん! でも残念ながら、この大陸に覇を唱えるのはこのわたくし、袁本初ですわっ!」

華琳「……本性を現したのはどちらだか。まあ良いわ。さっさと南皮を明け渡しなさいな」

麗羽「その言葉、そっくりお返ししますわ! 猪々子さん、斗詩さん、櫓を用意! 弓兵に一斉射撃をお命じなさいっ!」

華琳「あら、残念。撃ち方なら、こちらの方が……」

『ドゴン!!』

麗羽「…………へ!?」

華琳「…少し早かったようね?」

 

真桜「おーっ! さすがウチの最高傑作や! よう飛ぶなぁ!」

凪「真桜。投石機の次弾装填終わったぞ!」

真桜「よっしゃ! 沙和、照準はどないや!」

沙和「距離良し! 方向良し! 目標、次の櫓に合ってるの!」

真桜「ほんなら、もういっちょ、撃てーぃっ!」

『ヒューーン………ドゴン!!』

霞「命中や! これで半分くらいは潰せたな。あとは半分、気合入れて行きぃっ!」

真桜「ちょっと、姐さんも手伝うてぇな。この石、結構重いねんて!」

霞「えー。ウチ箸より重いもの持ったことあらへんもーん。当たったかどうかは見たるから、な?」

真桜「…………」

霞「ほら、凪を見てみぃ! 黙々と働いて……ええ子やなぁ。後でアメちゃん買うたるさかいな」

凪「……いえ、大丈夫です」

霞「ん? なんでや?」

凪「それは………///」

真桜「!! な~ぎ~。後で少し話ししよか~」

沙和「そうなのー。色々と聞きたいことがあるのー」

霞「せやなー。ウチも興味あるわー」

凪「い、いいから! 次のを撃ちましょう!」

 

 

麗羽「…………えーと」

華琳「残念。自慢の櫓は、役立たずのようね」

麗羽「あ、あんなの卑怯ですわっ! あんな遠くからでっかい岩を飛ばすなんて、どんな妖術を使ったんですの!」

華琳「そんなものは使っていないわ。ただ、あなた達の所よりも少しだけ賢い子がいただけのことよ」

麗羽「くぅぅ………っ! なら、この決着は正面から着けさせていただきますわ!」

華琳「はいはい。……そんなことを言ってる間に、櫓は全て使えなくなってしまったわよ」

麗羽「きぃぃぃぃっ! あとで泣かしてあげますから、覚えてらっしゃい!」

華琳「それが自分にならないようにね」

桂花「お疲れ様でした、華琳さま」

華琳「桂花、後で真桜には褒美を与えておくように。あの投石機は大したものだわ」

桂花「承知いたしました」

華琳「皆、これからが本番よ! 向こうの数は圧倒的。けれど、向こうは連携も取れない、黄巾と同じ烏合の衆よ! 血と涙に彩られたあの調練を思い出しなさい! あの団結、あの連携をもってすれば、この程度の相手に負ける理由などありはしない! それが大言壮語でないことは、この私が保証してあげましょう!」

一刀(あぁ、たしかにあの調練は辛そうだったな………俺は受けてないけど)

秋蘭「総員、突撃!」

 

華琳たちの精兵は数の差などものともせずに袁紹軍の雑兵を蹴散らしていく

もし麗羽と華琳の国力が同じだったとしたらもっと圧倒的な内容となっていただろう

 

春蘭「はぁぁぁぁぁぁ!」

『ガキンッ!』

雪蓮「くっ……! さすが夏侯元譲……天下に響く勇名は伊達ではないということね!」

祭「策殿ぉ! 本陣の袁術から連絡が来た! 撤退するゆえ、殿を務めろと!」

雪蓮「……そんな暇、あるわけないでしょ! この状況を見ろっていうのよ……まったく」

春蘭「…………」

雪蓮「………え?」

春蘭「どうした。撤退するのだろう?」

雪蓮「……見逃してくれるのかしら」

春蘭「貴様には黄巾の時の借りがある。いい加減、返しておかねば、私の股間に関わるのだ」

一刀「はぁ……春蘭……それを言うなら沽券だ。頼むから対応に困りそうなことを言うのはやめてくれ……」

春蘭「北郷! いつからそこに!」

一刀「そこの人がそっちの、えーっと……孫策さんだっけ? その人に撤退の命令を伝えに来た時くらいだよ」

春蘭「そ、そうか。と、とにかく、撤退するならするがいい! 十数えるうちに視界から消えねば、追撃を仕掛けるぞ!」

雪蓮「……そう。なら、その返済、ありがたく受け取らせてもらうわ。……行きましょう、祭」

祭「うむ。さらばだ夏侯元譲」

そう言って雪蓮と祭はその場から撤退していく

一刀「見逃してよかったのか? 後々苦労するかも知れないぞ?」

春蘭「かまわん。もしそうなったとしても、華琳さまの前に立ち塞がるというのなら叩き潰すまでだ」

一刀「そうか……ところで貸し借りといえば俺も袁一族には大きな借りがあるんだ。出来ればそれを返したいんだが……」

春蘭「……分かった。だが私たちの軍は何も出来ないぞ」

一刀「構わないさ。……ありがとう」

春蘭「ふん! お前も馬鹿だな……」

一刀「春蘭に馬鹿って言われたら終わりだな」

春蘭「なにぉぉ!!」

一刀「ははは、兵士!! 曹操様に俺は袁一族に借りを返しに行くから、って伝えておいてくれ!!」

そう言って一刀は雪蓮たちの後を追うように掛けだした

春蘭「ふぅ。季衣と流琉の様子でも見に行くとするか」

 

 

桂花「袁術、袁紹とも、こちらが押し切れそうですね」

華琳「そのようね。袁術の側は撤退を始めているようだし……秋蘭、袁紹が動いたら、そちらの追撃はあなたに任せるわ」

風「袁術側の追撃は春蘭ちゃんが上手くやくれるでしょうしねー」

桂花「むかつくけどあの馬鹿男も一緒なら問題ないでしょう」

華琳「あら。あなたが男を認めるなんて珍しいわね」

桂花「なっ! そんなことありません!!」

華琳「ふふっ。今はそういうことにしときましょうか」

兵士「報告! 袁紹軍が撤退を開始しました!!」

秋蘭「なら華琳さま。私も行ってきます」

華琳「任せたわよ」

秋蘭「はっ! 出られる者から私に続け! この大戦の総仕上げ、我々の手で果たすぞ!」

兵士「北郷将軍から伝令!」

風「お兄さんからですか? 珍しいですねー。報告してください」

兵士「はっ! 『馬鹿の親戚に昔の借りを返してくる』 とのことです」

華琳「そう。ならこれで袁術軍のほうは平気ね」

風「そうですねー。ですが宜しいんですか? そうすると孫策さんたちがこの乱世に出てくることになりますよー?」

華琳「それならそれでかまわないわ。それに一刀がなにもしなくてもいずれは出てきたわよ。馬鹿が虎を飼いならすことなんてできないわ」

 

冥琳「なんですって?」

雪蓮「袁術の軍は私たちに殿を押し付けて、背中ががら空きよ。今なら、連中を討てるわ」

祭「……確かに御大将の言うとおりだな。幸い、我らの軍はそれほど酷い損害は受けてはおらんしの」

冥琳「それは確かにそうだけれど……曹操の追撃はどうするの? 来るとしたらあの夏侯惇よ。それにあの北郷一刀もいたのでしょう? 軍を二つに分けて対処できる相手ではないわ」

雪蓮「あの子なら来ないわよ」

冥琳「来ないって……雪蓮の勘?」

雪蓮「ええ、けど、この勘はきっと外れないわよ」

冥琳「………」

雪蓮「……冥琳」

冥琳「……そうね。こういう時の雪蓮の勘が外れたことはないものね。いいわ、袁術を追いましょう」

雪蓮「そう来なくっちゃ。祭もいいわね?」

祭「それは問うだけ野暮というものじゃぞ?」

雪蓮「よし……。我々はこれより撤退中の袁術を追撃、撃滅するぞ! 後方の追撃は放っておけ! 我らの土地を奪い返す千載一遇の好機、ただそれだけを追い、この手で掴み取るのだ! 孫呉の兵どもよ! 我らの悲願を今こそ達成する時がきた! 行くわよ! みんな!」

雪蓮の号令と共に孫呉の兵が駆け出す。するとそこに一つの影が加わる

祭「北郷一刀!! お主が何故ここに!!」

そう言いつつ祭は一刀に「多幻双弓」を構える

一刀「おいおい、落ち着けよ。別に孫策たちと戦うために来たんじゃないから」

冥琳「どういうことだ?」

一刀「袁術を潰しに来た………それだけさ」

雪蓮「いいの? 私たちに助力しても?」

一刀「何を言ってるんだ? 俺は反董卓連合を企てた馬鹿の一族に借りを返してあげたいだけさ。その後はどうなろうと知ったこっちゃない」

雪蓮「あらそう。じゃあ遠慮なく楽をさせて貰おうかしら」

そんな雪蓮の言葉に一刀は軽く笑いながら「勝手にしろ」と呟くと速度を上げて走り去っていった

 

美羽「七乃~!! どうして孫策がこうげきしてくるのじゃ! それにあの男は何者なのじゃ!!」

七乃「あの人は元董卓さんの部下だった北郷一刀さんですよ~。きっと反董卓連合のお返しにきたんですよ~」

美羽「なにおっ! あれは麗羽のやったことでわらわは関係ないのじゃ!」

七乃「そんなの北郷さん本人に言ってくださいよ~」

一刀「なら直接聞こうじゃないか」

美羽&七乃「「ひいっ!」」

一刀「どうした? なにか俺に言いたいことがあったんじゃないのか?」

美羽&七乃「「(ブンブン!!)」」

一刀「そっか……ならもう殺してもいいかな?」

美羽&七乃「「(ブンブンブン!!!!!)」」←先ほどよりも激しく左右に振っている

一刀「クスッ。まぁ今回は俺は手を出さないでおいてあげるよ。ただもう少しあいつらの痛みを受けてもらおうかな?」

そう言うと一刀は二人に背を向け戦場の中心にまた向かう。そして一刀の姿が戦場に消えると、戦場からは先ほどまでよりも遥かに多くの断末魔の声が上がるようになる

美羽「鬼なのじゃ~……鬼がいるのじゃ~」

 

桂花「華琳さま! 春蘭に今すぐ追撃命令を! 今を他に袁術を討つ機会はありません!」

華琳「……不要よ。春蘭がそう判断したのならそれが最善なのよ」

稟「華琳さま、偵察から連絡が入りました。孫策が袁術を裏切り、背後から攻撃を仕掛けているそうです。さらに一刀殿もその戦闘に参加しているようです」

華琳「ふふ、これで気が済むでしょう?」

桂花「むぅぅ……」

華琳「霞、袁紹を追い払ったら、一気に南皮まで進撃するわよ。兵の準備をしておいてちょうだい」

霞「ほんまか! よっしゃ、任せときぃ!」

華琳の言葉を聞くと霞はとても嬉しそうに周りの兵に指示を飛ばしだす

 

その後、凪たちが帰ってきて華琳に報告を行う

華琳「……そう。麗羽は逃がしたか」

凪「……申し訳ありません。こちらの想像以上に素早い相手だったもので……」

華琳「まあ、ここまで兵を失っては再起は困難でしょう。捨て置きなさい」

凪「はっ」

華琳「さて、軍を撤収させるわよ。半分は私と共に南皮へ進撃。残りは桂花と共に、城に戻って事後処理をしておきなさい」

桂花「御意!」

華琳「それから……春蘭」

春蘭「はっ」

華琳「私の言いたいことは分かるわね」

春蘭「はい、いかような処罰でも……」

華琳「いずれ孫策とも戦うことになるのでしょう。……自分のしたことに後悔はない?」

春蘭「わたしはあ奴に預けたままだった借りを返したに過ぎません。この後奴と交える刃は、全て華琳さまの意志によってのみ振るわれるでしょう」

華琳「ならいいわ。南皮への指揮を任せるから、先行した霞と共に見事制圧してごらんなさい」

春蘭「はっ!」

凪「あの~」

華琳「あら、何かしら凪?」

凪「一刀さまは何処に?」

風「お兄さんなら今頃孫策さんと一緒に袁術さんを殲滅しているんじゃないでしょうかー」

真桜「んなっ! なんで一刀が!」

稟「彼はあれでも仲間思いな人ですからね。きっと借りを返すとかいう理由じゃないですか?」

華琳「その通りよ。稟は一刀のことをよくわかってるのね」

稟「//// そんなことは……」

華琳(何故かしら?……今少しイラっときたのは?)

桂花「華琳さま?」

華琳「なんでもないわ。さぁ、行きましょう」

凪「えっ! 一刀さまを待たないんですか!」

華琳「そのうちふらっと戻ってくるわよ」

凪「はぁ……」

その後春蘭は、あっという間に袁紹の本拠地を陥落させ……北方四州は、華琳の支配者に置かれることとなった。

 

一刀「もういないのか? ったく、情けない奴らだな」

そう言うと一刀は「風牙」と「雷牙」をしまう。そこに雪蓮、冥琳、祭が近づく

雪蓮「北郷、今回のことは本当に感謝するわ」

一刀「だから俺は自分のやりたいようにやっただけだ」

冥琳「ふっ、そうか」

雪蓮「それよりも北郷、私たちと一緒に孫呉に来る気はない?」

一刀「んあ? これまた急なスカウトだな」

冥琳「すかうと? なんだそれは?」

一刀「引き抜きって事だよ。ちなみに回答はいいえだ」

祭「どうしてだ?」

一刀「残念ながら俺は今は華琳に忠誠を誓っていてね。簡単に主君を裏切るほど薄情な人間じゃないんだ」

雪蓮「じゃあどうしたら私たちのところに来てくれるのかしら?」

一刀「どうしてもっていうなら華琳を倒すことが条件かな」

冥琳「しかし負ける気はないのだろう?」

一刀「まあ俺が華琳の下にいる限りはね」

祭「はっ! 小僧が言ってくれるわ!」

一刀「その小僧に手も足も出なかった人が何言ってるんだか」

冥琳「ふふふ。これは祭殿は一本とられましたな」

祭「ふんっ! 次は負けん!」

雪蓮「そうね、次からは私たちも孫呉を背負って戦うのだから……今までの私たちだと思っていると痛い目見るわよ」

一刀「覚えておくよ。それじゃまたいつか……」

そう言って一刀は南皮へと駆けていった

雪蓮「あれ? あの子の本陣ってあっちじゃなかったっけ? 全然違う方向に駆けていったけど」

冥琳「なるほど、武だけでなく智もあるか。ますます欲しい人材だな」

祭「冥琳がそこまで言うか」

雪蓮「う~。なんかちょっと嫉妬心が……」

冥琳「雪蓮、馬鹿なことは言ってないで。これから忙しくなるんだから」

雪蓮「わかってるわよ。行きましょう」

そう言って雪蓮たちもその場を去っって行った

 

どうもkarasuです

いかがでしたか?こんなに長いのはもうやりたくないです。やってて泣きたくなってきましたwwwww

ということでまぁ袁紹さんオワタなわけですが次回はなんだっけ?また原作見直さないと……これで魏√見るの何回目だろう、そして何回EDで泣くんだろう

 

それと大佐!! 私は気がつきましたよ!! なにをかって?それは

 

 

 

 

 

魏√にすれば総閲覧数が伸びる!!!!!!!!!!!!!! 伸びる!!!!! 伸びる!!!!(エコーする感じで)

やはり魏√の人気っぷりは半端ないですね~

 

 

ここまで読んでくださりまことにありがとうございます。これからもほそぼそと続けさせていただきたいと思います


 
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