【魔王の卵調査簡易報告書】

８月２４日（火）

開拓班向け防災第３班より緊急の報告

正式な報告書は本日より一週間以内に別途提出とする

召喚都市サモナンからブリザ山脈を北へ越えた未開拓地域に派遣された第１３開拓班より報告の遅延あり。予備日７２時間を越えて伝書フクロウによる報告がなく、伝書フクロウも遭難の可能性あり。当月１５日に防災班を派遣した。

該当開拓班より最後の連絡はブリザ山脈山頂より。

連絡地点から予定通り北上したものと思われる。

１８日正午。先発隊として防災フクロウ隊が防災班本隊と別行動を開始、およそ３時間後に救難信号あり。

移動速度からブリザ山北に差し掛かっていた時刻と思われる。

山風に高濃度の瘴気を確認。大型の魔物と遭遇の可能性ありと判断。

引き続き、連絡の途絶えたフクロウ隊を救助対象に加え捜索を続行。

２０日未明。ブリザ山サモナン側の麓にてフクロウ隊の隊員一名を発見。

フクロウ隊隊員よりブリザ山の北側にて卵型の正体不明の生命体を発見と報告あり。

瘴気の濃度の急激な増加、大型の魔物を多数確認。

開拓班、フクロウ隊他隊員の捜索は困難と判断。

王都へ撤退を開始。

２３日早朝。救助者一名と防災班は王都へ帰還。

◆なお、生存者一名より、卵型の生命体は一般的に生息する魔物とは明らかに違う特徴を確認との報告。

特筆すべきは卵型の生命体より魔物が出てきているという。

生存者は疲弊はしているが、命に別状はなく意識もはっきりしている。

本人の希望もあり、発見された正体不明の生命体について追って報告することとする。

殉職者

第１３開拓班１４８名　防災フクロウ隊２９名

以上の階級と氏名は別紙に記載する。

以上報告を終えると共に、多大な殉職者の冥福を祈る。

ー【９月３日】王都調査班本部本部長よりー

先日の卵型生命体の報告書にて特徴を魔物対策本部へ報告。

本部会議より、卵型の正体不明の生命体を【魔王の卵】と呼称することが決定した。

なお【魔王の卵】について、一般を含め調査団の募集を開始したことを付け加える。

魔物の正体を含め、今後の調査、対策、研究が求められる。