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真・恋姫†無双 金属の歯車 第十一話

・真・恋姫†無双をベースにとある作品の設定を使用しています。クロスオーバーが苦手な方には本当におすすめできない。
・俺の◯GSを汚すんじゃねぇって方もリアルにお勧めできない。
・ちなみにその設定はそろそろ話の本筋に関係が出てきます。
・オリジナル主人公は三人いますが、蜀ルートが元になっています。
・オリジナル主人公はそれなりに厨性能です。

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2009-10-31 01:39:22 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3069   閲覧ユーザー数:2761

 

 第十一話 戦ノ天才 ~Воевода~

 

「やはり攻めてくるか・・・通達は済んでいるんだな?朱里、雛里」

「はい。手筈通り戦力を失わずに撤退できると思います」

「それと・・・」

 まだ恥ずかしがり屋が抜けない雛里が帽子で顔を隠す。

「どうした?気になることがあるのならどんどん言ってくれ。大切なのは情報と準備だ」

 その言葉ににっこりと笑い、雛里が続ける。

「ご主人様の諜報部隊から一つ・・・報告が・・・」

 諜報部隊の権限は朱里と雛里に渡したほうが有意義に使ってくれるとの判断だ。

人材はあちらの世界の諜報技術で鍛えているため腕は確かで、その上指揮官も優秀だ。

「・・・袁術さんが呂布さんに密書を送っているそうです」

「なんだと?」

 

 * *

 

 白蓮が落ち延びてから一ヶ月ほどした時だった。

朱里と雛里率いる諜報部隊が袁術の怪しい動きを察知した。どうやら袁術と呂布が同盟を組み徐州に攻め込こむ準備をしているらしい。

その情報がわかるやすぐに城内は一気に慌ただしくなる。

会戦から籠城戦まであらゆる状況を想定し、万全の体勢で袁術軍を迎える手筈が整いつつあった。

「ご主人様・・・」

「月?」

「雛里ちゃんから聞きました。恋さん・・・呂布さんが攻めてくると・・・」

「なんで私たちに話さないわけ?」

 その横には詠が控えている。元主としても軍師としても何よりも以前まで友軍だったのだ。心配にはなるだろう。

「戦場に出てきてもらっても困る」

「そうですけど・・・」

「・・・詠、月をしっかり見張ってろ。いざというときに悲しむのは自分たちだ」

「・・・わかったわよ」

 月は何か良いたそうだったが、詠に抑えられこちらに背中を向けてしまった。

「優しいね、ご主人様」

「二人もきっとわかってるさ、私の腹の内くらい」

 二つの小さな背中を見送ると、小さく笑い廊下の角から現れた桃香に顔を向ける。

桃香は一刀の頭に手を伸ばし、いい子いい子と彼の頭を撫で始める。

「期待には応えたい・・・応えてみせるさ」

 

 

「さて袁術軍の調理法だが・・・」

 誰も座ろうとはしない王座の前では、劉備軍総出の軍議が開かれていた。

一刀の読みが当たり宣戦布告無しに一番最初の砦が落とされた。

大きな机の上にはこれはまた大きな地図が開いている。

「・・・雛里、説明を」

「は、はひ!」

 思いっきり噛んだが、そのおかげで場が和み要らない緊張がほぐされる。

少し恥ずかしげに雛里が地図の東側を棒で示す。

「まず袁術軍は谷を抜けてくる部隊・・・その谷の北側の山を迂回する部隊の二つに分けているようです」

「そこには砦が二つありますが、とてもではありませんが袁術軍の侵攻を抑えれるようなものではありません。ご主人様の指示により、部隊の殆どは撤退し、我々本隊と合流する手筈が済んでいます」

 雛里の説明に朱里の補足。

実にわかりやすい説明に鈴々も理解しているようだ。時折頷いているのがわかる。

「本隊は谷を抜けてくる部隊です。これは確認済みです。北から来る別働隊を装って呂布さんが来るという情報も既に掴んでます。あとはそれが信頼できる情報か確認するだけです」

「呂布・・・あの飛将軍が?」

 愛紗のその一言に鈴々と星が顔を見合わせる。

「虎牢関以来ですな」

「腕が鳴るのだ!」

 ざわめきはなかった。誰かが驚くと思っていたがそれ以上に全員が成長しているようだ。

「・・・すまんが今回は策がある」

 そんな中で一刀が東門と北門を指さし、駒をそれぞれに配置する。

「愛紗と鈴々、白蓮は東門で袁術軍を迎え撃て。私と星で北門で呂布軍を迎え撃つ」

 そこには駒が三つ。愛紗と鈴々、白蓮を示す駒。

そして北門にも二つの駒。残る将は星だけだが、どうやら彼自身も駒の一つらしい。

「なんですって!?」

「いざとなれば横にいる星が守ってくれるさ」

「ふふふ、任されましょう」

 あまりにもご機嫌な星に、愛紗が不機嫌そうな顔をする。

「それに、こちらに有利な状況を無理矢理作り出す算段は済んでいる」

「北門の建造はご主人様がご指示されましたよね?」

 朱里が顔をのぞき込んでくる。

「傑作といっても過言ではない。私が攻める方ならあきらめて撤退するか、別の門から仕掛ける」

「しかし危険すぎます!!」

 愛紗のいうことがもっともだ。しかし一刀は首を横に振り天井を見上げる。

「・・・呂布は捕らえる。月と詠の・・・想い(Sence)だ」

「それでは私と鈴々、そして星で掛かればいいではありませんか!?」

 それだけ愛紗は退かない。しかし一刀は彼女を物理的に退かせることにした。

「愛紗。北門を守る橋の狭さ・・・知ってるか?」

「あ・・・」

「せいぜい四人が横になって通れるくらいの狭さに作ってある。方天画戟を振り回す呂布にはあの狭さはうっとおしい。私の剣なら彼女の間合いより内側に入ることが出来る。後は突き主体の星が横にいればいい・・・譲ってくれるか?」

 

 * *

 

「呂布と戦いたかったのだ・・・」

「・・・」

「愛紗・・・そんなに残念だったのか?」

「違うよ、白蓮ちゃん。愛紗ちゃんはご主人様と一緒にいたかっただけなんだから」

「と、桃香様!!」

 西門の上は和気藹々としていた。

「皆さん、そろそろ準備してくださいね。ご主人様のご指示ではそろそろです」

・・・

・・

「七乃よ。劉備がいる城はあれか?」

「そうですよ~、お嬢様。すぐにやっつけちゃいましょうね~」

 と袁術軍もある意味和気藹々としていた。

だが袁術軍が谷を抜けようとしたそのときだった。突然爆音が鳴り響き、馬たちが驚いて動けなくなる。

「な、なにがおこったのじゃー」

 

 * *

 

その様子を劉備軍は遠巻きに見ていた。

「あれは・・・?」

 雛里が目を細めて袁術軍の侵攻が停止したのを確認する。

遠くから爆音がどんどん、と聞こえている。

「あれは地雷というものだ。殺傷能力は高くないが、少なくとも引っかかった奴は全治に一月くらいは掛かる。それにあの爆音だ。馬は役に立たなくなる」

 この日のために黒色火薬をせこせこ作っては、鈴々が爆発させないかと毎日冷や冷やしていたのだ。

あちらの世界では、地雷はとりあえず埋めろという風潮で数なんか数えていなかったが、きちんと数を数え場所も控えている。前後処理も万全だ。

「これで袁術軍は数を減らす。あとは愛紗と鈴々がなぎ払ってくれる。さて、我々は呂布軍への準備だ」

 

 

「玲二~」

ところ変わって孫策軍。袁術が戦に出てから本拠地を守るという意味合いで動いていなかった。

「おお、雪蓮。お前の可愛い可愛い妹をようやく俺に紹介してくれるのか!」

「ええ、すぐに紹介してあげるわ。でもその前にこれ読んで。さっき劉備軍の諜報を名乗る奴からもらったんだけど・・・」

と、雪蓮の手には紙。それを玲二は受け取り、少し苦笑いを浮かべる。

「おおう、殺してないだろうな」

「ええ、さすがに同盟国の人はやらないわよ」

「おー、偉いぞ」

 そういって玲二は雪蓮の頭を良い子良い子と撫でる。

「で、なんて書いてあったの?」

「ん?当てられたら李をやろう」

「ほんと?よーし」

 そんな微笑ましい二人を冥琳はうらやましそうに見ているのであった。

 

 * *

 

 

「さすがの呂布軍も地雷とこの北門を併用すれば、なかなか侵攻できないだろ」

一刀の目の前に呂布軍だ。

まずは地雷原。先ほどの袁術軍が引っかかっている地雷をまだ大量に埋めてある。そして城壁付近に近づくに連れカギ爪の罠。

加えて北門自体は日本の城のように侵攻しにくい作りになっている。

門は随分と高い位置にあり、その目の前には丘がそびえる。

その丘は登りにくいように傾斜を鋭くし、唯一、敵に背中を見せながら上らなければならない階段を築き、しかも段差や段幅が上りにくくさせているという嫌らしさ。この隙に矢を浴びせかける。さらに伏兵の準備も出来ている。

そして狭い橋を渡らなければ門にたどり着くことが出来ない。

その橋には一騎当千と名高い星と一般兵に毛の生えた一刀がいれば、必然的に最後までたどり着くのは呂布くらいだろう。

最後はその呂布を引っ捕らえるなり、説得するなりだ。

「星、槍は振れるか?」

「私は突き主体。そう仰ったのはご主人様ですよ」

 よく見ていらっしゃる、と言い星は得物の槍先を見つめ、こちらに笑顔を向ける

「さすがだ」

 砂塵が見えてきた。地雷に怯え進行速度は虎牢関の時よりも遅く感じる。

「雛里!弓兵と伏兵の指示は任せる!」

「は、はい!」

 高周波ブレードを抜き戦闘に備える。そろそろ矢が飛んできてもおかしくない距離だ。

「・・・それにしても勢いがない。いや、なさすぎる。どう思う、星」

「そうですなぁ。士気はわかりませんが・・・確かに妙ですな」

 その言葉が終わると共に門の上から矢の斉射が三度放たれる。

その矢の雨は、あまりに勢いがない呂布軍の進行速度を更に落とした。

矢の雨から一騎が飛び出る。騎乗しているのは赤い髪の将だ。

「主、呂布です」

「勢いがあるのは将一人・・・なんか仕方なく袁術軍と同盟を結んでいる雰囲気だな」

 矢の雨を物ともせず、突っ込んできた呂布は未だに単騎でこちらに向かってきている。

「・・・その辺りはカギ爪罠を大量に仕掛けてある。ここはどう越える?」

「何時の間に・・・陰湿ですな、主」

「だまらっしゃい」

 とうとう丘に隠れて呂布が見えなくなる。

しかし少しした時、呂布が二人の目の前に現れる。

馬がいないのを見ると、北門ご自慢のとんでもない傾斜を二段飛びでもしたらしい。

「その発想はなかった・・・」

「・・・倒す」

 呂布が方天画戟を構え、こちらに突っ込んでくる。どうやら二対一でも構わないらしい。

「いくぞ、星」

「応!」

 

 

おまけ:

恋「・・・馬さん・・・ごめん」

一刀「扱いがどこかの世界にいる緑のドラゴンと一緒の扱いだったな」

恋「・・・?」

一刀「ああ、こちらの話だ」

 


 
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