No.104023

真剣で私と戦いなさい! 2話:接敵

ろしあさん

朝、変な夢を見た直江大和、そんなことを気にしないように過ごそうとするが、昨晩何やら事件があったらしい…



今回で3回目の投稿となり、見習い卒業です。

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2009-10-30 20:03:54 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:6743   閲覧ユーザー数:6189

視界がぼやけている。

自分の前方に何かが立っている。

周りを見渡せば複数いるようだ…

 

 

「GYAAAaaaaaaAA!!!!」

 

 

前方にいた何かが近づいてくる。

ぼやけていた視界が徐々にクリアになっていく。

朧気だったその正体が視界いっぱいに広がる。

 

 

鳥。人。いわばその中間というべき容姿。

紫色の硬質を感じさせる羽根のような鱗。

足音から伝わる重量感。

何よりもこちらを殺すと主張する瞳。

 

 

そのすべてが彼の異形が己の敵であると言っている。

そこまでの思考を行うまで相手の動きがスローもションで見えていた。

 

 

―――迎え撃て!

 

 

己の内なる声が叫ぶ。

 

 

―――倒せる。

 

 

絶対の自信が湧く。自分の勝利を確信する。

 

 

自分の『群青色の右腕』を構える。

 

 

心臓に砲身を向ける、確実に討ち滅ぼせるように…

 

 

しかし、放たれる後一歩というところで視界を防がれる…

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けると白くて柔らかいものに視界を防がれていた。

 

 

「あんっ、…大和。いいよ…」

「折れるな!俺の理性!!」

 

 

京の膨よかな胸部が顔の上にあった。

 

このまま流れに乗っても良いのではないかと欲望が暴走するが理性が欲望を押さえ込むべくがんばっている。

ここ数日は今まで以上にアプローチがすごい。

俺でなければ野獣になっていたかもしれない。

 

やはりクリスとまゆっちの加入であせってるようだ。

 

 

「流れに身を任せるのもいいよ」

「流されるだけの人生ではだめだ。というわけで出て行ってください」

 

 

変な夢を見た。

 

姉さんじゃないんだからイメトレで怪物に勝っても強くなれないって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝食を食べ、いつもの面子がそろう川原へ向かう。

 

 

「そろそろだと思う」

 

 

京がぼそりとつぶやく、どうせろくでもないことだろうがクリスが反応する。

 

 

「何がそろそろ何だ?」

 

「そろそろ大和から結婚を申し込まれてもいい頃」

「いや、まだ友達の段階だから」

 

「でも京と大和の仲も長いよな」

「でもそれを言ったらキャップとの方が長いでしょ」

 

「まさかキャップが恋敵(ライバル)になるなんて…

 

 

 

悪くない!!」

 

 

 

 

心なしかクリスとまゆっちのほほが赤くなった。

 

BLが嫌いな女の子はいませんか…そうですか。

 

 

「おはよう」

「おはよう、モロ」

 

 

モロ、合流。

モロの突込みが京の暴走する妄想の軌道を変えてくれるはず…

 

 

「ちなみにモロと岳人もあり」

 

「ないよ!!僕は普通に女の子好きだから!!」

 

 

どうやら話の流れはわかっていたらしく的確に突っ込んでいく。

軌道は変わらないが対象が変わってくれた。

 

 

そんなやり取りをしながら歩いていると姉さんが仁王立ちしていた。

 

 

 

眉間に皺がよっている。

どうやら機嫌が悪いらしい。あまり近づきたくない。

 

 

「舎弟(おとうと)…私はあまり機嫌が良くない。よってお前を弄んで憂さ晴らしだ」

 

「当然私も参加!」

 

「面白そうだからアタシも」

 

 

 

 

 

やはり絡んできた。しかも京とワン子も一緒になってきそうだ。

ここは話を聞きつつ被害を逸らすか。

 

 

「何かあったの?対戦相手が弱かったとか?」

 

「いや…昨日深夜に港のほうまで走りに行ってたら、変な気配がしたんで見に行ったんだ」

 

「で?」

 

「急に気配が消えた。最初からいなかったみたいにな」

 

「姉さんの探知から逃げたの?」

 

「移動したような感じは無かったんだ。ただ『消えた』んだ。で、私は欲求不満だから舎弟を弄くって憂さでも晴らそうかと…」

 

 

被害回避のために生贄を探す。

ふと少し離れたところで動く人物を発見。

 

 

「姉さん、岳人が耐久度UPに勤しんでるよ」

 

「ん、俺様がどうかしたのか」

 

 

気配が~のあたりから興味を失ったのか、スクワットをしていた岳人にパス。

 

 

「よし、徐々に威力を上げていくからどのくらいまで耐えれるか実験だな」

「え”っ!?うぎゃあぁぁあぁぁ!!!」

 

 

一発目から飛んでいった。

手加減する気、全くなし。

飛んでいった岳人は地球の愛(重力)により河に墜落していった。

 

 

 

「人って飛べるんだね…」

「飛んでるけど自分の意思じゃないだろ」

 

「ちょっと加減を間違えたけど大丈夫だろ。次は舎弟でも弄るか」

 

 

結局、回避失敗。仕方ないね。

 

 

 

 

姉さんお姫様抱っこされながら学校まで来た。

来る途中、嫉妬3:羨望6:哀れみ1の視線が集中した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出席を取る!……遅刻欠席は無しだな」

 

 

梅先生のハスキーな声が教室に響く。

クマちゃんがお腹すいた~と、言っているがいつものことである。

 

 

「…昨夜、港周辺で行方不明者が出たらしい。勇んで善からぬ事に巻き込まれないようにな。ではHRを終了する」

 

 

港で行方不明になったと聞いて、一瞬「姉さんが犯人かも」なんて思ってませんよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼休み。

 

昨日と同様に屋上に上がってみる。

長椅子の周りを確認して葵冬馬がいないことを確認する。

 

今日はなんとまゆっちがお弁当を作ってくれたのである。

開けてみると野菜、肉、魚とバランスが取れた料理が並んでいた。

 

一人静かに食べていると、扉が開く。

目をやると葵が井上と榊原さんを連れて上がってきたようだった。

 

 

「おや、大和君」

「おっ、直江か」

 

 

男二人は俺に気づくと反応を返してくれた。

 

 

「よう、今日は三人一緒か」

「ええ、大和君も今日はお弁当なんですね」

 

 

そういう葵の手には弁当箱が見える。

 

 

「まあ、俺が作ったんだけどな」

「準のお弁当おいしいよ~」

 

「俺の弁当は寮の後輩の子が作ってくれたよ」

「年下!…その子はF組の委員長さんみたいな子か?」

 

 

井上が過剰反応する。

思案する。

内面的には近いものがあるかもしれないが、外見上は失礼だが大人と子供くらいの差がある。

 

 

「やさしい子だけど、クリス以上だと言っておく」

「ちぇ、…やっぱりF組の委員長さんみたいな子は早々いないか…」

 

「そうだ、大和君もご一緒にどうですか?」

 

 

そういいながら俺の隣に座る。

昨日もそうだったが近い。

 

 

「そっちの子が嫌じゃないなら」

 

「ん~………別にいいよ」

 

 

榊原小雪。

 

何故か苦手だ。

この子自身も俺のことをあまり快く思ってないような気がする。

 

「それおいしそう」

「煮物も美味いな…」

「ええ、バランスもよく考えてあるようです」

 

 

少なくともまゆっちの料理は好評だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後になり、それぞれ帰宅。

 

 

「金曜集会だけどね」

「大和、一度寮に戻る?」

 

「いや、ちょっと商店街によってから行くよ」

「なら憑いてく」

 

「字がおかしいような…」

 

 

京と二人で商店街を歩く。

お菓子を買ったり、本を見に行ってみたりしてから基地に向かう。

途中、京にランジェリーショップに連れて行かれそうになったが必死に抵抗したので事なきを得た。

なんだかんだで京は俺の嫌がることはしない…はず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、岳人!モロ!」

「やっぱりあの二人は…」

 

 

少し離れた場所にモロと岳人を発見。

どうやら二人も秘密基地向かう途中らしい。

合流して4人で向かう。

もちろん、京の独り言はスルー。

 

 

「おっ、大和。何だそれ?」

 

 

岳人が意地汚く俺が手に持つビニール袋に気づく。

 

 

「チョコ、新作らしいよ」

 

「おいおい、罰ゲーム用か。罰ゲーム用なら京に任せればいいだろ…」

「僕、真っ赤なチョコなんてはじめてみたよ…」

 

 

懐かしきバレンタインの悲劇。

 

京の手作りチョコは赤かった。

被害者は俺。

赤くてもチョコだから甘い。

そう思っていた時期が俺にもありました。

 

 

翌年から普通のものにしていただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新作チョコは小さい枝に見せたものの新作で太い枝をイメージしたらしい。

一本一本が太いせいで一箱に6本しか入っていない。

すでに基地にいたまゆっちを含め5人で食べる。

一本あまるが次に来た人に進呈しよう。

 

 

「みんな、お茶が入ったよ」

 

 

クッキーがお茶を持ってきてくれる。

なぜか来たときは第二形体で素振りをしていた。

日々の鍛錬が~と言っていたがロボットには関係なくないか?

 

 

「センサーに反応有り。一子と百代だね」

 

「ん、今のままだと後一本しかないな」

 

「大和、私は大和の反対側から食べるからいいよ」

 

「俺が良くないからだめ」

 

「ちぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて話しているうちに姉さんたちが入ってきた。

 

 

「おっ、そこそこ集まってるな」

 

「くんくん、なんだか食べ物のにおいがするわ」

 

「チョコがあるけど、残り1本の予定です。あなたならどうしますか?」

 

「全部私のものに決まってるだろ」

「横暴だ!」

 

 

箱ごと奪われどうすることもできなかった。

男子の口には一つも入らず、女子だけで分けた。

あまりは姉さんが全部食べていた。

京が咥えていたチョコをこちらに向けて、熱視線を送ってくるが華麗にスルー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日の議題は港に現れたやつの事だ」

 

 

姉さんが唐突に口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

ここまで読んでいただきまことにありがとうございます。

 

 

『指輪』『行方不明』である作品と繋がることが分かる方もいると思います。

 

作者は特撮とか大好きなので、あの設定は心躍りました。

 

 

一応少しだけあの作品の人々も出ますが、ヒロインだったり、主要キャラとしてずっと出てきたりはしませんのであしからず。

 

誤字、脱字等の指摘でも良いので一言コメントいただけますと幸いです。


 
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