No.1028310

英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

soranoさん

第77話

2020-05-04 19:53:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1332   閲覧ユーザー数:1206

 

 

 

~レヴォリューション・ブリーフィングルーム~

 

 

 

「んなっ!?」

「な――――――」

「エ、”エーデルガルトさんが子爵閣下と同じ流派”という事は……!」

「エーデルガルトさんもラウラと同じ”アルゼイド流”の剣士なのだろうか?」

ドロテアのエーデルガルトへの確認を聞いたⅦ組の面々がそれぞれ血相を変えている中デュバリィは驚きの声を上げ、ラウラは絶句し、アリサは信じられない表情をし、ガイウスは驚きの表情でリィン達に訊ねた。

 

「ああ。訓練兵の卒業時の伝位は”中伝”と聞いているが………………」

「確か最近、”皆伝”を認められたんでしたよね?」

「ええ。とはいっても”理”には至っていないから、さすがに”光の剣匠”よりは実力は劣っているわよ。」

「エ、エーデルガルトさんが”アルゼイド流”の”皆伝”を認められているって……!」

「フム…………”皆伝”を認められるためには当然”アルゼイド流の師匠”となる人物がいるはずだ。だが、以前この里で初顔合わせをした際に子爵閣下もそうだが、君も子爵閣下とは初対面の様子だったが……」

ガイウスの質問に答えたリィンはエーデルガルトに視線を向け、リシテアの確認にエーデルガルトが頷いて答えるとアリサ達が再び血相を変えて驚いている中トワは信じられない表情をし、アンゼリカは考え込んだ後戸惑いの表情でエーデルガルトを見つめた。

 

「ええ、子爵と私はあの時が初対面だし、子爵が私の事を知らないのも無理ないと思うわ。私や兄達、そして父に”アルゼイド流”を伝授してくれた”フレスベルグ家の最初のアルゼイド流の皆伝者”――――――私のおじい様の”アルゼイド流の皆伝”を認めた当時のアルゼイド家の当主は”先々代のアルゼイド子爵”よ。」

「”先々代のアルゼイド家当主”という事はラウラにとっては”曾祖父”、子爵閣下にとっては”祖父”に当たる人物だから、確かにラウラどころか子爵閣下もそんな昔にアルゼイド流の”皆伝”が認められたあんたやあんたの家族の事を知らなくてもおかしくはないわね……」

「……今の話を聞いて気になる事が出てきたのだが。父は――――――ヘルムートは”フレスベルグ伯爵家”の関係者達が”皆伝”を含めた”アルゼイド流”の武術を修めている事は知っていたのか?もし、知っていれば幾ら自分に逆らう存在とは言え”フレスベルグ伯爵家”の地位を失墜させるようなことまではしなかったと思うのだが……」

エーデルガルトの説明を聞いたサラは疲れた表情で溜息を吐き、ユーシスは複雑そうな表情でエーデルガルトに訊ねた。

「恐らく知らないと思うわ。そもそもおじい様は、自分自身が”アルゼイド流の皆伝者”である事は秘密にしてくれと当時のアルゼイド流の関係者達に頼んだそうだし、私達家族にも家族以外には秘密にするようにと教えていたもの。」

「何でお前の爺さんはそんな秘密主義を貫こうとしたんだ?普通に考えれば、帝国の二大武門の片翼である”アルゼイド流”の武術を修めている事は自分達の”家”の”名声”になるから、隠す必要なんてないんじゃねぇのか?」

エーデルガルトの話を聞いて新たな疑問を抱いたクロウは困惑の表情で訊ねた。

 

「自分達フレスベルグ家が支える相手―――要するに”アルバレア公爵家”ね。自分達がアルゼイド流の武術を修めている情報を周囲が掴んでいない事で、”主”に凶刃を向ける敵の目を誤魔化す事もできるから、”アルゼイド流の剣を振るう必要が来る時”――――――つまり、周りに信頼できる護衛がいない時に襲われた”主”を守る為と聞いているわ。」

「という事はその秘密主義は全て”主”であるアルバレア公爵家をいざとなった時に守る為だったという事ね……………内戦といい、今回の戦争といい、つくづく愚かな事を仕出かしたわね、先代アルバレア公は。自分の手で自分達に忠誠を誓っていた家を潰したんだから。」

「セリーヌ!」

「ッ!!……………………なるほどな…………ご意見番どころか”アルノール家の懐刀”と称されているあのヴァンダール家にも見劣りしない忠誠をアルバレア公爵家に捧げていながら、そのフレスベルグ伯爵家を父――――――いや、アルバレア公爵家が愚かな理由で失墜させたのだから、フレスベルグ伯爵家がアルバレア公爵家に失望して当然だな……改めて父上がアルバレア公爵家当主としての”器”ではない――――――いや、兄上共々”帝国貴族の恥晒し”である事を思い知らされたな……」

「ユーシス……」

エーデルガルトの説明を聞いて静かな表情で呟いた後呆れた表情で答えたセリーヌをエマは睨み、唇を噛み締めた後辛そうな表情で肩を落とし、その様子をマキアスは複雑そうな表情で見つめていた。

 

「――――――話が逸れてきたから”光の剣匠”の対策の話に戻すけど……エーデルガルトの場合、一人では無理でも、数人の精鋭の加勢があれば”光の剣匠”を”制圧”できるかしら?」

「そうですね…………それならば、可能とは思いますが、できればリィン達――――――黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)出身の面々との連携の方が勝率は高いと思います。既に互いの事を知っているのですから、当然連携もしやすいですし。」

レンに問いかけられたエーデルガルトは考え込んだ後答えを口にした。

「そうなると、エーデルガルトと組む候補は当時ペアを組んでいたリシテアと二人の直接指導を担当していたドロテア先輩がまず挙がるでしょうね。」

「ああ。後は”級長”だったリィンもそうだが、エーデルガルトと同じ”副級長”だった二人もその候補に入るだろうな。」

「あー…………やっぱり、そうなっちゃうわよねぇ。」

「フッ、その国の”最高の剣士”と謳われる程の武人か。騎士の一人として腕がなるな。」

「いや~、俺はできればそんな奴とのガチンコ対決とか遠慮したいものだね~。ほら、俺の得物って弓だし。」

「その理由ですと、”魔術師”の私やドロテア先輩はもっと遠慮したいのですが……………本当にそのような状況に陥ってしまった場合は仕方ありませんね。」

イングリットとドゥドゥーの推測を聞いたドロテアは苦笑し、ディミトリは不敵な笑みを浮かべ、苦笑しているクロードの意見にジト目で指摘したリシテアはすぐに表情を引き締めた。

 

「―――――今回の作戦でのメンフィル軍以外の勢力にも知らせる事項はこれで全てよ。後はメンフィル軍の襲撃メンバーへの周知や二手に分かれるメンバーの編成の事についてのブリーフィングが残っているだけだから、”特務支援課”は待機している他のメンバーに今回のブリーフィング内容を周知した後は明日の作戦に備えて休んでもらって構わないわ。――――――ああ、ティオは襲撃前の最後の確認の為の打ち合わせをしたいから、後でレンが個人的に会いに行くわね。」

「――わかった。」

「了解しました。」

そしてレンは手を叩いてその場にいる全員に自分に注目させた後ブリーフィングを一端終える事を伝えた後ロイド達に視線を向け、レンの言葉にロイドとティオはそれぞれ頷いた。

「そういう訳だから、”紅き翼”の視聴許可が下りているブリーフィングはこれで終わりだから、”紅き翼”の皆さんも帰ってね。――――――リィン少将、”紅き翼”の皆さんを出口まで送ってあげて。」

「御意。――――――今から1時間の休憩を取る。休憩後は作戦に参加する襲撃メンバー全員を集めてのブリーフィングを始めるから、1時間後にまたここに集まってくれ。」

トワ達に意味ありげな笑みを浮かべて視線を向けたレンはリィンに指示をし、レンの指示に会釈したリィンは灰獅子隊の面々、プリネとツーヤ、そしてデュバリィを見回して号令をかけ

「イエス・コマンダー!!」

リィンの号令に襲撃メンバーはそれぞれ力強く答えた。

 

その後アリサ達はリィンの先導によって、里の広場まで送られた。

 

 

~エリンの里・広場~

 

「――――――先程のブリーフィングでも伝えたようにメンフィル軍による黒の工房の本拠地への襲撃開始時刻は明日の13:00(ひとさんまるまる)。作戦開始の30分前には転位に必要なヴァリマール達を集合させる作業を開始するから、そちらも作戦開始の10分前くらいには転位に必要なオルディーネ達を集合させておいてくれ。――――――それじゃあ、俺はこれで失礼する。」

アリサ達を広場まで送って伝達事項を伝えたリィンはアリサ達に背を向けてレヴォリューションの中へと入ろうとしたが

「ま、待って、リィン!」

「カレル離宮の時のように、また何も話さず行くつもり!?」

リィンの行動を見たアリサが慌てて呼び止め、サラは厳しい表情でリィンに声をかけた。

 

「話も何も、俺――――――いや、俺達の意思は既にカレル離宮で伝えていますし、それぞれトールズとアストライアにも退学届けを提出しています。……もしかして今の状況でもなお、クロウの時のように”メンフィル側についた俺達を取り戻す事”を考えているんですか?”俺達にとっての祖国にして、エレボニア帝国の戦争相手であるメンフィル帝国”に筋を通す事もなく。もし、メンフィル帝国に筋を通す事無くそのような事をすれば今回の戦争の状況が更に混沌な状況に陥り、挙句俺達や俺達の家族、それに俺の”使用人兼娼婦”という名目で俺の傍にいる事で、メンフィル帝国が求めていた”ユミル襲撃”の原因になってしまった件を許してもらえたアルフィンのメンフィル帝国内での立場が危うくなる可能性が非常に高い事くらいはさすがに理解していると思いますが。」

二人に声をかけられたリィンは振り向いて静かな表情で指摘し

「それは…………」

「……確かに君達をクロウの時のように取り戻したいとは思ってはいるが、幾ら何でもメンフィル帝国に筋を通さないといった愚かな事は考えていないよ。それにアルフィン皇女殿下の件については、既に今の私達にとっての後ろ盾であるオリヴァルト皇子殿下が納得されているから、メンフィル帝国が求めたアルフィン皇女殿下の”処罰”の件で私達にはとやかく言う権利はない事くらいも理解しているさ。」

「その…………”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”だったか?トールズにいた時のリィンはその人たちのことについて何も教えてくれなかっただろう?できれば、僕達もその人達の事について知りたいんだ――――――僕達のように君の事を大切なクラスメイトだと思っている彼らの事について。」

「それにリィン、さっきのブリーフィングの時もそうだけど今もアルフィン皇女の事を躊躇いなく呼び捨てで呼んだよね。その事についても興味があるんだけど?」

「フィ、フィーちゃん。」

リィンの指摘に反論できないガイウスは複雑そうな表情で答えを濁し、アンゼリカは静かな表情で答え、マキアスは咄嗟に思いついた理由を口にし、マキアスに続くようにジト目でリィンを見つめて呟いたフィーの言葉を聞いたエマは冷や汗をかいた。

 

「すまないが、これでも”軍団長”の身だから、色々とやることがあって今の俺に君達の為に割ける時間はないんだ。それに”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”の件にしても、灰獅子隊を率いる立場を任せられた者として灰獅子隊――――――メンフィル軍に所属している軍人達の個人情報をみだりに口にすることはできない。」

「リィン君……」

「――――――この戦争で随分と変わったな、お前は。まさかとは思うが兄上の件で俺……いや、俺達と元通りの関係には戻れないと判断して、そのような態度を取っているのか?――――――だとしたら、かつて内戦での父の愚行でもうⅦ組の元には戻れないと思い込んでいた俺がお前に向けた言葉をそっくりそのまま、返させてもらう。―――それはただの”逃げ”だとな。兄上がお前に討たれた件は俺自身はもう気にしていない所か、”当然の報い”だとも思っている。兄上は内戦の件も含めて様々な許されざる罪を犯し過ぎた。例えお前に討たれなくても兄上には穏やかな死を遂げる事は許されず、前カイエン公や父上と共に”裁きによってその命を持って今まで犯した罪を償わなければならない立場”だっただろうしな。」

「ユーシス……」

自分達と話す事を拒否したリィンをトワが悲しそうな表情で見つめている中ユーシスは真剣な表情でリィンを見つめて自分の本音を伝え、ユーシスの本音を知ったラウラは驚きの表情を浮かべた。

「別に逃げている訳じゃない。――――――それが俺達にとって貴重な出会いや経験をくれたエレボニア帝国を”救う”為には、今進んでいる”道”が正しいと信じて、”ひたすら前を向いて歩んでいる”だけだ。」

「!そ、その言葉って確か煌魔城でのクロウの……!」

「……Ⅶ組(アンタ達)に向けた”遺言”だったわね……」

リィンの答えの中にあった聞き覚えのある言葉を聞いたⅦ組の面々がそれぞれ血相を変えている中アリサは驚き、セリーヌは重々しい様子を纏って呟いた。

 

 

お前らは……まっすぐ前を向いて歩いていけ……ただひたすらに…………ひたむきに…………前へ…………へへ…………そうすりゃ…………きっと……………………

 

 

「よりにもよってあの時の俺の遺言を律義に守って、今のお前になったって事かよ……ったく、幾ら何でも律義にも限度があるし、俺自身も純粋な人間という形じゃないが生き返って今ここにいるんだからあの時の遺言は無効だ、無効!だから、あの時の俺の遺言を律義に守る必要なんてねぇし、とっとと忘れちまえ!」

かつての自分の遺言を思い出したクロウは呆れた表情で溜息を吐いた後リィンに指摘し、リィンへのクロウの指摘を聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

「いや、それはそれでリィンだけでなく僕達にとっても色々な意味で台無しになるから、その指摘の仕方は間違っていると思うんだが……」

「つーか、遺言を口にした本人が自分の口で自分の遺言を否定するとか、オカルトにも程があるだろ……」

我に返ったマキアスとアッシュは呆れた表情でクロウに指摘した。

 

「ハハ…………話を戻すが、俺が今の”立ち位置”を変えるつもりがない理由は何もクロウの遺言の件だけじゃないさ。」

「え……………………その他の理由って一体なんなの……?」

アッシュとマキアスの言葉に苦笑したリィンは気を取り直して答え、リィンの答えにその場にいる全員が血相を変えて驚いている中エリオットは呆けた声を出した後不安そうな表情で訊ねた。

「他にも理由はいくつかあるが、その内の一つはみんなも知っているように俺はかつてトールズに留学する前に所属していたメンフィル帝国軍の訓練兵達を集めたクラスの中でも将来有望な逸材ばかりが集められた学級――――――”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”に所属していた。そして訓練兵卒業後の”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”のみんなはトールズに留学した俺と、フェルディナント先輩との婚約を機に俺達の卒業と同時に軍を辞めたドロテア先輩を除いてそれぞれ親衛隊の所属になったり、戦場での活躍を評されて10代という若さで左官クラスに昇進したりと、みんなそれぞれ軍人として輝かしい道を歩んでいる。」

「へ…………こ、”婚約”って事はあの二人って婚約者同士なの!?」

「フェルディナントだっけ?確かその人とローレンツって人はユーシスやパトリックみたいなやたらと”自分達が貴族である事にうるさい人達”で色々とメンドイ人達に見えたけど、”貴族”なのに平民――――――それも孤児院出身の人と婚約したの?」

リィンの説明を聞いてある部分が気になったアリサは思わず呆けた声を出した後驚きの表情でフェルディナントとドロテアを思い浮かべながらリィンに確認し、フィーは不思議そうな表情でリィンに訊ね

「貴様は俺の事をそんな風に見ていたのか……しかもパトリックと俺を同類にするだと……?以前と比べると貴族として少しはマシになったとはいえ、俺とパトリックを一緒にしないでもらおう。」

「まあまあ……」

フィーの疑問を聞いたユーシスは顔に青筋を立ててフィーを睨み、その様子にアリサ達が冷や汗をかいて表情を引き攣らせている中エマが苦笑しながらユーシスを諫めていた。

 

「コホン。――――――そういう訳だから、俺にも”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”の”誇り”がある。当時訓練兵達――――――いや、歴代の”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”の中でも逸材揃いと言われていた上”皇帝三軍将”の一人に担任をしてもらい、卒業後は輝かしい道を歩んでいる仲間達に、そして恩師に誇れる”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”の一員である事を示す為にも、今の状況でメンフィル軍を離れるつもりは毛頭ない。」

「オレ達にトールズやⅦ組の”誇り”があるように、リィンは”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”の”誇り”の為にも”今の立ち位置”にいるという事か……」

「それもまた正しい考えであるから、私達は君のそのその考えを否定できないね……君は”Ⅶ組に来る前は黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”だったのだからね。」

「リィン君……」

咳払いをしたリィンは静かな表情で自信の意思をアリサ達に伝え、リィンの意思を知ったガイウスやアンゼリカ、トワは複雑そうな表情でリィンを見つめた。

「ったく、昔のクラスメイト達はともかくあんな腹黒女の為に何でそこまでしてやるのよ……あんな腹黒女よりもあたしの方がずっといい担任でしょうが。」

ジト目になってリィンに文句を言うサラの言葉を聞いたその場にいる全員は冷や汗をかいて表情を引き攣らせ

「いや、俺はそのセシリアって将軍とは会った事はねぇからどんな人物かは知らねぇが、少なくても”軍人の卵である訓練兵達の教官”としてはその将軍の方が上なのは、本人と会った事がねぇ俺でも今までお前達から聞いた話でわかるぜ。」

「おまけにその将軍とやらはメンフィル皇帝の妃の一人なんだから、その年でツレもいねぇバレスタインは、女としてもその将軍に負けているじゃねぇか。」

「ああん!?あんた達、あたしに喧嘩を売ればどうなるか、わかっていて言っているのかしら!?」

(ああいう短気な所とかも、わたし達に対する”怒り”はあってもそれをあからさまに表情や態度に出さなかったセシリア将軍に劣っているよね。)

(全くだな。)

呆れた表情を浮かべたクロウとアッシュの指摘を聞いたサラは顔に青筋を立てて二人を睨み、サラのその態度にその場にいる全員は再び冷や汗をかいて表情を引き攣らせ、その様子を見たフィーとマキアスは呆れた表情で小声で会話していた。するとその時リィンのENGMAからアラームが鳴り始めた。

 

「――――――次のブリーフィングまでの時間が後20分なので、今度こそ失礼させてもらう。」

ENGMAを取り出してアラームを止めて時間を確認したリィンはその場から離れようとしたが

「――――――リィンよ、ヌシ自身から話を聞くのが無理ならば、せめてヌシと共にありし者達――――――”怠惰”の魔王を始めとしたヌシが”契約”を交わしている者達にヌシ達の近況を知りたがっているエマ達に教えるように口利きしてくれぬか?――――――この通りじゃ。」

「おばあちゃん……」

ローゼリアが自分に声をかけると振り向いて驚きの表情で自分に頭を下げるローゼリアを見つめ、ローゼリアの行動を見たエマは驚き

「…………フウ…………さすがに”メンフィルにとっての協力者”でもあるロゼさんの頼みまでは無下にはできませんね。――――――そういう訳だから頼めるか、メサイア、ベルフェゴール、アイドス、ユリーシャ。」

頭を下げるローゼリアを見つめて少しの間考え込んだリィンは溜息を吐いた後静かな表情でメサイア達の名を呼ぶと、メサイア達はそれぞれリィンの身体と神剣から光の球となって現れた後リィンの周囲にそれぞれの姿を顕現した。

 

「んなっ!?テメェらはオズギリアス盆地の時の……!?一体どうなってやがるんだ……!?」

「そっか……そういえば、アッシュは初めて”あれ”を見るんだったね。」

「あれが異世界流の”使い魔”の契約方法らしいわよ。主と使い魔の霊力(マナ)を同調させることで、ああやって使い魔を主の身体に宿らせることで常に主と一緒にいれるって事。」

初めて見るメサイア達の登場の仕方に驚いているアッシュを見たエリオットはアッシュがメサイア達の登場の仕方を初めて見る事に気づくと目を丸くし、セリーヌがアッシュに説明し、説明を聞いたアッシュは冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。

 

「わかりましたわ。」

「我が主のお望みのままに。」

「ま、適当に話をして帰ってくるわね♪」

「”適当”だと彼らが納得しないような気もするけど……話せる範囲だけ話しておくわね。」

一方リィンに呼び出されたメサイア達はそれぞれ返事をした。

 

その後リィンがレヴォリューションの中に入るのを見送ったアリサ達はメサイア達と共にローゼリアのアトリエに向かった――――――

 


 
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