No.1027093

【BL注意】本日のオンラインショップ

薄荷芋さん

オンラインショップの面々です。庵真前提で社→真、愛され真吾です。社がかわいそう。

2020-04-22 18:36:07 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:627   閲覧ユーザー数:627

今日の社さんは機嫌がいい。何かずっとニヤニヤしてるし。八神さんがいないからっていうのもあるけど、多分理由はもっと別にある。

「なあ真吾」

「はい」

「俺のアクリルスタンド、50個くらい買うよな?」

KOFGのグッズをオンラインショップで取り扱うことになって、そこへ新作グッズとして社さんとクリスくんのアクリルスタンドがラインナップされたのだ。

もう昨日からこの話しかしてない。ゲームに出てくるって発表されたときも、序章が配信されたときもまあまあの喜びようだったけど、グッズが出たのが相当嬉しかったらしい。まあ、気持ちはわからなくもない、俺も自分のグッズが出るのは嬉しいし。乙女ゲーっぽくなった自分を見るのは、ちょっと気恥ずかしかったけど。

「ほら、ほら受注ページオープンしてんぜ?な?」

「いや買いませんよ、昨日から言ってるじゃないですか」

俺も昨日から社さんには「不要不急だと思うので買わないですね」と言ってある。だいたい何で俺が買うと思ってるんだろう社さん……。

すると社さんは頭を抱えつつずいっと俺に迫ってきたから思わずのけぞってしまった。こ、怖い。

「何でだよ!!赤毛のやつは10個くらい買ったんだろ!?」

「いっ、1個だけですよ……」

「買ってんじゃねーか!!草薙のは?」

「5個買いました」

「お、おう……」

草薙さんのは保存用観賞用布教用持ち歩き用神棚用で最低5個は必要だったから買っただけだし、八神さんのは……こっそり持っていたかったから。買ったことは八神さんにも言ってない。買ったって言ったら、やっぱちょっと嫌がられるかな。それとも、喜んでくれるだろうか。

「しかし俺って乙女ゲーのキャラになってもイケてんじゃん、男前って罪だよなあ?」

「まあ、そうですね」

ふてくされていた社さんは、ようやく諦めが付いたのか視線をスマホの画面に移して受注ページの商品画像をまじまじ眺めている。KOFGの社さんはちょっと少女漫画ぽくなっているというか、若干いかつさがマイルドになっている分確かに普通に格好よくはある。

それに、こういう俺様キャラ的な社さんが好きな人も世の中には大勢いるんだろう。俺は怖いけど……まあでも、あの言動がなかったらまだいいのかなあとは思う。

「まあ、黙ってれば格好いいですよ、社さん」

本当にもったいない。背も高くて強くて、ギターも上手いし優しいところもあるのに、喋ると粗野で自惚れ屋で傲慢で全部台無しになるんだから。それに何で俺のことそんなに気に入ってるのかもよくわからないしそういうところも含めてもったいない。

すると、何か物凄い顔をしてこっちを見ている社さんに気付く。険しいとかそういう顔じゃないけど、できれば近寄りたくない、満面の笑み。あー、俺、変なこと言っちゃったかな……。

「言ったな!?今お前、おま、格好いいって言ったな俺のコト!!」

「言いましたけど、そういうところですよ」

別に格好いいイコール好意ではないのですが。俺が軍手越しの掌で社さんをガードしていると、ふいに事務所のドアが開いた。

遅番出勤の草薙さんと八神さんが揃って顔を出すと、こちらを見るなり怪訝な表情を隠さない。

「騒がしいぞ貴様ら」

「お、ゴリラが子犬をいじめてらあ」

「だァ~~~~れがゴリラだオイ」

「貴様も矢鱈と煽るな、やかましくなるだけだ」

ちょっかいを掛けてくる草薙さんと、纏めてうざったそうに吐き捨てる八神さん。俺はどちらにも助けてもらえずそのまま社さんに捕まってしまった。

俺を背後から雁字搦めにして、社さんは主に八神さんを挑発するように俺の頬を撫でながら言う。

「でも真吾は俺のこと格好いいって言ったもんね~~~~はい勝ち~~~~~~」

「た、確かに『黙ってれば格好いい』とは言いましたけど……」

社さんの手を退けつつ俺が弁解すると、八神さんは溜息を吐いて興味がないといわんばかりにごちる。

「くだらん……」

「何、コイツにカッコイイって言われたら勝ちってルールか?じゃあもう俺がブッチギリで優勝じゃねーか」

そして草薙さんはといえば、優勝だから何かくれ、とこの状況で俺に掌を差し出してくる、そんな不遜な態度の草薙さんも超絶格好いいです!というか二人とも助けて下さいよ!!

「ねー八神~」

すると今度はアッシュさんが長い袖をぶんぶん振り回しながらやってきた。よく見れば電話の子機を持っていて、こちらへ来るや否やそれを八神さんへと突き付ける。

「受注生産のハズの商品が品切れになってるって問い合わせきてるヨ」

「は……?」

「何かシステムエラー起こしてナイ?」

電話先では何やら本部の人がやいやい言っている。八神さんはそれも聞かずにPCの前に行きキーボードを格好よく叩いてからさあっと顔色を悪くした。エラーっていうか、何か不具合が起きてるのは本当らしい。

「あ、あのー、八神さん」

「真吾」

「は、はいッ」

ギロッと俺を睨みつけた八神さんは、背後の社さんを一瞥すると俺の手を取り自分の方へと引き寄せる。社さんから解放された俺は、そのまま八神さんの腕の中に一度収まってしまったのでドキッとしてしまった。八神さんと目が合うと、呆れたように目を伏せてから俺の頭を撫でてくれた。

「そのデカブツと遊んでないで手伝え」

「了解ですッッ!!」

そのまま俺は八神さんと一緒にシステム管理の部署へと向かう。事務所を出たら八神さんが誰にも聞こえないように俺の耳元で「嫉妬でもしてほしかったのか」って言ってきたので俺は困ってしまって、ただ黙って彼のエプロンを握って「違いますよ」って、言うだけだった。

 

事務所内に社の落胆の声が響く。京とアッシュは呆れた様子で当て馬にされた男を眺めていた。

「ああッ真吾、なんだよー!!いいじゃねーかよちょっとぐれーよー!!」

「やめとけ、アレは一途なだけが取り柄だぜ」

「それ、矢吹クンのコト?それとも八神のコト?」

「さあな」


 
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