No.1023660

英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

soranoさん

外伝~北の再会~前篇

いつもより早めにストックができた上、Ⅶ組よりもリィン達の活躍を期待している人達が多いと思いましたので久しぶりに連日更新しました♪

2020-03-21 21:03:48 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:1475   閲覧ユーザー数:1242

同日、AM9:00――――――

 

トワ達がクロスベルに到着していたその頃、リィン達はメンフィル帝国軍によるある軍事作戦を行う為にグロリアスである場所に向かっていて、リィン達はリィン隊のメンバーを集めて作戦前のブリーフィングを行っていた。

 

~グロリアス・ブリーフィングルーム~

 

「”ノーザンブリア自治州制圧作戦”ですか………1度目の”ユミル襲撃”の件で、メンフィル帝国がノーザンブリア自治州政府がメンフィル帝国政府の”命令”に従わなければノーザンブリア自治州に侵略する事は想定していましたが………何故、焦土作戦による被害を受けたクロイツェン州の復興の為にエレボニア帝国征伐を一時中断しているこのタイミングで?」

リィン達からこれから行う軍事作戦名を聞かされたアルティナは自身の疑問を口にした。

「むしろ、”このタイミング”だからこそ、エレボニア帝国政府に対して更なる圧力をかけられるからとの事です。」

「え…………それはどういう事なんでしょうか?」

アルティナの疑問に対して答えたステラの説明が気になったエリスは不思議そうな表情で訊ねた。

「考えてもみろよ。エレボニアの政府の連中が”焦土作戦”を行った理由はメンフィル・クロスベル連合(俺達)の足止めの為だったんだぜ?それなのにも関わらず、メンフィル・クロスベル連合がクロイツェン州の復興の為に足止めされていながらも俺達が別の軍事作戦を行った事を知ったエレボニア帝国政府の連中はどう感じると思う?」

「………”メンフィル・クロスベル連合にとって焦土作戦は何の意味も無く、それどころか焦土作戦の被害を受けたクロイツェン州の復興をしながらも別の軍事作戦を行える余力がある事”をエレボニア帝国政府に思わせる事で、政府に”焦り”等を感じさせる事で政府内を主戦派と和解派に分裂させて、政府の連携を取りにくくする為――――――いえ、まさか主戦派の筆頭であるオズボーン宰相を失脚させる為の”圧力”なんですか……!?」

フォルデの問いかけに対して少しの間考え込んだ後ある仮説をたてたクルトは驚きの表情でリィン達に確認し

「ああ。とはいっても、政府内に和解派で有力な人物はいない為オズボーン宰相を失脚させる為に政府内に派閥闘争が起こる件についてはメンフィル・クロスベル連合は正直全く期待していないそうだけどな。」

「メンフィル・クロスベル連合との戦争を反対していたレーグニッツ知事閣下が失脚していなければ、”ゼロではなく非常に低い可能性に発展する事”も考えられたでしょうね…………――――――それはともかく、今回の軍事作戦を行う事でノーザンブリアと隣接しているエレボニア帝国の領土――――――”ジュライ特区”に侵攻する為の拠点になる上エレボニア帝国政府に第二、第三の”焦土作戦を行わせないようにする為の牽制”にもなりますわ。」

「”帝国政府に第二、第三の焦土作戦を行わせないようにする為の牽制”………焦土作戦を行ってもメンフィル・クロスベル連合にとってはあまり意味がないから、これ以上”焦土作戦でエレボニアの国民達を苦しませる事をさせない為の警告”でもあるという事ね?」

クルトの推測にリィンは頷いて話を続け、静かな表情で答えたミュゼの説明を聞いてある事に気づいたアルフィンはミュゼに確認した。

 

「はい。その為、今回の軍事作戦にはメンフィル帝国軍だけでなく新生軍も本隊をゼクス将軍とウォレス准将に任せてオーレリア将軍率いる別働隊も参加することになっていますわ。」

「ちなみに今回メンフィル帝国軍だけで行われるはずだった軍事作戦にヴァイスラント新生軍も協力を申し出た理由はエレボニア帝国政府に対する圧力の為だけではなく、今回の戦争の発端となった”ユミル襲撃”に対する”貴族連合軍としてのせめてもの償い”でもあるとの事です。」

「え…………そこで何故ユミルの件が出てきて、今回の軍事作戦を手伝う事が”せめてもの償い”になるのでしょうか?

アルフィンの確認に頷いた後説明を続けたミュゼの後に答えたエリゼの補足した説明を聞いたセレーネは不思議そうな表情で訊ねた。

「皆さんもご存じのように、1度目もそうですが2度目の”ユミル襲撃”はどちらも貴族連合軍の上層部クラスが関わっていました。ですから今回の軍事作戦に協力することで、メンフィル帝国軍の負担を減らす事もそうですが故郷が占領された事でノーザンブリアの憎悪をメンフィルだけでなく新生軍にも向けられる事で、この軍事作戦の後に発生するであろうノーザンブリアの民達の憎悪の向かう相手を分散させる為に協力を申し出たのですわ。」

「それは………」

「ミルディーヌ………」

ミュゼの答えを聞いたアルフィンとエリスはそれぞれ複雑そうな表情でミュゼを見つめ

「―――なお、今回の作戦の件で”報復テロ”を起こす筆頭になると思われる”北の猟兵”達は”殲滅”される事になっていますから、メンフィルにとってはどちらかというとノーザンブリアの制圧よりもそちらの方が”本当の目的”と言っても過言ではないでしょうね。」

「”北の猟兵”の連中はユミルの件でメンフィルの”怒り”を買っちまったからな。ユミルの件に対する”報復”の為にも今回の軍事作戦を考えたんだと思うぜ、メンフィル帝国政府の連中は。」

「………そうですね…………そして、今回の件を行う事で俺達は間違いなくサラ教官の恨みを買う事になるだろうな。」

「あ……………………」

ステラの説明の後に答えたフォルデの推測に頷いて複雑そうな表情で推測したリィンの話を聞いたセレーネはサラが元”北の猟兵”であることを思い出して辛そうな表情を浮かべた。

 

「―――ですが、”北の猟兵”を”殲滅”することで”ユミル襲撃”の件で故郷を占領された原因となったユミルに”北の猟兵”達の憎悪を向けさせない為の”予防策”にもなりますから、サラ教官には申し訳ございませんが、”北の猟兵達には滅んでもらう必要があります。”」

「………ああ、それもわかっている。――――――エレボニアの為に、メンフィル帝国軍側についてくれたクルト達には申し訳ないと思っている……正直言って今回の作戦、メンフィルによるノーザンブリアに対する”報復”の度合いが大きいだろうしな。」

エリゼの言葉に静かな表情で頷いたリィンは申し訳なさそうな表情でクルト、ミュゼ、アルフィンへと順番に視線を向けた。

「いえ…………”北の猟兵”達が今回の戦争勃発の元凶の一つでもある事もそうですが内戦では前アルバレア公の指示とはいえ、領民と皇女殿下を守ろうとしていたリィン大佐の父君に重傷を負わせて皇女殿下を拉致しようとした件やケルディックを”焼き討ち”した件もありますし、僕達よりも一足早くメンフィル帝国軍に入隊した皇女殿下がリィン大佐達と共にクロスベルで”アルスター”の民達を守った時にも”北の猟兵”達はオリヴァルト殿下と亡きオリヴァルト殿下の母君であられるアリエル様の故郷の”アルスター”の民達を虐殺する為に襲撃に参加していたとの事ですから、北の猟兵達を”斬る”事に対する躊躇い等はあまりありませんので、僕の事は気にしないでください。」

「フフ、私に関しましてはご存じの通りヴァイスラント新生軍としての思惑も関係している上エリス先輩にとって大切な故郷やご両親を傷つけ、更には姫様まで拉致しようとした事での彼らに対する”怒り”による私念も含まれていますので、私の事もお気になさらないでください。」

「………わたくしも、内戦の最中わたくしを受け入れて頂いたおじ様やユミルの方々を傷つけた事もそうですが、ケルディックを焼き討ちした事に対する”怒り”もありますから、どうかわたくしの事も気にしないでくださいませ。」

リィンの謝罪に対してクルト、ミュゼ、アルフィンはそれぞれ謙遜した様子で答えた。

「3人とも、ありがとう。――――――エリゼ、エリス、セレーネ、ミュゼ、クルト、アルフィン、アルティナは俺と共に”遊撃”を担当。他の者達は騎馬隊としてステラとフォルデ先輩の指示に従って、公都内を縦横無尽に駆けて敵軍を攪乱してくれ。今回の軍事作戦での敵対象であるノーザンブリアはエレボニアと比べると兵の練度や装備は劣るかもしれないが、故郷を守る為に死に物狂いで迎撃してくるだろう。また、後のメンフィルの厄災の芽を摘むためにも”北の猟兵”達を殲滅する必要がある。決して油断せず、そして着実に作戦を遂行してくれ!」

「イエス・サー!!」

そしてリィンはエリゼ達やリィン隊所属の軍人達――――――リィン隊の面々を見回して指示を出した後号令をかけ、リィンの号令に対してリィン隊の面々は力強く答えた。

 

~同時刻・ノーザンブリア自治州公都ハリアスク郊外・ノーザンブリア・レミフェリア間国境・ノーザン間道~

 

同じ頃、ノーザンブリアとレミフェリアを結ぶ国境の街道にある見晴らしのいい崖からジェダル達がグロリアスがハリアスクに近づいているのを見ていた。

「うわぁ……あの船もメンフィル・クロスベル連合が保有している船ともいい勝負をする大きな船だね~。」

「この世界の技術力にはつくづく驚かされますよね……」

「それよりもあの紅い船の紋章は確か”メンフィル”という国の紋章ということは……」

呆けた表情でグロリアスを見つめるフィアの言葉に頷くようにリリカは興味ありげな表情でグロリアスを見つめ、グロリアスについているメンフィル帝国の紋章に気づいた守護天使ユリーシャがある事を察して表情を引き締めてジェダルに視線を向けると、通信の音が聞こえ、音を聞いたジェダルはENGMAを取り出して通信を開始した。

「………ジェダルだ。……わかった。――――――”仕事の時間だ。”」

「ふふっ、これでようやくこの地から離れる事ができるね。」

「ううっ、それと暖かいベッドで休めるし、ちゃんとした食べ物にありつけるね~。」

通信を終えた後に呟いたジェダルの言葉を聞いたフルーレティは静かな笑みを浮かべ、フィアは疲れた表情で呟いた。

 

「………たった3日の野宿の上その野宿にしてもメンフィルから野営用の道具等を支給してもらった上支給された保存食もグラセスタで買える保存食と比べても味も上だったにも関わらず、そんな事を言うとは堪え性のない女神だな。」

「ア、アハハ…………”隷士”としての生活の経験があるジェダルからすれば、どんな生活でも”隷士”時代の生活と比べるとよほどマシなんでしょうね。」

「極限生活でその身につけた我が主の謙虚さ……ふふっ、これでリィン殿と契約を交わしている方のもう一人の私に誇る事が思いつけました……!」

呆れた表情で指摘したジェダルの言葉にリリカは苦笑しながら答え、ある事に気づいて満足げな表情を浮かべた守護天使ユリーシャの様子にジェダル達はそれぞれ冷や汗をかいて脱力した。

「それにしても今回の仕事だけど…………わざわざ3日も泊まり込みで”準備”をしていたけど、そこまでする必要ってあったの?今回の戦いはメンフィル(あいつら)の”報復戦”のようなものなんだから、そう簡単に相手を逃がすようなことはないと思うけど。」

「いや――――――間違いなく”討ち漏らし”を出す事になる。それは”傭兵”である俺自身がよくわかっている。――――――始めるぞ。」

そしてフルーレティの疑問に静かな表情で答えたジェダルは号令をかけた後仲間達と共に行動を開始した。

 

同日、AM10:00――――――

 

1時間後、メンフィル帝国軍とヴァイスラント新生軍の別働隊による”ノーザンブリア自治州制圧作戦”が始まった。

 

~ノーザンブリア自治州・白銀の公都ハリアスク~

 

「く、来るぞ……!」

「くっ……メンフィル帝国め…………!たかが辺境の襲撃――――――それも死者も出していないにも関わらず、北の猟兵(われら)の故郷(ノーザンブリア)を滅ぼすとか理不尽過ぎだろ……!?」

「そもそもあの襲撃にしてもアルバレア公による”依頼”なのに、アルバレア公だけでなく雇われただけの”北の猟兵(われら)”にまで謝罪や北の猟兵(われら)の解散を”命令”するとか、どれだけ厚顔無恥な連中なんだ……!?」

「――――――今は亡き大佐の為……そして故郷(ノーザンブリア)の為にも貴様らの思い通りにはさせるものか――――――簒奪者共!!」

公都の入り口でバリケードや導力砲等を展開している北の猟兵達はグロリアスから現れて突撃を始めたメンフィル帝国軍の騎馬隊を睨んで戦意を高めていた。するとその時騎馬隊を通り越した部隊が凄まじい公都へと接近していた。その部隊とは――――――

「待て……あの人形達は確か内戦の……!」

「機甲兵――――――貴族連合軍だと……!?」

「う、撃て――――――ッ!!」

黄金のシュピーゲル――――――オーレリア将軍が駆るシュピーゲル率いるヴァイスラント新生軍の別働隊であり、凄まじいスピードで突撃してくるヴァイスラント新生軍を見た北の猟兵達は導力砲にエネルギーを溜めてヴァイスラント新生軍を砲撃しようとしたが

「遅い!王技――――――剣乱舞踏!!」

「ぐあああああああっ!?」

「ギャアアアアアアッ!?」

黄金のシュピーゲルが跳躍して北の猟兵達の前に着地すると同時に大剣を地面に突き刺すと無数の闘気の剣が北の猟兵達の足元から現れ、黄金のシュピーゲルの大技を受けた北の猟兵達は絶命するか重傷を負い、バリケードや導力砲等も無惨な姿へと破壊された。更に黄金のシュピーゲルに続くように公都の入り口に到着した新生軍は更なる追撃をして北の猟兵達を殲滅した。

 

「いや~……話には聞いてはいたが、話以上の”化物”だね~、”黄金の羅刹”は。冗談抜きでメンフィル帝国軍(うち)の将軍(ばけもの)達ともまともにやり合えるんじゃねぇか、あの強さだと。」

「フフ、オーレリア将軍が味方でいて、改めてよかったと思いましたね。」

一方その様子を騎馬に乗って公都に突撃していたフォルデは呑気な様子で答え、ステラは苦笑しながら答えた後すぐに表情を引き締めて指示を出した。

「公都に入った後は二手に分かれて敵軍を攪乱します!」

「市民は無視しろ!俺達の狙いは俺達の隊長の故郷や家族を傷つけた憎き猟兵共だ!それを忘れんじゃねぇぞ!!」

「イエス・マム(サー)!!」

ステラとフォルデの指示に力強く答えた騎馬を駆って突撃しているメンフィル兵達は二人と共に公都内へと突撃し、それを見届けたヴァイスラント新生軍も続くように公都内へと突撃した。

 

同日、AM11:50――――――

 

~中央区~

 

メンフィル帝国軍とヴァイスラント新生軍が公都に侵入した事で始まった市街戦では北の猟兵達が必死の抵抗をしていたが、次々と討たれ続けていた。

「秘技――――――裏疾風!斬!!」

「二の型・改――――――雷鳴剣!!」

「ぐあ……っ!?」

「が……あっ!?」

リィンとエリゼはそれぞれ電光石火の速さで襲い掛かって猟兵達の首を刈り取り

「ふふっ、これは秘密兵器です♪――――――ペンタウァショット!!」

「しま――――――」

「か、体が吸い寄せられる……!?」

「参ります――――――ハッ!ヤァァァァァァッ!!」

「もらった――――――貫け!!」

「「ギャアアアアアアッ!?」」

ミュゼが自身が常に隠し持っている小銃で吸引効果がある魔法攻撃を放って猟兵達を一か所に引き寄せると引き寄せられた猟兵達に詰め寄ったエリスは一瞬で敵の急所を刺し貫き、強烈な切り上げで両断するクラフト――――――リーサルレイドで、クルトは敵の懐に潜り込み、熾烈な突きの衝撃波を放つクラフト――――――カルネージランサーを放って猟兵達を絶命させた。

 

「おのれ…………っ!」

「ガキ共の分際でよくも仲間たちを……!」

それを見た猟兵達はエリス達を銃を連射して攻撃したが

「クラウ=ソラス!!」

「――――――」

アルティナの指示によって二人の前に現れたクラウ=ソラスが結界を展開して銃撃を防ぎ

「疾風の爪にて引き裂かん――――――ガスティーネイル!!」

「七色の光の矢よ――――――プリズミックミサイル!!」

「ぐあっ!?」

「ががっ!?」

「お覚悟を――――――クラウ=ソラス、コッペリオンオーダー発動!!」

「――――――!!」

「「ぐぎゃあああああ……っ!?」」

クラウ=ソラスが銃撃を防いでいる間にそれぞれ詠唱を終えたアルフィンは異空間から発生する風の刃で、セレーネは虹色の光の矢を発生させる魔法クラフトや魔術を発動させて銃撃を行った猟兵達を怯ませ、猟兵達が怯むとセティ達の強化・改造によって搭載された機能――――――霊力による無数の刃を意のままに操り、敵を討ち払うクラフト――――――コッペリオンオーダーをアルティナの指示によって発動させたクラウ=ソラスは猟兵達を霊力の刃で串刺しにして止めを刺した。

 

「フウ………やはり自治州政府の市庁があるこの区画は抵抗が激しいな。」

戦闘終了後一端遊撃隊を集合させたリィンはノーザンブリア自治州政府の関係者達がいる市庁とその周囲に展開している猟兵達の多さを見て溜息を吐いた。

「自治州政府の市庁は国で言う”本城”のようなものですから、そこを落とされてしまえば彼らにとっては完全に”負け”になりますから、抵抗も必死になってしまうのも仕方ありません。加えて――――――」

「結社の残党から提供されたと思われる人形兵器や軍用魔獣ですね。」

リィンの言葉に対して答えたエリゼに続くように静かな表情で答えたアルティナは真剣な表情を浮かべて猟兵達の傍にいる人形兵器や軍用魔獣を見つめた。

「ええ…………人形兵器や魔獣の中には大型も多数混じっている事で、その掃討にメンフィル軍もそうですが新生軍も時間を割かれている影響で他のメンフィル帝国軍の部隊や新生軍が中央区の戦いに合流できるのはもう少し時間が必要との事ですし。」

「兄様、エル・プラドー達でしたらここの戦況を変える事は出来ると思いますが、まだエル・プラドー達を呼ばなくていいのでしょうか?」

アルティナの言葉にミュゼは頷いて答え、エリスはリィンにある事を訊ねた。

「そうだな…………ゼルギウス将軍閣下の説明にあった”例の件”を考えるとヴァリマール達は温存したかったんだが――――――」

そしてエリスの疑問を聞いたリィンが考え込んでいたその時、周囲の建物の屋上に潜んでいた猟兵達がリィン達を狙撃しようとしていた!

 

「忌々しいメンフィル軍め……!せめて貴様らだけでも道連れにしてくれる……!」

「ノーザンブリアと貴様らによって討たれた多くの同胞達の無念、思い知るがいい……!」

「いや、お前達がそうなったのも全部お前達自身の”自業自得”だっていうのに、それがまだわからないとかつくづく”愚か”だねぇ。」

リィン達を憎悪の表情を浮かべて狙撃しようとした猟兵達の上空から突如男の声が聞こえてきた!

「何…………!?」

「う、上だ……!」

「な――――――」

上空から聞こえてきた男の声に気づいた猟兵達が驚いて周囲を見回している中何人かがふと上を見上げて自分たちの上空にいる存在――――――飛竜を駆って滞空するクロード率いるメンフィル軍の竜騎士(ドラゴンナイト)の部隊を見ると絶句し

「一斉射撃、”狙撃”始め!!」

「イエス・サー!!」

「が……っ!?」

「あぐっ!?」

「む、無念……」

クロード達が上空から一斉に矢を放つと屋上にいた為上空からの攻撃を防ぐ手段がない猟兵達は上空から襲い掛かる矢をその身に受けて絶命した!

「イングリット隊、戦闘開始!!地上の味方を狙う敵軍を根絶やしにしなさい!!」

「ローレンツ隊も遅れるな!空を制する僕達の恐ろしさ、思い知らせてやれ!!」

「イエス・マム(サー)!!」

「ぐああああ……っ!?」

「何なんだ……何なんだよ、貴様らは……!?がふっ!?」

更に天馬(ペガサス)に跨ったイングリット率いる天馬騎士(ペガサスナイト)の部隊と鷲獅子(グリフィン)に跨ったローレンツ率いる鷲獅子騎士(グリフィンナイト)の部隊が他の建物の屋上で狙撃等の奇襲の準備をしていた猟兵達に一斉に襲い掛かって次々と猟兵達を討ち取り続けていた!

 

「あ、あの空を駆る”騎士”達は一体…………」

「竜(ドラゴン)に鷲獅子(グリフィン)、それに天馬(ペガサス)までいますわ……!」

一方クロード達の奇襲によって始まった上空からの一方的な襲撃に気づいて上空を見上げたクルトとアルフィンは始めて見るメンフィル軍の空を駆る騎士達を驚きの表情で見つめ

「――――――クロード!?それにイングリットやローレンツ先輩もどうしてこの世界に……!?」

「お兄様……?もしかしてあの騎士の方々の中にお知り合いの方々いらっしゃるのですか……?」

信じられない表情で声を上げたリィンの様子が気になったセレーネは不思議そうな表情で訊ねた。

「あ、ああ………!今率いている空を駆る騎士達を率いている部隊長達はステラやフォルデ先輩と同じ俺の――――――」

「”黒獅子の学級(ルーヴェン・クラッセ)”。それがリィンや私達の訓練兵時代に所属していた学級の名前で、クロード達もその学級のクラスメイトだったメンバーよ。」

そしてセレーネの疑問にリィンが答えかけたその時女性の声が聞こえてリィンの代わりに説明し、声を聞いたリィン達が視線を向けると重騎士(アーマーナイト)で構成されたエーデルガルトの部隊とそれぞれ魔術師達で構成されたリシテアとドロテアの部隊が現れてリィン達に近づいてきた。

 

「エーデルガルト……!それにリシテアとドロテア先輩まで……!」

「クロードさん達どころか、どうして皆さんがこの世界に……」

「久しぶりですね、リィン。それにエリゼも。」

「ふふっ、二人とも……特にリィン君は思ったよりも元気そうで何よりね♪」

驚きの表情で自分たちを見つめるリィンとエリゼに対してリシテアは口元に笑みを浮かべて声をかけ、ドロテアはリィン達にウインクをした。

「やれやれ…………僕達が一番乗りだったのに、肝心の再会の一番乗りは君達に先を越されるとはね。」

「まあまあ……私達と違ってハリアスクの郊外を担当しているディミトリ達の事を考えると私達の方がよほどマシですよ。」

その時クロードと共にそれぞれが乗っている騎獣をリィン達の傍に着地させたローレンツは溜息を吐いて答え、ローレンツの言葉に対してイングリットは苦笑しながら答え

「な……という事は君達だけじゃなくディミトリ達まで今回の戦争に参戦しているのか……!?いや、それよりもイングリットは今ディミトリ達はハリアスクの郊外で作戦を行っているような事を言っていたけど、それは一体……」

「ああ。その件も含めて今さっき入ったばかりの情報で”遊撃”を担当しているお前達へのグロリアスからの”伝令”を伝えるぜ――――――」

イングリットの話を聞いてあることを察して驚いたリィンだったがすぐに表情を引き締め、リィンの言葉に頷いたクロードはリィン達にあることを伝えた。

 

「――――――了解した。これより市庁の制圧は君達に任せる。……今聞いた通り、リィン隊の遊撃隊はこれよりイングリット隊にハリアスク郊外まで乗せてもらって移動する。上空にいるイングリット隊の再編成が済み次第、直ちにそれぞれの騎乗者達の背後に乗ってくれ!」

「イエス・サー!!」

クロードからの伝令を聞いて頷いたリィンはエーデルガルト達に視線を向けた後セレーネ達を見まわして号令をかけ、リィンの号令にセレーネ達は力強く答えた。

「ふふっ、戦いが終わった後に改めて話をしましょう。――――――これよりノーザンブリア自治州政府市庁の制圧を開始する!エーデルガルト隊は盾を構えて前へ!」

「リシテア隊、”水”の一斉詠唱を始めてください!!」

「ドロテア隊はリシテア隊の一斉詠唱から一秒後に”雷”の一斉詠唱を始めて!!」

「イエス・マム!!」

リィンに対して静かな笑みを浮かべて答えたエーデルガルトは自身が率いているメンフィル兵達に指示をして自身も身の丈程ある大楯を構えて市庁へと進軍し始め、エーデルガルトに続くようにリシテアとドロテアも自身が率いているメンフィル兵達に指示をした後魔術を開始した。

 

「!来るぞ……!」

「ここは通さん!!撃て――――――ッ!!」

一方進軍してくるエーデルガルト達を見た猟兵達はそれぞれ銃撃や迎撃戦用の導力砲による砲撃を行ったが重装備かつ身の丈程ある大盾を構えたエーデルガルト達”重騎士”にはビクともしなかった。

「な――――――」

「む、無傷だと……っ!?」

生身のエーデルガルト達に銃撃どころか砲撃すらも効かなかった事に猟兵達が驚いたその時

「死んで後悔しなさい!爆ぜよ、翼輝陣――――――ケルト=ルーン!!」

「死の舞を踊ってあげる!裁きの雷よ、今ここに来たれ――――――審判の轟雷!!」

「ぐぎゃあああああ……っ!?」

部下達よりも早く詠唱を終えたリシテアとドロテアが高火力かつ広範囲の魔術を発動させて猟兵達や周りにいる魔獣、人形兵器達にダメージを与えたり絶命させたりし、更に二人の魔術の後にリシテア隊の魔術師達が一斉に水を発生させる魔術を放って猟兵達をずぶ濡れにした後ドロテア隊の魔術師達が雷を発生させる魔術を一斉に放って猟兵達を感電させて絶命させたり、怯ませたりした。

「一斉射撃、”制圧”始めろ!――――――逃がさないぜ!二連制圧射撃!!」

「が……っ!?」

「がふ……っ!?」

それぞれの魔術が終わると上空にいるクロード率いる竜騎士の部隊が矢を雨のように降り注がせて追撃をし

「今よ!エーデルガルト隊、敵陣を蹂躙しなさい!!」

「ローレンツ隊、空から敵陣を攪乱してやれ!!」

「おおっ!!」

クロード達による矢の雨が降り終えると片手で大剣を掲げたエーデルガルトと槍を掲げたローレンツが率いるそれぞれの部隊は一斉に猟兵達に襲い掛かった!

 

「す、凄まじいですわね……」

「先程まで厳重な守りを敷いていた北の猟兵達があんなにあっさり崩されるなんて……」

「ふふっ、それぞれの役割を最大限に生かした連携ですわね。」

「はい。防御からの反撃、追撃とまさに隙が見当たらない連携ですね。」

エーデルガルト達に戦いを見ていたアルフィンとクルトは驚きのあまり呆け、感心した様子で呟いたミュゼの言葉にアルティナは同意し

「リィン!こちらの準備は終わりました!すぐに私達の後ろに!」

「わかった!遊撃隊、それぞれイングリット隊の騎乗者達の後ろに乗って、騎乗者達の腰をしっかり掴んでくれ!」

「イエス・サー!!」

イングリットに声をかけられたリィンはセレーネ達に指示をした後イングリットの後ろに乗り、セレーネ達もそれぞれイングリット隊の騎乗者達の後ろに乗るとリィン達を乗せたイングリット隊の天馬(ペガサス)達とその周囲の天馬騎士(ペガサスナイト)達は一斉に空へと舞い上がった後その場からの離脱を始めた――――――

 

 

ノーザンブリア篇ですが3話の予定と宣言しましたが、予想以上に文字が多くなったのでひょっとしたら4話になるかもしれません(汗)なお、ブリーフィングの際のBGMはファイアーエムブレム風化雪月の”侵掠すること火の如く”、ノーザンブリア制圧作戦時のBGMは同じく風化雪月の”野望の地平”、閃4の”巨竜目覚める”、東京ザナドゥの”Bravely Storm”、碧の”To be continued!”のどれかだと思ってください♪


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
3
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択