No.1023113

フレームアームズ・ガール外伝~その大きな手で私を抱いて~ ep25

コマネチさん

ep25『人間とフレームアームズ・ガール』(終)
遅くなってすいません。ようやく完成まで来れました。

2020-03-15 17:38:00 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:169   閲覧ユーザー数:168

「やぁぁっ!」

 

 ヒカルのキラービークと合体したスティレットはサムライマスターソードを振り回して真姫に斬りかかる。真姫は刀一本でそれを迎え撃つ。

 

「こっちは二刀流だけど!アンタは刀一本だけ!観念なさい!」

 

 真姫は右の刀を自分の刀で受ける。スティレットは左の刀で突き刺そうとするが、真姫はTCSで防御。

 

「浅はかな!!剣の扱いで私に勝てると思っているのか!」

 

 そう言って蹴りを入れてスティレットを吹き飛ばす真姫。追撃として更に切りかかる。

 

「剣の扱いはこちらの方が一日の長があるのだ!」

 

「っ!」

 

 体勢を立て直そうとするスティレットだが間に合わない。だがそのまま斬られることは無くその場から移動して回避。

 

「わっとと!マスター?!」

 

 これに驚いた表情を見せるスティレット。彼女の操作ではなくヒカルの操作だった。

 

「俺も協力する!移動はこっちでやるからスティレットは攻撃に集中してくれ!」

 

「!お願いねマスター!マスターと私ならきっと勝てる!」

 

 そう言ってスティレットは刀を打ち込んでいく。その連携ですら、真姫にとっては自分の言った事を否定し続ける行為だ。不快感を隠さない。

 

「くっ!私の言った事を!理解出来ないのかぁぁ!!」

 

 激昂しながら真姫はスティレットに斬りかかる。

 

「そもそも!人に仕える機械に感情を持たせようとするのが間違いだったんだ!機械と人間!越える事の出来ない壁が私達は元々あった!」

 

 今度はTCSを張ったまま体当たりを仕掛けてくる。バリアの斥力を活かした攻撃に真姫も余裕はなかった。

 

「それをこのイベントに出た奴は皆それを忘れて!そんな物無駄だと解らせてやる!人間とFAGの差を思い出させてやる!私が優勝する事によって!」

 

「……聞き捨てなりませんね」

 

 その時だった。真姫の真横から砲撃が襲う。背中にレイジングブースターを装着したグライフェンが飛行する。連装砲で撃ったのだ。

 

「っ!?貴様!」

 

 決闘に水を刺された真姫は更に怒りを見せる。

 

「人間とFAGの差?それを……私達が解ってなかったと思っていたんですか?」

 

 対するグライフェンの表情は真剣そのものだった。

 

「解ってないのはあなたの方ですよ。私達がそれで絶望をしなかったとでも?!司令官が……マスターが何も感じなかったとでも?!」

 

「何!?」

 

「私のマスターだって同じですよ!!生き甲斐を出来なくなって!それが元で私と距離が縮まって!そしたら今度は人間とFAGという問題を嫌と言うほど思い知らされて!!」

 

「グライフェン……」

 

 涙目に、涙声になりながらも連装砲を撃ちつづけるグライフェン。真姫はTCSで退避しようとするが、グライフェンは執拗に追い撃ちつづける。

 

「あなたの言ってるそれは!私の司令官を!マスターを馬鹿にしてる事でもあるんですよ!それを見逃すなど許せない!!それらはここに参加してるFAGだって皆解ってるはずです!」

 

 その時だった。フレズが実況席の轟雷、彼女からマイクをかっぱらって叫ぶ。

 

「あっ!私のマイク!」と轟雷「アタシんだ!!」とアイ。 

 

「そうだよ!ボクだってマスターが人間で!ボクがFAGなのは解ってるんだよ!でもマスターの事大好きなのは変わらないし譲れない!」

 

「アタシにも言わせてよ!」「わたしにもー!」

 

『へ?わぁぁっ!!』轟雷とフレズとアイは予期せぬ状況に悲鳴を上げた。フレズに触発されたのか。参加していたFAGが大挙して轟雷とクローディアのマイクに集まってくる。

 

「あらあらーどうしましょう」

 

 解説席のクローディアは一切動じてなかったが、

 

「私だってマスターを最初は弟みたいに思ってたわよ!でもあの事件で男として意識したんだから!」「マスター更生させたのはアタシだよ!」「ご主人様の支えになってあげたいんです!」それぞれのFAGが想いをぶつけていく。それぞれが大小様々な葛藤を抱えている。それの証明だった。

「貴様ら……!」

 

『真姫……もうやめよう……』

 

「っ?!主殿!」

 

 シュンが真姫を止めようとする発言。なだめようとしても止める事はなかっただけに真姫は面食らう。

 

「ぼくもやっと解った……皆、真姫と同じ様な苦悩があったんだ……。真姫、君が立ち直れるならと思って好きにやらせたけど、駄目だ。やればやるほど君が傷ついていく」

 

「主殿!そんな!私は!」

 

 TCSを解いてシュンに抗議しようとする真姫、その状況にグライフェンもスティレットも攻撃はしない。

 

「傷を負う前だって、ぼくは楽しかったよ?それは君が人形じゃなくて、心のあるFAGだったから」

 

「主殿……」

 

「だからこそ、事故の時に一瞬でも君がいなくなる事が頭に浮かんで、何としてでも守らなきゃって思って。だから君を庇った事に後悔なんてしなかった」

 

 弱気とは程遠い口調でシュンは喋り続ける。突っぱね続けていた真姫が大人しく耳を傾ける様は、心に届き始めているという事か。

 

「それで君を傷つけてしまったのは悲しいけど、ぼくの片目よりも君の方が大切なんだよ。……だから元気を出してよ……昔の真姫に戻ってよ!」

 

「シュン……でも……マキは……」

 

「アンタのマスターの言う通りよ。辛い事も含めて思い出でしょ!」

 

 それにスティレットが加勢する。が、スティレットの言葉は真姫にとって余計だった。

 

「……でもっ!シュンの目は!元には戻らないんだよ!!」

 

 水を刺すなと言わんばかりに切りかかる真姫。スティレットはさっきと同様に二刀流でそれに対応する。

 

「シュンの目の!原因が私にある以上そんな資格はない!」

 

「だったら!私達が物言わぬ人形だったらシュン君は事故に会わなかったと言いたいの!?」

 

「っ!それは……!」

 

 精神的に追い詰められている真姫は、技のキレが落ちている上にTCSを使わない。それに追い打ちをかけるべくスティレットの猛攻は続く。

 

「意味のない過程でうじうじ悩んでるのはアンタでしょうが!それ自体がマスターのシュン君の意志をないがしろにしてるって解らないの?!」

 

「くっ……」

 

 ヒカルが言った『シュンの意志はどうなるんだ』という言葉だ。

 

「私達はFAGよ!間違いを犯してもやり直せるのが私達でしょうが!」

 

「だが!人間ではない!それは変えられない!!」

 

「そうよ!でもFAGだからこそ!マスターと会えた!マスターを!!好きになれたんでしょうがっ!!!」

 

「くっ!!」

 

 その言葉に、真姫の心が揺らぐ。そしてスティレットの連撃に、ついに真姫の刀は折れた。そのまま続けてスティレットは真姫の無防備になった体に刀を打ち込んだ。体が切り裂かれる代わりにアーマーは砕け、真姫のHPが0になる。これが決め手だった。

 

「そんな……、そんなっ!ぐわぁぁっ!!!」

 

 真姫は敗北を悟ると同時に演出として爆発。

『winner スティレット&グライフェン』

 

 そのアナウンスに、これで終わったと安堵するスティレットとグライフェンだった。しかし……。

 

『真姫っ!!!』

 

「っ!?」

 

 シュンの慌てる声。爆炎から投げ出された真姫が海に落ちた。

 

「嘘でしょ!落ちた!」

 

「どうなってんだ?!負けたらセコンド席に転送されるんじゃなかったのかよ!」

 

「落ちた場所がフィールドとは離れていたからかも!」

 

「スタッフは何やってるんだ!?こんな状況で!」

 

「それが周囲に一人もいないのよ!」

 

 ギャラリーがざわめく中、真姫はどんどん海中に沈んでいく。元々泳げない上に真姫の力は残っておらず、水に抵抗する事すら出来ない。

――……もう、力が……――

 

 ふと、スティレットに言われた事が頭によぎる。

 

――マキ……悪い子だ……。折角皆が楽しんでるイベントだったのに……シュンだって楽しもうって言っていたのに……――

 

 頭が朦朧としてきた。仮想空間ではあるが、酸欠の再現だ。

 

――間違いを犯してもやり直せる。か。……もし、シュンにやり直したいって言ったら、シュンは……いつもみたいにマキの事……――

 

 その前に、ここから戻れるのか。そんな風に考えてる。……その時だった。視界に複数人が泳いでこっちに向かってくるのが見えた。

 

――え?――

 

 近づくにつれて顔がハッキリと見える。潜水モードのグライフェンに担がれたシュン、そして蓮とヒカルがそれに続いて泳いでくる。水陸両用のグライフェンは肩と腰のスクリューを使い高速でこちらに向かってくる。

――シュン?――

 

 シュンの頬は空気で最大限まで膨らんでいた。真姫のすぐそこまで近づくと、シュンはグライフェンから降り、真姫の両頬を掴むと……、真姫の唇を覆う様に、自分の唇を押し付ける。そしてシュンは口に含んだ酸素を全て真姫に送り込んだ。

 

――ふぇぇっ!?!?――

 

 突然の事に顔を真っ赤にさせ混乱する真姫。その際に折角の酸素をすべて吐き出してしまう。『何やってんだ!』そう言いたげなシュンだが、グライフェンはシュンと真姫を展開したサブアームで抱えるとすぐさま海面へと上がって行った。

 

「プハッ!!ハァッ!ハァッ!」

 

 海面に出ると荒く息継ぎをする真姫。豊かだった黒髪は海水でべったり肌に貼り付いていた。

 

「真姫!無事?!」

 

――眼帯が外れてる……。シュンの傷跡が……――

 

 目の前で呼びかける少年。水中で泳いだ影響か。眼帯は外れており、傷跡が横に閉じた目と対照的に縦に走る。十字の形となった右目、それを見ながら真姫は事故の事を思い出す。

 

「……あの時と、同じですね。粋がって、守ろうとしたけど、結果は傷つけるだけで。今回も考えも空回りでイベントに水を刺しただけ」

 

「そんな事ないよ。真姫は必死に答えを探そうとしていたじゃないか」

 

「……でも、答えは出ませんでした」

 

「だったら一緒に探そうよ!ぼくの傍にいてくれるんだろ!?支えになってくれるんだろ?!近くにいてくれるなら丁度いいじゃないか!」

 

「シュン……」

 

「おい!運んでやろうかと思ったけどそのまま惚気てるかお前ら!」

 

 イラついた声が響く。ウィルバーナインのナインがバイクに跨りながら青筋を立てていた。

 

「わぁぁっ!お!お願いします!」

 

 怯えた動作を見せながらもシュンはそれに同意。

 

「ったく、オヤジが行けって言わなけりゃこんなことにはよ……」

 

 ブツクサ言いながらナインは二人を運んでいった。そして陸に戻ると、ギャラリーの多くのFAG達がそこにいた。全員が真姫をジッと見ている。真姫の発言がFAG達の神経を逆なでしたのだ。いい感情は持ってないだろう。

 

「……」

 

 何か言われるのは覚悟していた真姫だった。そこへシュンが前に躍り出る。

 

「皆さん!真姫の事はぼくの責任でもあります!どうか……」

 

「い!いや!私が勝手にやった事だ!主殿はそれに付き合わされただけで!」

 

 そこに真姫が更に前に出て自分で責任を取ろうとする。

 

「でも真姫を止められなかったのはぼくの責任で!」「だが主殿はこんな私を信じて自由にさせてくれたんだ!私が責任を取るのが!」「いやぼくが!」「私が!」「ぼくが!!」「私ですってば!!」

 

 顔を合わせながらどちらも譲らない。さっきまでのギスギスした雰囲気とはかけ離れていた。

 

「なんか……さっきまでイラついてた人とは思えませんね」

 

「ふへへぇ……。やっぱりこの二人も皆と同じでぇ、仲いいんだよぉ」

 

 輝鎚のその一言、それが周りのFAG達の心にスッと入り込む。

 

「……もういいわ。許す。なんかどうでもよくなっちゃった」

 

 バルチャー型のFAGが一人そう呟くとどんどんFAGが同意していく。

 

「……ま、ただ煽ってたわけじゃないからね」「私達が同じ立場だったら同じ行動をしてたかもしれないってのはあるよね……」「マスターに大怪我じゃ、悩んでもおかしくないかな……」

 

「貴方達……私は……すまなかった!」

 

 深々と頭を下げる真姫、シュンもそれに続けて頭を下げた。

 

「ま、あんた達も答えを出そうって悩んでいたのはよく解ったわ」とスティレットがヒカル達と戻りながら言った。

 

『おい轟雷!いい加減にマイク返せ!!……というわけでぇ!!この大会の優勝者はスティレットさんとグライフェンさんのコンビとなりましたぁ!!!』

 

 アイがスティレット達を称える一言を叫ぶ。程なくしてアーキテクトウーマン達が現れた。

 

「素晴らしいです!正に心あるFAGだからこそ出来たドラマです!!」

 

 他人事ともとれる一言、更に必要な時に碌に表れなかった彼女に、その場にいた全員が軽蔑の目で睨みつけた。

 

『……』

 

「あんた……なんで必要な時にいなかったのよー!!」

 

「わぁぁっゴメンナサイ!!丁度こちらも仕事があったんですー!!」

 

 追いかけるFAG達に必死に逃げるアーキテクトウーマンであった。

 

「……ふふっ、何をしてるんだよ。もう……」

 

 それを見ながら、真姫は初めてのほころんだ笑顔を見せた。

 

「やっと笑ったね。真姫……」

 

 

 その後、表彰式も滞りなく終わり。それぞれのFAG達は再びマスターと自由な時間を楽しんでいた。昼間との違いは、それにシュンと真姫も加わっていた事だ。

 

「こんな所があったのですね……」

 

 夕日の沈む水平線、赤く染まる砂浜で、二人は横になった流木に腰かけながら並ぶ。今いる場所の周りは崖に囲まれており、後方の入り口以外ここを見られることは無い。

 

「真姫を探してる時に見つけた場所なんだ」

 

 シュンは一回り大きい体躯の真姫に笑顔で言った。聞き入る真姫は元のサラシと褌姿に戻っていた。

 

「主殿……。私……事故の後、ずっと怖かったんです。自分には対等の資格は無いと……」

 

 真姫の方は若干の遠慮が感じられた。今一歩距離間を縮められずにいる。

 

「真姫、それでもぼくは、君と一緒にいたかったんだよ」

 

「だからこそ余計に、どうすればいいのか解らなくなったんです」

 

「ごめん……ぼくの方も真姫に余計なプレッシャー与えていたかも……」

 

「あ!いえそんな事はないです!主殿は別に何も!」

 

「でもぼくが」「いえ私が」『……フッ』

 

 さっきと同じやり取りだ。どうにも締まらない。でもそれが二人の間の空気を和らげる。

 

「でもだからこそ……今回のイベントで収穫はあったと実感できます。何も考えてないと見くびっていたFAG達に教えられましたよ。誰だって悩んで、答えを求めてるんだって……。私……やり直したい」

 

「ぼくもだよ。……認めることが出来たんだね」

 

「はい。認めました……成長できました……。ですから……」

 

 そう言って真姫は、隣の少年にしなだれかかりながら、

 

「……だからシュン」

 

 甘いトーンの声に切り替えながら頭を差し出した。撫でてという意思表示だった。

 

「マキ、偉いでしょ~。前みたいにマキの事、いい子いい子してぇ」

 

 一気に態度も表情も甘くなる真姫だった。孤高の獣の様な女剣士が、今では甘える子犬の様にすがりつく。

 

「っ!うん!」

 

 いつもの真姫に戻ってくれた。その事に嬉しくなりながらシュンは真姫の頭を優しくなでる。真姫はくすぐったそうに身を震わせると、満足げな笑顔を見せる。

 

「えへ~、大きいとシュンの手のあったかさもいつもと違う感じぃ。じゃあねじゃあね、今度は膝枕でマキの事撫でて~」

 

 事故の前はいつもやっていた事だ。しかし事故にあってからは真姫はやるどころではなくなった。やっと出来たかつてのコミュニケーションに真姫は大喜びだった。

 

「……無理して我慢しちゃってさ……辛かったろう?」

 

 膝枕で横になった真姫、主と同じ水平線を眺めながら、シュンは右手で真姫の頭を撫で、そして左手で真姫の右手とつなぐ。

 

「……だってぇ、あんな事あったんじゃ、出来るわけないじゃない……」

 

「君の言った通り、スティレットやヒカルさん達に感謝しなきゃね。ぼくだけじゃ、きっと真姫の事……」

 

「……むー」

 

 真姫は思いっきり不満げな表情で頬を膨らませた。

 

「他の女の話しちゃヤ」

 

「真姫?いやだって……」

 

「それにシュンてば、大会前にマキがスティレット挑発して、おっぱい見せたとき、見とれてたよねシュン……」

 

「え?!いやそれは……!」

 

 真姫の視線はシュンの顔に向けられる。シュンの方は顔を赤くしながら目を逸らす。

 

「赤くなった……やっぱりだー!マキの方が大きいのに!!」

 

 嫉妬全開の形相でシュンを睨む。

 

「いや誤解だよ!ぼくが見てるのはいつでも頑張ってる真姫なんだから!!」

 

 半分は本当だ。自分で答えを出そうとしてもがいていたのはシュンが一番よく知っていたからだ。と、真姫の表情が一瞬で落ち着くと同時に、真姫の方は左手をかざし、シュンの頭を撫でた。

 

「でもね。マキよりずっと頑張ってたのはシュンの方だよ。……こんな大怪我まで負って、それでも誰かに頼ろうとしないで自分の力で……」

 

「真姫……」

 

「こんな時位、マキに甘えていいんだよ?シュン……」

 

 母性と憂い、そして申し訳なさを含んだ表情を真姫は見せる。

 

「ありがとう……でも、やっぱり真姫が甘えてくれる方が好きだから。このままでいいかな?」

 

「……むー」再びふくれっ面になる真姫。

 

「だってさ……。こういう仕草を見せてくれるだけでぼくを特別扱いしてくれるって事だもの。それだけで嬉しいんだよ」

 

 当然ながら真姫はシュン以外にこういった仕草を見せない。

 

「じゃあ、マキ甘えながらシュンを甘えさせてあげちゃうんだから、……マキだって、シュンの頑張りを一番知ってるのはマキなんだよ?」

 

「有難う……真姫」

 

「シュン、大好き……」

 

 

「すぅ……すぅ……」

 

 暫くして真姫は膝枕で手を繋いだまま眠りについた。眠りを妨げるわけにはいかないので体勢を変えるわけにはいかない。

 

「さて……、もう出てきていいですよ皆さん」

 

 後方に声をかけると……

 

「ぅ……ばれてたのか……」

 

 フレズとグライフェンと輝鎚、他数名のFAG達とそのマスターらが出てきた。気になって覗いていたらしい。

 ちなみにヒカルと黄一、轟雷とスティレットの四名は朱音の白虎を探すのを手伝う。と言う理由でここにはいなかった。

 

「当然ながらこの事は周りには言わないでくださいね。真姫は他人にこの状態見られるの、凄い嫌がるんで」

 

「本当は甘えん坊なんだ。マガツキ」と蓮が言う。

 

「いつものキリッとしたのも本当の真姫ですよ蓮さん」

 

 妙にフランクに接してくるシュンだ。最初会った時のオドオドは一切ない。

 

「なんか最初会った時は妙にオドオドしてたけど、君も結構砕けた感じなんだな」と健が言う。

 

「そう見えます?人見知りなんで」とシュンが返した。

 

「……まさかとは思うけど、今日の真姫のイライラって、周りはいちゃついてるのに、自分は甘えられなかったからその八つ当たりってのもあるんじゃ……」

 

 グライフェンの疑問だ。スティレットの胸に嫉妬したと言うのなら十分にあり得る話だ。

 

「あはは……」

 

 それの真相を愛想笑いでシュンは返す。

 

「むにゃ……シュン……褒めて……マキの事ぉ……褒めてぇ……」

 

 

 その頃、別行動のヒカル達は、朱音の白虎を探しまわっていた。あれから姿を一度も見せていないらしく探すのを手伝っていた。アーキテクトウーマンらスタッフには当然伝えたが、正直あてにならないからだ。

 シュンと真姫のいた場所と同じく、水平線から夕陽は見える砂浜だが場所は全然違う。

 

「ヒカル君。そっちはどうだった?」

 

「玄白さん、いやこっちは駄目だったよ」

 

「ゴメンね。探すのにつきあってもらっちゃって、折角のイベントだったのに」

 

 こちらも二人きりだ。こんな状況でもなければムードはあったろうなと朱音は思っていた。

 

「気にしないでくれよ。そろそろスティレットも帰ってくるだろうから、合流して話を聞こう」

 

 スティレットは飛行能力を活かして上空から探してる。

 

「待って!ヒカル君」

 

 その場から移動してスティレットと合流しようとするヒカル。それを朱音は呼び止めた。

 

「ん?」

 

 呑気そうなヒカルの表情に反して、一世一代の大勝負と言わんばかりの表情の朱音、……少女は意を決した様に、想いを口にした。

 

「わ!私、ヒカル君の事!好きです!!」

 

 突然の事に、意味を飲み込めないヒカル。しかし数秒置いて意味が解ると顔を真っ赤にしながら叫び声をあげた。

 

「え……?えぇぇぇ!!!!!???」

 

 

 少し離れた場所で……轟雷と黄一、そしてスティレットは、それの一部始終を見ていた。

 

「……え?」

 

 スティレットは信じられないと言わんばかりに、完全に固まっていた。

 

「ス……スティレット……」

 

 それにどう声をかけていいか解らない轟雷。何故このタイミングで……と、轟雷は天を呪う。

 と、その時だった。突如予期せぬ人物、いやFAGが声をかける。

 

「あの……、さっきの優勝したスティレット様はこちらでしょうか」

 

 心ここにあらずといった表情で向いたスティレット。

 

「な、何よ」

 

「やはり……ご主人様に以前仕えていたスティレット型だったのですね」

 

 ご主人様というワードにスティレットは反応を見せる。話しかけてきたFAG、スティレットによく似たフォルムのその機種は……。

 

「フセット型?あんた……まさか……」

 

「はい、かつてのあなたのご主人様に、今仕えているフセットです!お姉様!」

 

 

 

 

――次回、最終章――

 

『その大きな手で私を抱いて』

 

甘えを捨てたショタが好きです。普段クールだったり、周りに頼らないお姉さんや普段鬼嫁の妻が、二人っきりになった時に甘えてくるシチュエーションが好きです。

しかしおねショタとしては邪道っぽいので全然なかったので自分で作りました。

 

さて……次で最終章。全ての決着をつけます。……人間と機械が結ばれることは、はたして可能なのか。


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