なんだかんだで部活見学を楽しんだ。
高校生活の滑り出しとしては、そんなに悪くないかな。
「ただいま~」
「お帰り。遅かったね」
開口一番「遅かったね」とは、あんまりだ。
「うん、部活見学行って来たからね~」
私はそれだけ答えて、部屋に戻った。
「部活見学? どこ行って来たの?」
お母さんの興味を引いてしまったらしい。着替えて居間に戻って来ると、
真っ先に訊かれた。
「文芸部」
「文芸部? 作文の苦手なえりかが? なんで?」
いくら親とはいえ、この言われ用はちとひどい。
「なんでって、友達に誘われたから」
「友達って、楓ちゃん?」
そっか、お母さんには木谷さんの事は話してなかったっけ。
「クラスで出来た友達」
「人付き合いの苦手なえりかにクラスの友達なんて、また珍しい事もあるもんだ」
く~~~っ! この親にしてこの子なんだろうけど、娘に向かって、
「人付き合いの苦手な」はないと思う。
「向こうから声をかけてくれたんだよ。珍しいと思ったけど…」
意外なほど、木谷さんとはフィーリングが合う。これはこれで、幸いな事だった。
「ふぅん」
「ちょ、ふぅん、て。自分から訊いといて!」
ひどい母だ、全く。
「でも、他に応えようがないし」
「そ、そう…」
わ、我が親ながらやり辛い…
「で? その友達が文学少女なわけだ」
「ぶ、文学少女かどうかは知らないけど、今日もずっと小説書いてたなぁ」
今時文学少女はないけど、まぁ、文学に勤しんではいたなぁ。
「小説? すごい子なんだ」
「うーん、まぁ…」
色んな意味ですごい子だよ、彼女は。
「で、えりかはどうするの? 文芸部に入るわけ? 他の部活も見るの?」
「えぇ? もともとは帰宅部予定だったから、誘われて行っただけだし…」
とはいえ、面白かったのは事実だなぁ。木谷さんの文章も見たいし、
私の文章も見てもらいたい。
「他に興味のある部活もないから、まだ文芸部に行ってみるつもりだけど…」
「ふぅん。ま、いい事だ」
なーんか、会話が続かない。切られちゃうなぁ…ま、いいけど。
「ところで、おやつない?」
「おやつ? 適当に漁れば何かあるんじゃないの?」
いつものパターンか。
「へいへい」
私は台所に向かって、お菓子ハントに旅立った。。。
~つづく~
冷蔵庫では、チョコビスケが見つかった。
冷蔵庫で程よく固く冷えてるのが、美味しいなぁ、と思う。
「ちょっと、粉落とさないでよ?」
「大丈夫だよ。だからテーブルで食べてるんじゃん。じゃなかったら、
ソファーで食べてます」
ばりぼり。やっぱり美味しいけど…口の中がもくもくする。
「紅茶飲もうっと…」
ティーバッグを探し出して、お湯を沸かす。
「ところでえりか、部活動するの? 帰宅部?」
「うーん…さっきも言ったけど、ちょっと考え中…」
文芸部にするか、帰宅部にするか、他の部活を見てみるか。
「出入りは自由で、顧問と担任の許可があればいいみたいだから、
そんなに深くは考えてないけど…」
「そう。ま、後悔しないようにしなさいよ」
後悔か…
「うん、そーする」
ボリ…
「もくもくもく…」
紅茶を飲みながら食べる冷えビスケット、サイコー。
「晩ご飯前なんだから、食べ過ぎたら怒るからね」
「あーい、分かってまーす」
全く、こっちも子供じゃないんだし、その辺は大丈夫だっていうのに。
「でも、ホント部活どうしよっかな…」
とりあえず、私はまだ答えを決めかねていた。
~つづく~
夕食後、いつものように勉強タイム。
くどいようだけど私はあんまりテレビを見ない。
ニュース、スポーツ中継、ドラマ、音楽番組、バラエティ、アニメ。
ジャンルは色々やってるけど、見るのは主にニュースだ。
後は、友達やお母さんに強く勧められたドラマくらい。
そんな事はさておき、勉強タイムだ。
といっても、まだ教科書を見返す程度しかしてないけど。
「これをこの学年中にやるのか…高校は重いなぁ…」
っと、あれ?
「メール?」
気付かなかった…
「誰からかな?」
ぱかり。
「木谷さんか…」
今日の事があるからな、来ても不思議はないか。
「なんだろう」
『今日はありがとう』
ふむふむ
『今日は文芸部に付き合ってくれてありがとう。
明日もよろしく』
ひぃぃぃ!
「ね、念押しメールだ!」
ど、どう答えよう。素直に答えるか。
『こちらこそ』
タイトルはこんなもんか。
『思ったより楽しかったから、こちらこそありがとう
あ、明日は…一応考え中って事で
じゃ、また明日学校でね』
いよし、こんなもんだ。下手に期待させても悪いし、絵文字はなしで。
「送信っと」
緑のランプが光って、送信中を告げる。
「木谷さん、恐るべしだな…」
その後しばらくは、ケータイから目を離せなかった…
~つづく~
夕食後、いつものように勉強タイム。
くどいようだけど私はあんまりテレビを見ない。
ニュース、スポーツ中継、ドラマ、音楽番組、バラエティ、アニメ。
ジャンルは色々やってるけど、見るのは主にニュースだ。
後は、友達やお母さんに強く勧められたドラマくらい。
そんな事はさておき、勉強タイムだ。
といっても、まだ教科書を見返す程度しかしてないけど。
「これをこの学年中にやるのか…高校は重いなぁ…」
っと、あれ?
「メール?」
気付かなかった…
「誰からかな?」
ぱかり。
「木谷さんか…」
今日の事があるからな、来ても不思議はないか。
「なんだろう」
『今日はありがとう』
ふむふむ
『今日は文芸部に付き合ってくれてありがとう。
明日もよろしく』
ひぃぃぃ!
「ね、念押しメールだ!」
ど、どう答えよう。素直に答えるか。
『こちらこそ』
タイトルはこんなもんか。
『思ったより楽しかったから、こちらこそありがとう
あ、明日は…一応考え中って事で
じゃ、また明日学校でね』
いよし、こんなもんだ。下手に期待させても悪いし、絵文字はなしで。
「送信っと」
緑のランプが光って、送信中を告げる。
「木谷さん、恐るべしだな…」
その後しばらくは、ケータイから目を離せなかった…
~つづく~
翌朝、楓と二人で電車を待っていた。
「えりか、昨日はどうだった?」
「んー、部活?」
まさか、ここでこの話題が出るとは。
「そうそう。行ったんでしょ? 文芸部」
「まぁね」
ふぅ、まさかこの話題が出るとは…
「どうだったの? 木谷さんの一押しだったんでしょ?」
「うん。まぁ、楽しかったよ」
一応、嘘は言ってないぞ。
「ん? なんか、声のトーンが…」
「いや、まぁ…」
私は、部長さん達に自分をイメージに作品を造りたいと言われた事、
夜に木谷さんからメールが来た事、を伝えた。
「へぇ~、そんな事が。木谷さんも、本格的なんだね…」
「みたい」
なんか、朝からぐったりだよ。
「で、今日も行くの?」
「一応ね。楽しかったのは嘘じゃないし、ここで断ったら怖そうだし…」
木谷さん、地の果てまで追っかけてきそうだしなぁ…
「確かにねー。木谷さん、地の果てまで追っかけてきそうだよね」
「わ、私と同じ事を」
さすが楓、フィーリング満点だぜ。
「んでも、珍しいね、えりかが乗り気だなんて」
「うん、珍しいかも。きっかけ、なのかな…やっぱ」
木谷さんと出会わなかったら、部活が盛んって情報も入らなかったし。
「いい出会いだったんじゃないの?」
「そう思いたい」
なんて会話をしつつ、電車がやって来た。
「さて、今日も圧縮されますか」
「余計なお肉、減るといいのにね~」
他愛もない会話が繰り広げられる、いつもの朝。
~つづく~
学校に到着して、楓と別れて、私は席でおとなしくしていた。
「木谷さんが来たら…どうしようかな…」
そんな複雑な思い出待つ事十分、木谷さんがやって来た。
「おはよー」
「おはよ」
まずは、当たり障りのない挨拶から。
「昨日は付き合ってくれて、ありがとう」
「ううん、私も楽しかったし。まぁ、夕べの念押しメールにはびびったけど」
さりげなくアピールする。
「あ、もしかして迷惑だった?」
「いやー、そこまでは。ただ、ああいうメールをもらった事がなかったから」
それが正直なところだ。
「なるほど。じゃあ…やっぱりちょっと困らせちゃったみたいね?」
「ご、ごめん、そういうつもりじゃ…」
おっとおっと。気まずい空気にはなりたくないぞ? なんとか盛り返さなきゃ。
「ううん、いいの。もともと私が無理言ったんだし。で、今日はどうする?」
「ぬはっ!」
気にしてるくせに抜かりない! コレなら…雰囲気悪くはならないか…
「えぇっと…一応文芸部にお邪魔するよていだけど…」
「そう、よかった。そうそう、楓さんは?」
ん? 楓?
「楓は行かないと思うよ。運動部限定だし…」
「うん、それは聞いてるから、そうじゃなくて、楓さんは今日どうするのかなー、って」
あぁ、そういう事か。日本語って、難しい。
「今日かぁ…昨日はバスケ部とか言ってたけど、今日はバレー部って言ってたかな」
多分、運動部は全部回るんじゃないかな…楓。
「楓さん、運動得意なんだっけ」
「運動だけはオールマイティだね、楓は。私とは偉い違い」
とはいえ、私だって無能ってわけじゃないけど…
「じゃあ、倉橋さんの得意分野は?」
「わ、私? 私は…」
訊かれて、困ってしまった。無能じゃないといっても、答えには困る。
「うーん、なんだろう…」
「じゃあ、課題ね。部活中に教えてね」
げ!
「何それ~~~。ハードル高いんだけど…」
「そういう、自分を見つめる事も大事なのよ」
はぁ、そういうものですか。
「楽しみに、してるから…」
し、しないで欲しいな…
私は授業中も、この難題と向き合う事になってしまった…
~つづく~
|
Tweet |
|
|
1
|
0
|
追加するフォルダを選択
第36回から第40回