タニグチリウイチの出没!
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タニグチリウイチの出没!

スポーツの場合、名門チーム凋落の瞬間に限らず、優勝とか、勝敗とかが決まった瞬間のようシャッターチャンスという意味での「決定的瞬間」は、常におとずれる可能性がある。名選手の引退試合のような、歴史がひとつ幕を閉じる瞬間といったニュアンスを持つ「決定的瞬間」もある。バルセロナとアトランタの2つのオリンピックで女子マラソンに出場して、銀メダルと銅メダルを獲得した有森裕子選手のラストラン、なんてのも一時代の終焉という側面を持った歴史的な瞬間だったかもしれない。

有森選手
金じゃないけど2大会連続メダルは偉大な記録。ふたたびの「歴史的瞬間」を見られる日に期待!

11月18日。たまたま偶然、日曜出勤ということもあって千代田区大手町にある勤め先にいて昼頃テレビを見てたところに、映ったのが『東京国際女子マラソン』の番組。聞くとコースの途中に大手町が入っていて、もしかすると近所を走るかもとか思って勤務先を出て歩くこと1分。読売新聞と三和銀行の間を走る大きな道路の沿道に、場所もわきまえず朝日新聞なんて旗を持った人がたくさんいて、そうかここを走るのかとカメラを構えて待つこと約10分、パトカーが行き過ぎ、なぜか自転車の先触れ部隊が行き過ぎた後に中継車を前にランニングする集団が近寄って来て、一瞬のうちに見ている観客の前を駆け去っていった。

先頭を走っていたのは有森選手。その勇姿を見る限り、まだまだやれそうじゃないかと思ったけれど、後半疲れが出たようで最終的には10位にとどまった。「一年間競技生活から距離を置き、もう一度、競技についての考え方を改めたい」「区切りをつけたい」といっているだけで、「引退」と明言している訳ではないようだけど、下から上がって来た選手たちの活躍ぶりなんかを考えると、第一線で選手として走るのは、これが最後になる可能性がやっぱり大きい。やっぱり歴史的瞬間だったのかも。ただ、たとえ次に走る機会があったとしても、空気に寒さの混じり始めた東京の街を、さまざまなプレッシャーをものともせず、さっそうと駆け抜けていった有森選手の姿は、それを見た人にとって、やっぱり「決定的瞬間」だったといえる。ヴェルディと同様、”その一瞬”がまた訪れることを、なんだか期待したくなった。ヴェルディファンには御免。

『東京スタジアム』では体験できなかった歴史的な瞬間に、もしかしたら立ち会えるのかもしれないと思っていた12月1日。テレビが伝えたのは皇太子妃雅子さまに女の子がお生まれになったという報で、前回は、つまりは現在の皇太子が誕生した時にはまだ生まれていなかった身として、もしかしたら今回、後に天皇となる人物の誕生に、同時代という意味で居合わせられると思っていただけに、お目出度いことはお目出度いとこだとは思いつつも、肩すかしを食らったような感じがした。

皇居にて記帳
この日本には、皇室が好きな人がまだこんなにもいるのです、現実に。

とはいえ、紀宮の誕生以来、実に9人連続の女児誕生となった宮家では現状、秋篠宮より年下の、「皇室典範」に照らした皇位継承者がいないことになっている。女性天皇の即位も可能になるよう、「皇室典範」の改正がクローズアップされて来たなか、あるいは長子の系統なら男女を問わず皇位を継続させていくような改正が行われれば、今回誕生となった内親王が、久方ぶりの女性天皇に即位する可能性だってないわけでわない。むしろ浩宮さま誕生の時以上に、歴史的な瞬間になり得る可能性もある訳で、なるほどこれは一大事と気を取り直し、明けた12月2日、皇居へと記帳なんてものをしに行ってみた。

いや凄い人波。入場口となる坂下門の前に開門の1時間前に到着すると、すでに数百人規模の行列が出来ていて、天気も良いってこともあったんだろうけれど、日本にはまだまだ皇室に敬意を抱く人たちが、老若男女を問わず結構な人数、いたんだってことが確認できた。開門後はぞろぞろと歩いて記帳所へ。旗をたてて国旗を振ってる人もちらほらいたけど、言動とか扮装からして右に傾倒した人はそれほどいなかったのが少し意外。粛々としつつも庶民的な雰囲気で、こういうのが”愛される皇室”の姿なのかもと考えてみたりする。そういうと、すぐさま「国家総動員が云々」といった議論が出てくるけれど、警備の警官の不手際ぶりを罵倒するおばさんたちも大勢いたから、権威は権威として敬いつつも、権力にはおもねらないミンシュシュギを、国民、まだまだちゃんと持っているらしい。

内親王誕生記念スタンプ
昨日の今日で用意できるのも国民的な慶事だから。幾つも押して帰った人、持って帰ってどうするんだろう?

皇居で記帳、というからには、筆で黒々と名前を書くのかと思っていたら、サインペンだったのでこれまた肩すかし。持参の筆でサラサラと書いて、落款までボインと押す人とかいたら面白かったけど、大渋滞の中でそんなことをしたらひんしゅくを買うことは確実だから、誰もやっていなかったみたい。終わった後で、記念のスタンプを押せる場所があったので並んでひとつボイン。この記録が、本当に久方ぶりの女帝誕生を意味するものになるのかどうか、今後の動きは注目だ。おや、日付がカスれてる、価値半減、かな、やっぱ。

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