TINAMIX REVIEW
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日本マンガ学会 第一回総会・大会レポート

日本マンガ学会 第一回総会・大会レポート

ともあれ、マンガ学会は発足した。「 マンガを学問的に研究する」ことが軽い驚きを持って迎えられ、そのこと自体でニュースに成りえる段階は過ぎた。今年7月29日、正式なマンガ 学会の設立が伝えられて以降、2001年後半の状況を一言でまとめるのならば、こんな感じになる。

TINAMIXでは、昨年から数次にわたり「学問的 マンガ研究」の動きをフォローしてきた(伊藤剛「2000年の学術的 マンガ研究の動き」2000.12小田切博「マンガ学会設立大会レポー ト」2001.8)。詳しくはそちらを参照してほしいが、再度、ここまでの経緯をまとめると、マンガ学会設立に向けた動きが具体的になったのは、'98年の日本マンガ学会設立準備会設 立以降のこと。さらに今年度、京都精華大学(芸術学部にマンガ学科を擁する)が表現研究機構のうちにマンガ文化研究所を設立し、当面はここにマンガ学会の事務局を置くかたちで 学会活動がはじまっている。

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さて11月3日、4日の2日間、第一回大会が開催された。 理事挨拶などのセレモニーが行われた後、夏目房之介氏と呉智英氏の対談形式による基調講演が行われ、翌4日には、午前と午 後、それぞれ3つの分科会が持たれた。いずれにしても、 学会理事による講演会を行うというかたちである。参加者も交えたディスカッションも若干なされたが、一般の「学会」で行 われる研究発表とは、若干、形態の異なるものだろう。と はいえ、内容はそれなりに有意義なものであった。その内容その他については、次回のレポートで詳しく記すことにする が、読者の関心にこたえるため、以下に分科会のタイトルを列 挙しておく。なお、夏目房之介氏は現在のところ学会理事でもなく、また会員でもない。具体的な第一期役員の名前な どについては、マンガ学会のページを参照してほしいのだが、このことはあらためて注記しておく。>>次頁

3日
大会
「冗談からコマ-マンガ論? マンガ評? マンガ学?」
夏目房之介 VS 呉智英
4日
分科会【午前の部】
「評論・研究のあり方をめぐって -深読みと評論の間-」
呉智英/長谷邦夫/村上知彦
「マンガ資料の収集・保存 -セワシくんは「ドラえもん」を読めるか-」
秋田孝宏/内記稔夫
「マンガと美学 -はたしてこの両者は「敵」なのか-」
ジャクリーヌ・ベルント
分科会【午後の部】
「漫画史はなぜ必要か」
小野耕世/清水勲
「マンガと産業 -キャラクタービジネスを中心に-」
牧野圭一/米澤嘉博
「少女マンガ・リテラシー -コマ割りと心のアヤシイ関係-」
笹本純/藤本由香里
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