「そいじゃ、また明日ねー」
私達は、駅で木谷さんと別れた。
木谷さんはこのまま終点まで行って、そこで別の路線に乗り換えるルート。
「木谷さんて、結構勢いのある子だねぇ」
「だね。いきなり『付いて来ていい?』とか言われた時は驚いたけど」
ホームを降りてからは、二人だけのおなじみタイムだ。
「まぁ、私達が何年も付き合いがある分、追いつきたいんじゃない?」
「うーん、それはあるか…区別したり分け隔てしたりはないけど…」
でも、同じくらいに、ていうのはあるよなぁ~。
「でも、この段階で仲良くなれたんだし、気にしなくていいと思うんだけどねー」
「確かに、三年間続くと思えばね。といっても、人それぞれか、そこは」
人それぞれ、この言葉は最強だと思う。という持論はともかく、
木谷さん的には色々気になるんだろうな。
「んじゃ、また明日ねー」
改札をくぐって、別れの挨拶を。
「ん? 楓じゃん」
「ん?」
不意に声を掛けられた楓。男の子の声?
「なんだ、雪じゃん」
「なんだってなんだよ。俺がいちゃ悪いのか?」
「雪君、お久~」
そこにいたのは学ラン姿の中学生。
「えりかサン、お久~」
軽く手を挙げて挨拶してくれたのは雪君。楓の弟だ。
「あんた、今帰り?」
「一応」
「一応って…寄り道したでしょ」
一応。今まで雪君がそう言った時は、大体どっかで寄り道した時だ。
「ったく、早く帰りなさいっていつも言ってるでしょ…」
「中二にもなって姉貴の言いつけ守ってる奴なんていねーって。それより、
楓も帰りだろ? 護衛代、くれよな」
「…一緒に帰っただけで姉に護衛代と称してお小遣いをせびる弟…」
すごい姉弟関係だ…
「言ってるだけで、渡した事はないけどね。こっちがお目付役みたいなもんだし。
んじゃ、また明日ね~」
「おう、また明日~。雪君も、道を踏み外すなよ~」
「当然だろ? えりかサンこそ、変な男に引っかかるなよ~」
手短な会話と軽快な挨拶を交わして、楓姉弟と別れた。
「さて、帰りますか」
夕暮れ時の街並を、私はてくてく歩いて行った。
~つづく~
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第20回