No.969956

スマブラ Abandon World 43「アスティマの本性」

Nobuさん

ついに、ヒロイン・アスティマの「本当の目的」が明かされます。

2018-10-11 16:52:00 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:860   閲覧ユーザー数:860

「……」

 一面の暗闇の中、ゼルダはぼんやりと外の様子を見ていた。

「これは……何ですか……?」

 今、ゼルダはリンク達を攻撃している。

 それは当然、彼女が望んでいなかったが、ゼルダは抵抗しようとしても動けない。

「私の身体なのに……誰かに勝手に動かされているようで……気持ち悪いです……。

 でも……ここで負けるわけには……!」

 ゼルダは必死で、闇の呪縛を解こうとしている。

 それは、外での戦いだけでなく、内での戦いでも同じだった。

「お願いです、みんな……。私を、助けてください……!」

 もうこれ以上、皆を、リンクを傷つけたくない。

 ゼルダの思いは、今、ハオスがかけた闇の呪縛を上回ろうとしていた。

 当然、ハオスの力は非常に強かったが、ゼルダの思いも徐々に強まっている。

 

「リンク……待ってください……。今、私が行きますから……!」

 そして、ゼルダがようやく闇の呪縛から解放されかけ、彼女が前に一歩踏み出した時。

 

―ゼルダ……俺の目を……見ろぉぉぉぉぉぉぉ!!

 

 大切なリンクの声が、聞こえてきた。

 そして、リンクの左手がゼルダの右手に触れると、ゼルダは暗闇の中から脱出した。

 

「ゼルダ!!」

「……ぅ……リン、ク……?」

 気が付くと、ゼルダはリンクに抱きかかえられていた。

 彼女の瞳には光が戻っており、真っ直ぐにリンクの方を向いている。

「ゼルダ……戻ってきて、くれたんだな……」

「ただいま……そして、多くの罪を犯して、ごめんなさい……」

 ゼルダは洗脳されていたとはいえ、リンクを傷つけ、シークを追い詰め、

 魔物を使役してハオスに加担した。

 彼女は洗脳が解けてからもこの事をはっきりと覚えており、その両目からは涙が出ていた。

「ゼルダ……長い間、暗い闇に閉じ込められていて辛かっただろう。

 だが、もうお前は自由なんだ。解放されたんだ。お前に眠る光が、お前を縛る闇に勝ったんだ。

 だから、俺はもう……お前を二度と、闇に奪わせない。そして、お前を闇から永久に守ってみせる」

 リンクはそう言って、ゼルダをぎゅっと強く抱きしめた。

 

「しばらく、二人だけにしようか」

「そうね」

 マリオ達は、それを温かい目で見守っていた。

 

「お、元の場所に戻ったぞ」

 そして、ゼルダを支配していた闇の力が消えた事により、

 この空間も消え、マリオ達は元の場所に戻った。

「これで、スマブラメンバーがみんな集まったね!」

 クラウド、カムイ、ベヨネッタを救出し、ハオスに洗脳されたゼルダも元に戻った。

 これにより、スマブラメンバーは全員揃ったという事になる……一人除いて、だが。

「後は、どうやって世界を救えばいいのか、アスティマに聞いてみるか」

「アスティマ? 誰だ、そいつは……」

「私も分かりません」

「私もよ」

「ありゃりゃ」

 どうやらクラウド達はアスティマの事を知らないらしい。

 マリオがアスティマについて話すと、三人は納得したように頷いた。

「だが、アスティマは今いなくなってるんだぞ?」

「きっとラストホープに帰って来てるさ。最後の仲間も助けたんだし、報告しに行こうぜ!」

「ああ!」

 マリオ、リンク、カービィ、フォックス、ブラックピット、クラウド、カムイ、

 ベヨネッタは意気揚々とラストホープに帰っていった。

 しかし、ピカチュウだけは浮かない顔をしていた。

 

「……なんだか、嫌な予感がする……! 的中してなければ、いいんだが……」

 こうして、スマブラ四天王一行はラストホープに戻った。

 入り口では、アスティマが杖を持って立っていた。

「ただいま、アスティマ! ほら、この通り最後の仲間もゼルダも助けたぜ!」

「……」

 マリオは喜んでアスティマに報告をしたが、アスティマは黙ったままだった。

 何が起こったんだ、とクラウドが話しかけようとすると、突然、アスティマがこちらに杖を向けた。

「……アスティマ、何をするつもりだ!」

「……ライトチェーン!」

 アスティマはマリオに狙いを定め、杖から蛇のように動く光の鎖を放った。

 クラウドはバスターソードでそれを弾き返すと、すぐにそれをアスティマに向けた。

「何が目的だ。そして何故、マリオを狙った」

「まさか、お前……ハオスに操られたのか!?」

「いいえ。マリオさまを攻撃したのは私の意思です」

「何……!?」

 あまりに衝撃的な発言に、リンクは驚愕した。

 クラウドもアスティマの事を良く知らないが、その顔は度肝を抜かれているかのようだった。

「私はハオスとの戦いで、思い出したのです。

 自分が何をするべきか、そしてこの世界を救うためには、どうしたのかを」

「なら、どうやって世界を救うわけ?

 信じていた仲間を攻撃した時点で、お嬢ちゃんは救世主として失格よ」

「あなたが何をしたいのかは分かりませんが……マリオさん達を傷つけるなら、私も戦います」

 ベヨネッタとカムイに武器の先を向けられたアスティマは、ゆっくりと口を開いた。

「この世界の終わりにして始まりは、ピュアカタストロフでした。あれは……私が生み出したのです」

 

 マスターハンドとクレイジーハンドは、この世界の果てで綺麗な水晶を見ていた。

「完成したんだな、マスターハンド!」

「ああ、ついに完成した。これが人々の思いを力に変える魔導具、コルプネウマだ」

 マスターハンドが作った魔導具、コルプネウマ。

 それは人々の強い思いに反応して、その思いを具現化するもの。

 もし人々が幸福を願ったならば、コルプネウマは本当に幸福を運んでくれるのだ。

「クレイジーハンド、君がいたから私はここまで来る事ができたんだ。

 これは、私とクレイジーハンドで作った共同作品だ」

「共同作品……か。ああ、なんだか嬉しいな」

 

 コルプネウマは人々の幸せのためにマスターハンドが作ったが、その後に起きた事は非情だった。

 長く続く生活と乱闘のせいで人々の心は倦み疲れ、次第に病み始めていった。

 世界を闇が取り巻いていき、そしてその闇に、コルプネウマは反応してしまった。

 そして、その結果、ただこの世界を滅ぼすだけの存在、ピュアカタストロフが生まれた。

「なんだ、これは……!」

「あれは人々の心の闇が具現化したもの……。名を、ピュアカタストロフという……」

「何という事だ……マスターハンドの思いが、こんな結果を生んでしまうなんて……」

「ああ……全て私のせいだ……。人々の心を考えずに、こんなものを作ってしまった……。

 私が、コルプネウマを作りさえしなければ……!」

 

 突如として出現したピュアカタストロフは、瞬く間に大量の魔物を呼び出し、世界を蹂躙していった。

 マリオの死と引き換えに魔物はある程度討たれ、そのままピュアカタストロフも討とうとした。

 だが、ピュアカタストロフの力はあまりにも強大だった。

 マスターハンドとクレイジーハンドの二柱の神、彼らに付き従った守護者をもってしても、

 ピュアカタストロフを倒すまでには至らなかった。

 世界は破壊されていき、文明も、世界法則も失われていった。

 そこで、クレイジーハンドは世界が完全に消滅するのを阻止するべく、ある行動に及んだ。

「何をするんだ、クレイジーハンド!」

「もう、ピュアカタストロフを止めるためには、こうするしかないんだ!

 止めないでくれ、マスターハンド!」

「やめろ……やめてくれぇぇぇぇぇ!!」

 クレイジーハンドは、ピュアカタストロフに単身で戦いを挑んだ。

 戦いはクレイジーハンドの勝利で終わったが、クレイジーハンドは神としての力を失った。

 そして、その余波でマスターハンドも力を失い、

 マスターハンドはアスティマ、クレイジーハンドはハオスとして生まれ変わったという。

「……これが、全ての真実です」

 アスティマは、全ての真実を語り終えた。

 その場にいた全員は、驚きのあまり固まってしまった。

「……アスティマ、これからどうするつもりだ」

「だから私は、ピュアカタストロフを呼び出し、

 この世界を完全に破壊した後に、新たな世界を創造するのです!

 私の中に残る、マスターハンドの力で……!」

「アスティマ……!」

 世界を救おうとするアスティマの眼は本気だった。

 そして、彼女が呪文を唱えると、灰色の空があの時のように引き裂かれた。

「後は、時間が経てば、この世界の過去からピュアカタストロフは現れます」

「そんな!」

「また、破滅を起こす気か……!? あれほど破滅は防ぎたいと言ったのに……!」

「何とか、復活を止めなきゃ!」

「なら、お前を倒してピュアカタストロフとやらの出現を止めるまでだ」

 覚悟を決めたクラウドはバスターソードを構えた。

「お前の事はよく分かっていないが……こいつらは、俺が守る!」

 

 スマブラメンバーとアスティマの戦いが始まった。


 
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