No.95725

真・恋姫無双 季流√ 第9話 外伝~春一番!~後編

雨傘さん

春一番後編になります。
応援ありがとうございます!
色々な言い訳はあとがきで……

2009-09-16 18:57:33 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:42397   閲覧ユーザー数:24669

 

「まだか……北郷」

 

城の場内が夕方になって時間も経ち、もう夜に差し掛かるというところ。

 

今日の中庭は煌々と明るく照らされていた。

 

そこで春蘭は北郷一刀をまだかまだかと待ち続けている。

 

この1週間、城の雰囲気は今までとうって変わり最悪であったといっていいだろう。

 

華琳はずっと不機嫌だし、普段は仲介役の秋蘭も無表情のためにわかりにくいが、絶対に不機嫌だった。

 

彼女の姉である春蘭は、この1週間ずっと暇を見つけてはひたすら剣を振るって自らを苛めぬき。

 

季衣や流琉もその訓練相手を文句1ついうでもなく付き合い、この1週間でボロボロになっていた。

 

無論その分実力はついたのであろうが……

 

実質的な不幸といえば桂花が1番かもしれない。

 

この1週間、全然華琳には相手をしてもらえず、春蘭の分の政務まで多く処理していたので誰よりも頑張っていた。

 

そしてその間……北郷一刀の姿は城内でほとんど誰も見かけることはない。

 

今日という夜、1週間前と同じメンバーが揃う夜。

 

いまだ北郷は姿を現していない。

 

「まったくもう! あのクズ男! 華琳様を待たせるなんていい度胸よ!

 華琳様~どうせ逃げたんですよあの精液男は!」

 

「に、兄ちゃんは逃げないよ!」

 

「そうです! 兄様は絶対に来ます!」

 

2人は桂花に反論するのだが、クズとかは否定しないでいいのだろうか?

 

「そうですね、私も北郷が逃げるというのは考えられませんが、これは少々遅いかと……」

 

秋蘭が立ち上がって北郷の部屋でも見に行こうとすると、黙っていた華琳が口を開いた。

 

「黙りなさい……来たわ」

 

その言葉に全員が華琳の視線の先を追う。

 

照明が照らされていない先……暗闇の中から足だけが覗いていた。

 

ざ ガジャ ざじゃ

 

一歩一歩、訓練場の中心へ向かう一刀。

 

その姿が照明のもとに照らされていくにつれ、久方ぶりの姿が露になっていく。

 

「「「「「あ?!」」」」」

 

皆、その姿を確認すると一様に驚く。

 

彼は普段街で買った質素な服か、兵士に支給される軽装に仕立てた戦闘服を着ている。

 

一刀が持ってきていた白く光る服は目立つため、普段は着させていないのだ。

 

だが、今見る一刀の姿は誰も見たことが無い。

 

黒を基調とした上下、服の型は彼が持っていた制服なるものに近い……現代で言うならば黒のワイシャツにパンツだ。

 

そして木刀を持っている一刀のその手には、くすんだ黒色で鈍い光を放っている金属があることに気づく。

 

「? ……なんですって? まさか!」

 

華琳が1つの可能性に辿りついて驚く、春蘭も秋蘭も気がついたようだ。

 

「え、え? 華琳様、どうしたんですか?」

 

季衣がよくわからなくて華琳に尋ねるが、彼女はうわの空のように呟く。

 

「拳闘……だというの?」

 

”拳闘”……要するに格闘だ。

 

「しかも、足にも仕込んでいるわね」

 

歩くたびにわずかな金属音が混じっている。

 

ここにいる全員勘違いしていたのだ、彼は普段日本刀と呼ばれる天の武器を持っていたから……

 

北郷一刀の本来の戦闘スタイルは武器というより体術なのだ。

 

木刀1本など、彼にとって全力を出せる状態から程遠い。

 

そしてその状態で春蘭の相手など、できようはずが無いのだ。

 

皆が一刀の意外な格好に驚いていたのだが、それと同時に疑問に思うこともあった。

 

__見たところ一刀の手足の金属は動きを邪魔しないよう最小限に作られている。

 

それは一刀にとって動きを抑制する装備は、当然彼自身の長所を潰すからだ。

 

軽量化を図るため一刀の甲は全体を覆うタイプではなく、手袋に金属片を取りつけた形の甲になっている。

 

だがそんな薄くスカスカの金属では、攻撃時に拳を守るのに使えるにしても、敵の攻撃の防御には全く使えない。

 

弓くらいなら当たれば弾くだろうが、剣での攻撃……ましてやアノ春蘭の一撃など受けとめるどころか、かすっただけで一合と持たずに壊れるであろうことは疑いない。

 

あんなものでどうするのか?

 

 

それは華琳達にはわからなかった。

 

 

 

「またせたね、春蘭」

 

苦笑しながら体を解すために軽く動かす一刀。

 

「あぁ。

 ……今日は、本気でやってくれるのか?」

 

その視線を真っ直ぐに受けた一刀は笑っている顔を真顔に戻し、その視線に応えた。

 

「勿論だ、ただ前は誤解があったから訂正をまずしておきたい。

 春蘭達は俺が手を抜いていたと考えているみたいだけど……俺は本気ではあったよ」

 

「…………」

 

「反撃をしない俺に疑問に持ったんだろうけど、反撃をすれば俺はどうあがいてもやられていた。

 だから仕掛けなかった、俺の師匠の教えは”生き残れ”ただ1つなんでね……ただそれだけなんだよ。

 …………だからさ…………」

 

「だから?」

 

睨み続ける春蘭は一刀の次の言葉を待つ。

 

「今回は勝つための準備……してきたからね。

 春蘭、君を倒させてもらうよ」

 

そう言い放った一刀はニコリと笑う。

 

その言葉を受け取った春蘭は、歓喜で体が震えるのがわかった。

 

「く、ふふ……ハッハッハ! 言ってくれる!

 そう易々と私を倒せると思うなよ! いや、私が勝つ!」

 

春蘭が満面の笑みで模擬大剣を構える。

 

それを見て一刀もスラリと木刀を構えた。

 

1週間前の再現、だけれど何かが違うはずの光景。

 

ダッ

 

「ハアアァァァアアアア!」

 

最初に動いたのは、やはり春蘭だった。

 

相変わらず、いや1週間前に比べ更に力強さが増しただろうか?

 

反則的なまでの俊足は、やはり反則的に間合いを詰めていく。

 

ゴウッという音と共に嵐の連撃が始まった。

 

そして一刀は避けて、避けて、避け続ける。

 

台風の中を舞う木の葉のように逆らわず、かといって流されず。

 

その冷徹な観察眼で全ての豪撃を避け続ける。

 

一般人が見たら、この光景は1週間前の光景の焼き増しに見えると言うだろう。

 

実際、華琳や秋蘭のような実力者さえ両者の雰囲気が違うのはわかるのだが、それ以外に大差はないように思えるのだから。

 

あえていうならば北郷の回避に違和感か?

 

だが、直接相対している春蘭は明らかに北郷が以前と違うことを感じていた。

 

__なんだ? この動きは?

 

北郷の動きがおかしい、自分の連撃に晒されているだけのはずの人間が、自分の何かを狂わしてきている。

 

__何だ? なん?!

 

 

「え?」

 

視界から北郷が消えた。

 

 

 

 

 

 

一瞬の、空隙。

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!!」

 

春蘭は己の動物的勘が発した危険信号に反応して、大剣を大きく横薙ぎに振るう。

 

振るった大剣のその先には、北郷が攻撃を避けるために後ろに飛びずさっていた。

 

「どう……したというの?」

 

華琳が今起きた一瞬の攻防がわからなくて動揺する。

 

春蘭の側面に一刀が移動したのにも関わらず、春蘭がまるで反応できなかったように見えた。

 

横薙ぎでなんとか振り払ったが……

 

__こんなことがありえるの、あの春蘭が?

 

「……姉者?」

 

秋蘭も唖然としている。

 

それほどまでに理解ができなかった。

 

距離を置いた春蘭は北郷を睨んで牽制し息を整える。

 

懸命に事象の理解を目指すが、辿り着けない。

 

__なんだ? 何故今見えなかった! その前の、ブレたようにな……ハ?!

 

思考する春蘭が気づいたときには、北郷が自分との間合いを詰めている。

 

いつの間にか鋭い蹴りが春蘭へ向かって放たれていた。

 

__な、なんだ! いつ?!

 

慌てた春蘭は体をくの字にしてバッと飛びずさった、初めての後退だ。

 

彼女は普段から後退など滅多にしない、その彼女が本気で退いたのだ。

 

ほんとうに何が起きている?

 

今のだって華琳達からすればだが、北郷はさして早く春蘭に近寄ったのではないように見える。

 

だが、春蘭はまるで反応ができていなかったかのような振るまいだ、あの程度反応できないわけがないのに……

 

そしてその最中、春蘭は混乱の極地にいた。

 

一体何が起きた?

 

背中にじっとりとした汗が浮かぶ。

 

「……ぐ、おおおぉぉぉぉおおおおお!!」

 

このまま主導権を握られたままでは不利だ。

 

そう感じた春蘭は気合を入れなおし、持ちうる力を獲物に伝えて突撃する。

 

再び巻き起こる暴風。

 

「……クッ」

 

一刀はその連撃をたやすく交わしているように見える、だが本人は内心ヒヤヒヤしているのだ。

 

この回避が実現できているのは己の集中力を極限まで高め、多大な精神力を消耗しているからこその芸当だ。

 

つまり長期戦は絶対的に不利。

 

だからこそ今度は一刀も攻める。

 

クンッ

 

豪撃をかわした北郷は膝の力を抜き”前進”する。

 

力を抜いて前進する歩行術だ。

 

「何?!」

 

驚く春蘭、北郷一刀が何時近づいてきているのかがわからない。

 

移動する時に力まないということは、相手にはいつ動き始めたか認識できないということだ。

 

これを把握しようとするのは至難の業。

 

むしろ初めて体験する春蘭が、遅れながらでも反応していることが異常すぎる。

 

ブンッ”チッ”ドグッ

 

「グゥッ!」

 

一刀の振るった木刀を避けた春蘭の体に、予想外の方向からの蹴撃が襲う。

 

ただでさえ動きが捕らえ難い一刀から放たれる変幻自在な攻撃、それは春蘭に致命傷ではないにしろダメージを蓄積していく。

 

木刀の攻撃を囮にしているのだ、しかもその木刀でさえ軌道が不規則に変わったりしている。

 

「ッハ!」

 

ダダン!

 

一刀が1つ吼えると急速な前進。

 

「なぁ?!」

 

春蘭に動揺が走る。

 

__今度は急速な加速だと!? なんなんだ! 動きの緩急が激しい上に、時折全く動きが読めない! ……消えてしまう!!!

 

懐に入り込まれた黒い塊の一刀に、春蘭は背中に猛烈な悪寒を感じてすぐさま大剣を盾にするように目の前に持ってくる。

 

ガガンッ

 

手に伝わる2回の衝撃、響く金属がぶつかる音。

 

一刀は急速に間合いに踏み込むと、かつて沖田総司が得意とした技である、三段突きを喉元に繰り出していた。

 

__防がれたか?!

 

三段突きは、目にも止まらぬ鋭く早い打突きを三撃する技。

 

__二撃までしか出来ないとはいえ防がれるとは!

 

だが春蘭もギリギリで防いだのには違いない、大剣で視界も塞がれている。

 

一刀は春蘭の空いているボディに、重心を落として抉りこむようなショルダータックルを入れ、空へかち上げた。

 

「おおお!?」

 

腰から曲がった春蘭の体が、宙にフワリと上がっていく。

 

空中では誰しも身動きがとれない、例にもれず春蘭も浮遊する体の感覚に戸惑う。

 

一刀はこれで止めだといわんばかりに、更に春蘭の視界から逃れるように移動してから、完全な死角へ木刀を振り上げた。

 

「やら……れるかぁ!!」

 

空中に投げ出されたままの春蘭は、質量の重い大剣をおもいっきり横薙ぎにし、その勢いに任せて空中で横回転する。

 

春蘭の獲物の特性と、化物並の膂力があってこその芸当だ。

 

ブァン

 

「っおわ!?」

 

「っつ!」

 

あまりに常識外れの行動に目測を誤った一刀の木刀は春蘭の右肩を掠っていき、春蘭の勢い任せの回転斬りは一刀の左肩を掠めていく。

 

__嘘だろ、今のは決まってくれないとちょっと困るんだけどな……

 

流石に受け身は取れずにグシャっと地に落ちる春蘭だが、直ぐに獣が跳ねるように飛び上がって一刀から離れる。

 

 

 

 

ズザザザザァァ

 

片手を地につきながらブレーキをかける春蘭、まるでその体勢は黒豹のようで……

 

象徴的な長い漆黒の髪が、振り乱れ舞っている……土で汚れていてもそれはどこか優雅でさえあり……

 

その舞う黒髪の中で光る双眸が、一刀だけを射抜いていた。

 

 

 

 

__まさか……これほどとは……

 

一刀の額から重い汗が滴り落ちる。

 

でもここで手を休めるわけにはいかない。

 

すぐさま駆け出した一刀は全動作の中に虚を混ぜ始める。

 

いわゆるフェイントと呼ばれる技術だが、一刀くらいになるとその技術はマジシャンが使うミスディレクションに近いのかもしれない。

 

視線を、意識を自分の目的から逸らさせる技術、それを自分の獲物である木刀と自分自身にランダムにかけていくのだ。

 

「グゥッ?!」

 

春蘭はもはや自分の視覚を信じることができなくなっていた。

 

視覚に頼ると北郷を不意に見失うのだ。

 

__このまま、私は負けるのか……?

 

__いや、まだだ!! これで負ける夏侯元譲ではないはずだ!!!

 

 

覚悟を、決めろ。

 

 

自分の感性を、身体を、勘を信じるのだ。

 

1度でも違えば致命的な隙が生まれ、一瞬で負けるだろう。

 

__だが、これしかない!

 

 

そして、この”覚悟”は春蘭に新しい力を与えることになる。

 

 

 

ナニかが、外れた気がした。

 

「~~~~~~~~~~!!」

 

 

 

言語を絶する咆哮を上げた春蘭は、凄まじい蹴りを繰り出す。

 

「な、グォッ!」

 

予想外のカウンターに、一刀はどうにか後ろへ跳んで威力を軽減したが、それでも腹に鈍い熱が走る。

 

「ガハァッ」

 

空気が漏れる一刀は、恐る恐る腹を触る。

 

__折れてはいない……よかった。

 

なんだよ今の? ただでさえ化物然のパワーにスピードが増したのか? ……いや違う、キレが今までと全く違うんだ。

 

__これは…………なんか覚醒しちゃったかな? ハハ、参った……な!

 

一刀はここで攻められると流れを持っていかれると悟り、悲鳴を上げている体を無視して駆け出して動きを止めず、あらゆる手で攻撃を繰り出していく。

 

ときおり春蘭からの反撃もあるが、かわし、攻められ、かわし、攻められという状況が続いてきた。

 

いつの間にか拮抗している状況に、華琳達は目を皿のようにして食い入り見つめている。

 

「一体……これは何が起きているというの?」

 

華琳は流れる汗に気づいていたが拭う気になどならなかった。

 

一瞬でも目を離すものか。

 

この異常な事態の一切を網膜に焼き付けねばならない。

 

何度も春蘭の無防備な側面をとる北郷、一体どうやっているというのか?

 

わからないが絶対に、北郷が何かをやっているのだ。

 

確信だけはあるのに、正体が朧の如く掴めない。

 

そしてそれが確かだとするのであれば……それを抑えている春蘭もまた異常。

 

彼女の動きは、もはや先程とは比較にできない。

 

華琳は予想外の事態に、呼吸をすることさえ忘れてしまいそうになっていた。

 

 

そして2人の勝負は続いていく。

 

 

 

一刀が攻め手をとってから幾許かの時間が過ぎた。

 

徐々に一刀の息が上がってきている、だが意外な事に春蘭もそうなのだ。

 

まだ自身の力を完全に扱えきれていないらしい。

 

だが、それでも焦っているのは一刀に間違いが無かった。

 

__俺が先にバテる……

 

例え疲れやすくなっているといっても、彼女の体力切れを待つなどあまりにナンセンスだ。

 

春蘭はもう感じるままに闘うことを覚悟しているようだし、彼女の異常な戦闘センスは常人で不可能のそれを可能にしている。

 

もはや闘神だ。

 

そこまで考えが至ったとき、一刀は1週間前に反撃をしなかった自分を急に褒めてやりたくなった。

 

準備をし、装備を固めて今こうなのだ、真剣ならまだしも木刀だけでは勝負にすらならない。

 

ニヤ

 

だが、今回は自分も十全の準備をしてきたのだ、どんな反撃でもかわしてみせよう。

 

ふぅ、と1つ息を深く吐くと、木刀をギュッと握りなおす。

 

 

__いくぜ…………春蘭?

 

 

 

一刀は覚悟を決めると一気に後ろへ飛びずさった。

 

かなりの接近戦で消耗を続けていた春蘭は、それで1息つこうかと考えたが、一刀の構えが極端に変わりそうもいかなくなった。

 

__? なんだ、あの構え……

 

木刀を右片手で持ち、肩の高さまで上げている。

 

更に腰の重心を下ろし、左足を前に開く。

 

切っ先は水平というよりむしろ柄よりも若干下がっており、左手がその切っ先を誘導するように添えられていた。

 

__これは、あまりに極端な前傾姿勢……攻撃方法が見え見えではないか。

 

春蘭はその構えを見て、捨てた視覚に再度集中する。

 

その速さを捉えることが肝要と判断したためだ。

 

”片手平突き”

 

そう、まさに完全な”突き”の姿勢。

 

一刀はかつての新選組でも有名な平突きの構えをとっていた。

 

ふぅぅ……フッ!

 

一気に息を吐いた一刀は、そのまま一直線に駆け出していく。

 

それは今までで一番早い駆け出しだ。

 

恐らく北郷一刀が出せる前進速度最速を示しているだろう……だが……

 

__春蘭に遠く及ばない。

 

それはこの場にいる一刀自身をも含む、全員共通の認識だ。

 

それでも一刀は突っ込んでいく。

 

春蘭は北郷の木刀の切っ先を注視していた。

 

こんな極端な突進攻撃、初撃こそ脅威だがそれをかわせばなんてことはない、これは一種の捨て身攻撃だ。

 

一刀が間合い3歩外まで迫る。

 

 

まだ遠い。

 

 

春蘭はその一瞬を見逃すまいと集中していた……が、彼女を幾度も救ってきた閃きに似た直感が囁いたのだ。

 

 

 

__本当に、そうか?

 

クワッ

 

 

 

春蘭はあらゆる筋肉を総動員し、大剣を自分の前に立てるように横に振るった。

 

__まだ間合いの外にいるはず!

 

だがまさかと思う手に、伝わる触感。

 

もはや考えてなどいないのだろう。

 

春蘭が最後に首を右に曲げることができたのは、生存本能以外に説明がつかない。

 

自身の頬がヒリヒリと日焼けのように痛んだのは、随分時間が経った後だと思う。

 

それほどまでに、今の交錯の瞬間2人は濃縮された長い刻を感じていた。

 

春蘭が左に視線を移すと、左頬ギリギリに木刀がある。

 

剣で突きの軌道を逸らし、首を曲げて避けていなければやられていた。

 

そしてそう春蘭が考えていると同時に、一刀はこれでもかというほど驚愕していた。

 

これはあくまで訓練だ、だが木刀でまともに急所に突きを入れれば、怪我で済まなくなるのも事実。

 

だから右肩を狙った。

 

そして同時に一刀はこの突きは避けられるだろうと予想していた。

 

突きはただの威嚇、この突きをかわせても春蘭は体勢を崩すだろう、そこへ次撃の木刀による横撃と、左手による影からの拳撃が本命だったのだ。

 

今までの春蘭なら避けたとしても不思議ではない、が彼女は”防い”でしまった。

 

かわしたのなら勝負は恐らくついたのに……

 

この体勢、片手平突きの利点である次撃の横撃が放てないこの状況。

 

剣で軌道を逸らし、危なく顔面に当たりそうになった突きを更にかわすとは……

 

もう何度目かになる思考外の展開に、一刀の背中にビリリとかつてない戦慄が走るのも無理はない。

 

一刀はこの超速の突きに、いくつかの歩行術の要素を加えている。

 

間合い外からのチェンジ・オブ・ペースに、間合い内では縮地法。

 

これだけタイミングをずらし、錯覚を折り混ぜて放った突きの切っ先など、目で追えるわけがないのだ、だが勘ではこの攻撃を避けれても防げるわけがないはず。

 

だが、彼女はやってのけた……表情を見る限り彼女自身でも驚いている事態だ。

 

しかし、お互いに想定外なれど未だ勝負はついていない。

 

春蘭は大分不恰好な姿勢なのでろくな力を入れられないが、大剣の特性である質量に期待してそのまま一刀へ振り下ろそうとする。

 

一刀は迫ってくる剣を目前にして、体を思いっきり後方へ逸らし右足に全体重をかけながら、左足の方で大剣の刃を思いっきり蹴り上げた。

 

ガキィィン

 

足に仕込んだ金属が悲鳴を上げ、金属片が舞う。

 

__チィッ、壊れたか……だが!!

 

振り下ろすどころか、強烈な蹴り上げをくらってしまった大剣が上へと流されていくのを、春蘭は自慢の膂力になんとかものを言わせて勢いを止め、バンザイの状態で袈裟斬りを繰り出そうとするが……

 

 

1歩、たったの1動作ではあるが一刀が詰んだ。

 

 

右足の体重が乗った片足だけで地面を蹴り上げた一刀は、両腕を上げた春蘭の鼻と、一刀の鼻が触れ合うところまで接近してしまったのだ。

 

「へぇ?」

 

変に間の抜けた春蘭の声。

 

一刀の顔が視界一杯に広がっている。

 

互いの唇が触れてしまうのではないか? そんな距離で一刀の顔が消えた。

 

「ごめん」

 

耳元で囁かれる声。

 

彼女の耳が脳にその声を届け、脳髄がその意味を理解する頃。

 

 

 

春蘭は燦爛と輝く満天の星空を見上げていた。

 

こうして、決着は着いたのである。

 

 

 

 

「……なんて、ことなの……」

 

華琳はらしくない程呆然とした声を上げていた、恐らく意識した言葉でもないのだろう。

 

見誤っていた……あまりにも!

 

彼女は、己の眼力に恥じ入って涙したいほどに心が震えていた。

 

__まさか、まさか! 春蘭がここまでの武を持っていようとは!!!

 

体が喜びに震えてしまう。

 

先程まで戦っていた春蘭は、華琳が長く付き合い知った春蘭では決してない。

 

華琳は春蘭や秋蘭にまでには達しないが、それでも一角の武人といわれるほどの力量を有している。

 

少なくとも彼女なりに春蘭の力量を理解していた。

 

理解したつもりになっていた。

 

__なんて愚かなこと!

 

彼女の武は一流? 何を寝ぼけている……今の彼女とまともに戦える者が天下にいるのか?

 

いや、大陸は広い。

 

必ずやいるだろう! だが片手……五指を超えることができるか!

 

いや、いるわけがない! 断言できる。

 

しかも内の二指が今! ここにいるというのだ!! なんという僥倖だろうか!!!

 

ちらりと脇を見ると、一番近くで見続けてきた秋蘭も自身の姉の姿に驚きを隠せていない。

 

桂花はポカンとしてる、まぁほとんど見えなかったでしょうし仕方がないと言えよう。

 

季衣は目を爛々と輝かせ、流琉は顔を真っ赤にしていた。

 

じわ

 

気づかなかったけれど、随分と強く手を握っていたみたいだ。

 

汗ばんだ手を開くと、夜の冷たい空気が触れてきて気持ちがいい……一週間前の不快感がまるで嘘のような晴れやかさ。

 

__あら? ……そういえば満月だったのね。

 

華琳は月を見上げ、天が惚れ惚れするほどの笑顔を向ける。

 

 

あぁ、無数の星に満月……今夜は最高ね。

 

 

 

体落としで、地に横たわるようにしていた春蘭だが頭は浮いていた。

 

いや、北郷に襟首を持たれて地に叩きつけられなかったが正しい。

 

おかげで体は全く痛めていない、見事なものだ。

 

脱力して起き上がれない春蘭を察したのか、ゆっくりと地に頭を下ろしてくれる。

 

そして北郷もその隣で手足を投げ出し、大地に寝転がった。

 

「くはぁ~……しんどかったぁ~…………」

 

__この男に私は負けたのだ、なのにこの気持ちはなんだろう?

 

普段なら万が一でも負ければ私は暴れまくっている。

 

残念ながら興奮しやすいというのは自覚しているのだ……認めたくないけど……

 

負けた、のに何故だろうか? この快感を超えたすがすがしさは……

 

己の持つ全てを賭け、ぶつけて、負けたのだ。

 

悔いが残るわけがない。

 

それに自身がここまでやれることに、到達できたことに凄い喜びを感じてもいた。

 

限界を超える力で戦える相手と巡りあったことは、人としてとてつもない幸運だろう。

 

「ぜぇ……なぁ、はぁ…………北郷?」

 

「はぁ……はぁ……何?」

 

「………………ありがとう」

 

「……ぜぇ、ハァ……ハア、よく、わかんないけど……どういたしまして」

 

「北郷ぉ……お前は、ハァ…………まだ、強いか?」

 

「……はぁ…………はぁ…………真剣なら、違うやり方もあったかなぁ…………ハァ……それで勝てるかは…………わかんないけどね…………」

 

「……そう……っかぁ…………はぁ、はぁ…………ハハ」

 

__薄々気づいてはいた。

 

でも、それでも構わない。

 

本気でこの男が向かってきてくれたことに、変わりはないのだから。

 

緊張が解けた体は疲労困憊で……僅かでも動かすのが億劫な手を、私はそろそろと動かして北郷の手に…………そっと、触れる。

 

ピクッ

 

大きな手だ。

 

私から触れたことに気づいたのか、北郷が手をギュッと握り返してきた。

 

体の動悸が高まり、顔が熱くなるのがわかる。

 

北郷が私の手を握っている……

 

それは嬉しいと同時に、恥ずかしいような哀しいような気分に襲われた。

 

__私の、手なんて…………

 

「……春蘭の手っ……てさぁ、細くて、すべすべしてて……やっぱ女の子だよね。

 とてもさっきまで、あんな重い大剣を振るってたとは、思えないな…………」

 

!?

 

「~~~~~////////」

 

__どうして、どうして欲しい言葉がわかる?

 

そんなことを言われては……何も言い返せないではないか!

 

私は気づかれないように首を曲げると、北郷が空を見上げながら笑っている。

 

「////////////」

 

あぁ顔がものすごく熱い……ほ、北郷に気づかれやしないだろうか?

 

__私が……見惚れているなどと……

 

ざしゃ

 

「見事だったわ、2人とも。

 こんなに心躍る武の競演に出会える日が来るなんて……貴方たち2人には感謝しきれないわ。

 今日、この場、この時に立ち会えた幸運を……曹孟徳の一生の誇りとするわ」

 

「あ、ありがとうございます! 華琳様!」

 

「やれやれ……首が刎ねられなくなったようで嬉しいよ。

 流石にこれから逃げ回るのは勘弁して欲しいからなぁ…………」

 

ダダダダダ

 

「兄~~~~~ちゃ~~~~ん!!!」

 

「にい~~~~さま~~~~~~~!!」

 

いつもの2人が寝ている一刀の胸に飛びつく。

 

一刀は春蘭を握っている手は解かずに、もう一方の手で2人をゆっくりと撫でていく。

 

随分久しぶりに感じる2人の柔らかな髪の感触は、不思議な懐かしさで安心できた。

 

季衣は一刀の胸に頬をスリスリして幸せそうに笑い、流琉はポ~と顔を赤くしながら笑っている。

 

すると寝転がっている2人の頭頂部でザッと音がした。

 

一刀と春蘭は顎を上げ、見上げるように視線を上げるとそこには桂花と秋蘭がいた。

 

「姉者、私は感動したよ……北郷も素晴らしかった」

 

「そ、そうか? 秋蘭がそういうのであればそうなのだろうな!」

 

「ホント疲れたよ、全く。

 後、そのさ……立ってる位置がさ…………色々際どいよ?」

 

「ふふ……見せているのだよ?」(姉者にだけ抜け駆けされるわけにはいかないからな)

 

「え!?///」

 

「ふん! そのまま果てて土に還ればいいのに……」

 

「桂花………………………………かぼちゃパンツとは粋だね」

 

「死ねぇえ!!」

 

「ぷぎゅる!」

 

ごしゃっとした鈍い音と共に、桂花の足が北郷の顔を踏み抜いた。

 

「兄ちゃん!?」

 

「兄様ぁ!? あ……あわ吹いてます!」

 

 

「ふふ、本当に…………愉快ね」

 

 

 

「いってぇー、俺が悪かったけどさぁ……何もあんな思いっきり踏み潰さなくても」

 

「自業自得でしょ! 無駄に生き返らないで早く死になさいよ!」

 

あの後ようやく息が落ち着いた(生き返った)一刀は辺りを見渡すと、まだ中庭の中に皆がいた。

 

どうやら柔らかな芝生の上で寝かされていたらしい。

 

しかもこうした本人だからなのか桂花が一刀の介抱をしてくれていた、実に貴重な経験をしたものである。

 

体を起こすと、華琳達が春蘭に一体どういうことがあったのかを問いただしていた。

 

「私にもわかりません、ただ気づくと北郷が消えているんです。

 その太刀筋までもこう……なんといいますか……気づいたらその、攻撃が来る! と構えていて備えると違く動いてて、動いていると思えば既に剣が振られていたりと……

 ええと? その……北郷の影から攻撃されてるような感じがしました」

 

「ふむ? ……よくわからないわね。

 秋蘭、貴方は何かわかったのかしら?」

 

そう問われる秋蘭も思案顔だが、駄目ですというように頭を横に振る。

 

「じゃあ本人に聞くしかないわけね……一刀! こっちにきて説明なさい!」

 

後ろ向きでもはっきり聞こえる華琳の声に一刀は渋々立ち上がると、桂花をともだって輪に入っていった。

 

「さて、説明してもらえるかしら?

 どうやって春蘭を欺いたのか。

 まさか妖術とかいうわけではないのでしょう?」

 

華琳の興味津々と言った顔には逆らえそうにない。

 

「そりゃ妖術じゃないけどね……そうだな、人間は視覚で大体8割の情報を得ている。

 これはわかるかい?」

 

「ええ。

 8割かはわからないけれど、一番使っているのは目でしょうね」

 

「それを誤魔化すのさ。

 更に意識も逸らせると戦闘中であっても相手を把握しずらくなる。

 っていっても、言葉でわかるってものでもないだろうしな……」

 

そういうと一刀は華琳に近寄より、少し体を屈ませてお互いの視線を合わせた。

 

いきなり顔を間直に向き合わせる一刀に、華琳は少し体を硬直させる。

 

「な、なによ?//」

 

「………………」

 

一刀はしばらく華琳に穴が開くくらい、じっと目を見開いて黙っている。

 

ッパン!

 

「っ!!」

 

不意に動いた一刀が華琳の顔の前で手を合わせ叩く。

 

驚いた華琳は思わず目を瞑ってしまう……そして次に目を開けたときには前に一刀はいなかった。

 

「……!?」

 

__消え……

 

「っと、上手くいったかな? どうだい? 華琳」

 

声がした方へ振り返ると、華琳の横に立っていた季衣の頭を撫でている一刀がいた。

 

「え……え? 兄ちゃん?! いつのまに?」

 

季衣もいきなり撫でられていることに驚いている。

 

だが少し離れている春蘭や秋蘭、流琉、桂花はよくわからないといった顔をしている。

 

「確かに消えたように見えたわね、でも……どうして季衣まで驚いているの?」

 

一刀は頭を少しかくと、順序立てて話し始めた。

 

「華琳達は俺が”猫だまし”をやって目を瞑ったところを動いて消えたように見せたと思っているみたいだけれど、ちょっと違うのさ。

 今のはね、俺の視界には華琳と季衣が映っていたんだ。

 そして俺が本当に仕掛けたかったのは季衣の方でね。

 でも季衣は俺が華琳に何かすると思っていたろう?」

 

撫でられている季衣は戸惑いながらも、うんと返事をする。

 

「それがまず単純だけれど1つ目の意識の誤魔化しさ。

 そして俺は2人の”呼吸”をみていたんだ」

 

「呼吸?」

 

「そ、瞬きする間隔、視線の動き、呼吸する間隔を観察していた。

 そして2人の特徴を掴んだ俺は、季衣が息を吐いて吸うその一瞬に、華琳の意識を無理矢理合わせたのさ」

 

それがコレね、といって一刀が手を叩く。

 

「ここでもう1つミソなのが、俺がじっと動かないからさ、緊張させていた意識の底の方で2人の緊張が和らいできていたのさ、それがまたパンって強制的に緊張を促されたことによって意識に空白ができたんだ。

 それは本当に短い間だけれども、その間は相手を意識することができない。

 俺はこういった意識の空白を生むように動いて、相手の視界外へ動いたり、攻撃したりしていたんだよ」

 

「……そんなことができるというの? 戦闘中に?」

 

「まぁ大変だけどね、相手との呼吸が合わなきゃできないし、だからいつでも引き起こせるってわけじゃないんだよ。

 タイミング……相手との機会がちょうど合ったときにしかできないのさ」

 

実際に今みたいに無理矢理起こさせる方法もあるにはあるけれど、春蘭相手にそんなことやっている暇はない。

 

「後はまぁ、そうだなぁ……テクニック、技術や工夫でいうのなら……」

 

すると一刀は秋蘭へ向き直ると、普通に歩き出した。

 

秋蘭の横にいる流琉と桂花も一刀を注視している。

 

すたすた すたすた

 

本当に普通に歩いていく。

 

そして後4歩で秋蘭の目の前というところで、動きがあった。

 

だが、別に急に早く動いたわけじゃない。

 

上体を少し後ろへそらしたかと思うと、今度は足が奇怪な動きをして、秋蘭へと速度を変えずに近寄っただけなのだ。

 

「っつ?!」

 

「え?」

 

「?!」

 

だが3人の驚愕する表情。

 

秋蘭は目の前の一刀に驚いて体を逸らしている。

 

「今みたいに、体を限りなく動かさないと人は錯覚でその途中の経過を見失いやすい。

 ようするに水平突きの切っ先が見切りにくいのと似たような感じさ、3人は俺の上体に注目していたから上体を間合いのギリギリから極力動かさない。

 そして足から力を抜く移動は、下半身が力む必要が無いから行動の始点がわからない、これで更に動作が掴みにくくなるってわけ。

 極め付きはこの服かな、真っ黒だろ? 拳の甲も黒いからね、こう……ほら」

 

「……!」

 

秋蘭へ体の内側から手を出す一刀。

 

「確かに……一瞬だが遅れるな」

 

「迷彩効果ってやつでね、こういう攻撃もわかりにくいだろ?

 こういうのを積み重ねて上手くいくとさ、相手は大切な間合い内での数歩や攻撃を見逃すことになる。

 …………いい手だろ?」

 

といって苦笑する一刀を華琳は凝視する。

 

彼はこんな軽く言っているが、そんな甘い話じゃない。

 

まさに盲点。

 

相手の呼吸を読め、意表を突け。

 

武の頂を目指す者ならばよく言われることだが、それをここまで明確な形にしているとは……

 

「ま、他にも動きに緩急をつけたり色々あるんだけどさ、全部説明するのは大変だし、そろそろ疲れたよ。

 ……じゃあ俺は戻るね?」

 

そう言い残すと、一刀はまだ首が痛むのか手でさすりながら中庭を後にする。

 

 

季衣と流琉がその後をついていった。

 

 

 

「兄ちゃん! 凄かったよ! ねぇ、あれ僕にもできない?」

 

季衣が目をキラキラさせながら腕にしがみついている。

 

「ホント凄いです! あんな戦い方もあるなんて、全然近づいてきたのがわかりませんでした」

 

流琉が反対の手を掴んでいる、だけれど一刀からの反応は無い。

 

「「?」」

 

一刀が静かに部屋の扉を開けると、一直線に布団へ向かいバフッという音とともに倒れこんだ。

 

季衣と流琉も一緒に流されて倒れこんでしまう。

 

「に……にいさま?」

 

恐る恐る流琉が一刀の体を揺するが反応がない。

 

ちょっと心配になった流琉は、んしょ、んしょ、と布団に上がって頭へ近づくと、何かブツブツと呟いているみたいだった。

 

「疲れ……死ぬ…………寝る……」

 

とてもネガティブな連続発言が聞こえた。

 

だが、ガバッ! と一刀は起き上がって反転した……その際、季衣と流琉を抱きかかえて布団にくるまう。

 

「///兄様?!」

 

「兄ちゃん!?////」

 

 

__2人とも…………あったかい……な、ぁ…………

 

「~~~すぅ~~~す~~~」

 

最後の力を振り絞った一刀が寝に入るのに、時間は必要なかった。

 

 

 

どうもamagasaです。

 

いや~~えっと~~~……ごめんなさい!!!

 

自分で読み直して、わかりにくいかな~感が……あああぁぁぁぁ……

 

一応の補足説明をここでさせていただきます。

 

 

二歩一撃 

ダダン! って急加速したところです。

一つ歩くタイミングで両足を蹴り上げて動く動作、走るとジャンプにの中間が近いんですかね?

 

チェンジ・オブ・ペース

突きのとき間合い外から進入のタイミングをずらすために使用したもの。

歩行法の一種で、動きに急激に緩急をつけて相手の認識速度から外れる行動、グースステップ、アイシールド○1でのロデオドライブ等

 

チェンジ・オブ・ディレクション 

上の変化を、方向の方につける動き

 

縮地法

文中では良く使っていた力を抜いて前進する方法。

さまざまな見解はあるが、大天狗や仙人が使うワープのような瞬間移動っぽいものではなく、重心を事前に移動させることによって相手に動きのタイミングを計らせないこと。

膝の力を抜き、倒れこむような運動がイメージに近いのでしょうか。

力むという事前動作がない移動だけに、その初動がわかりにくい。

 

ミスディレクション

推理小説やマジシャンが行う、相手の意識を自分が隠したいものから外す方法。

フェイントもこれに近い技術だが、ここでは相手にこちらから働きかけて意識的な死角を作りだす方法。

これは描写は少ないですが、良く使っていることにしています。

 

とりあえず以上の感じでいかせて頂きたいです。

 

0話で相手の剣道部の主将さんが一刀の動きに気づかずに竹刀を吹っ飛ばされて戦意喪失したり、盗賊に囲まれた季衣や流琉を助けるときに、気づかれずに攻撃してたのも上記を使用してます。

この一刀君はこう、自身を消しての戦い方を得意としています。

不動先輩が褒めていた北郷の剣は、この特筆した歩行法にあるかと……

 

色々と調べてみたのですが、諸説が多々あり(縮地法は特に)とりあえず上記のように勝手に纏めさせて頂きました。(本気で武道をしている方スイマセン)

ミスディレクションは昔ちょっと友人が手品を齧った時に知っていたのですが、後はアイシールド○1を参考にさせて頂きました。

 

0話で走・体・武。と書きましたが、”走”が縮地法等の歩行術で、”体”が殴る、蹴る、投げる、極めるなどの体術、”武”はあらゆるモノをその時々の状況にあるもので武器にする操武器術のことです。

 

だから刀以外でも、結構一刀君は他の武器でも、そこら辺に落ちている物でも工夫して戦えます。

その辺りはボンドやスネークっぽいかも?

 

一番得意な武器は刀ではあるんですが(祖父も刀をメインで使っていたし、必殺技も刀になります)……ナイフも得意です(今迄にもそれっぽいのがチョロッと出てますが)

 

”とにかく生き残れ”が祖父から鍛えられた北郷流ですので、一刀君は強い人とのタイマンだと刀も使っていき、乱戦だと刀を使わないで違う武器を使う場合もあります。

 

乱戦時の基本は体術ですね、手数も多いですし。

 

どうしてこのこのような形にしたかと言いますと、”刀”を調べていたら刀ってあんまり実践的な武器ではなかったのかな? って思ったんです。

折れやすいようですし、切れ味も落ちやすいとありまして。(実際戦場では使い捨ての武器だったみたいなことが書いてありました。自分の刀が駄目になったら死体から拾って使っていたとか)

肉厚な剣や槍、弓の方が主戦力だったみたいですね。

 

でも刀ってかっこいいじゃないですか!武士の魂ですし。

だから本気の一刀君は刀です、これは仕様です。

 

武器をずっと使った方が強いのでしょうが、この一刀君のように相手の間合いにあっさり踏み込める技術があるのであれば、体術やナイフでも充分戦えるかなと考えました。

 

チートではなく、能力値が高いとの設定にしていたのでこんな感じに……

 

違和感……ありますか?

 

途中に出てくる、”三段突き”や”片手平突き”は新撰組でも有名な技です(流石に牙突とは書けませんでした)

刀でカッコいい技になりそうなものはないか?って見ていたら、やはり新撰組辺りはファンが多いです。特に三段突きはこの一刀君には合っているかなと・・・

詳しい説明もあり、参考に使わせて頂きました。

 

この話は今後の戦闘パートの力関係の指標になります。以前、一刀君はどれくらい強いのか? という質問が寄せられたのですが、これくらいです。

後、これからの戦闘パートはこんなに長くはならないと思います(もっとあっさりしたい……どうでしょうか……)

 

 

 

さて、え~……どうして相手が春蘭なのかと言いますと、春蘭のパワーアップが書きたかったものの一つでもあるんです。

ホント自分勝手で主観入りまくりのイメージなのですが……魏は将軍の武で他国より一段下がるイメージが……(霞は気分屋なのでなんともいえないですが……)

 

呂布(モードとか関係無い)、関羽(絶対正義モード)、張飛(本気だしちゃっていいの?モード)、趙雲(からかいモード)、孫堅←母親(猛獣モード)、黄蓋(小童が!モード)に正面からタイマンで戦って春蘭が勝てる姿が、自分の貧相なイメージ力では今ひとつでないんです、秋蘭がいればまた違いますが。

(孫策(狂乱モード)と夏侯惇(華琳忠誠モード)がどっこいですかね)

 

というわけで上記の方達と戦って欲しいので一つ壁を越えて欲しかった、ということで春蘭になりました。

(初めは季衣と流琉で考えてました)

春蘭の拠点を兼ねていましたが……どうでしたでしょう?自然な流れに感じて頂けたら嬉しいです。

 

 

季流√なのに2人が主役じゃない話があるってなんなんだ! との御指摘もあるかと思いますが……すいません。ちょっとバランスよく皆を登場させたくなってきまして……でも2人がメインな気持ちは間違いありません!

 

ですが……ですが!!

 

前のアンケートで頂けた答えが多かった”選べない””無理無理””皆好き”……自分もわかります。

 

魏のメンバーが全員好きなんです。

ですので季衣と流琉以外の話が出てきても御了承頂けると大変助かります。

 

 

 

遅ればせながら、皆さん応援ありがとうございます!

 

応援メールもたくさん頂きまして……感激です!

 

コメントもたくさん頂いており、いつも皆さんありがとうございます!

 

御指摘・御意見があれば、お手数ですがメール等でお知らせいただければ嬉しいです! 改善の努力は勿論させて頂きます。

 

次がまたオリジナル展開になってしまいそうなのですが……あぁ……いい加減黄巾入って終わらそうぜって感じですよね。

 

次話は洛陽へ向かいます。

 

あとがきが長くなってしまったのですが……ゴメンナサイ。

 

 

 

それでは~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一言

 

クレヨンしんちゃんの作者様が行方不明!? ……ご無事でいて欲しいです。

大丈夫かな……クレヨンしんちゃん好きなのに……

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
271
32

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択