No.946305

こんとん物語 27

スクジョさん

殺人ミステリー

2018-03-24 18:01:41 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:332   閲覧ユーザー数:332

”現場検証は、外と内から屋敷を見る。

 

カーチス夫妻の屋敷は大きいので探偵が目を付けた部分を重点的に見ていく。

 

探偵こんとんが検証できるのは今日一日で五か所も無いだろう。”

 

ディアーはそう計算していた。

 

現場検証は、庭のいけすから始まった。

 

こんとんがまず、目を付けたのが庭のいけすだ。

 

「夫妻はいけすに何を飼っていたのでしょうか?」

 

「鯉です。」

 

こんとんが質問すると、すぐ答えが帰って来た。

主に受け答えするのは結城である。

 

「次に行きましょう。」

 

早くも庭の検証を終える。

 

一同は、キッチンへと来る。

 

 

こんとんが質問する。

 

「広いキッチンですね。このキッチンで凶器とされる物は?」

 

「見つかっていません。包丁は元あった場所に収まっていると思われます。」

 

「次に行きましょう。」

 

キッチンの検証も終える。

 

一同は、夫妻の夫の方のシリルの私室に来る。

 

 

こんとんが質問する。

 

「ここで、血痕などの後はありましたか?」

 

「ありません。全て十全の部屋中となっております。」

 

結城の言う通り、シリルの私室は綺麗(きれい)に片付いていた。

 

「次に行きましょう。」

 

シリル(男)の私室の検証も終える。

 

一同は、夫妻の妻の方のコンスタンスの私室に来る。

 

 

こんとんが質問する。

 

「ここでは、血痕などの後はありましたか?」

 

「ありません。全て十全の部屋中となっております。」

 

再び結城の言う通り、シリルの私室は綺麗に片付いていた。

 

「次に行きましょう。」

 

コンスタンス(女)の私室の検証も終える。

 

一同は、メイド(使用人)の私室へ来た。

 

 

こんとんが質問する。

 

「ここから、怪しい物が見つかったという事は?」

 

「ありませんでした。部屋からは凶器と思われるものも、その痕跡(こんせき)も見つかりませんでした。」

 

メイドの私室の検証も終える。

 

 

正直に言って、ディアーは探偵という職業を甘く見ていた。

       ・・

ここまで淡々と調査が進むものだとは、思ってもみなかったのだ。

 

それは現場検証そのものであり、”探偵”という妄想と現実を混沌とさせた名前は似つかわしく無かった。

 

故に、ディアーはその現場検証にストップをかける。

 

 

「待ちなさい。少し話がある。ちょっと来てくれ。」

 

 

「少し淡々とし過ぎじゃないですか?」

 

警察官としては自分の仕事に自信を持っていただけに、情報だけ抜かれるのは不本意だった。

 

「すみません、正直に言います。そちらの仕事は信用に足るものです。全く疑う余地の無い真実だと思います。」

 

「ほう、そうですか。それなら・・・・」

 

実際のところ、人を見る警察官としても人間的にもディアーは無能では無かった。

 

つまり、その”真実”の上があると言うのだ。この探偵こんとんは。

 

そう悟っていた。

 

「良いです。」

 

渋々(しぶしぶ)ながら、続行を認めた。

 

 

続いて、手紙のある部屋に来た。

 

机の上に、さらさらと書いたような字の手紙がある。

 

英文で書いてあり、シリルの書いた手紙のようだ。

 

「この手紙は何ですか?結城さん。」

 

「この手紙は当時、証拠品として回収されたものです。今は、現場保存の為、ここの部屋に戻されております。」

 

「内容はどうなっていますか?」

 

「こちらが英文、そしてこちらが訳文となります。お持ち下さい。」

 

日本語訳の手紙を見るこんとん、次に英文の手紙を見る。

 

 

Dear Constance(ディアー コンスタンス)とだけ読めた。


 
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