No.859517

九番目の熾天使・外伝~マーセナリーズクリード~番外編 Secret Mission

okakaさん

第18話です。せっかくなのでその場にあったBGMをセレクトしていこうかと思います。

今回は後半に仮面ライダー4号主題歌【Time】を推奨します。

2016-07-20 20:45:25 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:502   閲覧ユーザー数:464

番外編~Secret Mission~ TypeFuture 未来の力はどうやって手に入れるのか18

 

 

――――――――――財団X施設内部、そこは入り組んだ迷路のような通路と無数の部屋が並ぶまさに秘密基地、といった内部だ。その内部に飛び込んだ6人の仮面ライダーは通路の交差点で立ち往生していた。

 

 

「・・・okaka、アイツどっち行った?」

 

 

ファイズの問いかけにプロトディケイドがライドブッカーで道を示す。

 

 

「間違いなくこっちだ。・・・ただなぁ・・・」

 

 

ライドブッカーで肩を叩きながらぼやくプロトディケイドの言葉をマッハが繋いだ。

 

 

「別の道からもなんていうか・・・放っておいたらやべぇ感じの気配がするんだよなぁ・・・」

 

「ええ、何か異様な感覚があります」

 

 

ドライブSPもそれが気になって仕方ないようだ。プロトディケイド、okakaの【鷹の眼】の持つ感覚の凄まじさを理解しているファイズとプロトバースは彼ら親子の言葉を信じて立ち止まったのだ。

 

 

「なぁ、ほんとにその勘当たるんだよな?ぼさっとしてたらアイツ逃げちまうって!」

 

『落ち着け進丿介、彼らの感覚はこれまでも正しかったろう?』

 

「そうだけどさぁ・・・」

 

 

ドライブが焦る理由も解る、事は一刻の猶予も許されない状況なのだ。悠長に事を構える時間はない。ベルトさんも彼を宥めてはいるが内心焦っていた。

 

 

「親父殿!」

 

「泊さん!」

 

「ん?晶葉か」

 

「霧子!?」

 

 

そこに二人の人影が現れた。彼等を追ってきた晶葉と霧子だ。体力のない晶葉が膝に手をつき息を整えながらその手に持った端末を見せた。

 

 

「ゼェ・・・ゼェ・・・この・・・施設の・・・システムを・・・ハッキング・・・すれば・・・見取図・・・くらいは・・・あるかも・・・」

 

「ああ、そっか!その手があった!」

 

 

プロトディケイドが手のひらを打つと、近くにあったセキュリティパネルのロックを取り出した【バンプ(解錠)キー】で一瞬でこじ開け、晶葉の端末のケーブルに繋いだ。

 

 

「・・・今すげぇ鍵開けテクを見た気がする」

 

 

警察官としては見過ごせなかったのだろう、ドライブのぼやきを無視しながら晶葉は自身のアンダーリムフレームの眼鏡、外付け式アナリティカルエンジンを有線端末に接続、リンクさせると僅かに手を振った。

 

 

「おお!?」

 

『これはすごいねぇ』

 

 

その瞬間、端末に一斉に大量表示されたウィンドウのポップアップを見たドライブが驚きの声を上げた。晶葉自身はコマンドを入力している素振りはない、しかし素早く、確実にデータベースを掌握していくのは彼にも解った。

 

 

「アナリティカルエンジンは自身の脳を演算処理に使うことができる一種の生体ネットワークリンクシステムだ、多分タイプテクニックより早いぜ」

 

 

自身の左目に同じものを持つプロトディケイドの言葉が終わると同時に晶葉のハッキングが終了したようだ。晶葉は端末から顔を上げると深呼吸して話し始めた。

 

 

「ふぅ・・・これは少々マズイかもしれん。奴らリスクを分散させるためにグランドフリーザーの制御ユニットを複数に分けてる。それら全てが別の制御ユニットのバックアップだ。どれか一つを破壊しても意味は無い、全てを破壊しなければグランドフリーザーが起動してしまう!」

 

 

晶葉の言葉に彼女の家族は一瞬で理解した。自身の感じたものの正体、それがグランドフリーザーの制御ユニットだったのだ。

 

 

「ここからハッキングでシステムをダウンできないのか?」

 

 

プロトディケイドの問いに晶葉は軽く首を振った。

 

 

「グランドフリーザーのメインシステム自体はスタンドアローンだ、システム中枢部にあるメインコンソールからの入力以外は一切受け付けないだろう、そこまで行っても完全に停止できる保証はないが・・・」

 

 

「確実なのは制御ユニットを破壊するって事か」

 

 

カンナギを追うか、それともグランドフリーザーの破壊を優先するか。選んでいる時間はない。

 

 

「よし、武と拓海は制御ユニットの破壊、泊とロキは俺と一緒にカンナギを追ってくれ。晶葉と詩島はこのままオーバーフリーザーの中枢を掌握、こなたはその護衛、これでいこう」

 

「「「「「「「了解(おう!)(はい)(うむ!)」」」」」」」

 

プロトディケイドの判断にそれぞれが動き出す。

 

 

「見取り図を見つけた、全員に転送するからこれを参考にしてくれ」

 

 

晶葉は全員のスーツや端末にマップ情報を転送、それに従ってドライブSPとマッハがそれぞれの方向へ駆け出した。

 

 

「うし、俺らも行くぞ」

 

 

そう言って残滓を認識できるプロトディケイドを先頭にドライブとファイズも走り始めた―――――――――

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・まだだ・・・まだこんな所で私は・・・」

 

 

ちょうどその頃、研究区画の一室の壁に穴が空き、そこからメガロドンドーパントが現れた。

 

 

「こんな所で・・・終わるわけには・・・」

 

 

鮫由来の強靭な生命力で自身を少しずつ回復させながら、メガロドンドーパントは近くにあった端末から研究用と思われるガイアメモリを引き抜いた。

 

 

「見つけましたよ?」

 

 

唐突に響く声、それと同時にメガロドンドーパントの脇にエネルギーの矢が打ち込まれた。

 

 

「どうも、鮫のドーパントさん。せっかくなんで、もうちょっとだけ体細胞のサンプルを頂けませんかねぇ?」

 

 

そう言いながら矢を射った人物、アーマドライダーデュークが壁の穴からソニックアローをクルクルを弄びながら現れた。このマッドサイエンティストは体細胞サンプル欲しさに飛び込んできたのだ。

 

 

「まだ・・・まだ・・・まだぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 

だが、メガロドンドーパントはそんなことすら既に認識できていない。理性などとうに残っていないのだ。そこにあるのは生存欲求、そして力への渇望。既にその生存欲求の源となるカンナギへの忠誠心すら吹き飛んでいた。

 

 

«««KEY»»»

 

 

メガロドンドーパントが手に持ったキーメモリからガイアウィスパーが鳴り響く。しかし、その音声は一つではなかった。

 

 

「うぉぉぉぉぉぉっ!!私は・・・私はぁぁぁぁぁっ!」

 

 

雄叫びと共にその手に掴んでいたメモリを【3本】体に突き刺す。複数種類のガイアメモリというただでさえ未知数の行動、しかも合計4本という暴挙に出たメガロドンドーパントの体が変異していく。

 

 

「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!!!!」

 

 

その手が金属質の鍵のような形に変化していく。胸部に鍵穴のような模様が浮き出し、頭部に南京錠のようなU字の金属細胞が出現、背びれもディンプルキーの用なくぼみが浮き出し、全身がまるで真鍮の用な金に染まっていった。

 

 

「おお!?これは面白い!だから馬鹿を追い詰めるのは止められないんですよ!時折私の想像もつかない暴挙に出てくれる!後はこの細胞サンプルを持ち帰るだけですね!」

 

 

その異形、さしずめ【キメラドーパント】とでも言うべき存在に成り果てた柏谷にデュークは歓喜の声を上げた。この男にとってはそれくらいの価値でしか無いのだろう。さっさと回収しようとソニックアローを構えた瞬間、キメラドーパントの右腕の鍵が光った。

 

 

「ん?」

 

 

突如腰部に湧いた違和感にデュークが視線を下ろすと、足元にレモンエナジーロックシードが転がっていた。

 

 

「おお!?」

 

 

次の瞬間、変身が解除され、竜神丸の姿に戻ってしまった。そんな彼の驚きの声を合図にしたように次々と様々なロックが解除されていく。

 

 

「ガァァァァァァァァァァッ!」

 

「・・・ふむ、どうやら完全に暴走しているようですね。そこまでして力に拘ろうとは、実に嘆かわしい末路ですねぇ・・・」

 

 

自身の台詞とは裏腹にそんなことなど微塵も感じていないであろう。ロックシードを拾い上げた竜神丸の視線の先には自身の力を暴走させ、手当たり次第に様々なロックを解除し続けるキメラドーパントの姿が写っていた。

 

 

「しかし、あれを取り押さえるには少々骨が折れそうですねぇ。さて、どうしたものでしょうか・・・」

 

 

解錠されてしまってはロックシードを使うことはできない。アーマードライダーの力を封じられた竜神丸が採取用のシリンダー付きナイフをプラプラと振って考えていた瞬間、キメラドーパントが腕を振り上げ襲いかかってきた。

 

 

「キシャァァァァァァァァァァァ!」

 

「おおっと!」

 

考え事をしていて行動が遅れたのだろう。回避が間に合わず、とっさに防御した竜神丸は部屋の窓ガラスを突き破り、落ちてしまった。

 

 

「よっと、・・・なるほど、あそこは実験のモニター室だったんですねぇ。で、ここは実験用アリーナと言ったところですか。・・・懐かしいですねぇ」

 

 

空中で体制を立て直し、着地した竜神丸が落ちた先、そこは自身も使っていたような実験用アリーナだった。かつて旅団に所属する前、研究施設に侵入していたokakaを仮想敵としてタイラントの戦闘実験を行った事を思い出しながら懐に手を入れると、そこにキメラドーパントが降ってきた。

 

 

「ギシャァァァァァァァァァァァァァァァッ!」

 

 

その牙を向いた口で竜神丸に噛み付こうとした瞬間、懐に入れていた竜神丸の右手が抜き放たれると同時にきらめいた。

 

―――――ズガアァン!

 

瞬間、キメラドーパントが吹っ飛んだ。

 

 

「完成度はまだ80%程ですが・・・まぁ良いでしょう、せっかくです。試運転といきましょう」

 

 

そう言い放った竜神丸はその手に持ったブレイクガンナーによく似た拳銃型ツール【ブルースガンナー】のマズルを手のひらで押し込んだ。

 

 

«BREAK UP»

 

 

竜神丸がその右手を振るった瞬間、周囲にバイクパーツの用な藍色の装甲が出現、竜神丸の体に張り付いていく。

 

 

「機能正常、活動に支障なし。名前は・・・そうですねぇ・・・【魔深フィッシャー】とでもしましょうか」

 

 

魔進チェイサーによく似た外見にヒレのようなパーツの付いたマスク、銀色の両肩にはまだ製作途中なのであろう、書きかけの潜水艦を模したマーキングが施されていた。

 

 

「では改めて・・・魔深フィッシャー、戦闘テスト、記録開始」

 

 

その言葉と共にフィッシャーがキメラに飛びかかった。

 

«BREAK»

 

フィッシャーのブルースガンナーをナックルにした打撃がキメラの顔面に突き刺さった。

 

 

「ウガァァァァァァァァァァッ!グゥゥゥゥゥゥゥゥ・・・ガァッ!」

 

 

殴られたキメラドーパントが鍵型の腕の先端を剣のようにふるいフィッシャーに襲いかかる。

 

 

「よっと、ほっ、ふむ・・・」

 

 

フィッシャーはその振り出される腕を手でいなし、スウェイバックでかわす。そして無造作にキメラドーパントに向けたガンナーのトリガーを引いた。

 

«GUN»

 

「ガッ!グッ!ギャァァァッ!」

 

 

続けざまに発射された高エネルギー弾にキメラドーパントが怯み、後ずさりする。それをフィッシャーは容赦なく撃ち抜いていく。

 

 

「戦闘時の反応速度と格闘戦時の衝撃緩和と身体強化に問題はなし、強いて言えば反応速度はもう少し高くても良いんですけど、今のCPUじゃ処理が追いつきませんね・・・もっと良い物があればいいんですけど」

 

 

フィッシャーはそのスーツの性能を少しずつ確かめるように、そして改善点を洗い出すように空いた左手を見つめながら右手のガンナーでキメラドーパントを撃ち抜いていく。キメラドーパントのことは今は眼中にないのだろう。

 

 

「グゥゥ・・・オォォォォォォアァァァァァァァァァァッ!」

 

 

突如雄叫びを上げたキメラドーパントの右腕が光り、再び周囲のロックが解除されていく。しかし、フィッシャーには全くの無意味だ、なにせ装着しているスーツには継ぎ目もロック機構も無いのだから。

 

 

「そんな事をしても無駄・・・おおおおおおおおお!?」

 

 

突如視界の端に捕らえた巨大な影に驚いたフィッシャーが叫びを上げ、その場を飛び退くとその場所を巨大な鉄球が通り過ぎていった。

 

 

「あんなもの一体・・・ああそういうことですか」

 

 

一人で納得したフィッシャーの視線の先には怪人などのテスト用であろう巨大な鉄球をぶら下げていたワイヤーが外れているのが見えたのだ。自身のいるこの場所は実験用アリーナ、自身の所もそうだったが、記録機材の他に耐久テストなどに使う器具、十分に武器となり得る物が備え付けられていたのだ。キメラドーパントがその器具のロックを解除し、こちらを攻撃してきたのだと理解するのに数秒もかからなかった。

 

 

「さて、まずはあの厄介な鍵をどうにかしましょうか・・・」

 

 

そう言うとフィッシャーはガンナーをキメラドーパントの右腕に向け、発砲。怯んだ隙に飛びかかっていった――――――――――

 

 

 

 

――――――――一方その頃、ジン・カンナギを追う一行は――――――――

 

 

 

「次はこっちだ!その次は左!」

 

「ホントに解ってるのか!?」

 

「大丈夫!アイツの【眼】は今まで外したことねぇ!」

 

 

プロトディケイドの先導でカンナギを追うドライブとファイズが長い通路を走り抜けていたその時、いきなり上から何かが降ってきた。

 

 

「泊!」

 

 

一瞬気付くのが早かったファイズがドライブを押しのける。次の瞬間、ドライブのいた場所に巨大な壁が生まれていた。

 

 

「キリヤ!」

 

「クソ!隔壁を降ろされたか!」

 

 

起き上がったドライブと異変に気付いたプロトディケイドが隔壁を叩く、しかし隔壁はびくともしない。対怪人用の強固なものなのだろう。

 

 

「俺は無事だ!そっちは!?」

 

 

壁の向こうからファイズの声がする。どうやら無事のようだ。

 

 

「待ってろ、今コイツを「待て!」!?」

 

 

隔壁を破壊するためにドライブが攻撃を加えようとした瞬間、ファイズがそれを静止したのだ。

 

 

「見取図はある!俺は後から合流するからお前らだけでカンナギを追ってくれ!」

 

「・・・わかった、後で合流するぞ!」

 

 

ファイズの言う通りだ。グランドフリーズまで一刻の猶予もない、仕方なくファイズを置いて二人で先に進もうと踵を返したその時だった。

 

 

「こっから先は頼んだぞ!」

 

 

ファイズの声にドライブの脳裏に訪れる強烈なフラッシュバック――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――これからの世界を・・・頼んだぞ――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あれ?今の・・・」

 

『進丿介?』

 

「どうした泊?」

 

「・・・いや、大丈夫だ。急ごう」

 

思わず立ち止まってしまったドライブ、ベルトさんとプロトディケイドが不審に思い声をかけると、我に返ったドライブは走りだした。

 

 

(なんだ・・・なんで俺は今泣いているんだ・・・あの言葉は誰が・・・)

 

 

仮面の下を流れる一筋の涙を不審に思いながらも、その言葉に応えるようにドライブは走りだした。これからの世界を守るために――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

ここで一旦ファイズと別れました。この後、ファイズは別ルートと合流、そしてプロトディケイドとドライブでカンナギを追う事になります。

 

 

 

 

 


 
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