No.844058

英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク 改訂版

soranoさん

第124話

2016-04-24 00:02:24 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1832   閲覧ユーザー数:1643

 

~隠者の庭園~

 

「ちょ、ちょっと!?今の説明だとその男は……!」

「異世界で死を遂げた後ゼムリア大陸で謎の復活を果たした……―――つまりリオンさんと同じ状況だね。」

「おいおい……ゼムリア大陸は異世界の死んだ奴等が復活する世界なのか?」

「二人の事を考えたら洒落になっていないわよ………」

「一体このゼムリア大陸で何が起こっているんだ……?」

(……復活しているのが”ラルゴだけ”と決まった訳ではありませんがね。非科学的な話ですがもしかすればヴァン達に加えて”彼”も………)

説明を聞き終えたジョゼットは表情を引き攣らせ、ヨシュアの話に続くように呟いたフレンの推測を聞いたアーシアは疲れた表情で指摘し、ユリア大尉は真剣な表情で考え込み、ジェイドは心の中である人物の復活の可能性を推測していた。

 

「その事も気になるが今はジェイド中将達とバダック殿だろう。話によれば互いの命をかけて殺し合ったとの事だからな。」

「しかもバダックさんはジェイド中将達に破れて死亡したとの事ですし……」

「ま、まさかここで戦うつもりですか……?」

重々しい様子を纏って呟いたミュラー少佐とリースの話を聞いてある事を推測してしまったティータは不安そうな表情でジェイド達を見つめ

「「……………………」」

ティータの推測が的中しているかのようにジェイドとアニスはそれぞれバダックを警戒していた。

「………フッ、そう警戒しなくても預言(スコア)が存在しないゼムリア大陸で生きる今の俺にお前達と争う理由は無い。それに俺達はお前達と互いの信念をかけて全力で戦い、敗北して死んだ。それを穢すつもりはない。」

「ラルゴ………」

「……こちらとしてもこの非常事態に内輪揉めをしたくはありませんし、そもそも今の私達と貴方、双方共に戦う理由はありませんしね。ここは互いに過去の因縁は一旦隅に置いておくべきですね。」

そして静かな笑みを浮かべて答えたバダックの答えを聞いて驚いたアニスは呆け、ジェイドは冷静な様子で提案した。

 

「え、え~と……ちゅうことは二人共バダックさんを仲間に加える事に賛成って事でええねんな?」

するとその時ケビンが遠慮気味にジェイドに訊ねた。

「ええ。アニス、貴女も別に問題ないでしょう?」

「………はい。それに正直この状況でラルゴとやりあいたくありませんし。」

「よ、よかった~……」

「………改めてよろしくお願いします、バダックさん。」

ジェイドとアニスにバダックと戦う意思がない事を知ったティータは安堵の表情をし、ヨシュアはバダックに会釈をした。

「ああ。………そうだ、お前達に一つ訊ねたい事がある。」

ヨシュアの言葉に頷いたバダックはジェイドとアニスを見つめた。

 

「わたし達に訊ねたい事……?―――あ。」

「ナタリア―――いえ、貴方の娘である”メリル”の事ですね?」

バダックが自分達に訊ねたい事が何なのか一瞬わからなかったアニスだったがすぐにある人物の事である事を悟ると呆けた声を出し、ジェイドはバダックに確認した。

「うむ。メリルはその後どうしている?」

「ナタリアなら2年前に帰って来たアッシュと去年結婚して今はキムラスカの女王として忙しく働いているよ。それに確か今月の便りにアッシュとの間の子供ができたって書いてあったよ。」

「そうか…………メリルに子供もできているのか………」

アニスの話を聞いたバダックは静かな笑みを浮かべ

「バダック殿のご息女がじょ、女王!?」

「というかあんた、子供がいたのかよ!?」

「バダックさんの年齢なら既に結婚している子供がいてもおかしくないけど……名前が違う上、バダックさんと敵対関係であったジェイド中将達がそのバダックさんの娘さんと親しい関係であるようだけど……もしかして、何か深い事情があったのかしら?」

二人の会話を聞いたユリア大尉とフレンは驚き、アーシアは真剣な表情で考え込んだ後複雑そうな表情でジェイド達に訊ねた。その後ジェイド達はバダックの娘―――メリルは預言(スコア)によって死産となったキムラスカ王女の赤ん坊と密かにすり替えられて死亡したキムラスカ王女―――”ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディア”として育てられ、赤ん坊をすり替えられた事に気づかなかったメリルの母は錯乱して海に身投げをした。そしてキャラバンの護衛から戻って来てそれらの事実を知ったバダックは絶望に打ちひしがれて世捨て人となって放浪の旅に出てジェイド達が世界を守る為に戦った人物―――ヴァン・グランツと出会い、ヴァンの目的―――預言(スコア)に依存する世界を消滅させ、預言に詠まれないレプリカで新たな世界を創ることに同調し、彼が率いるオラクル騎士団に入団して”六神将”の一人―――”黒獅子”ラルゴとして生きていく事を決意し、その結果世界を守ろうとするナタリアやジェイド達と剣を交えて敗北し、最後は娘であるナタリアが放った矢によって死亡した事を説明した。

 

「そんな……そんな事って………」

「預言で詠まれているからと言って、生まれたばかりの赤ん坊を死産した赤ん坊とすり替えるなんて人として間違っている………!」

「ひっく!ひ、酷すぎます……!」

「そのすり替えた奴等は狂っているな………!」

「……この場合狂っているのはその人達だけじゃなくて、預言(スコア)に依存しているその世界の”在り方”でしょうね。」

話を聞き終えたジョゼットは悲痛そうな表情をし、ロイドは怒りの表情をし、ティータは涙を流して声を上げ、厳しい表情で呟いたフレンの言葉にアーシアは真剣な表情で答え

「……しかも実の娘と命のやり取りをして、その結果実の娘に討たれる事になるとは………」

「……あまりにも惨い話ですね。」

「バダックさん…………」

重々しい様子を纏って呟いたミュラー少佐の言葉に続くように呟いたユリア大尉と共にヨシュアは辛そうな表情でバダックを見つめた。

 

「……それでジェイド中将達はバダックさん達を退けて世界を守ったとの事ですが……その後その世界はどうなっているんですか?」

「心配しなくても今のわたし達の世界は預言(スコア)に頼らない世界になっているよ。」

「”ローレライ教団”が預言(スコア)を詠む事を永久的に禁止した当時は色々と問題が発生しましたが、今ではそれも落ち着き、人々は預言(スコア)という存在を徐々に忘れて日々を生き続けています。」

「……その事は預言(スコア)の消滅を願ったバダックさんにとって唯一の救いですね……」

ケビンの質問に答えたアニスとジェイドの話を聞いたリースは静かな表情でバダックを見つめた。

「―――そんな顔をするな。俺は今はこうして、預言(スコア)のない世界で生きている上、結果的とは言え俺が元いた世界は預言(スコア)に頼らない世界になりつつあるとの事だからな。しかも”ネクロマンサー”達の話では娘(メリル)は偽りの王族である事が判明したにも関わらず民達を導く”王”として周囲に認められ、幸せに過ごしている。それが聞けただけで俺はもう十分満足している。」

「バダックさん…………」

満足げな様子で語るバダックをロイドは静かな表情で見つめた。

「それに話によれば今回の事態に娘(メリル)も巻き込まれているかもしれんからな。巻き込まれているかもしれない娘(メリル)を元の世界に帰してやる為にも、全力で力を貸すから大船に乗ったつもりでいるがいい。」

「ええ、よろしく頼みますわ。」

バダックの申し出にケビンは頷き

(……不謹慎ですけどこの事態にナタリアも巻き込まれている方がいいんじゃないかって、思いました。)

アニスはジェイドに小声である事を伝えた。

(というかこの調子ですと、本当に巻き込まれていると思いますよ?今の状況を見る限り彼らと縁深い者達が巻き込まれているのですから、それを考えると当然私達と縁深いナタリア達も巻き込まれている可能性はかなり高くなります。)

(アハハ、それもそうですね。)

そしてジェイドの推測を聞いたアニスは苦笑した。その後バダックを仲間に加えたケビン達はメンバーをケビン、リース、ユリア大尉、ヨシュア、バダック、ジェイドに再編成して探索を再開し、そして探索をし続けた結果、最初は入れなかった王城が入れるようになったので、王城に入った。

 

~グランセル城・エントランス~

 

「……………………」

「………やっぱり人の気配はありませんね。」

エントランスに入ったユリア大尉とヨシュアは周囲を見回して誰もいない事を確認し

「いや………そうでもなさそうや。」

「………気を付けて。集まってきています。」

「ああ……どうやら俺達が目当てのようだな。」

「フム……この気配は……幽霊の類の魔物ですか。」

ケビンとリースの警告にバダックは頷き、周囲を見回したジェイドが呟くと亡霊のような魔物達が目の前に現れた!

「さっそくのお出迎えか………」

「女神よ………この迷える魂たちに安らぎを与えたまえ………!」

その後ケビン達は協力して亡霊達を撃破した。

 

「くっ、まさかこんな………城にいた者達は一体どこに行ったんだ!?」

「ユリアさん…………」

唇を噛みしめて城にいるはずの者達の安否が気になっている様子のユリア大尉をヨシュアは心配そうな表情で見つめ

「とりあえず………城の中を調べてみましょう。何か手掛かりが見つかるかもしれへんですし。」

「ああ………謁見の間、親衛隊詰所、地下区画、そして女王宮………一通り回る必要がありそうだ。」

ケビンの提案にユリア大尉は静かに頷いた。その後ケビン達は探索を続け、女王宮に行くために空中庭園に出た。

 

 


 
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