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ドラゴンクエストⅤ~紡がれし三つの刻~コラボ版・第十四話

さん

スクエア・エニックスのRPGゲーム「ドラゴンクエストⅤ~天空の花嫁~」を独自設定の上、キャラクターを他の作品のキャラをコラボさせた話です。
それが駄目だという方にはお勧めできません。

コラボするキャラクター
リュカ=タダオ(GS美神・横島忠夫)

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2016-03-02 21:53:31 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:692   閲覧ユーザー数:669

第十四話「訪れた春」

 

 

氷の館からの帰り道、ザイルは心配させた祖父に謝り安心させる為に先に洞窟に帰ると言いだした。

もちろんその後、シオンに謝る為に妖精の村に行く事は約束していた。

 

「タダオ、お前にも迷惑かけたし…その、悲しい想いをさせちまって…悪かったよ」

「もうええんや。そのかわりじいちゃんやシオンさまにもちゃんと謝るんやで」

「ああ、それは約束するよ。じゃあまた何時か会えるといいな」

「きっと会えるよ。もうワイらは友だちやからな」

「じゃあ“またな”」

「おう、“またや”」

 

妖精の村と洞窟との別れ道で二人は握手を交わし、其々反対方向に歩いて行く。

そしてタダオ達は妖精の村へと帰り付き、今は服装も元の物に着替えてシオンの前に立っている。

 

「タダオ殿、貴方達の闘いは私の心の目を通して見ていました。……貴方には辛い役目を押し付けてしまった様ですね、ごめんなさい…」

「うう…、ぐすっ」

 

シオンは涙を零すタダオを優しく抱きしめ、タダオもシオンの胸の中で静かに泣き続けた。

そんな姿を心配そうに見ているセイ達だが暫くすると、目を真っ赤に腫らしながらもタダオは顔を上げてニコッと笑顔を見せた。

 

「さあ、シオンさま。早く春風のフルートで春を呼ぼ」

「ええ、そうですね。では皆、“春風の儀式”を行いましょう」

 

「「「「はい、シオン様」」」」

 

シオンが春風のフルートを吹き、妖精達はその音に合わせて踊る。

セイも皆と共に踊っており、先ほどまで降っていた雪はそのまま桜の花びらに変わり、木々の蕾は一斉に芽吹いて花を咲かせる。

此処に、長い冬は終りを告げ、命が芽吹く春が訪れた。

 

「春来た、暖かい」

「春来た、雪やんだ」

「春来た、花咲いた」

「春来た、マー達嬉しい」

 

「「「「やぁーーーーー♪」」」」

「では続けて、タダオ殿」

「何や、シオンさま?」

「雪の女王が残したクリスタルは持っていますか?」

「うん、ここにあるで」

 

タダオは仕舞っておいたクリスタルを取り出すとシオンに渡し、シオンはそれを手にして何やら呪文らしき物を唱えるとクリスタルは光りを放ちながら空中に浮かび上がる。

シオンが透き通る様な声で歌い出すと妖精達もそれに習って歌い出す。

するとクリスタルは光の粒になって広がり、そして再び一つの塊になるとその中から一人の赤ん坊が産声を上げながら現れ、ゆっくりとシオンの腕の中に降りて来る。

 

「おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ」

 

「シオンさま、その赤ん坊はもしかして」

「ええ、雪の女王の生まれ変わりですよ。この子は私達が責任を持って、新たなる雪の女王として育て上げて見せます」

「そっかー、よかったなー」

 

タダオは再び零れて来た涙を袖で拭うと、眠りについた赤ん坊の顔を覗き込みながら笑う。

 

「では、名残は尽きませんが別れの時が来たようです」

 

シオンがそう言うとタダオは寂しそうにセイを見つめ、セイも同じ様に見つめ返して来る。

 

本来、人間界と妖精界は交流を持たないのが当り前で事態が収拾された今、タダオ達も人間界へと戻らなければならなかった。

そしてそれは短い間とは言え、仲間として共に過ごしたセイ達との別離をも意味していた。

 

「セイ姉ちゃん、寂しいな」

「タダオ殿、私もです」

 

タダオはセイにしがみ付き、セイもタダオを優しく抱きしめる。

そんな二人を見つめながらシオンは告げる。

 

「タダオ殿、もし貴方が大人になり私達の力が必要になった時には私達は全力で貴方の力になる事をお約束しましょう」

「私もです、タダオ殿。その時、私は貴方にこの槍を捧げ、共に闘う事を約束しましょう。これはその誓いです」

 

セイはそう言うとタダオの頬を両手で挟み上を向かせると、その唇に自分の唇を重ねる。

 

「コーーーーーーーーーーーーーンッ!」(あーーーーーーーーーーーーーっ!)

 

タマモの絶叫が玉座の間に響き、タダオの顔も真っ赤に染まっていた。

 

「リリも、リリも」

 

シオンの傍に控えていたリリもタダオに駆け寄るとタダオに抱き付いてその頬に口づけをした。

 

「タダオちゃん、私もーー!」

 

「「「「「「ラリホーマ」」」」」」

 

「はうわっ!」

 

同じ様に駆け寄ろうとしたヨリは六人がかりのラリホーマで撃退された。

「ではタダオ殿、暫しの別れです」

「うん、セイ姉ちゃん。絶対また会おうな」

 

タダオは小指を立てて手を差し伸べるとセイも笑顔でその小指に自分の小指を絡めた。

 

「「「「タダオ…」」」」

 

その呼びかけに振り向いて見るとヒー達が寂しそうに俯いていた。

 

「タダオ、行っちゃう?」

「タダオ、帰る?」

「タダオ、お別れ?」

「タダオ、バイバイ?」

 

「ヒー、寂しい」

「ファイ、寂しい」

「プリー、寂しい」

「マー、寂しい」

 

「「「「やぁ~~~~~」」」」

 

タダオはうなだれている彼等に近づくと笑顔で話しかける。

 

「お別れなんかやないで!」

「「「「や?」」」」

 

「今、セイ姉ちゃんとも約束したんや、また必ず会おうってな。やからヒーたちともまた会うで、絶対にな!」

「そうだよ、きっとまた会えるさ。だってボク達は仲間で友達なんだから!」

「コンコンコーーン!」(そうそう、私達は友達よ!)

「ピイピイ♪」

 

「「「「ホント?」」」」

 

タダオはニカッと笑うと拳を突き出して叫ぶ。

 

「男同士の約束や!」

 

それを見てヒー達も笑顔になってタダオの拳を握っていく。

 

「ヒー、約束する」

「ファイ、約束する」

「プリー、約束する」

「マー、約束する」

 

「「「「また、タダオと会う」」」」

 

「「「「「やーーーーー!」」」」」

 

そして光が辺りを包んだかと思うとタダオとスラリン達は自分の家の地下室に立っていて、その手には淡い香りを放つ「桜の一枝」が握られていた。

 

「また会おうな、セイ姉ちゃん、ヒーたちも」

 

タダオはそう呟いて階段を昇って行った。

 

「バーク、おなか減ったーー!」

「はいはい、ではそろそろお昼にしましょう。旦那さまを呼んで来てもらえますか」

「了解や!」

 

サンタローズの村にも柔らかな日差しが射す春が訪れていた。

 

 

 

=冒険の書に記録します=

 

《次回予告》

 

タダオに何があったのだろう、少し目を離した隙に何やら一段と成長している。

力だけでは無い、心まで成長している。

スラリンよ、教えてくれ。タダオに何があった?

 

次回・第十五話「スラリンとの語らい、そして運命の城へ」

 

タダオ、我が息子よ。

(`・ω・)さて、次から少年期最終章のラインハット編。

此処でも大きな設定変更が二つほどあります、一つはヘンリー役に関する物ともう一つは……

 

 


 
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