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真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第八十四回 番外編: エロ猿を探して(後編)

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

一時間ほどの遅刻申し訳ありませんでした。。。(データは随時保存しましょう 汗)

今回は下着泥捕獲作戦の後半戦。果たして霞と桔梗さんは無事エロ猿を捕獲できるのか、、、!

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2016-02-21 01:03:25 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:4156   閲覧ユーザー数:3541

【益州、成都・城下町】

 

 

「おかしい・・・絶対おかしいでぇ・・・」

 

 

 

翌日、張遼と厳顔は昨日同様酒場に入っていた。

 

 

 

「まぁ、エロ猿といえども毎日出没するわけではなかろうし、昨日は間が悪かったのやもしれぬな」

 

 

 

本日も昼間から作戦会議という名の酒飲みである。

 

北郷たちに昨日は成果がなかったことを告げると、本日も引き続き任に当たるよう告げられたのである。

 

一応ダメ元で呂布と魏延も誘ったのだが、返ってきた答えは『今日も焔耶と一緒にリューホーたちを連れてお散歩』というもの。

 

もはや隠す気はないのかというほどの清々しい言い訳であるが、半ば予想できた返事だっただけに、

 

また、このように真っ昼間から堂々と酒を飲めるという特典(非公認)もあることから、張遼はそれ以上文句を言うことはなかった。

 

 

 

「いや、ちゃうねん・・・昨日のあれは、まぁ、しゃーないわ・・・」

 

「・・・??何が仕様がないのだ?」

 

 

 

まだ酒が入って間もないと言うのに、すでに張遼のテンションがおかしなことになっていることから、

 

厳顔はやや心配そうに、しかし張遼の言っていることの意味が理解できず、その意味を尋ねた。

 

 

 

「くくく、いや、昨日のは本気やないねん・・・けどや・・・今日は本気や・・・本気の時しか使わへんやつやから間違いないでぇ・・・」

 

 

 

しかし、張遼は厳顔の問いかけに答えることなく、不気味に嗤うと、独り言のようにブツブツと心の中の声を口に出すのであった。

 

 

 

 

 

 

【益州、成都・露天風呂】

 

 

エロ猿捕獲作戦二日目。

 

昨日と同じ陽の落ちた頃合いに、張遼は同じ露天風呂に浸かっていた。

 

場所を特に変えなかったのは、やはりここの温泉で一番被害が出ていることからも、ここに現れる確率が一番高いと踏んだためである。

 

 

 

「ふぅ~~~えぇ~湯やわぁ~~~~~~♪」

 

 

 

もちろん本日も貸切である。

 

張遼はたった一人で広めの湯船に浸かり、油断している態を装う、というより、実際本当にくつろいでいた。

 

 

 

「くくくく・・・今日こそは・・・今日こそは間違いなくエロ猿も釣られるはずや・・・なんちゅったって、今日の餌は一刀をもう少しで

 

一線を越えそうになるところまで追い詰めた自慢の一品や・・・」

 

 

 

張遼は湯船の端に両腕を投げ出すように広げながらもたれかかり、

 

隙だらけな様子で不気味に嗤いながら心の声をそのまま普通の声量で漏れ出させていた。

 

 

 

「くくくく、エロ猿め・・・アンタの鼻の下伸ばしたアホ面が目に浮かぶでぇ・・・まぁ、エロ猿の顔なんていっぺんも見たことあらへん

 

けどなぁ・・・」

 

 

 

そして、

 

 

 

・・・

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

【益州、成都・城下町】

 

 

「・・・なんでや・・・なんでなんや・・・」

 

 

 

さらに翌日、結局二日目の作戦も失敗に終わり、張遼は酒場でうなだれていた。

 

 

 

「まぁそう落ち込むな。たまたま好みのものでなかっただけかもしれぬ」

 

 

「けどあれは勝負下着やったんやで!?あれ着けて一刀に迫った時の一刀は割と本気やったっぽかったんや!!結局添い寝で終わったん

 

やけど・・・それでも!!一刀は綺麗だねとか可愛いねとか言ってくれたし!!あれに惹きつけられへん男が存在してたまるかいな!!」

 

 

 

二日連続の作戦失敗に気を落とす張遼に対してフォローを入れる厳顔であったが、

 

しかし、張遼がうなだれている理由の根幹は作戦失敗にあるわけではないようで、

 

張遼は声高にノロケを織り交ぜながら自身の勝負下着が無視されたことに対する怒りをぶちまけた。

 

 

 

「ふむ、その考え方は甘いぞ霞よ。良いか?今の話の場合、お館様がお褒めになったのは勝負下着ではなく、勝負下着を身につけたお主

 

自身なのだぞ?確かに下着そのものも綺麗だとか可愛いだとかの評価を受けているかもしれぬ。だが、勝負下着とはそもそも―――」

 

 

 

そして、そのような聞く者をウンザリさせるようなノロケであっても、厳顔は張遼を落ち着かせるべく、真面目に切り返して見せた。

 

この辺りはさすがに他の者には真似出来ない大人な対応と言えよう。

 

しかし、

 

 

 

「・・・そうか・・・わかったで・・・謎はすべて解けたでクドー!!!真実はいつも一つやァ!!!」

 

 

「―――身につけてこそのもの。つまり、身につけておらぬ下着単体では、その魅力は半減するという―――って喧しいッ!!コラッ、

 

人が折角酒の席で珍しく真面目に話してやっておるというのに訳の分からぬことを叫びながらわしの言葉に被せてくるでない!!」

 

 

 

厳顔が張遼を諭すために良い話をしている最中、張遼は突然厳顔の言葉を喰い気味に叫んだ。

 

しかし、厳顔は訳のわからないと言っているが、恐らくは張遼自身も自分が言ったことの意味を理解しておらず、

 

北郷に教えられた天の言葉を、ただ使ってみたかったというその場のノリだけで使ったに過ぎないのであろう。

 

 

 

「分からんことが分かった時はクドーって叫ぶもんなんや!!それが天の国の常識なんや!!ってそんなこと今はどーでもえーねん!!

 

つまりや、あのエロ猿はアレや!!紀霊とおんなじ部類の奴っちゅーことや!!!」

 

 

 

そして、厳顔の憤慨など我関せずと、張遼は自身のたどり着いた答えをヤケなのか悪酔いなのか、妙なハイテンションで厳顔に説明した。

 

 

 

「は?キレイだと?キレイとは、まさか袁術軍の紀霊のことか?」

 

「せや、つまりや、あのエロ猿は若い娘やのーて、幼い娘にしか興味がないっちゅーわけや!!」

 

「な、何だと!?」

 

 

 

紀霊という聞いたことはあるけどあまりなじみはない人物を引き合いに出され、厳顔はどう反応したものかと戸惑っていると、

 

張遼はかつての同盟相手の性癖を漏洩させることで、エロ猿の本質を説明してみせたため、

 

ようやくその実態がイメージでき、厳顔は驚愕の声を上げた。

 

 

 

「なるほどな、それならウチの勝負下着に跳び付かへんのも納得や。ウチは幼くないしな」

 

「いや、だから勝負下着の話は―――」

 

「つまり、あのエロ猿は女の匂いが好きやなくて、女の子の匂いが好きやったっちゅーわけや。こら野放しにしたらアカンやつや」

 

「ま、まぁ、女のものだろうが女子のものだろうが、下着泥を野放しにするわけにはいかんがな・・・」

 

 

 

エロ猿=ロリコンという答えにたどり着いた張遼は、勝負下着の件について納得するに至ったのだが、

 

厳顔としては下着は人が身につけてこそその魅力云々という持論があるだけに、

 

エロ猿=ロリコンという結論に至るには早計が過ぎるのではと主張しようとするが、

 

またしても途中で張遼の大きな声にさえぎられてしまい、渋々話の流れに身を任せた。

 

 

 

「けど、この違いはなんや?あれかいな、つまりは女特有の色っぽい匂いやなくて、幼女特有の―――」

 

「霞よ、それ以上の発言は世界が崩壊しかねんから止めよ」

 

 

 

 

 

 

【益州、成都城】

 

 

「っちゅーわけで、一番需要の有りそうな雛里のを囮として拝借しようと思うねんけど、どやろか?」

 

「あわわ!?」

 

 

 

張遼の危険な発言が厳顔に止められてはや数時間、張遼はエロ猿=ロリコンという答えのもと、

 

一番囮としてふさわしいと思いついた鳳統の下着を借りるべく、仕事中にもかかわらず鳳統の執務室に突撃していた。

 

当然たまったものではないのは鳳統である。

 

鳳統は驚きのあまり筆を手にしたまま固まってしまい何も反論やツッコミをできずにいた。

 

 

 

「ダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメぇええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!

 

何がちゅーわけで、だ!!そんなのオレが絶対許さないぞ!!」

 

 

 

しかしその時、どこからともなく北郷が突然部屋の中に現れると、張遼の暴挙を全力で阻止すべく二人の間に割って入った。

 

 

 

「あわっ!!??」

 

「何でやねん!?っちゅーか一刀どっから湧いてきてん!びっくりするわ!」

 

 

 

北郷に全力で拒否され憤慨する張遼であったが、それ以前に、突然何の脈略もなく北郷が現れたことに胸に手を当てて驚いていた。

 

そして何より、部屋の主たる鳳統自身が一番驚いており、もはや泡を吹きそうな現状であった。

 

 

 

「霞、お前、需要があるからといってやっていいことと悪いことがあるだろう!お館が全力で止めに入るのは当然だ!」

 

「―――ッ!!!???」

 

 

 

さらに、北郷同様魏延までもが何の脈略もなく突然部屋の中に現れるものだから、ついに鳳統は声なき叫び声を上げる始末である。

 

 

 

「焔耶アンタもかいな!?アンタら雛里大好きやなホンマに!っちゅーかアンタら二人とも仕事しろや!!暇人かいな!?ってちゃうわ

 

焔耶アンタ今日も恋と犬連れて散歩ちゃうんかコラッ!」

 

 

 

魏延の登場で張遼は改めて鳳統のガードの堅さ(他者による)を知ることになるのだが、

 

それ以前に、本来魏延は呂布と犬の散歩に行っていることになっているはずなだけに、

 

妙なテンションと場の勢いに任せて魏延にきつめのツッコミを入れるべく殴りにかかるが・・・

 

 

 

ゴスッ

 

 

 

「「「――――――ッッッ!!!???」」」

 

 

 

音速の如き速さで部屋の中に入ってきた厳顔が伝家の宝刀を張遼の脳天にぶちかまし、部屋中の者が顔を青ざめながら見守る中、

 

「失礼」と一言だけ残し、意識の飛んだ張遼を部屋の外へと引きずっていくのであった。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・痛ぅ・・・アカン、雛里は守りが固すぎる・・・」

 

 

 

城内の一角まで引きずられた後、ようやく目を覚ました張遼は、瘤のできた脳天をさすりながら鳳統の下着を囮に使うことを断念した。

 

 

 

「暴走しすぎだぞ。失敗続きで気がはやるのも分かるが、もう少し考えて行動せねばならん」

 

「せやかてななのは実力的に厳しいやろし、あとは・・・」

 

(・・・・・・こやつ、人の話を聞いておるのか・・・!?)

 

 

 

厳顔は張遼にやりすぎだと忠告するが、しかし、張遼はまったく話を聞いておらず、次なる策を練っていた。

 

そして・・・

 

 

 

 

 

 

エロ猿捕獲作戦三日目。

 

エロ猿はあっけなく厳顔の鉄拳制裁を喰らうことになった。

 

効果は覿面であった。

 

囮となるブツをいつもの定位置に置き、張遼が湯船につかってから2~3分。

 

残像を残しながら獲物に跳び付いたエロ猿が、ブツに触れそうになったその刹那、

 

物陰に隠れていた厳顔が目にもとまらぬ音速の拳でエロ猿の顔面をホームラン。

 

見事に再起不能にし、捕獲に成功したのであった。

 

囮に使ったものは、淡いピンク色の下着、山吹色の縞の入った白のニーソックス、

 

黒のホットパンツ、白い服、黒の外套、そしてパンダの顔の刺繍が施された黒い帽子。

 

つまり、陳宮の衣装一式である。

 

 

 

「なぜねねの服が囮に使われているですかぁあああああああああああああああああああああああああああああッッッッッ!!!!!!!」

 

 

 

その日の夜、エロ猿捕獲の一報を告げるべく、玉座に幹部たちを集めた張遼が、その事実を報告すると、陳宮は頭を抱えて絶叫した。

 

 

 

「あのエロ猿はちっこい女の服にしか興味を示さへんからや!」

 

 

 

陳宮の絶叫に対して、張遼は豊満な胸を張りながら堂々と端的に説明した。

 

 

 

「なっ・・・なら雛里やななのを使えばよかったのです!」

 

「雛里は一刀と焔耶の守りが固くて手ぇだせへんかった。ななは本人の守りが固いからもっと無理や。ならねねしか残ってへんやろ」

 

「くっ・・・か、一刀殿!なぜ雛里のは守ってねねのは守ってくれないのですか!?」

 

「い、いや桔梗の顔がトラウマで・・・」

 

 

 

陳宮の主張は張遼に簡単に返されてしまい、言い返せない陳宮は八つ当たりのような感じで北郷にその怒りの矛先を向けるが、

 

北郷は鳳統の部屋で目撃した厳顔の一睨みがフラッシュバックしたのか、顔を青ざめさせながら目を泳がせていた。

 

 

 

「まぁ、よかったじゃないですか。結果問題の猿は捕えることができたのですから。これで依頼主も満足ですし、問題ありません」

 

「ななは他人事だからそんなことが言えるのです!」

 

 

 

高順の言うように、成果としては十分なのだが、囮として勝手に自分の服が使われた陳宮としては、

 

はいよかったですと納得がいくはずもないのである。

 

 

 

「あ、依頼主と言えば、もしかしてあれ投書したのってねねか?」

 

「は!?な、ななななななななぜそのこと―――はうあ!?」

 

 

 

しかしその時、北郷から投げられた突然の変化球に、陳宮は対応しきれず、思わず自爆をしてしまった。

 

 

 

「凄いなお館、どうしてわかったんだ?あれは匿名だったはずだろう?」

 

 

「いや、だって名前は書いてなかったけど、あの筆跡ってねねの字みたいだなーって思ってたし、もしかしたらって思ってたんだけど、

 

やっぱりそうだったのか」

 

 

「なるほど、以前温泉に入っている時に猿の服を盗まれたことがありましたが、その時のことを根に持っていたのですね」

 

 

 

ちなみにその時訳あって陳宮を尾行中だった高順は、猿が衣類を盗む瞬間をとらえていたのだが、

 

捕えようとすれば尾行がばれるため放置したというのが真実である。

 

それを知っているのは高順と陳宮だけである。

 

 

 

「あわわ、いつもねねちゃんの書いている書簡とかを見ているから分かったんですね」

 

「さすがお館様だな」

 

「いやいやそれほどでも~」

 

 

「コラーッ!話が逸れてるです!確かにこの依頼を投書したのはねねですが、今はそのようなことどうでもいいのです!問題は、ねねの

 

服がエロ猿の餌にされてしまったことなのです!」

 

 

 

北郷が日頃仕事をしていないようで実はちゃんとまじめに仕事をしていたということが明らかになったことで、

 

周りは北郷に賞賛の言葉をかけ、北郷は頭をかきながら照れていたが、

 

話が完全に明後日の方向に行きそうになったところで陳宮が憤慨しながら修正に入った。

 

 

 

「・・・・・・猿は、ねねの服に触れる前に、捕まった?」

 

 

 

陳宮の怒った様子を見て、呂布がすかさず話題を元に戻した。

 

 

 

「あぁ、触れる前にわしが拳骨を見舞ってやった」

 

「せや。確かに勝手に使ったんは悪かったけど、触れられてへんのやから別にえーやろ?」

 

 

 

つまり、張遼の主張としては、勝手に囮に使ったのは悪いと思うが、

 

実際猿は触れていないのだからそんなに怒らなくてもいいだろうということであった。

 

中々に図々しい主張である。

 

 

 

「で、ですが、あの下着は一刀殿のために大事にとっておいたものなのです!それを・・・それを勝手に・・・」

 

 

 

しかし、そこまで堂々と気にするな宣言をされると、次第に陳宮の方が弱気になっていき、

 

ついには涙目になりながら囮に使われた下着は北郷のためにとっておいた勝負下着であることを、

 

恥を忍んでか、或はヤケクソか、訳が分からず混乱状態であるのか、包み隠さず暴露してしまった。

 

 

 

「そ、そうだったのか・・・」

 

 

 

本人の口からそのような非常に繊細な事実を聞かされてしまい、北郷は非常に居たたまれない思いを抱く。

 

その刹那、張遼と陳宮を除く全員の視線が張遼に突き刺さった。

 

 

 

「え?なんやみんなそないな冷たい眼でウチを見んといて!一気にウチが悪者に!?」

 

 

 

よくよく考えれば当然の結果なのだが、一気に周りが敵に代わり、張遼は狼狽えていた。

 

 

 

「うぅ~~~ねねは穢されてしまったのですぅ・・・ひっぐ・・・」

 

 

 

そして、ついに陳宮の瞳は決壊。

 

固く結んでいた口から最後の弱音を吐くと、そのまま泣き崩れてしまった。

 

 

 

「わーわー!!泣かないでくれねね!ほら、なら今晩あれを着てオレの部屋に来てくれよ!オレ、楽しみにしてるからさ!」

 

 

 

そのような陳宮の様子を見て、北郷はすぐに陳宮のもとに駆け寄ると、両肩を抱き、

 

慌てながらも優しく微笑みかけながら、周囲の目がある中で腹をくくって陳宮を部屋に誘った。

 

当然、張遼に向けられていた冷たい視線が、張遼の視線をも加え、

 

ギラついたものに変わって北郷を襲うことになるのだが、そのようなこと北郷はお構いなしである。

 

痛い目に合うのは全てが終わった後でいい。

 

それくらい受け止められる。

 

それよりも、今は陳宮の気持ちを受け止めて答えてあげるべき時。

 

自身が傷つけられることを心配するより、すでに傷つけられた陳宮を癒してあげるべき時。

 

そのような決断を悩むことなく即断できるのが御遣いクオリティーである。

 

 

 

「か、一刀殿ぉ~~~!」

 

 

 

北郷の言葉を聞いたとたん、陳宮は一瞬涙でぬれた瞳をより一層大きく見開くと、赤面し、

 

しかし普段のようにそっぽを向くといった照れ隠しなどせず、無我夢中で北郷の胸に飛び込んでいた。

 

そのようなイチャイチャした様子を目の当たりにすれば邪魔したくなるものだが、さすがにこの場の雰囲気がそれを許さず、

 

みな渋々といった様子ではあるが、ここは空気を読んで成り行きを見守ることにした。

 

が、しかし・・・

 

 

 

――――――――――――――――――ニヤリ・・・

 

 

 

(――――――あわわ、ねねちゃん・・・恐ろしい子!)

 

 

 

北郷の胸の内からわずかに見えた、陳宮の口角が一瞬上がったことを鳳統は見逃さなかった。

 

その刹那、鳳統に電流走る。

 

仮定の話をしよう。

 

もし、このエロ猿捕獲騒動が、すべて陳宮が今この瞬間を演出するために仕込んだことだと想定すれば。

 

目安箱に投書した人物が陳宮であるということが事実なのであれば。

 

その想定はより現実味を帯びてくる。

 

陳宮ほどの頭脳を以てすれば、エロ猿という名前からも北郷が胸の大きい人物に任を与えることは想像がつくし、

 

呂布・張遼・厳顔・魏延の中なら、北郷であれば呂布がこの手のことは意外と面倒に感じると見抜き、

 

考慮して候補からはずすと推測できるし、それなら厳顔よりも若い張遼か魏延が選ばれるのは容易に想像がつく。

 

今回はたまたま呂布から思わぬ援護があったが、それがなくとも、張遼が選ばれるように魏延に適当に仕事を与えればよいだけである。

 

そして、エロ猿の性癖がロリにあることも、仕事柄エロ猿の被害届の報告をすべて見ている陳宮ならその類似点に気づくだろうし、

 

張遼も何度も自分の服を囮に使って失敗を繰り返してそのことに気づかないほど愚かではない。

 

そうすれば、囮として選ばれるのは陳宮・高順・鳳統の誰かのものとなるのだが、

 

鳳統は北郷や魏延から必要以上に過保護に扱われていることからガードが固く、高順は個人の実力そのものがすでに鉄壁。

 

つまり、陳宮しか選択肢はないわけである。

 

あとは陳宮が被害者を演じ、北郷の優しい言葉を待つだけ。

 

その時になれば空気も見逃してやるかという雰囲気になっているだろうし、多少大胆な発言や行動をしようとも見逃されるのである。

 

仮にそこでギャグでスルーされるようなら自分は北郷にとってその程度だったと割り切れるし、

 

そういう意味では一種の賭けでもあったわけだが、陳宮は北郷を信じてみせ、望み通りの結果へと繋げたのである。

 

一人勝ち。

 

まさに陳宮の完全勝利であった。

 

そして、これらの真相を、鳳統は陳宮の嗤いから瞬時に悟ったのであった。

 

 

 

「なんや・・・なんやなんやなんや!!みんなで寄ってたかってウチばっかり・・・!」

 

 

 

そして、この場のアンチ張遼の空気に耐えられなくなった張遼は半ば逆切れ気味に声を荒げた。

 

 

 

「いや、別に霞を非難してるわけじゃないさ!方法はともかく、エロ猿は無事捕まえたんだしな!」

 

 

 

そのような張遼の不安定な様子に、すかさず北郷は陳宮を抱いたまま慌ててフォローを入れた。

 

 

 

「うっさいこのろりこん!!ねねの下着姿想像して鼻の下伸ばしよってからに!!この前はウチの下着姿見ても何も手ぇ出さへんかった

 

くせに!!」

 

 

 

しかし、今の張遼にはむしろ逆効果であり、さらには以前から抱いていた不満も含めて、八つ当たりのような怒りを北郷にぶつけた。

 

自分でも話がブッ飛んでいることは理解していた。

 

しかし、自身の扱いと陳宮の扱いを比較してしまい、とめどなく湧き出てくる思いを吐き出さずにはいられなかった。

 

 

 

「え?もしかして手を出してよかったのか?」

 

 

 

だがしかし、北郷が投げ返してきたのは、思いがけないクロスファイヤーであった。

 

 

 

「へ?」

 

 

 

その刹那、張遼の時間が停止する。

 

 

 

「いや、あの時は急に手なんか出したら嫌われるだろうし焦らず焦らずって自分に言い聞かせてたくらいなんだけど・・・」

 

「え?いや、あの、その・・・・・・・・・ホンマ?」

 

 

 

若干照れながらも、真面目な顔で告げられる北郷の気持ちがすんなり頭の中に入って来ず、張遼は恐る恐る確認する。

 

いや、本当は頭に入っていたのかもしれない。

 

ただ、もう一度、北郷の口から確かな言葉が聞きたかっただけというのが本心なのかもしれない。

 

 

 

「あぁ、かなり我慢してたんだけど、あの時手を出してもよかったのか?」

 

「は、そ、そそ、そそそそそそんなんウチに聞くなアホーーーッッッ!!!」

 

 

 

そして、北郷の口から再びその気持ちを確認できたことで、

 

張遼の顔が一気に赤らみ、沸点を超えたところでこの場にいることが耐え切れず、

 

暴言を吐きながら蒸気機関車の如く脳天から蒸気を出しながら部屋の外へ全力で逃げ出してしまった。

 

 

 

「はぁ・・・まだまだ青いな」

 

 

 

そのような若いもののやり取りを見て、厳顔は深いため息をつくのであった。

 

 

 

【第八十四回 番外編: エロ猿を探して(後編) 終】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

第八十四回終了しましたがいかがだったでしょうか?

 

さて、霞回かと思いきやまさかのちんきゅー回だったという 笑

 

いや、霞にはちゃんと拠点の時に霞回を用意しますのでホントウニスイマセン、、、汗

 

そして桔梗さんもナンダカホントウニスミマセン、、、汗

 

ところでロリコンの話題が出るたびに引き合いに出される紀霊君。

 

結構お気に入りなんですが少なくともside呂布軍では出現させられる確率が絶望的。

 

一応この世界では現在袁術軍は孫策軍に敗れてはいるものの在野で生存している設定ですが。

 

 

 

では、息抜き回もここまででして、次回から本編に戻ります。

 

前回までのおさらいをしますと、一刀君が曹操軍に処刑されたと思ってたら生きていた!という感じでAパート終了でした。

 

それでは、例によってここでお知らせをば、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(機会を待つんだ・・・必ず、ここから抜け出す機会は訪れるはずだ・・・!)」

 

 

 

後半戦開始!

 

 

 

「一番の問題は、やっぱり許に入るまでの最大の難所、函谷関だな」

 

 

 

立ちはだかるは、洛陽西にそびえたつ関門、函谷関、、、!

 

 

 

「ケホッ、勿論だよ。この前は御遣い殿がアタシ達涼州を救ってくれたんだ。今度は、アタシ達が体を張る番さね」

 

 

 

動き出す涼州勢、、、!

 

 

 

「敵の馬と旗しか見んと戦っとるんかワレ!?あの独特の圧は忘れたくても忘れられへん、白馬長史の白馬義従や!!」

 

 

 

そして、彼女もついに本領発揮、、、!

 

 

 

真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第五章B:御遣奪還編

 

 

 

「・・・だから、みんな、必ず、生き残る・・・生きて、一刀と一緒に、ウチに帰る・・・」

 

 

 

4月3日午前0時 投稿開始

 

 

 

「なっ・・・・・・お、オレっ娘・・・だと・・・・・・!?」

 

 

 

こんな時でも一刀君は相変わらずです 笑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はい、というわけで次回からBパート突入でございます。

 

そして投稿開始が4月。別に月を間違えているわけではありません。

 

以前からちょくちょく申告しておりましたがやはりBパート完成が間に合いませんでした 汗

 

本当は3月でちょうど御遣い伝説投稿開始3周年となるはずだったんですが(ちょとダラダラしすぎですかね、、、)

 

実際の進捗状況を申しますと、現在第九十一回まで完成しているのですが、

 

このBパート、積算で恐らく第九十七回か八回まで続きそうでして(長すぎ)

 

一応途中校正することで矛盾回避のための修正が入るかもしれませんので、

 

パートB完成まで今しばらくお待ちいただきたく。

 

それでも、期日になれば、未完成であろうが見切り発車で投稿しますのでご安心を(と、自分を追い込んでおきます 汗)

 

 

ではでは、しばらく間が空くことになりますが、次回もまたご一読いただけましたら幸いです。

 

それでは、また次回お会いしましょう!

 

 

 

勝負下着を持ち出す恋姫がちらほら、その時が来るのも時間の問題かもですね。

 


 
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