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女神異聞録~恋姫伝~ 第四十八話

ヘイロンさん

真・女神転生世界に恋姫無双の北郷一刀君を放り込んでみたお話
人の命はとっても安い、そんな世界
グロや微エロは唐突に生えてくるもの
苦手な人は注意されたし

2015-08-10 00:07:40 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:900   閲覧ユーザー数:877

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                  女神異聞録~恋姫伝~

 

                    第四十八話

 

                   「怒りの原点」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジャラジャラと鎖を引き摺る音が響く。

 

光の射さない暗闇に覆われた部屋、水音と肉がぶつかり合う音が響く。

 

一人二人ではない、それより多くの人数が狭い部屋の中ひしめき合っている。

 

混ざり合ったなんともいえない臭いが部屋の中に充満していた。

 

それらの行為が行われ始めてからどれほどの時間が経っているのだろうか。

 

一昼夜、少なくともこの街を離れてからそれほど時間は経たずに行われていた。

 

泣き叫ぶ声も、喘ぐ様な声も聞こえない、下卑た男の笑い声と何かを喰らう音だけが支配し

 

ていた。

 

闇の中では、壊れた女性たちを複数の男たちが嬲っているだけだった。

 

「げひゃひゃ。お~い、どいつが最初に孕むか賭けねぇか?」

 

「昨日の今日で気の早い。だが良いな乗った」

 

孕む、その言葉に女性達はもう輝きのない瞳だったのに、びくりと身体を震わせる。

 

「お?今、更に締りがよくなったぜ」

 

「よし、なら俺はこのツインテールをクルクル巻いた奴にしよう」

 

「俺はこの眼帯した奴だな」

 

「ひひひ、なら俺はちびっ子にしよう」

 

「は、ロリコンが………俺はこの青髪の子にするぜ」

 

狂った宴は更に加速していく。

 

「ま、この世界じゃ孕んだ所で人間のガキが生まれてくるともかぎらねぇがな」

 

そういってまた行為に没頭していった。

 

魂を汚し、ルドラサウムの元に還さぬ事が悪魔の仕事なのだから。

 

契約に置いて縛り、魂を奪うこともまたそうだが、ルドラサウムに返さぬことこそが本質。

 

ゆえに昏い感情を引きずり出すことに長けていた。

 

絶望、失望、諦観、堕ちたモラルと、それは暴力でも甘い囁きでもない、ただ貪り、貪欲な

 

までに人の欲と嫌悪を引きずり出すことに長けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一刀はベリルを従えてある建物の前に来ていた。

 

窓には板が打ち付けられ、壁は一部が削られながらも部屋の中への被害は振動程度のもの

 

と見える………シブヤにて拠点に使われていた蓮華が捕らえられていた建物だった。

 

そこにはあの少女達、女性達がいたはずだった。

 

「………」

 

言葉を発するものは居ない。

 

ただ、一刀の手の平は武器を強く握り締めすぎてぽたりぽたりと血が滲み滴っていた。

 

意を決し扉を開く。

 

エントランスには夥しい血の海が広がっていた。

 

その中には形をそのままにした腕や、食いちぎられたような腹、無造作に打ちつけられた足、

 

すでに付く場所のない砕かれた頭部など、殺戮の粗方が行われた後だと示すように。

 

生乾きの血の海の中をにちゃりにちゃりと靴の裏に音を張り付かせながら、先を急ぐ。

 

鉄錆の臭いと撒かれたはらわたの臭いと不快なにおいが充満していた。

 

五感の全てがもう既に嫌なものしか伝えてこない。

 

人の気配、というよりも息遣いは四つ感じることが出来る。

 

困惑していることは実感できる。

 

自分自身の事だ、抑え切れぬほどに怒っている事も承知している。

 

ただ、足は戸惑うことなく扉へと向かっている。

 

両の手が扉にかかる。

 

そして力を込め、扉は開かれていく。

 

その部屋の中を見たとき、一刀の意識は黒く黒くどす黒い感情に塗り潰された。

 

視覚では部屋の中は見えている。

 

忙しく動く青、白濁に汚された肌色、壁の白。

 

肌に伝う赤、髪の色、光彩を失った瞳。

 

「よ」

 

ヒュカン。

 

スカン。

 

「う」

 

ヒュン。

 

ヒュン。

 

タン。

 

タタン。

 

「よ」

 

ズッ。

 

キュン。

 

「お」

 

スパン。

 

ヒュパ。

 

「や………」

 

キン、とコテツを鞘に収めようやく口を開く。

 

「死ぬ覚悟は出来ているんだろうな?………あぁ、いいや………もうしゃべるな。この外道

 

どもが」

 

「く………?」

 

ずるりとコテツと木刀が通った後をなぞる様に線が悪魔たちの体に走っていく。

 

その線に沿って身体が落ちて行き、血を撒き散らすこともなく死んで消滅して逝った。

 

 悪魔達が消されてから、残ったのは放心している子達だけだった。

 

タオルと毛布を取り出し、一人一人にかけていくが………近付くたびに、かけるたびに、歩

 

くたびに、ビクリと身をすくませるのは一刀の心を抉っていった。

 

彼女たちの目に映るのが誰かわからなかったのが、幸か不幸か。

 

「リンゴ、アリス、アラクネ、シィ………」

 

「「うん」」

 

「はい」

 

「わかったわ」

 

「すまん、しばらく頼む………」

 

彼女たちのことを四人に任せ、部屋の外に出た。

 

ドスリと音を鳴らし、背を壁に預け、額に手を当て、今の自分の情けなさを自覚する。

 

「あぁ………くそ、俺はなんでこんなにも愚かなんだ」

 

ここの人たちを置いていったのは一刀だ。

 

アクマ達が群れ成し、人が当たり前のように襲われる世界で、自分のことを成すためにその

 

ままにして置いて行ったのだ。

 

悔やんだところで後の祭りだろう。

 

春蘭と秋蘭が居るのだから大丈夫だと、慢心していた。

 

二人は強いから何かあっても退けられるはずだと油断していたともいえる。

 

「こんなときにかけてあげられる言葉も、してあげられる手もないだなんてな………」

 

無力感だけが一刀の肩にずしりと圧し掛かっていた。

 

男性に恐怖するというトラウマを前にして、今の自分に出来ることが無い。

 

女性の姿をした仲間たちに任せることしか出来ない今の自分が恨めしかった。

 

この手はきっと血に塗れている。

 

掴めるのはただ破壊することだけ。

 

己の幸せなど願ってはいない。

 

何を何故そうして願いもがいているのか、何時からこうし始めたのか。

 

奪われることが許せなかった。

 

喪う事が何よりも心を締め付けるほどに切なかった。

 

失うものが闇に伝う雫のように悲しかった。

 

守る事ができないその事実が焦燥を呼び、己を焼く怒りの炎になっている。

 

「きっとあんな風に強く在れる奴が英雄って呼ばれるんだろうな」

 

思い出したのは、人の子供の笑顔が好きだと自分が辛い時も狂うほどに苦しい時も笑顔に

 

したいと願い、笑顔で在れる存在を思い出していた。

 

「さよならは、いつも笑顔で………か」

 

己は笑顔で去ることが出来るのだろうか。

 

己の最後のとき、誰か隣にいてくれるのだろうか。

 

死を呼び、死を与え、死の罪に塗れた己に。

 

一刀は額を覆っていた手を離して光にかざす。

 

たまに手が黒く染まっているように見える事がある。

 

助けたいと求め、救いたいと願い、笑顔であってほしいと振るってきた、手が、だ。

 

まるで固まった血のように黒く光沢もないように見えることがある。

 

動かせば砕けてしまうように見えることがある。

 

じぃっと手を眺めてひとしきり経てば、ため息をついた。

 

「やれやれ、こんな情けない姿はあいつらには見せられないな………」

 

「(はっ!何を弱気な事を、足が止まったら俺が運んでやる)」

 

ラムの声が頭に響く。

 

「(おにーちゃんには私達がいるもん)」

 

リンゴの声が後に続く。

 

「(大丈夫だよ。アリス達も皆もきっと)」

 

「(道を誤りそうになったのならば私達が貴方を道に戻しましょう)」

 

「(もっと私たちを頼ってください。レイラァ)」

 

「(暗い道でも私が照らします)」

 

「(旦那様ならきっと、皆を笑顔に出来るわ。自信を持ちなさいな)」

 

「(サーは新しい風です。我らを変えてくれた様に)」

 

「(ぬしさまはやさしいから、しぃたちもいっしょ、すすむ)」

 

「(マスター。私たちはマスターと共に、例えその身体を失ったとしても必ずお側におりま

 

す。アメノホヒもクロガネもヒイラギもウンチョウもカラクもマリナもきっと。これから出

 

会う仲間達も、だから怖れずマスターの道を進んでください)」

 

皆の言葉をバロウズが締めくくり、全ての仲間が声を合わせて唱和する。

 

「(我らは一刀と共に)」

 

「(あぁ、そうだ、そうだった。俺にはお前たちがいる、だから歩き続けよう………例え辛

 

い結末が待とうとも、望むハッピーエンドでないとしても)」

 

決意を新たに心に刻み、真っ直ぐに前を見据える。

 

その頬には暖かい雫が伝っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらく時間が経ち、四人が落ち着いたのをリンゴたちの言葉から確認して、再び扉を潜

 

る。

 

華琳、春蘭、秋蘭、季衣は白いワンピースを着ていた。

 

恐らくアラクネが糸から創り出したものなのだろう。

 

何処にも汚れはなく、まっさらな状態だった。

 

「あ………その………」

 

どこか落ち着かない様子で、華琳はたどたどしく口を開く。

 

一刀に目を合わせる事ができないまま、スカートの裾をぎゅっと握って必死に言葉を繰り

 

出そうとしていた。

 

「えっと………あの………」

 

「北郷………その………あれだ………」

 

春蘭や秋蘭もどこかばつが悪そうにしていた。

 

季衣だけがじっと一刀を見ていた。

 

一刀は言葉が出てくるまで、静かに待っていた。

 

「大丈夫だ。ゆっくりで大丈夫だよ」

 

出来るだけ安心できるように微笑み、待つことを、待てることを伝える。

 

悪魔達が次の場所に向かったことを知っていながら、自分の焦燥をごまかしながら。

 

安心してもらいたくて、自分をごまかした。

 

「私………違う、私たち一刀に………」

 

声を震わせながら、振るえる声を顔を俯かせて抑えながら紡ぎ出そうとしていた。

 

「あ、謝らないと………」

 

「いや、それならこっちこそ謝らないとだ………もっと早くに助けられなくてすまない」

 

その言葉にがばっと華琳達は顔を上げる。

 

「そんな事無い!あなたは、ちゃんと私たちを助けて――――」

 

「クレナカッタ」

 

今まで黙っていた季衣が口を開いたと思えば、華琳達とは違う言葉を吐き出していた。

 

「ニイチャンハ、タスケテクレナカッタ。『マタ』マニアワナカッタンダヨ」

 

「ひっ!?」

 

「いやぁぁぁぁっっ!?」

 

ボゴリと華琳達三人のお腹が膨れ上がる。

 

まるで子供でも身篭った様に。

 

「マスター!!」

 

「俺は『また』助けられないのか………」

 

ぎりっと奥歯をかみ締め、叫びそうになることを押し留める。

 

膨らんだお腹は真ん中から割け、肉の塊が零れ出てくる。

 

そして融合していき、四人は一つのアクマへと姿を変える。

 

「魔人、母体合体魔人です」

 

「リンゴ、ミント………四人にディアをかけ続けろ」

 

「レイラァ………」

 

追いついてきた蓮華とねねは息を呑んでいた。

 

アクマが生まれる瞬間を見たのだからそれも仕方がない。

 

それも、とてつもなく非道な結果から生み出されたのなら尚更だろう。

 

「諦められるか………諦めてたまるかっ!!救う術が無い!?救われない!?誰がそんな

 

言葉で諦めるか!!」

 

脳裏に映ったのは自分の命を盾に退ける道を作った月に、手を汚させまいと助かる術が無

 

いと自ら命を断った詠の姿。

 

「ミント。おにーちゃんが諦めないんだから、私達が諦めちゃダメなんだよ」

 

「そうでした。レイラァが諦めていないのに私達が諦めるわけにはいきませんでした」

 

「それじゃ私たちは旦那様と一緒に切り離すのを手伝いましょ?ね。アリスちゃん」

 

「うん。『また助けられなかった』のなら今度こそ助けて見せればいいだけだよ」

 

「しぃもぬしさまをたすける」

 

アリスのハマが肉の塊に穴を穿ち、アラクネの糸が切り刻んでいく。

 

その度にリンゴとミントが華琳たちの傷を癒し、切り離すことに奮戦していく。

 

一刀はただ一人目の前に立ち、振るわれる攻撃に耐える。

 

「一刀!もういいから!もうわかったから、やめてぇぇぇぇっっ!!」

 

避けられる攻撃を避けず、ただ無心に二つの刀を振るい続ける。

 

「大丈夫だから。俺なら大丈夫だから………ぐふぅ」

 

腹に肉塊の腕がめり込む。

 

息が詰まるような一撃に振るっていた腕が一瞬止まる。

 

意識が一瞬黒く染まりかける。

 

「(あの時は………どう振るったんだったか………)」

 

悪魔を、悪魔だけを消滅させたあの剣筋を辿ろうとしていた。

 

彼女たちの身体を通過していたにも限らず、彼女たちを傷つけることなく悪魔だけを切り

 

刻んだあの剣筋を。

 

「にいちゃん、ここだよ」

 

囁く声が聞こえた。

 

虚ろな目をした季衣に、もうひとつ季衣が重なって見えた。

 

桃色をした肉の塊にうっすらと黒い線が見える気がした。

 

囁いた声はその線を指してここだといっているのか。

 

木刀の切っ先をその線に沿って滑らせた。

 

「ギャアアアアアァァァァァァァァァッッッッ!!!」

 

母体合体魔人が叫び声をあげる。

 

それは断末魔でぐずぐずと醜かった桃色の肉の塊は崩れていく。

 

それにあわせて四人の身体が肉の塊から滑り落ちる。

 

塊から見えていた部分だけが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詠「詠と」

月「月の」

詠&月&へ「「「あとがきコーナー」」」

詠「えっと、一刀は一体何をしたの?」

へ「祝、直死の魔眼取得!」

月「それダメじゃないですか」

へ「剣の極みの一つに達したって事だね」

詠「いやいやいや、殺しちゃダメなんじゃないの!?」

へ「呪殺属性じゃない逆説的即死攻撃って魅力じゃない」

月「なに属性になるんですか?」

へ「夢の物理即死攻撃。剣を振った結果を先渡しする技術かな」

詠「黒い線はなんなのよ」

へ「斬鉄との切れる線が見えるって奴、所詮つなぎ目の事だね~」

月「有名な十七分割とは関係ないんですか?」

へ「うん。関係ないね、それっぽく見えるけど」

詠「脳みそがパンクするとかって言う設定だったものね」

へ「さすがにそれじゃ不味いからねぇ」

月「話は変わりますけど、母体合体魔神って語呂が悪いですよね」

へ「実はPCで発売された偽典女神転生というゲームに出てくる有名な敵なのです」

詠「どんな敵なのって………あぁ、人からアクマになるとかそういう奴なのね」

へ「俺自身はやる機会がなかったのが悔やまれる。これはWiki等から引っ張ってます」

月「調べてみたら中古で約2万円との事………高いですね」

へ「ちょっとそれだけの余裕は無いね」

詠「その辺りは仕方がないわね」

へ「やっては見たいんだけどね~………R-18というよりはZ指定とかに近いらしい」

月「頑張って捻出してみてはいかがです?」

へ「買うときっとのめり込むね。小説書くの遅れるw」

詠「ストーリーにこれ以上作品絡めるとカオス過ぎるものね」

へ「時期的には核ミサイルが落ちてから主人公たちが帰還する間のお話らしいけどね」

月「あ、そろそろ投稿のお時間じゃないですか?」

へ「おっと、もうそんな時間か今日が休みでよかった」

詠「それじゃいつもので〆ちゃいましょう」

詠&月&へ「「「ではお休みの間、アクマに身体を乗っ取られませぬようお気をつけて」」」

詠&月&へ「「「また次回お会いしましょう」」」

 


 
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