No.79400

真・恋姫†無双 ~金色の聖剣~

ミッチーさん

袁紹ルート……いや、漢女ルートになるのでしょうか?

一刀の活躍で、袁家が滅びなければいいな~という話。

マッチョはでないです。

2009-06-16 17:12:37 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:14956   閲覧ユーザー数:11770

 

 

 

 

「―――――――あっ!流れ星!」

 

「え?文ちゃん?……こんな昼間から、流れ星だなんて――――」

 

 

少女が空を見上げると。丁度、その遙か頭上を黄金に輝く一筋の光が通り過ぎていく。

 

 

「―――わぁ、すごい!……とっても綺麗だね、文ちゃん!」

 

「斗詩!麗羽様!あの流星は、すぐ近くに堕ちたみたいですよ!行ってみませんか?」

 

「はぁ~?なんですの~?猪々子さん、騒がしいですわよ」

 

 

騒ぎで、起こされてしまったのだろうか。寝起きの不機嫌な顔を見せながら、ふたりの主が不満そうな声をあげる。

 

 

「―――だから、流星ですよ!すぐ近くに堕ちたみたいなんです!行ってみましょう!ほら、斗詩!あっちだよ!馬車の進路を向こう側に変えてくれよ!」

 

「―――わっ!文ちゃん!もぉー!……いいですか?麗羽様?」

 

「まったく、好きにしなさいな……わたくしはもう少し、眠らせてもらいますわ………ふゎ~」

 

「やりぃーーーー♪よ~し!斗詩、行けぇーーー!目指すは北東の方角だーーー!」

 

「―――はぁ~、しょうがないな~……」

 

 

 

 

 

…………………………。

 

………………。

 

 

 

 

 

「―――――――――む?」

 

 

なんだか、身体中が痛い。

 

それに、背中の辺りがゴツゴツしていて、まるで地べたにでも寝かされているような感じだ……いや、実際そうなのだろう。

 

……なにこれ?どういう状況?

 

目を瞑っていても、なにも解らない……いい加減、起きるとしますかね。

 

 

「―――おっ!斗詩!こいつ起きるみたいだぞ!」

 

 

なにやら、声がする。

瞼を開け、上体を起こすと声の主と目が合った。

 

 

「―――――――――」

 

「―――――――――」

 

 

無言で見つめ合う。

 

……誰?

 

なんだか、金色の鎧を着た……変な恰好をした、同い年くらいの少女と見つめ合っている。

……この状況はなんなのだろうか?

 

 

「あの~。いいですか?」

 

「―――え?あっ、はい」

 

 

同じような金色の鎧を着た。おかっぱ頭の少女がためらいがちに話かけてくる。

 

 

「え~と。あなたは、どうしてこんな所で寝ていたんですか?」

 

「寝ていた?俺が?」

 

「えっ?……はい、私達がここに来た時からいままで―――」

 

 

そう言われて、辺りを見回してみる……果てしなく広がる蒼穹の大空。そびえる岩の山々。そして、遠く広がる荒野。

 

 

――――あぁ。母さん、地平線が見えるよ……。

 

 

絶対に日本ではないと断言できる光景が広がっていた。

 

 

「……ここは…いったい……どこなんでしょうか?」

 

「え?えぇ~と、豫州汝南郡ですけど?」

 

「―――はい?」

 

 

意味が分からず首を傾げる。

 

 

「?……???」

 

 

すると、少女も首を傾げてしまう。

……なにこれ?

 

 

「斗詩~!なにやってんだよー!………なぁ?あんたさー、何者?…なんか変な恰好してんだけどさ?」

 

 

変な恰好……君らに言われたくはないのだが……。

 

 

「何者って言われても……俺もよく判らないのだけどね。まぁ、しいて言えば普通の人?」

 

 

「いや。全然、普通じゃないし……。

あたいらは、流星を追いかけてここまで来たんだ。そうしたら、あんたがここで寝ていたってわけ……ホント、何者?なんかキラキラした服を着てるしさ。まさか、あんたがあの流星の正体だったわけ?」

 

 

「流星?悪いがなにを言っているのか分からないな……それに、こんな服珍しくもないと思うけど?」

 

 

なんたって、聖フランチェスカの制服だしね。学園の人間なら皆、着ているものだろうよ。

 

 

「私、そんなキラキラした服なんて見たことありませんよ。……それに。この剣、すごいですね。……うわっ!おも~い。……でも、すごく綺麗。これもキラキラ光っていて………これ、あなたのなんですか?」

 

 

少女……斗詩と呼ばれていた女の子が地面に落ちていた剣を拾い、俺に手渡してくれる。

 

 

黄金に輝く剣を手にとる。

 

 

それは、まるで俺の身体の一部の様に手に馴染んでいく。

斗詩はとても重そうに持ち上げていたようだが、俺は難なく片手で剣を大空へと翳す。

重さなんて感じない。こんなに大きな剣なのに、竹刀でも持っているような感覚だ。

 

 

俺の身の丈ほどもある大きな剣は、大きさだけではなく、その外見にも目がいってしまう。

絢爛豪華な装飾が剣全体に施されていて、そのあり様は目にする全ての心を虜にしてしまいそうなほど美しい。

 

 

 

 

 

 

そして、こう思う。

 

 

―――――これは俺の剣だ。

 

 

何故かは分からないが、そんな気がする。

そして、俺の考えに応えるように黄金の剣はその輝きを増していく―――。

 

 

 

――――おっと、いつまでも見惚れている場合ではないな。

 

 

まずは、剣を拾ってくれた斗詩さんにお礼を言おう。

 

 

「―――あぁ。これは俺のみたいです。ありがとう。斗詩さん……」

 

 

「―――――きゃぁ!?」「―――――なっ!!!」

 

 

――――え?なに?

 

なんだか、ふたりが凄く驚いている。……えっ?えっ?俺なにかしましたか?

 

 

「………お、おまえぇえええええーーーーーー!!!」

 

 

少女が憤怒の形相を浮かべ、これまた大きな剣を振り上げ―――――――って、えぇえええーーーーー!?

 

 

どっから出したぁああああーーーーーー!!!

 

 

―――――いや、そうじゃなくて!!!

 

 

あ、あの……なんで俺に向かって、その大きな剣を振りかぶっているんでしょうか!?

 

 

「あたいの斗詩の真名を、勝手に呼んでんじゃねぇええええーーーーーーー!!!」

 

 

少女は少しも躊躇うことなく剣を振り落とす―――――。

 

 

(―――ぎゃぁあああああああーーーーーーーーーー!!!)

 

 

し、死ぬぅううううう!死んでしまうぅううううーーーー!!!

 

 

少女の斬撃は鋭く、俺の目で追える速さではない。

俺は何もすることができず、自分が真っ二つになるのをただ待つしかなかった。

 

しかし――――。

 

 

ガキィイイイイイーーーーーーン!!!

 

 

辺りには、断末魔ではなく大きな金属音が響きわたる。

 

 

(…………あ、あれ……痛くない……)

 

 

いつの間にか瞑っていた瞼を、そっと開く。

するとそこには―――。

 

 

少女の剣を受け止める、黄金の剣が視界に入ってきた。

 

 

「……あ、あれ?……なんで?……身体が勝手に―――」

 

「……へぇ。やるじゃんか。あたいの一撃を受け止めるなんてさ…」

 

「あ、あのさっ!なにか失礼があったのなら謝るから―『問答無用ぉおおおーーー!!!』

 

 

げぇええーーーー!なんなんですかこの人!

 

少女は、中段から真横に剣を一閃させる。

 

 

(――――あぁ。今度こそ死んだ……。)

 

 

だが。俺を守るように黄金の光が奔り、少女の剣を弾き飛ばす。

 

 

剣が、まるで俺の身体を操っているかの様に煌びやかに舞い踊る。

次々に襲いかかる剣戟を、剣はひとつも漏らすことなくすべて弾き飛ばしてしまう。

 

 

俺の本能的に生まれた自己防衛の意識に応えるように、剣は俺を守るように舞っていく。

 

 

(……まさか、俺の意識に反応しているのか?)

 

 

―――ならば、反撃の意志を剣に送る。

すべて防いでいるが、生きた心地がしない。

 

 

(……頼む、早く終わらせてくれ!)

 

 

剣はそれが返事だと言わんばかりに眩い光を放ち、少女の大剣にむけて閃光のような一撃をぶつけた。

 

 

「―――――おわっ!!」

 

 

少女が声を上げた。

少女は後方へ弾かれ、地面に座りこむ。

 

 

おぉう!勝っちまったよ……。

 

剣が独りでに動いて、少女を倒してしまった……。

―――まさか、俺はガン○ールヴだったのか?

 

……いや、ちょっと違うか。

あれは、どんな武器でも自由自在に扱えるだったっけ?

それに、ご主人様とかいねーし、左手に○ーンも刻まれてないし……。

 

 

―――この剣の力なのか?この剣はいったい……?

 

 

「もぉーーーーー!!!文ちゃん!!!」

 

 

斗詩が声を張り上げ、少女の名を呼ぶ。

 

 

「―――この人は……きっと、私達とは違う国の人なんだよ!真名の意味を知らないんだと思う!……それなのに問答無用で斬りかかっちゃ駄目だよ!無事だから良かったけど。文ちゃんに襲われたら普通は死んじゃうんだからね!」

 

「でもよぉ~!斗詩~!」

 

 

真名?

なんだろう?この人達は真名って言うのを無断で呼ぶと、さっきみたいに斬りかかってくるんだろうか?

 

な、なんて恐ろしい奴らなんだ……。

とりあえず、謝っておこう。

 

 

「……あのっ!すいません!俺、真名っていうのなんだか解らなくて……でも、失礼なことをしたっていうのは理解しました。本当にごめんなさい!」

 

 

「あっ!はい……こちらこそ、文ちゃんが酷い事をしてしまって……。

―――真名を知らないなんて。やっぱり、あなたはこの国の人ではないんですね。……えぇ~と、真名っていうのはですね。信頼した者どうしが呼び合う名で、許可無く呼んでしまうとすごく失礼なことになっちゃうんです。だから今度からは気をつけてくださいね」

 

 

「……はい。……えっと、すみません。知らずとはいえ、あなたに失礼なことをしてしまいました……」

 

「もう、いいですよ。事情は解ってますから。

……あっ!私は顔良っていうんです。あなたのお名前をきいていいですか?」

 

 

顔良か……――――え?

なにそれ?ギャグ?

顔良って、三国志に出てくる武将の名前じゃないっけ?

 

しかし、この流れでこの子が嘘をつくとは思えないし……。

 

……よし!聞き流してしまえ―――。

 

 

「……俺は北郷一刀っていいます」

 

「北郷…さん、ですか?国が違うからでしょうか?少し、変わった名前ですね。

……こっちの子は、文醜です。ほら、文ちゃん。ちゃんと挨拶して」

 

「あたいは、文醜!真名は、猪々子っていうんだ!アニキはあたいを倒した男だからな。特別にあたいのことは真名で呼んでいいぜ」

 

 

猪々子は『いやぁ~。アニキ、スゲー強いから。あたいもつい熱くなっちまったぜ~!』といって俺の肩をバシバシと叩いてくる。

 

 

――え?なにこの、突然なフレンドリーな態度……。

アニキってなんだ?……ついさっき、俺を殺そうとした人間のとる態度ではないよね?

 

 

若干、引き気味の俺に顔良があることを尋ねてくる。

 

 

「あの……北郷さんって………もしかして、天の御遣いなんですか!?」

 

「――――――は?」

 

 

なんでも、管輅という占い師が……。

 

『流星に乗り、この地に降りるもの。乱世を治める天からの使者なり……』

 

なんて言っているらしい。

 

 

「―――えっと……俺は、その……天の御遣い、とやらではないよ。乱世を治めるだなんて、そんな大それたことできるわけがない」

 

「でも……剣と身体がすごいキラキラひかっていて綺麗だし、それにあっという間に文ちゃんを倒してしまうし……私、その占いのこと。信じていなかったんですけど、北郷さんを見ていたら信じられるようになったんです!」

 

 

確かに剣が黄金の輝きを放ち、ポリエルテルの制服がそれを反射して、すごくひかってはいるけど……。

 

 

「―――そうだよ!あの流星だって、きっとアニキが乗ってきなものなんだよ!

だって、あたいらは流星を見てからすぐにここに向かったんだぜ!アニキの他には誰も居なかったんだから、流星の正体はアニキだったとしか考えられないじゃん!」

 

 

なんだこれ?

なんだか、このまま天の御遣いとやらに仕立てあげられそうな雰囲気だ……。

 

 

「―――ちょっ!待ってくれ!俺は天の御遣いなんかじゃ―『おーっほっほっほ!おーーっほっほっほーーー!!!』

 

 

―――は?

なにこの高笑い?

 

 

「「―――麗羽様!!!」」

 

 

顔良と猪々子が声の主の名を叫ぶ。

 

 

「わたくし。しーーっかりと、この目で拝見させてもらいましたわ!うちの猪々子さんを簡単に倒してしまう、雄々しく華麗なあなたの武を!……あなた、名はなんというのかしら?」

 

「―――へっ!?……北郷です……北郷一刀」

 

「―――そう……一刀さん、見事でしたわ!……あなたには特別に、このわたくし……袁本初に仕える栄誉を授けてあげますわ!―――おーっほっほっほ!」

 

 

(なんだってぇえええーーーーーー!!!)

 

 

 

 

………………。

 

………。

 

 

 

こうして、俺と彼女たちの物語が始まった……。

 

 

 

 

 

つづ……かない。

あとがき

 

 

どうも、ミッチーと申します。

 

 

袁紹ルートって見ないなーと思い投稿してみました。

 

勝手に剣が動いて敵を倒すってなんだよ、と思われるかもしれないですね。

自分、主人公は強くないと嫌な人なんです。

 

どうにかして一刀を強くしたくて、こんな設定にしてしまいました。

まぁ、強いのは剣なんですけど……。

 

 

こんなんですけど。ここまで読んで下さった方、ありがとうございます。

 

 

実は、他にも投稿しているのがあるんですけどね。

 

ネタが思いつかなくて、こんなの書いていました。

 

 

きっと、これは……袁紹ルートはこれで“完”ですね。

勢いで書いたんで……しかも、予想以上に長くなってしまって最後の方はグダグダでした。

 

 

でも、感想なんかがありましたらコメントして貰えるとうれしいです。

 

 

―――では、これで終わります。

 


 
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