No.770449

真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第六十二回 第四章:潼関攻防編⑤・馬騰の申し出

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

さて、前回は恒例?のエイプリルフール企画で一息といったところでしたが、

今回から通常通りside呂布軍をお送りいたします。

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2015-04-12 00:05:01 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3604   閲覧ユーザー数:2918

 

 

夏侯淵「よし、この辺りは大方片付いたな」

 

夏侯淵の周囲には大量の馬超隊の兵士たちが転がっている。

 

離間の計を受け馬超が韓遂の元へ急行して間もなく、

 

何とか善戦を続けていた成宜(セイギ)李堪(リカン)といった涼州を代表する群雄たちが悉く夏侯淵に射殺され、馬超隊は瓦解するに至っていた。

 

 

 

曹操兵「申し上げます!敵将韓遂が戦線を離脱!さらに馬超が単騎本陣に突撃を開始!夏候惇将軍が後を追っております!」

 

 

夏侯淵(・・・なるほど、急に馬超が血相を変えてこの場から離れたと思ったら、やはり何かあったのか。恐らく、稟か、風あたりの策に

 

はまったといったところか)

 

 

 

兵士の報告に、夏侯淵は先ほどまで引っかかっていた突然の馬超離脱の真相を静かに予測していた。

 

 

 

夏侯淵「相分かった。これより我らは予定通り夏候惇隊と合流して潼関攻めに移る!守将は涼州の勇士・鳳徳だ!皆、気合を入れ直せ!

 

このまま一気に攻め落とすぞ!」

 

 

弓兵「応っ!!!」

 

 

 

夏侯淵の号令を受け、夏侯淵隊の弓兵が一斉に鬨の声を上げた。

 

そして、いざ進軍を開始しようとしたのだが、しかしその時、事態は思わぬ方向へ動いた。

 

 

 

曹操兵「も、申し上げます!!」

 

夏侯淵「どうした?」

 

曹操兵「に、西の方角より、未確認の一団がこちらへと向かってきております!」

 

夏侯淵「未確認の一団だと?」

 

 

 

兵士のあいまいな報告に、夏侯淵は頭に疑問符を浮かべると共に、言葉で表現しようもない胸騒ぎを覚えるのであった。

 

 

 

 

 

 

【司隷、潼関・side馬岱】

 

 

馬岱「あぅっ―――っぅ~・・・」

 

 

 

徐晃の渾身の一撃をかろうじて防いだ馬岱であったが、その勢いまでは受けきること叶わず、

 

馬上から吹き飛ばされ、瓦礫の中に一直線に突っ込んだ。

 

 

 

徐晃「・・・すいません、あなたはここでお終いです、すいません」

 

 

 

両手に持った両刃斧を胸の前で抱いて祈りながら、今にも消え入りそうなか細い声でそのような最終通告を発した徐晃は、

 

再び両刃斧を構えると、馬岱に止めを刺そうと動き出す。

 

シスターのベールを髣髴とさせる髪型のせいか、胸に抱く両刃斧は、あたかも十字架を抱くように見えるのは不思議なものである。

 

 

 

馬岱「(もぅ・・・この人めちゃくちゃ強いじゃん・・・あーあ、今日は散々だよ・・・お姉様と韓遂様は喧嘩しちゃうし・・・わたしは

 

もう駄目っぽいし・・・)」

 

 

 

それでも、馬岱は諦めずに起き上がろうとするが、体を動かそうとするたびに全身が悲鳴を上げた。

 

体が動くことを拒絶する。

 

目を開けていることすら億劫になり、徐々に瞼が閉じていく。

 

 

 

馬岱「・・・はぁ、せめて素敵な人を見つけて、結婚して、子供作るくらいはしたかったかな・・・あーあ、たんぽぽ、かなり尽くして、

 

いいお嫁さんになってたと思うんだけどな・・・」

 

 

 

このような状況において、馬岱が場違いな思考に至ったのは、自身の絶体絶命からくる現実逃避。

 

つまり、あきらめによるところが大きい。

 

それほど、馬岱と徐晃の間には決して越えられようはずもない高き壁があった。

 

 

 

――――――ドドドドドドドド・・・

 

 

 

馬岱(西から馬の足音・・・韓遂様、な訳ないよね・・・まさかおば様・・・やだな・・・幻聴とか・・・)

 

 

 

しかしそのような中、援軍がやってくる足音が聞こえたような気がすることからも、

 

心のどこかではまだあきらめていない自分がいるのもまた事実であった。

 

 

 

徐晃「・・・すいません―――!」

 

 

 

そして、馬岱の目の前までゆっくりと接近した徐晃が、謝罪と共にとどめの一撃を馬岱に叩き込んだ。

 

徐晃の両刃斧による一撃で、馬岱は袈裟懸けに大きく切り込まれ、大量の鮮血が自身の体内からあふれ出ると共に、その場に崩れ落ちた。

 

 

 

 

 

 

馬岱含め、この場の誰もがそうなるイメージを思い描いていた。

 

が、しかし・・・

 

 

 

 

 

 

徐晃「―――っ!?」

 

馬岱「・・・・・・・・・・?」

 

 

 

徐晃の両刃斧が馬岱を屠るよりも早く、何者かが馬で急接近し、馬岱をさらっていった。

 

攻撃すべき対象を失った徐晃の両刃斧は鋭く空を切り、重厚な風鳴りの音が周囲に轟く。

 

 

 

徐晃「新手・・・?」

 

 

 

馬岱はあまりの突然の出来事に理解が追いつかず、ぼんやりする頭の中、閉じかけていた瞼をゆっくりと押し開けた。

 

すると、視界に入ってきたのは、紫髪の見慣れない女性の自信に満ち溢れた凛々しい顔。

 

そして、少し遅れて追従してきた兵士らしき者たちが持っているのは、紺碧の張旗。

 

 

 

徐晃「紺碧の張旗・・・張文遠・・・すいません、北郷軍がなぜこのような所に?」

 

 

 

紺碧の張旗を確認した徐晃は、その表情は前髪で隠れて分からないものの、その声色から明らかに驚いているようであった。

 

 

 

張遼「アンタ、ウチの名前を知っとるんか!?」

 

 

 

そして、徐晃よりもほんのわずかの差で馬岱に接近し救出した張遼本人も、徐晃の反応に驚いているようであった。

 

 

 

徐晃「合肥で10万の孫策軍を追い返した話は有名です、すいません」

 

 

 

その刹那、張遼はグッと力強くガッツポーズをした。

 

これまでの経験上、周りの呂布や高順は名を知られていたにもかかわらず、自分の話になると誰?となるのがお約束であった。

 

そのような扱いを受けていた張遼にとって、今回の徐晃のような反応をどのような思いで受け止めただろうか。

 

その答えが、この力強いガッツポーズに集約されていた。

 

 

 

馬岱「・・・北郷軍・・・それじゃあ、わたしたちの援軍に・・・」

 

張遼「せや、アンタらんとこの大将、馬騰はんが直々に成都まで来はってな。あんなボロボロの体でよーやるわ」

 

馬岱「えっ!?使いの者じゃなくて、おば様が!?」

 

 

 

張遼の言葉に、先ほどまで体を動かすことすらままならなかった馬岱は声を大にして驚いた。

 

涼州から成都までは少なくとも1000kmは降らない。

 

そのような長距離を、病を患う体で馬騰本人が成都に強行したというのだから無理もない。

 

 

 

張遼「せや、それでウチらの大将が首を縦に振ったっちゅーわけや」

 

 

 

馬岱の反応に、張遼も先日突如として馬騰が成都に訪れた時のことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

【益州、成都城】

 

 

時は少しさかのぼり、成都城内で北郷の旗印に関してあーでもないこーでもないと白熱?した議論が展開されている時。

 

 

 

兵士「朝議中失礼します!城門前にて御遣い様にお会いしたいと申しているものが来ております!」

 

 

 

北郷「オレ?まさか噂に聞く直談判ってやつか・・・いったい誰だ?」

 

兵士「その者は涼州の馬騰と名乗っております!」

 

一同「―――――――――ッ!!??」

 

 

 

兵士の口から出てきた予想外の名前に、この場全員が息を飲み驚いた。

 

 

 

高順「驚きましたね・・・というか、その方は本物でしょうか?ただでさえ排他的な涼州勢の、しかも頭がわざわざ成都までやってくる

 

ものでしょうか?」

 

 

張遼「ななの言う通りやで。一刀、そないな怪しいヤツに会うことなんかあらへんで」

 

 

 

確かに、一地方のトップクラスの人間が突然来訪するなどイレギュラー中のイレギュラーであり、まずその存在を怪しむのは当然だった。

 

 

 

北郷「うーん・・・あ、そういえば馬騰さんは昔劉焉さんと親交があったって言ってたな。焔耶、桔梗、馬騰さんの姿は見たことあるか?」

 

魏延「いや、ワタシは一度も・・・」

 

 

厳顔「わしは何度か劉焉様の護衛の任に就いていた時に見ましたぞ。実際会話を交わしたわけではありませぬが、姿ぐらいなら、見れば

 

本物かどうかわかりましょう」

 

 

 

北郷の問いかけに、魏延は申し訳なさそうに俯いたが、厳顔は拳で胸を叩きながら肯定した。

 

 

 

北郷「それじゃあ桔梗、来訪者が本物の馬騰さんかどうか確かめてきてくれ。で、本人なら通してあげてくれ」

 

厳顔「御意」

 

 

 

北郷の要請に、厳顔はすぐさま城門へと急いだ。

 

 

 

 

 

 

北郷「けど、このタイミングで馬騰さん自ら来訪か・・・ねね、雛里、どう思う?」

 

 

陳宮「むむむ、確かに怪しいことこの上ないですが、仮に馬騰の名を騙る偽物だったとして、ここで馬騰と名乗る理由が見当たらないの

 

ですよ。涼州勢が排他的なのは知られたことですし、でしたら、馬騰自らがやって来るなんて誰でも怪しむに決まっているのです」

 

 

 

陳宮はむむむと唸りながら両腕を組み、険しい表情で自身の見解を述べた。

 

 

 

鳳統「だとすれば、排他的な姿勢を捻じ曲げてでも、ご主人様に会う必然性が生まれた、ということかもしれません」

 

北郷「オレに会う必然性?」

 

 

 

陳宮の話を継ぐ形で述べられた鳳統の見解に、北郷は疑問を投げかける。

 

 

 

鳳統「はい、例えば、曹操軍の西進、それに伴う援軍要請です」

 

 

 

曹操軍、の名前が出てくることで、この場の空気が一瞬重くなった。

 

 

 

張遼「やっぱ曹操軍が絡んでくるんやな」

 

 

高順「ですが、それならば私たちではなく、北方の異民族に援軍を要請した方がよいのではありませんか?涼州勢は元々北方とは親交が

 

あるのですし」

 

 

鳳統「うん、ななちゃんの言う通りだよ。ですから、あくまで可能性の話なんです。一応、成都を頼る根拠を考えてみるなら、ご主人様が

 

天の御遣いだから、というのも考えられなくはないですが・・・」

 

 

 

高順の疑問を、鳳統は否定せず肯定した。

 

確かに、高順の言う通り国交が断絶している成都に援軍を求めるより、親交のある北方系異民族に援軍を求める方が自然である。

 

 

 

呂布「・・・・・・桔梗の帰りを待つ」

 

北郷「恋の言う通りだ。論より証拠。まずは桔梗の帰りを―――」

 

厳顔「馬騰殿に間違いありませぬぞ、お館様」

 

 

 

結局、ここで議論しても答えが見いだせないと、厳顔が本人か否かを確認して帰って来るのを待つことにしようと、

 

北郷が宣言するのと同時に、朝議場の扉が開け放たれ、厳顔が来訪者と思しき女性を伴って戻ってきた。

 

ポニーテイルに結ったウェーブがかった茶色い髪は地面につくほど長く、

 

燃えるような緋色の瞳は、気怠さの中に決して消えることのない鋭さが灯っている。

 

その身にはフード付きの外套で覆われ、今はフードが頭から取り払われ、凛々しい太眉を備えた顔がはっきりと見えるようになっている。

 

 

 

馬騰「ケホッ、お初にお目にかかります。我が名は馬騰、字は寿成。涼州の群雄の一人にして、涼州連合の盟主をしております。ケホッ、

 

このたびは田舎者の不躾な突然の謁見の申し出をお聞きいただき、感謝至極に存じます」

 

 

 

そして、馬騰と名乗った女性は、突然北郷の目の前で跪くと、時折乾いた咳をしながらそのようなことを述べ始めた。

 

そのような馬騰の突然の行動に、周囲の者は動揺する。

 

 

 

北郷「え?ちょ、ちょちょちょちょっと待ってください!頭を上げてください馬騰さん!あなたのような偉い人がオレみたいなのに頭を

 

下げてもらったら困ります!」

 

 

 

当然、北郷も突然そのようなことをされ困惑し、馬騰に頭を上げるよう促した、がしかし、

 

 

 

馬騰「ケホッ、いえ、このままで結構です。なぜなら、私はこれから更なる不躾な願いを申し上げるつもりなのですから」

 

 

 

馬騰は頭を上げようとしない。

 

 

 

陳宮「不躾な願い?」

 

馬騰「ケホッ、はい。御遣い様、どうか私たち涼州勢にお力添えいただき、共に曹操軍を退けてほしいのです」

 

 

 

そして、馬騰は頭を上げると、危なげな乾いた咳をしながらゆっくりと涼州勢と曹操軍が潼関で対峙するに至った経緯を騙り始めた。

 

 

 

 

 

 

北郷「・・・なるほど、それでオレ達に援軍として駆けつけてほしいというわけか」

 

 

 

馬騰の話を聞き終え、まず初めに口を開いたのは北郷であった。

 

 

 

馬騰「ケホッ、はい」

 

魏延「また雛里の読みが当たったな。さすがだな」

 

鳳統「あわわ、たまたまです」

 

陳宮「・・・・・・もちろんねねも読めてましたぞ・・・」

 

 

 

魏延が鳳統を褒める様子を見て、陳宮が若干不満げにボソッと呟いた。

 

 

 

呂布「・・・ねねも負けてない」

 

陳宮「恋殿ぉ~」

 

 

 

そのような陳宮の様子を見逃すはずのない呂布がすかさずフォローを入れ、陳宮は馬騰の前にもかかわらず呂布に抱き付く勢いだったが、

 

 

 

呂布「・・・次、またがんばればいい」

 

陳宮「れ、恋殿ぉ~~~~~~」

 

 

 

結局呂布が天然で陳宮に追い打ちを喰らわすのだった。

 

 

 

張遼「ほいほい、今めっちゃ真面目な話しとるからそーゆーのは他所でやってやーっちゅーかアンタらのそのやりとり久しぶりやなー」

 

厳顔「こら、霞も話の腰を折るでない」

 

 

 

さらに張遼がそのような陳宮と呂布のやりとりを止めると見せかけて、

 

懐かしむような優しい瞳で自身も本題と関係ない話題へシフトチェンジさせようとしたところで、なんとか厳顔が止めに入った。

 

 

 

高順「ところで、なぜ私たちなのですか?涼州の方々なら、親交のある北方系異民族の方々を頼った方がよいのではありませんか?」

 

 

 

そして、傾きかけた妙な空気を元に戻すべく、高順はさきほど鳳統に投げかけた疑問をそのまま馬騰にも投げかけた。

 

 

 

馬騰「ケホッ、むろん彼らにも声はかけてあります。ケホッ、ですが、あくまで彼らは自民族第一主義の持ち主。ケホッ、その分気まぐれ

 

なことも多く頼るには不確定要素が多いのです」

 

 

 

高順の問いかけに、馬騰は暗い表情になりながら的確に答えていく。

 

 

 

馬騰「ケホッケホッ、一方で元々私たちはあまり他と親交を深めようとしなかったため頼れるものがおりません。ケホッケホッ、ただ、

 

成都とは以前劉焉殿の時代に浅からぬ親交がありました。ケホッケホッ、このたびはその時の縁を頼って参った次第です」

 

 

陳宮「ば、馬騰殿?大丈夫で―――」

 

 

 

徐々に馬騰の乾いた咳の回数が増えていくのを心配した陳宮が声をかけようとするが、馬騰は構わず自身の願いを述べ続けた。

 

 

 

馬騰「加えて、御遣い様は乱世を収める救世主と聞き及びます。ケホッケホッ、お願いします!ケホッケホッ、どうか、私たちと共に、

 

ケホッケホッ、曹操軍を私たちの地から追―――ゲホッゲホッゲボッ!」

 

 

 

しかし、最後まで言い終える直前になって、馬騰は激しく咳き込んだ。

 

 

 

北郷「ば、馬騰さん!!」

 

魏延「おい、本当に大丈夫なのか!?」

 

馬騰「ゲホッゲホッゲボッ・・・ヒュー・・・ヒュー」

 

 

 

馬騰は口元に手を当て激しくせき込んだかと思うと、風が吹くような息苦しそうな音を立てながら呼吸を整えているようであったが、

 

とても大丈夫な様子ではなかった。

 

 

 

鳳統「あわわ、すぐに華佗さんを呼んできます・・・!」

 

陳宮「それは駄目です!雛里が一人で行ったら迷子確定です!そこのお前!すぐに華佗を連れてくるです!」

 

兵士「は、はっ!!」

 

厳顔「さ、一度楽な姿勢になって―――」

 

 

 

馬騰が突然体調を崩したことによって、慌てて対応しようとする北郷陣営であったが、

 

 

 

馬騰「・・・・・・ケホッ・・・心配には・・・及びません・・・いつもの・・・事です・・・」

 

 

 

しかし、馬騰は呼吸を整えながら手を上げて北郷たちの動きを制した。

 

 

 

呂布「・・・・・・・・・」

 

 

馬騰「・・・ケホッ・・・それよりも・・・御返事を・・・お聞かせ・・・願いますでしょうか・・・ケホッ・・・今、この瞬間も・・・

 

私の仲間たちは・・・曹操軍と・・・戦っているかも・・・しれないのです・・・・・・!」

 

 

張遼「馬騰はん・・・・・・」

 

 

 

馬騰の途切れ途切れの悲痛な申し出を聞き、張遼は馬騰から目を離せずにいる。

 

そして・・・

 

 

 

北郷「・・・・・・わかりました。オレたちも兵を出します」

 

馬騰「ケホッ、ほ、本当ですか・・・!?」

 

 

 

目を閉じ考え込んでいたのもほんの一瞬のこと。

 

北郷は首を縦に振った。

 

北郷の肯定に、馬騰は下げた頭を上げて驚いていた。

 

 

 

高順「よ、よろしいのですか?今―――」

 

北郷「あぁ、わかってる。今この時期に曹操軍を敵に回すようなことしていいのかってことだよな」

 

 

 

しかし、北郷の答えに待ったをかけようとした高順であったが、その前に北郷が高順の不安をそのまま言い当てた。

 

 

 

厳顔「では何故?」

 

 

 

厳顔も同様のことを思っていたようで、馬騰の背中をさすりながら北郷に訳を問うた。

 

 

 

北郷「確かに今曹操軍と全面的に敵対できるほどの力はオレたちにはない。ここで援軍を出して曹操軍に目をつけられるのはマズいかも

 

しれない。けど、もしここでオレたちが涼州勢に援軍を出さなくて、それで曹操軍が勝ったら、もう曹操軍は俺たちの目と鼻の先にまで

 

進出することになる。それはもっとマズい。っていう判断で間違ってないよな、ねね、雛里?」

 

 

 

北郷は自身の見解を述べ、念のために専門の軍師たちにその見解の是非を確認する。

 

 

 

鳳統「はい、さすがはご主人様です」

 

陳宮「曹操軍に益州の北を抑えられてしまえば、それこそ万事休すなのです。ここは涼州勢と共闘して曹操軍を退けるべきなのですよ」

 

 

 

すると、鳳統も陳宮も北郷の意見に同意し、援軍を出すべきと主張した。

 

 

 

厳顔「ふむ、今はちょうど夏野菜の収穫で忙しい時期だが、幸い田植えも終わり、草刈りもひと段落ついた頃合い。常駐の兵以外にも、

 

多くの兵が集まりましょう。援軍の規模としては、今回は体裁が整いそうですな」

 

 

 

通常兵士は常に兵士をしているわけでなく、農業など別の仕事に従事しているものだが、

 

幸い夏の盛りである今は、稲作の仕事が一区切りしている時期であるため、多くの徴兵を可能とすることが見込めた。

 

 

 

北郷「それに、こんな体の馬騰さんが自身にムチ打って自らこんな遠くまで来てくれたんだ。なら、曹操軍云々関係なしに、オレは首を

 

縦に振ってるけどな」

 

 

 

自国の利害関係なしに相手の求めに応じる。

 

北郷を動かすのに、馬騰のこの身を削る行動はあまりにも十分すぎる効果があるようであった。

 

 

 

張遼「おっしゃ!それでこそ一刀や!」

 

魏延「・・・だな!」

 

呂布「・・・(コクッ)」

 

馬騰「ケホッ、ありがとうございます・・・!」

 

 

 

意見のまとまった北郷軍は、涼州勢に合流すべく、急いで潼関へ向かう準備を始めるのであった。

 

 

 

 

 

 

【司隷、潼関・side馬岱】

 

 

馬岱「と、ところで、お姉様・・・馬超を知らない?曹操軍本陣に単騎で向かったんだけど・・・」

 

 

 

張遼が過去の回想から現実に戻されたのは、そのような馬岱からの問いかけであった。

 

 

 

張遼「あー、それやったら心配いらへん」

 

 

 

張遼は自信満々にそう告げると、馬岱を周りの兵士に預け、徐晃と向き合う。

 

 

 

張遼「あっちには、ウチなんかよりももっと強いやつが向かっとるわ!」

 

 

 

そして、そのまま一気に徐晃に突撃し、愛刀、飛龍偃月刀を振るう。

 

張遼の突然の突撃に一瞬反応が遅れそうになる徐晃であったが、それでもしっかりと両刃斧で攻撃を受け止めた。

 

カキンッという金属と金属のぶつかる甲高い音が響き渡る。

 

それを合図に張遼率いる約5千の騎馬隊が一気に徐晃隊へと突撃を開始した。

 

馬岱隊約8千と合わせて約1万3千が、1万8千もの徐晃隊と相塗れ、戦場は乱戦の様相を呈していた。

 

 

 

張遼「思い出したで!その紫紺の徐旗に『すいません』の口癖、アンタ、敗けずの徐晃やな!?」

 

徐晃「すいません、そのような大したものではありません、すいません」

 

 

 

張遼と鍔迫り合いになっている徐晃であったが、謝罪しながらも、一向に押し負ける気配はない。

 

 

 

張遼「アホ、何謙遜しとんねん。嫌味か?戦いでは負け知らず、不敗将軍の名は世に響いとる。ウチも前から一度でえーから手合せして

 

みたかったんや。けどや、一方で戦いたくないとも思っててん・・・」

 

 

徐晃「??」

 

 

 

張遼がそこで一息置いたことに、徐晃はただならぬ気配を感じとっていた。

 

しかし、その正体が何なのかわからず考えを整理することができない。

 

そして、張遼の言葉の意図する先も読めず頭に疑問符を浮かべる。

 

そして・・・

 

 

 

張遼「なんちゅったって、ウチが不敗伝説を終わらせるヤツになってまうんやからなァッ!」

 

 

 

張遼は叫びながら徐晃に対して猛攻を開始した。

 

その一撃だけでも相当の重さのある張遼の一撃が、幾重にも、そして多方向から数秒間のうちに何十発も打ち込まれる。

 

徐晃はそれぞれの攻撃を時には受け、時には避け、時にはいなすことで対応していくが、

 

張遼の手数が勝り、対応しきれないと悟った徐晃は、張遼の攻撃を防いだ勢いを利用して後ろへ飛んだ。

 

この時、徐晃はこの戦場で初めて後ろへ下がったのであった。

 

 

 

徐晃「(すいません華琳様、もうしばらくかかりそうです、すいません)」

 

 

 

圧倒的に優勢であった不敗将軍の目の前に立ちはだかったのは、かつて合肥の地を赤く染め抜いた紺碧の鬼であった。

 

 

 

【第六十二回 第四章:潼関攻防編⑤・馬騰の申し出 終】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

第六十二回終了しましたがいかがだったでしょうか?

 

美味しいところを持っていく霞なわけですが、彼女が徐晃に名前を呼ばれたときは、してやったりという感じだったんでしょうね。

 

長い間恋という巨大な龍に隠れていた鬼が、ようやく世に認知された瞬間だったのですから。

 

一方、よーーーーーーやく我らが主人公やヒロインたちが登場したわけですが、馬騰さん、ホント大丈夫だろうか、、、

 

しかし、そんな馬騰さんの無理の甲斐あって北郷軍が動き出します。

 

つまり、乱世の大局の中心に飛び込むことを選択したことをも意味するのです。

 

 

それではまた次回お会いしましょう!

 

 

 

おかえりちんきゅー、、、TwT

 


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