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真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第六十一回 第四章:潼関攻防編④・離間の計

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

英雄譚徐々に情報が更新されてますね!現在馬休ちゃんと曹洪ちゃんに注目中。

さて、今回は離間の計です。風の計略にかかった翠たちの命運や如何に、、、!

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2015-03-22 00:00:02 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:3871   閲覧ユーザー数:3418

 

 

馬超は夏侯淵の弓隊による矢の雨をものともせず馬を走らせていた。

 

しかし、それは、夏侯淵に向かっているわけではなかった。

 

 

 

馬超「(韓遂さん・・・どうして・・・!)」

 

 

 

その手に握りしめられているのは、先ほど不自然な動きをしていた曹操軍の兵士から奪った韓遂宛ての書状。

 

その内容から、韓遂が曹操軍と通じていた可能性が浮上したのだ。

 

 

 

馬超「(本人に直接聞いて確かめる・・・!)」

 

 

 

不安と疑念を抱いたまま、馬超はそれらを払拭すべく韓遂の元へと駆けた。

 

 

 

 

 

 

【司隷、潼関・side韓遂】

 

 

韓遂「この書状はいったいどういうことぞ!?」

 

夏候惇「だから、書状など知らぬと言うに!!」

 

 

 

韓遂は攻勢に出ることを決断し、自身も最前線に立って夏候惇隊と対峙していたが、

 

曹操軍から送り付けられた怪しげな書状を受け取って以来、その真意を知るべく、

 

韓遂は手にした幅広の斬馬刀で夏候惇を袈裟懸けに斬りつけながら問い詰めていたが、

 

夏候惇は韓遂の得物より幾分か小ぶりの幅広の刀 “七星餓狼” で容易く受け止めると、知らぬの一点張りで応戦していた。

 

そして、韓遂からの身に覚えのない問い詰めに、夏候惇は不満を爆発させながら韓遂の攻撃を押し返した。

 

現状夏候惇が押し気味である。

 

しかし、そこへ突然闖入者が現れた。

 

大きな十文字槍を手に二人に急接近したのは、茶色い髪をポニーテイルに結い、

 

緑翠色を基調とした衣装に身を包んだ女性である。

 

 

 

馬超「韓遂さん!」

 

韓遂「なっ・・・馬超殿!?どうしてこのような所にいるぞ!?」

 

夏候惇「なんだキサマは!?我らの戦いを邪魔するという―――!?」

 

馬超「うるさい!」

 

 

 

本来別の戦場で戦っているはずの馬超の登場に韓遂が驚きを隠せないでいる中、

 

せっかくの勝負に横やりを入れようとする馬超に対して食って掛かろうとした夏候惇であったが、

 

馬超はうるさいの一言のみ発すると、十文字槍 “銀閃” で夏候惇を強打。

 

 

 

夏候惇「ぐわっ!?」

 

 

 

夏候惇は馬超の不意打ちを受け止めきれず、仲間の兵士たちを巻き込みながら遠くへと吹き飛ばされてしまった。

 

 

 

馬超「韓遂さん、曹操から書状を受け取ってるよな?」

 

 

 

馬超は邪魔者を退けると、単刀直入に尋ねた。

 

 

 

韓遂「む、なぜそのことを。確かに書状を受け取ったぞ」

 

馬超「ちょっと見せてもらっていいか?」

 

韓遂「うむ、これぞ」

 

 

 

馬超の要請に韓遂は素直に応えた。

 

韓遂が差し出した書状は、要所要所が墨で塗りつぶされていてほとんど内容が理解できない。

 

 

 

馬超「・・・・・・韓遂さん、どうして所々が墨で塗りつぶされているんだ?」

 

韓遂「それが私にも分からぬぞ。受け取った時からこうなっていたぞ」

 

 

 

韓遂自身に特段変わった様子はなく、素直に馬超の質問に答えている。

 

それもそのはず、韓遂の言っていることはすべて事実なのである。

 

が、しかし・・・

 

 

 

馬超「・・・・・・本当なのか?この墨、韓遂さんがやったんじゃないのか?」

 

 

 

韓遂の言葉は、馬超の疑念を払拭するに足るものではなかった。

 

 

 

韓遂「なっ・・・!?馬鹿なことを言うぞ!なぜ私がそのようなことを・・・!」

 

 

馬超「読まれたらまずい内容が書かれてたんじゃないのか?この書状。それで、万が一、あたしらに見つかった時のために、

 

都合の悪い箇所を墨で塗りつぶしたんじゃないのか?」

 

 

 

慌てる韓遂を睨み付けながら、馬超はゆっくりと追い詰めるように韓遂への詰問を続けていく。

 

 

 

韓遂「そのようなことを私がするはずないぞ!そもそも、この手紙は今受け取ったばか―――!」

 

 

 

しかし、韓遂が話している途中で、馬超は曹操軍の兵士から奪った書状を韓遂に突きつけた。

 

 

 

韓遂「こ、これは・・・?」

 

馬超「曹操軍の兵士が大事そうに持ってたんだ。韓遂さん、あんた宛てなんだよ」

 

 

 

トドメといわんばかりに突き付けられた謎の書状を馬超から受け取り、

 

その内容を読んだその瞬間、韓遂の脳内で今までの状況が目まぐるしく回転し整理され、

 

そして一つの答えが導き出されたその刹那、韓遂に電流が走った。

 

 

 

韓遂「こ、これは敵の計略に相違ないぞ馬超殿!謀られては駄目ぞ!」

 

馬超「信じてたのに・・・韓遂さんのこと、本当の父親のように思ってたのに・・・!」

 

 

 

韓遂は必死に曹操軍に嵌められていると伝えようとするが、一度そうと思い込んでしまった馬超は聞く耳を持たない。

 

 

 

韓遂「馬超殿!!」

 

馬超「もういい、涼州に帰ってくれ!裏切りの疑いのあるあんたと一緒に、戦場に立つことはできない」

 

韓遂「馬超殿!!!」

 

馬超「韓文約(●●●)!!これは総大将としての命令だ!!すぐにこの戦場から出ていってくれ!!」

 

 

 

それでも韓遂は必死に馬超の名を呼び考え直させようとするが、

 

馬超の考えが変わることはなく、馬超は総大将として韓遂に戦場を去るよう命じた。

 

その瞬間、韓遂は俯きながら下唇を強く噛みしめ、目を閉じながらしばし思案していたが、やがて、

 

 

 

韓遂「・・・・・・わかったぞ。そこまで言うのなら、私はこの場を去ろうぞ。私がいるせいで、兵たちが不安に駆られ、

 

馬超殿が戦いに集中できなくなっても困るぞ」

 

 

 

韓遂はこれ以上の問答は自軍をさらに混乱させるだけと、馬超を説き伏せるのをあきらめ、この場を去る決断をした。

 

 

 

馬超「・・・・・・あとで詳しく話は聞かせてもらうからな」

 

 

韓遂「・・・・・・ここには侯選(コウセン)楊秋(ヨウシュウ)らを残していくぞ。せめて、私が援軍に氐族の連中を呼んでくるぞ。馬騰殿も必ず

 

北郷軍を説き伏せてくれるはずぞ。だから、どうかもうしばらく持ちこたえるぞ・・・武運を・・・」

 

 

馬超「・・・・・・・・・」

 

 

 

最後にそれだけ告げると、韓遂は数名の兵士のみ引き連れ、

 

侯選や楊秋といった涼州を代表する群雄を中心に、残りの兵士を馬超に託し、潼関から立ち去った。

 

 

 

 

 

 

韓遂が立ち去るのとほぼ同時に、ようやく馬超に吹き飛ばされていた夏候惇が戻ってきた。

 

 

 

夏候惇「何だ、仲間割れか?まったく、見苦しいぞ!」

 

 

 

夏候惇は吹き飛ばされ地を転がった衝撃で出血している頭のあたりを抑えながら言い放った。

 

 

 

馬超(どうして、こうなったんだ・・・!)

 

 

 

しかし、馬超の頭に夏候惇の言葉は入ってこない。

 

ただ自身がこれまで絶大な信頼関係を築いてきた韓遂に対してぶつけてしまった言葉の数々を顧み、悔いるばかりである。

 

 

 

夏候惇「キサマ、よくもやってくれたな!?この落とし前は、きっちり払ってもらうぞ!」

 

馬超(曹操・・・あいつさえ、あいつさえ攻めて来なければ・・・!)

 

 

 

そもそもの事の発端は、曹操による涼州領への侵攻。

 

このような状況になるのを避けることは出来なかったのかと馬超が考えを巡らし、

 

その結果たどり着いた答えがそれであった。

 

仲間の裏切りと、その仲間に対する自身の暴言、そして、それら一連のことに対するえも言われぬやりきれなさと悔恨の情。

 

その全てを発端とする怒りの矛先が、今曹操個人に向けられた瞬間である。

 

 

 

夏候惇「さぁ、存分に戦おうではないか!」

 

馬超「――――――ッ!!!」

 

 

 

そして夏候惇が抑えていた手を放し、両手で七星餓狼を構えた次の瞬間、馬超は鬼のような形相で突然駆けだした。

 

 

 

夏候惇「何っ!?」

 

 

 

そのまま夏候惇の脇をすり抜け、曹操軍本陣へと単騎東進した。

 

 

 

 

 

 

【司隷、潼関・side馬岱】

 

 

馬超と韓遂とのごたごたは瞬く間に蒲阪津付近で対峙していた馬岱・徐晃両陣営に伝わった。

 

 

 

淵兵「徐晃将軍、夏侯淵将軍より伝令です!」

 

徐晃「・・・・・・なるほど、了解しました、すいません」

 

 

 

徐晃は夏侯淵からの伝令兵の言葉を聞くと、静かにうなずき、

 

消え入りそうな声で了解の意を伝えると共に、いつも通り謝罪の言葉を添えた。

 

 

 

馬岱「えっ!?お姉様と韓遂様が!?」

 

馬兵士「は、間違いありません!」

 

 

 

同様に馬超からの伝令兵の言葉を聞いた馬岱は、徐晃とは対照的に驚くと共に焦った様子で聞き返した。

 

 

 

馬岱「もー何やってんのお姉様はっ!そんなのどー考えたって敵の策じゃん!韓遂様が裏切るわけないんだし!まったく、

 

すぐ頭に血が上っちゃうんだからっ!」

 

 

 

しかし、馬岱は伝令兵から話を聞いただけで、馬超の判断が誤りであったことをすぐに自信をもって言ってのけた。

 

この辺りの冷静な判断は、馬超や韓遂のことをよく知っている馬岱だからこそできるものであった。

 

 

 

馬岱「で、お姉様は?」

 

馬兵士「現在、単騎で敵本陣に突撃しております!」

 

馬岱「え!?あなたお姉様の命令でここに来てるんじゃないの!?」

 

 

馬兵士「いえ、馬超将軍は我々を置いて単騎突撃してしまわれましたので。現在は馬超将軍、韓遂将軍抜きで、夏候惇軍と

 

交戦中ですが、このことはいち早くお味方にもお知らせした方がよいとの楊秋将軍のご判断で伝令を。申し訳ありません」

 

 

馬岱「いいよいいよっ!むしろ好判断だよっ!それにしてもお姉様ったらもー!!そもそも夏候惇軍じゃなくて夏侯淵軍と

 

戦ってるはずなのにっ!自分の立場を全然わかってないんだからっ!まぁ本陣にはレイレイがいるから大丈夫だろうけど、

 

とにかく単騎なんて死にに行くようなもんだよ・・・早く止めなきゃ・・・やっぱり私が直接言わないとダメだよね・・・

 

うん、ここは程銀(テイギン)さん達に任せて、私がすぐに止めに行くよっ!」

 

 

馬兵士「はっ!」

 

兵士の謝罪に、しかし馬岱は兵士たちの独断を評価し、すぐさま馬超と韓遂を止めるべく動こうとした。

 

しかしその時、馬岱の目の前に両刃斧を両手に持った一人の小柄な少女が立ちはだかった。

 

当然、徐晃である。

 

 

 

馬岱「もー何なのよっ!あんた戦う気なかったんじゃないのっ!?」

 

 

 

しかし、徐晃の表情を隠す前髪の隙間からチラリと見えたその眼光は、今までの、

 

か細い声で謝罪してばかりの弱弱しい少女のものとは到底思えないほどの、鋭く刺すような禍々しい光を放っていた。

 

 

 

徐晃「・・・すいません、今までは我が軍の策の行く末を見守っていましたが、戦況は常に変化するもの。策が成った今、

 

あなたをここで討ち取れば、曹操様の勝利はほぼ確実。だから、ここで死んでください、すいません」

 

 

 

怒号鳴り響く戦場でどうして耳に届くのかと思えるほどのか細い声で、徐晃にしてはかなりの長文を言い放った。

 

未だ底知れぬ力を秘めた徐晃の本領が、今発揮される。

 

 

 

 

 

 

【司隷、潼関・曹操軍本陣】

 

 

曹操軍による策成功の報はすぐに本陣へと知らされた。

 

 

 

曹操兵「申し上げます!夏候惇将軍と交戦中でした韓遂が馬超と口論の末戦線を離脱!その後、馬超は夏候惇将軍を抜き、

 

単騎で我らが本陣に突撃を強行!兵を次々と突き飛ばしており我らでは手に負えません!」

 

 

曹操「分かったわ、ご苦労様。下がりなさい」

 

曹操兵「はっ!」

 

 

 

兵士の報告を聞いた曹操は、組んでいた足を組み直しながら満足げな表情を浮かべた。

 

 

 

曹操「風、あなたの離間の計は上手くいったようね」

 

程昱「そのようですねー、まぁ、後で春蘭ちゃんに怒られそうではありますがー」

 

 

 

たとえ計略だったとはいえ、戦闘自体に価値を見出している夏候惇にとっては、

 

勝負に横やりを入れられたのと同じであり、目を三角にしてその怒りを受けることになるのは、

 

夏候惇という人となりを知っている者にとっては容易に想像できることであった。

 

 

 

曹操「ふふ、私から訳を話しておくわ」

 

程昱「ありがとうございますー」

 

 

 

しかし同時に、曹操の口添えがあれば夏候惇が黙ることもまた、夏候惇という人となりを知っていればわかることであった。

 

 

 

郭嘉「韓遂は離脱し、馬超はがむしゃらに単騎突撃。これで、敵の主力は消えたも同然か・・・仮に韓遂の戦線離脱が援軍

 

要請によるものという可能性がないとは言い切れませんが、援軍を連れて戻るころにはすべて終わっているでしょうしね」

 

 

 

郭嘉の言う通り、韓遂が消え、馬超が曹操軍本陣に単騎特攻を仕掛けている今、

 

戦場に残っている侯選や楊秋では夏候惇や夏侯淵を止めるには厳しく、

 

本陣に馬騰配下の猛将、鳳徳が残っているとはいえ、涼州陣営が崩壊するのは時間の問題であり、

 

むしろ未だ涼州陣営が戦線を維持している方が不思議なほどであった。

 

その点は、さすがは大陸一の騎兵軍団と言われるだけのことはあり、

 

馬超や韓遂といった一線級には劣るものの、なかなか侮れないと言わざるを得なかった。

 

 

 

郭嘉「ですが、まさかここに来て本当に戦局を無視して単騎で本陣に突っ込んでくるとは・・・」

 

 

程昱「二人が仲違いすれば御の字といったところでしたが、韓遂の戦線離脱、そして、馬超が単騎突撃の暴走とは、上手く

 

行き過ぎてむしろ怖いくらいですねー」

 

 

 

程昱は眠たそうな声で、自身の策が想定以上の成果を生んでいることに満足するも、そこには驕る様子は一切見られない。

 

 

 

曹操「よほど私に会いたいようね。けど、単騎とはいえ我が軍の精鋭たちをものともせず跳ね飛ばすとは、さすがは錦馬超

 

といったところかしら」

 

 

 

ここで忘れてはならないのは、先ほどの兵士の報告にもあったように、馬超は単騎で突っ込んでいるものの、

 

曹操軍は馬超を止められず手におえないというのが現状であると言うことである。

 

しかも、馬超に当たっている兵は夏候惇隊の総勢2万もの精鋭である。

 

このことからも、馬超の行動が常軌を逸しており、曹操が舌を巻くのも当然のことであった。

 

 

 

曹操「面白いじゃない。そこまで私に会いたいのなら、直々に出迎えてあげましょう。季衣、流琉、準備をしておきなさい」

 

二人「「了解です!」」

 

 

 

しかし、覇王たるものの余裕からか、あるいは、馬超の蛮勇に対する情けか、

 

それとも賞賛すべき武勇に対する敬意の表れか、曹操はあえて自ら出陣することを選んだ。

 

曹操の親衛隊たる小さなボディーガード、許緒・典韋の威勢のいい返事が陣内に木霊した。

 

 

 

 

 

 

単騎で曹操軍の本陣への特攻に出た馬超は、次々と目の前の曹操軍の兵士たちを、時には馬でそのまま蹴散らし跳ね飛ばし、

 

時には銀閃で突き刺し切り飛ばしていき、馬超の通った後に残るのは、曹操軍の兵士の死屍累々たるありさまであった。

 

そしてしばらくした後、ようやく馬超は曹操の元にたどり着いた。

 

驚くべきは、馬超の衣服がほとんど汚れていないこと。

 

つまり、恐らく千人単位の人を討ったであろう人間が、一切の返り血を浴びていないのである。

 

当然、自身傷の一つもないのは言うに及ばず。

 

 

 

曹操「あなたが馬騰の娘、錦馬超ね。単騎でよくここまで来たものだわ」

 

 

 

そのような馬超の様子を見て、曹操は不敵な笑みを浮かべながら称えた。

 

 

 

馬超「曹操・・・お前を討ち取って、さっさとこの胸糞悪い戦いを終わらせてやる!!」

 

 

 

対して馬超は、そのような曹操のわざとらしい賞賛の言葉にイラつきを募らせながら吠えた。

 

 

 

曹操「ふふ、そういえば、韓遂は元気にしているかしら?駄目よ、戦場で仲間割れなんてしていては」

 

 

 

馬超の予想通りの反応に満足げな曹操が言い放った言葉が、馬超の動く契機となった。

 

 

 

馬超「曹操ぉぉぉぉ!!!」

 

 

 

次の瞬間、馬超は曹操目掛けて突っ込んでいた。

 

そして、手にした銀閃を力いっぱい突き出す。

 

馬の勢いと体のバネを利用して放たれるその一撃は、鉄の鎧をも突き破りかねない驚異の一撃。

 

鎧に身を包まない曹操の柔肌など一瞬で風穴を開けてしまうその必殺の一撃だったが、しかし・・・

 

 

 

許緒「へへんっ、曹操様には指一本触れさせないよーだ!」

 

 

 

曹操と馬超の間に一人の小柄な少女が割って入った。

 

桃色の髪を両サイドの高い位置で三つ編みに結ったその特徴的な髪形の少女・許緒は、

 

得物である大鉄球 “岩打武反魔” を振り回して馬超をけん制する。

 

 

 

馬超「くそっ、ちびっ子のくせに馬鹿でかいものを振り回しやがって!」

 

 

 

さすがの馬超も、許緒の放つ並々ならぬ闘気を感じ取り、問答無用で押し切るということはしなかった。

 

気がつけば、馬超の背後からは夏候惇、さらに後方には張郃、そして遅れて夏侯の旗印を掲げる一団が追いかけてきた。

 

馬超は曹操軍の本陣で完全に孤立無援の状態で包囲されてしまっていた。

 

 

 

馬超「(くそっ・・・まだだ・・・まだあたしは死ぬわけには・・・)」

 

 

 

馬超は包囲されていることを気にも留めず、曹操一人だけを標的に定めて攻撃しようとするが、

 

許緒が邪魔して攻撃できる隙がない。

 

しかし、仮に曹操を攻撃できたとしても、もはやこの状況では、馬超の命はないも同然である。

 

 

 

馬超「(せめて、死ぬ前に曹操の首だけでも・・・!)」

 

 

 

当然馬超もそのことは自覚していたが、しかし・・・

 

 

 

許緒「ちょうりゃーーーーーー!」

 

馬超「くっ―――――ぐわぁっ・・・かはっ!?」

 

 

 

許緒の放った鉄球による超ド級の重さを誇る一撃を防ぎきれず、馬超は落馬してしまう。

 

 

 

曹操「ふふ、もう少し楽しませてもらえると思ったのだけれど、ここまでのようね。許緒、もういいわ。終わらせなさい」

 

許緒「了解です!」

 

 

 

落馬した馬超が見上げる先に映ったのは、迫りくる小さな怪物。

 

馬超は背中から受け身も取れず落馬してしまい、上手く呼吸ができず思うように動くことができない。

 

 

 

馬超「(く・・・そぉ・・・・・・母様・・・たんぽぽ・・・・・・韓遂さん・・・・・・・・・ごめん・・・・・・・・・)」

 

 

 

万事休す。

 

馬超は曹操に一矢報いることすら敵わず、愛すべき人たちの顔が次々とフラッシュバックする中、

 

後悔の念と共に、許緒の強大な鉄球に押しつぶされる時をただ待つことしかできなかった。

 

 

 

【第六十一回 第四章:潼関攻防編④・離間の計 終】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

第六十一回終了しましたがいかがだったでしょうか。

 

さて、見事に風の離間の計にはまってしまった翠だったわけですが、

 

そこから春蘭を抜いてからの単騎暴走、さらに、2万の兵相手に無傷。そしてその翠を軽々止めてみせる季衣。

 

この世界でのパワーバランスはどうなっているんだと疑わずにはいられないわけですが、

 

このまま翠ほっといて夏候姉妹+張郃に潼関本陣急襲させれば終わりじゃね?というツッコミと共に、

 

結局はご都合主義のゴリ押しということで目を瞑っていただきたく 汗

 

あえてこじつけるならやっぱり本陣襲われてるからみんな慌てて戻ってきたとか、、、汗

 

 

それではまた次回お会いしましょう!

 

 

 

もう主役=空気なんていうそのふざけた幻想はぶち壊しましょう…

 

 


 
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