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真・恋姫†無双 外史 ~天の御遣い伝説(side呂布軍)~ 第六十回 第四章:潼関攻防編③・程昱の一計

stsさん

みなさんどうもお久しぶりです!初めましてな方はどうも初めまして!

今回は程昱の一計。風がようやく軍師らしいお仕事をします!

それはつまり涼州勢にとっては好ましくない事態ということ、、、

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2015-03-08 00:00:01 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:3714   閲覧ユーザー数:3204

 

潼関から幾らか離れた位置に本陣を敷いている約12万の曹操軍は、

 

涼州勢に動きを注視しながら残りの軍が到着するのを待っていた。

 

 

 

郭嘉「涼州勢に動きはありませんね。まぁ、この兵力差で無策に突撃するほど愚かではないといったところでしょうか」

 

 

程昱「ふむー、このまま籠城戦に持ち込んで北方系の異民族の援軍でも待つつもりですかねー?ですが、涼州勢といえば、

 

かつては大陸一の名を冠した最強の騎馬軍団、幽州の白馬義従をも超えると謳われる、自慢の騎兵隊による猛攻こそ本領。

 

無策に突撃された方が厄介だったでしょうに、籠城などという慣れないことをしたところで、援軍が到着する前に潰される

 

というものなのですけどねー」

 

 

 

涼州の民の生活スタイルは基本遊牧であり、馬の扱いに長けていた。

 

そのため、戦闘では騎馬を伴うのが常であり、

 

籠城など城を守るといった戦いは曹操軍と比べるとその力の差は歴然であり、

 

程昱の言うように、たとえ戦力差があり無謀であろうとも、

 

打って出られた方が曹操軍にとっては手を焼く敵となるのであった。

 

 

 

曹操「風、あなたの言うことは分かるわ。別に今いる兵で攻めても十二分に勝てるでしょう。遠征の身としては、籠城戦に

 

なって戦闘が長期化するのが一番問題でしょうしね。けれでも、あなたも言う通り相手の騎馬兵は舐めてかかればこちらが

 

痛い目を見るわ。仮にこちらが動くのを待っているのだとしたら乱戦は必須。そうすればこちらの被害も大きなものになる

 

でしょう。だからこそ半端な戦力で動き出すのは許されないのよ。こちらも全軍が揃い次第、すぐに攻撃を開始する」

 

 

 

つまり、程昱の言っていることは、暗に涼州勢の気が変わる前に全軍揃わなくてもさっさと攻めるが得策、

 

というのを示しており、当然曹操もその真意を理解していたが、それでも曹操は用心深い選択をした。

 

拙速は兵法においては悪手であるが、悪手を悪手足らしめないのもまた曹操軍の実力なのである。

 

 

 

曹操兵1「申し上げます!行軍の遅れていた許緒隊・典韋隊・張郃隊、計3万、間もなく到着するとのことです!」

 

 

 

そんな中、曹操軍の本陣に、後続部隊の到着が告げられた。

 

 

 

曹操「わかったわ。増援部隊の到着次第、すぐに予定通り攻勢に移る。公明、私の護衛は季衣と流琉に代わってもらうから、

 

あなたも前線に出なさい」

 

 

徐晃「御意です、すいません」

 

 

 

曹操の命令に、蚊の鳴くようなか細い声で返事し、

 

なぜか謝罪の言葉を口にしたのは、曹操のそばに控えていた小柄な少女である。

 

ショートカットのシルバーブロンドはちょうどその両目を覆う長さでまっすぐきれいに切りそろえられ、

 

どこかシスターのベールを髣髴とさせるシルエットになっている。

 

小柄な体に対して若干サイズの合っていないブカブカの軽微な鎧をまとい、

 

両手にそれぞれ巨大な両刃斧を持ったその儚げな少女の名前は徐晃。

 

『不敗将軍』の異名を持つ、曹操軍でも五指には間違いなく入るであろう指折りの猛将である。

 

 

 

曹操兵2「申し上げます!敵軍に動き有り!次々と城内から出てきます!」

 

 

 

さらに、別の兵士が本陣内に駆け込み、涼州勢が動き出したことを告げた。

 

 

 

郭嘉「華琳様の仰ったとおり私たちの動きに触発されて動き出しましたね」

 

曹操「とにかく、これで乱戦は避けられないわ。皆、気を引き締めなさい」

 

 

 

曹操の号令に、陣内が一際緊張感に包まれたが、しかしその時、程昱が一言曹操に告げた。

 

 

 

程昱「華琳様、ちょっといいですかー?」

 

曹操「どうしたの、風?」

 

 

程昱「いえー、このまま戦闘に入っても大丈夫だとは思うのですが、一応相手は大陸最強の騎馬軍団。念には念を、という

 

ことでしてー」

 

 

 

普段の眠たそうな表情から一変、程昱の瞳が一瞬ギラリと鋭く煌めいた。

 

 

 

 

 

 

曹操「なるほど、上手くいけば涼州勢を内側から崩すことができるか・・・よい策ね、風。さっそく手配して頂戴」

 

程昱「御意―」

 

 

 

曹操は程昱の策を聞いたのち、満足そうな表情を浮かべながら程昱に策を実行するよう命じた。

 

 

 

曹操兵3「申し上げます!後続部隊、ただいま到着しました!」

 

曹操「わかったわ。許緒と典韋には本陣へ向かうよう、張郃には、挨拶はいいからすぐ前線に向かうように伝えなさい」

 

曹操兵3「はっ」

 

 

曹操「公明、あなたはここから北上し、蒲阪津を目指しなさい。そこから黄河を渡り、北から潼関を狙いなさい。それと、

 

行く前に暴れていた春蘭に伝えてちょうだい。全軍これより攻勢に移る。我らが力、存分に見せつけてやれ、とね」

 

 

徐晃「御意です、すいません」

 

 

 

準備万全整った曹操軍が、ついに動き出した。

 

 

 

 

 

 

【司隷、潼関】

 

 

双方が動き出したのはほぼ同時であった。

 

前線で各々の部隊が対峙している構図を確認すると、馬超隊1万はちょうど潼関の北でL字型に折れ曲がっている黄河の、

 

ちょうど屈折点に当たる渭口という場所で夏侯淵隊2万と、韓遂隊1万は潼関の正面で夏候惇隊2万と、

 

馬岱隊1万は潼関からはるか北に位置する蒲阪津から攻め入ってきた徐晃隊2万と、

 

それぞれ対峙しているといった具合になっていた。

 

そして、遊撃隊としての役割を命じられた馬超の弟、馬休・馬鉄の部隊1万は、

 

同じく遊撃隊として戦場を駆けまわっていた後続部隊の張郃隊2万と、

 

ちょうど馬超隊と馬岱隊の間に位置するところでぶつかっていた。

 

 

 

 

 

 

【司隷、潼関(渭口)・side馬超】

 

 

馬超「くっそー、やっぱあいつの弓隊は面倒くさいな」

 

夏侯淵「間を置かず射続けよ!騎馬の機動力を殺すのだ!」

 

弓兵「応っ!」

 

 

 

馬超率いる騎馬隊は、潼関のちょうど北に位置する渭口で夏侯淵率いる弓隊が雨のように浴びせかける矢による攻撃を受け、

 

思うように攻撃を仕掛けられないでいた。

 

 

 

馬超「だーもうっ!これじゃ全然動けない―――ん?」

 

 

 

しかし、馬超が夏侯淵隊の巧みな弓攻撃にイライラし始めていたその時、

 

不意に馬超の目にとある一人の曹操軍の兵士が留まった。

 

別段、他の兵士と比べて異彩を放っていたからといったわけではない。

 

ただ言えるのは、その兵士の動きが明らかに妙であったということ。

 

夏侯淵の弓隊の中、弓を引くふりをしながらチョロチョロと小刻みに場所を移しながら移動しているようである。

 

そして、その移動先は涼州勢の陣営であった。

 

 

 

馬超「(斥候?いや、それだとあたしらの陣営の方に近づいてるのはおかしい・・・まさか偵察か?)」

 

 

 

馬超は凛々しい眉根を寄せながら訝しむと、ひとまず矢の雨が降りしきる中、

 

その妙の動きを見せる兵士を止めるために動き出し、

 

兵士がちょうど弓隊の中から抜け出したところを見計らって目の前に躍り出た。

 

 

 

曹操兵「ひいっ!」

 

馬超「何だお前は!?コソコソと妙な動きしやがって、いったい何をたくらんでいるんだ!?」

 

曹操兵「し、知らない知らない!私は何も知らない!」

 

 

 

突然目の前に現れた馬超に迫られ、兵士はかなり狼狽した様子で知らない知らないと連呼した。

 

そしてその瞬間、反射的に兵士が何かを懐にしまったのを馬超は見逃さなかった。

 

 

 

馬超「おい、今何か隠しただろ!」

 

曹操兵「ひいっ、お、お助けーーー!」

 

 

 

ついに馬超が手にした銀閃を兵士の喉元に突き付けると、兵士は観念して懐に隠したものを馬超に差し出して逃げ出した。

 

すぐさま馬超は兵士が投げ捨てたものを拾い上げると、どうやらそれは何かの書状であるようであった。

 

そのまま、馬超は中身を読んでいく。

 

 

 

馬超「何々・・・『韓遂殿、例の手紙の返答を一刻も早く聞きたいため、時間を前倒しして例の場所で会いたい 曹孟徳』!?

 

・・・何だよ・・・これは・・・!?」

 

 

 

そのあまりにも予想外の内容に、馬超は戦闘中にもかかわらず、戦慄きながらその場に立ち尽くしてしまった。

 

 

 

 

 

 

【司隷、潼関(正面)・side韓遂】

 

 

夏候惇「あっはっはっは!さぁキサマたち!さっさと曹操様に逆らう愚か者どもを一人残らず、地獄の底へ叩き落とすぞ!

 

銅鑼を鳴らせ!!鬨の声を上げろ!!!総員、突撃ぃぃぃぃっ!!!!」

 

 

惇兵「おぉおおおおおおおお!!!」

 

 

 

夏候惇の叫びと共に銅鑼がけたたましく打ち鳴らされ、次々と夏候惇隊が韓遂隊の元になだれ込んできた。

 

先頭を突っ走るのは、七星餓狼を片手に気勢を上げている夏候惇本人である。

 

そして、その夏候惇による攻撃が一番厳しく、七星餓狼を振るごとに、韓遂隊の兵士たちが次々に吹き飛ばされていた。

 

 

 

韓遂「むむむ・・・さすがは魏武の大剣といったところぞ。こちらが守備に専念しているにもかかわらず強引に押し切って

 

来るぞ・・・攻撃は最大の防御・・・ここは私も全力で攻めに転じるべきぞ・・・?」

 

 

 

潼関の正面数百メートルの位置で夏候惇隊と対峙していた韓遂隊は、

 

夏候惇隊、というよりもむしろ夏候惇本人による常識外れな猛攻をかろうじて防いでいたが、

 

それでも押されている状態であることは否めず、韓遂は戦局を動かすべく、

 

守勢だった自身も攻勢に出るべきかと思案していた。

 

しかしその時、

 

 

 

韓遂兵「将軍!曹操軍よりこのような書状が送りつけられてきました!」

 

 

 

夏候惇隊の猛攻を傷を負いながらも何とか掻い潜り、兵士が韓遂の元に曹操軍からの書状を届けた。

 

 

 

韓遂「何?書状ぞ?曹操軍から私にぞ?」

 

 

 

いかにも怪しげな書状であり、どうしたものかと一瞬迷った韓遂であったが、

 

劣勢な今、少しでも時間が惜しいため、すぐさま封を切って内容を確認することにした。

 

しかし・・・

 

 

 

韓遂「何ぞこれは?要所要所が墨で塗りつぶされていて、何が言いたいのか全然分からぬぞ?」

 

 

 

よもや調略の密書の類かと思っていただけに、その不可解な書状に、むしろ不安を覚える韓遂であった。

 

 

 

 

 

 

【司隷、潼関(蒲阪津)・side馬岱】

 

 

馬岱「てやっ!」

 

徐晃「すいませんすいません」

 

 

 

潼関のはるか北に位置する蒲阪津で馬岱と徐晃は対峙していた。

 

しかし、ここにおいても涼州勢は曹操軍に対して劣勢を強いられていた。

 

すでにお互い大将同士がぶつかっていたが、馬岱の得物、片鎌槍 “影閃” による猛攻を徐晃は軽い様子で躱していた。

 

 

 

馬岱「もー何なのこの人ーっ!さっきから謝ってばっかじゃん!本当に戦う気あんの!?たんぽぽの得物が真鍮だからって

 

なめないでよねっ!」

 

 

徐晃「すいませんすいません」

 

 

 

馬岱が憤慨する通り、徐晃はひたすら絹糸のようなか細い声で謝りながら馬岱の攻撃をかわしていた。

 

しかし、そのような徐晃の様子が逆に馬岱のイライラを加速させ、一層馬岱の攻撃の手数を増やす結果となっていた。

 

しかし、それでも馬岱の攻撃は徐晃に通る気配は見られない。

 

 

 

馬岱「もうっ!わたしの攻撃全然当たんないしーっ!」

 

徐晃「すいませんすいません」

 

馬岱「きーーーっ!」

 

 

 

馬岱は頭、首、腕、胴、腰、太ももから膝、脛に至るまで、徐晃の体のあらゆる部位を、

 

上下左右あらゆる方向から狙い、時にはフェイントも織り交ぜながら畳みかけるが、

 

それでも徐晃は手にした巨大な両刃斧で、時には馬岱の攻撃の勢いを利用して上手くいなし、

 

時には受けることなく躱すため、一切攻撃が入らない。

 

しかも、そのような激しい動きをしているにもかかわらず、徐晃の表情を隠す前髪が乱れることはない。

 

それほど、徐晃の動きは繊細で、一切の無駄がなかった。

 

終いには、馬岱はヒステリー気味に奇声を上げる始末である。

 

が、しかし・・・

 

 

 

馬岱(なーんてね♪余裕ぶってるのも今の内なんだからっ!このまま落とし穴にはめてやるもんねーだ♪)

 

 

 

馬岱の内心は意外と冷静であり、あたかもヤケになった風に見せかけつつ、

 

徐晃をあらかじめ仕掛けておいた罠がある方へと誘導していった。

 

その罠は巧妙に潼関の地に溶け込んでいる、馬岱本人も自画自賛の完璧な落とし穴だったのだが、しかし、

 

徐晃はちょうど落とし穴がある場所を、目視することなく馬岱の攻撃をかわしつつ、ジャンプで華麗に避けて見せた。

 

 

 

馬岱「あーーーっ!!なんで避けるのーーーっ!!」

 

徐晃「すいませんすいません、見え見えの罠に引っかからなくてすいません」

 

馬岱「きーーーーーーッッッ!!」

 

 

 

徐晃の悪意のない、風が吹けば消え入りそうな、しかしなぜかはっきり耳に届いてくる罵倒を受け、

 

馬岱は今度こそ本当にヒステリー気味に奇声を上げた。

 

 

 

 

 

 

【司隷、潼関・side馬休馬鉄】

 

 

遊撃部隊として陣を展開していた馬休・馬鉄率いる部隊は、

 

同様に遊撃部隊として戦場をかけていた張郃隊と激突していたが、

 

涼州側では戦慄が走ると共に、ただただ恐怖がその場を支配していた。

 

 

 

張郃「きゃははは、アンタらさっさト死ぬネ!」

 

 

 

耳をふさぎたくなるような甲高い笑い声と共に、怪しげな片言で話すその小柄な少女・張郃は、

 

手入れのあまり行き来届いていなさそうな燃えるような真っ赤な髪に、

 

黒の大きなリボンを結わいつけて腰のあたりまで無造作に伸ばし、

 

淡いブラウンの瞳は狂気の色に染まり底なし沼のように濁っている。

 

身に着けた衣装は、黒を基調とし、華美なレースやフリルといった装飾で飾られたドレスであり、

 

あたかも現代のゴスロリファッションそのものである。

 

そのような戦闘に不向きな、動きづらそうな服装に身を包んだ張郃であったが、しかしその動きは俊敏で無駄がなく、

 

縦横無尽に戦場を駆け巡りながら次々に馬休・馬鉄の兵士たちを両手に装着した鉤爪によって切り伏せていく。

 

 

 

馬兵士1「ぐはぁ!?」

 

馬兵士2「ぐぎゃぁっ!?」

 

 

 

そのほとんどが騎兵で構成される涼州勢であったが、張郃はお構いなしに騎兵に向かっては、

 

馬から馬へ飛び移るように、まるで舞うかの如く馬上を飛び移りながら次々と涼州勢の兵士を切り刻んでいった。

 

切り刻むごとに、兵士たちの返り血で黒のゴスロリ衣装が赤黒く染まっていく。

 

 

 

馬兵士3「くっそぉおおおおおっ!!!」

 

馬兵士4「お、おい!慌て―――」

 

張郃「きゃははは、アンタらじゃアタシハ止められないネ!」

 

馬兵士3「がばぁっ!?」

 

馬兵士4「ぎゃ!?」

 

 

 

ヤケを起こして突っ込んでくる騎兵など、歩兵にとっては恐怖以外の何ものでもないはずなのだが、

 

張郃は普段通り耳をつんざくような耳障りな笑い声を上げながら流れ作業で鉤爪を振るう。

 

 

 

馬兵士4「く・・・そぉ・・・早く・・・殺し・・・やがれ・・・」

 

張郃「ん?」

 

 

 

すると、張郃がたまたま仕留め損ねた兵士が、虫の息で転がっており、忌々しげに張郃に向かって吐き捨てた。

 

そのような兵士の様子を張郃は一瞥すると、ヒタヒタとその兵士の元に近づいていく。

 

次第に近づいてくる狂気の塊と自身の死という実感に、兵士は目を瞑りその最後の時を待った。

 

が、しかし・・・

 

 

 

張郃「きゃははは、アンタ、いったい何言ってるネ?」

 

 

 

張郃はまるで糸の切れた操り人形のようにカクカクとした動きで首をかしげると、突如兵士に肉薄した。

 

予想外の言葉をかけられ、思わず閉じていた目を開けた兵士の瞳は、張郃の狂気を帯びた濁った瞳で埋め尽くされていた。

 

各々の顔面の間、その距離僅か2,3センチ。

 

 

 

張郃「何でアタシ、アンタノ言うこと聞かないトいけないネ?」

 

馬兵士4「なっ・・・?」

 

 

 

兵士の呼吸が止まった。

 

 

 

張郃「きゃははは、弱いヤツ死ぬことさえ望めないネ!悔しかたラアタシヲ楽しませるぐらい強くなるネ!」

 

兵士「・・・・・・!」

 

 

 

兵士は何も答えられなかった。

 

張郃の言い放った言葉の意味を理解するのにどれほどの時間を費やしただろうか。

 

もちろんそれはほんの一瞬の事なのであるが、兵士にとってはとても長い時に感じられた。

 

勝者の余裕と敗者への情け。

 

生かされる屈辱。

 

しかし、それは同時に再戦の機会を与えられたことをも意味していた。

 

 

 

馬兵士4「・・・くそ・・・テメェ、オレを生かしたこと・・・必ず後悔させ―――」

 

 

 

しかし、そこで兵士の言葉は途絶えた。

 

なぜなら、言葉を発すべき体の部位を、喉笛を張郃がためらいもなく切り飛ばしたからである。

 

 

 

張郃「きゃははは、ま、アンタノ言うことなんて聞かなくテモ殺すから安心するネ!!」

 

 

 

張郃は口元を弓張月のように不敵に歪ませると、未だ何が起こったか理解できず、

 

ただ赤く濁った泡を吹きながら口をパクパクさせている兵士の体を滅茶苦茶に斬りつけ、その命を刈り取った。

 

 

 

張郃「きゃははははははっ、弱い弱い弱い弱いっ!もっとアタシヲ楽しませるヤツいないノカっ!?」

 

 

 

顔面に浴びた大量の兵士の返り血を舌でなめとりながら、張郃は一層ハイな様子で涼州勢に向かって問うた。

 

張郃の周囲には、大量の涼州兵と、その馬たちが変わり果てた姿で転がっており、ここ潼関の地を赤く染めていた。

 

 

 

馬休「こ、ここにいる―――って無理無理無理ぃいいい!!僕には絶対無理だってぇええええ!!」

 

馬鉄「たんぽぽちゃんを呼べぇえええ!!ぎゃぁあああ、こっち来んなぁあああ!!助けて姉上ぇええええええ!!!!」

 

 

 

そのような絶望的光景を目の当たりにした馬休は、一度は名乗り出ようとするが、すぐに張郃との力の差が歴然であり、

 

これ以上の交戦は無謀であることを認め、馬鉄ともども敗走したのであった。

 

 

 

 

 

 

【司隷、潼関・side馬岱】

 

 

馬休・馬鉄隊が張郃に蹴散らされたその刹那、馬岱の脳内に電流が走ると共に、妙な胸騒ぎを覚えていた。

 

 

 

馬岱「(はっ、今たんぽぽの絶好の見せ場が失われた気がするっ・・・!)」

 

徐晃「・・・・・・すいませんすいません」

 

 

 

馬岱が思わず口にした、この場においては全く意味を持たない内輪ネタの言葉に、

 

徐晃は一瞬の戸惑いを見せると共に、再び謝罪の言葉を口にした。

 

 

 

馬岱「もうっ、あんたのせいだからねっ!」

 

徐晃「すいませんすいません、何だかよく分かりませんけどすいません」

 

 

 

馬岱の理不尽な逆ギレ気味の攻撃を受け流しながら、徐晃はただ普段通りか細い声で謝るのであった。

 

 

 

【第六十回 第四章:潼関攻防編③・程昱の一計 終】

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

第六十回終了しましたがいかがだったでしょうか?

 

さて、主役たちを完全にほったらかしてどんどん話が進むわけですが、

 

風の一計が果たして今後の戦局にどう影響するのか、史実通り詠ちゃんがいなくとも策は成功するのか。

 

 

ところで、今回またまたオリキャラが登場しましたが、徐晃、馬休、馬鉄については、

 

本家様がすでに公式キャラを発表なさっていますが、以前も申しました通り発表前に本作にてすでに登場、

 

或は構想を練っていたということ、アンケの結果も踏まえまして完全オリキャラでの登場となりました。

 

(香風ちゃん可愛いよ可愛いよ鶸ちゃんはきっと好きな子に違いない蒼ちゃんは苦手かもでも可愛い)

 

張郃も含めキャラ紹介は、例によって本章最後にまとめてしますのでしばしお待ちを!

 

あ、一応最低限の情報として馬鉄・馬休は馬騰の長男・次男で馬超の弟、馬岱の義兄、つまり男である。残念、、、

 

 

では、最後になりましたがここで一言・・・

 

 

 

祝 ・ 2 ・ 周 ・ 年 ! ! 

 

 

 

そうなんです!!2013.3.1より投稿を開始しました御遣い伝説も今年で無事2周年を迎えることが出来ました!

 

なのにまだ60回という鬼スローペースで甚だ申し訳ないのですが、

 

ここまで目立った蒸発もなくこれたのも、このような拙稿にもかかわらずお読みいただきました皆様のおかげです!

 

3周年目は正直本気で蒸発を考えなければならないかもしれない厳しい年になりそうですが、

 

やっぱり書き始めたからには最後まで書き終えたいので、(本音:白蓮を活躍させるまでは蒸発したくない)

 

このペースですとまだまだ先は長いですがどうか今後も宜しくお願いいたします!

 

 

それではまた次回お会いしましょう!

 

 

 

ついに御遣いの御の字も出なくなったか、、、汗

 


 
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