No.76433

心・恋姫†無双 第九話

南風さん

オリジナルキャラ・オリジナル要素が苦手な方は申し訳ありません。また三国志の歴史とは違います。そして、いつもながら感想を待っています^^

2009-05-30 22:04:25 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:11706   閲覧ユーザー数:9087

 

心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~

第九話 ~思惑~

 

俺が皆の主になってから一月がたった。

そんな中、都に放っていた間諜から情報がもたされる。

董卓の都の暴政に絶えかね、袁紹の呼びかけにより董卓討伐を目的とした連合の報。

名家と名高き袁紹を中心に、袁術・公孫賛・馬騰。

そして三国志の主人公たる劉備・曹操・今は袁術客将の孫策。

歴史に語られる戦。

乱世開幕の鐘を鳴らす戦。

 

けど、俺たちにとっては・・・・・・・

 

待ちにまった好機。

 

 

 

「これを待っていたのですね。」

「あぁ、劉璋は連合に参加していないし、俺たちが動いても背後をつく諸侯もいない。王朝も俺たちへの討伐命令はだせない。」

「それにこちらには桔梗さまがいらっしゃいますからね。」

桔梗は劉璋の臣下の中でも別格で、厳顔がいるから劉璋に黙って仕えている人が多いらしい。

そして民からも慕われており、部下・民から愛されている武人。

そのため、桔梗がこちらにいるというだけで益州の兵は八割以上が味方になるらしい。

そして俺たちの進軍を阻むものはいなくなると言われている。

「そんな凄い人だったんだな。」

「意外でしたかな?」

「え!?」

渦中の人の声が背後で聞こえる。

「そんな顔をすると男前がだいなしですぞ。」

「いや、さすがに驚いた。」

「気配を消していたつもりもないですぞ。」

「ごめん。」

「まぁそれは良いとして、こちらの準備はすでに整っております。動きますか、お館さま。」

「いや、連合軍は多分洛陽に進軍するのに汜水関を通るはずだ。そこに進軍を始めたら、俺たちも成都に進軍しよう。それでいいかな?」

「はい、それでよろしいかと。」

「御意。では、紫苑にも伝えましょう。」

「よろしく頼むよ。」

現在、紫苑は自身の城に帰って反乱のために準備をしている。

「白に成都の状況を探らせてくれ。」

「御意に。」

「よし、じゃあ次の間諜の報で次第で俺たちも動くぞ。」

「御意!腕がなるのぉ。」

 

 

 

 

――連合軍・陣中――

「ちょっと、これはどういう事ですの!」

金髪のド派手はドリル髪。

口調は明らかにお嬢様をイメージさせる。

この者こそ連合の提案者にして、大将でもある袁本初・真名を麗羽その人である。

「どうにもこうにも、そのままの意味ですよぉ~。」

溜め息をつくのは袁紹軍の中では唯一の良心であり、常識人の袁家二枚看板の顔良・真名を斗詩。

「仕方がないですって。それに、いてもいなくても変わらないっしょ!」

ニシシと笑うのは顔良の親友で、袁家二枚看板の一人、文醜・真名を猪々子。

「もぉ~文ちゃんたら。いた方がいいに決まってるでしょ。でも、理由が理由だから仕方が無いの!」

「この名門袁家頭首たる私のお誘いを断るなんて、なんてお馬鹿な人たちなのかしら!」

「でも、そこに書いてあるような事がおきたら確かに困りますから、そこはわかってあげてくださいよ。」

「・・・・・・・仕方がありませんわね。」

「んで、その内容って何?」

「文ちゃん・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

――某所――

「いいのか母様?」

「なんのことだい?」

「だってさ、断ったら何かと困ることが起きるんじゃないのか?」

「ふん。それよりも困ることが起きるだろう。だからこそ、こうして断ったのだ。それに、あの董卓が暴政・・・・・・私には信じられないね。」

「そんなもんか。」

「武ばかりではなく、もう少し智もつけろといってるだろう。でないと嫁入り先がなくなってしまう。」

「よ、よけいなお世話だ!」

「よけいとは、これでもお前の母親だぞ。何と親不孝者か。」

「う、うるさい!」

「うちの娘共はどうしてこんなにも・・・・・・・・。」

 

 

 

 

 

――洛陽、玉座の間――

椅子に座る少女に何やら報告が終わる。

「そういう訳や。」

関西弁と袴が特徴的なこの人物は張遼・真名を霞。

泣く子も黙る張来々である。

「そう、まったく腹が立つわね。」

拳を握るのは三つ編みと眼鏡が特徴的な賈駆・真名を詠。

董卓軍の軍師。

「だが、起きてしまったものは仕方が無い。」

腕を組みながら素っ気無い返事を返すのは董卓軍の将・華雄。

真名はとある理由のため存在しない。

「簡単に言わないで!」

「そんな、カリカリしてると寿命が縮むで。」

「まったくだ。」

「・・・・・・・・・。」

「なんで、そんなお気楽なのあなた達は!」

「詠ちゃん・・・・・・。」

先程から椅子より心配そうに見守る小柄な少女。

いかにも気弱そうな彼女こそが董卓・真名を月。

「どうしてって言われてもなぁ~。うちら武官やし。」

「そうだ。考えることはお前に任せる。」

「この馬鹿どもがぁ~!」

「・・・・・・・どうするの?」

赤い髪に褐色の肌。

髪から伸びる二本の触角が揺れる。

不思議なオーラを出しているが、この少女が三国志の中で最強と言われた武人。

人中の呂布・真名を恋である。

「・・・・・・・・・・逃げるわよ。もともとこんな事ですら望んだことじゃなかったんだし。」

「逃げるって、どこへ?」

「・・・・・・・・・・益州か荊州ね。あそこの州牧から良い噂は聞かないけど、ようは役人が自分の利益しか求めない馬鹿ってこと。そんなとこにまず他からも情報はこないわ。それに田舎だし、静かに暮らせるわ。」

「じゃあ、うちらは時間稼ぎでもすればええの?」

「・・・・・・そう言うことになるわ。でも、そんなに時間はかからない。だから、霞と恋・華雄の三人で虎牢関で敵を迎え撃って。その方が時間稼ぎになる。」

「それらな、わかりやすい。」

「せやね。」

「・・・・・・・わかった。」

「必ず生きて帰ってきなさいよ。」

「皆さん、ご無事で。」

「そんな、暗い顔せえへんでな。」

「私たちの勝利を信じていろ。」

「・・・・・・・大丈夫。」

 

 

 

 

時は進み

――益州・巴郡――

「報告、連合軍が汜水関に向けて進軍開始。ですが汜水関に董卓軍の姿が見えません。」

「わかった、ありがとう。」

「っは!」

 

「どう思いますか?」

「・・・・・・おそらくは時間稼ぎか。・・・・・・・それでも虎牢関だけで迎撃するつもりなのか?」

「おそらくは、戦に勝つためではなく無事に逃げるためかと。」

「逃げる?」

「はい、ある程度の時間を稼いだら撤退する。それならば、汜水関に兵を配置はしません。」

「逃げる・・・・・・か。」

「どうかないましたか?」

「いや、何でもない。・・・・・・千里、皆に召集をかけてくれ。俺たちも動くぞ。」

「御意に。」

 

 

 

 

 

――某所――

「姉上ー。母様ー。」

「どうした騒がしい。」

「何かあったのか?」

「益州で動きがあったよ。」

「嫌な予感が当たってしまったな。・・・・・・私たちも動くぞ!」

「おぅ!」

「わかったよ!」

 

 

 

 

 

――連合軍――

「これはどういう事かしら?」

見た目は小柄の少女ではあるが誰にも負けない覇気を身にまとっている。

「敵が見えませんね。」

「・・・・・・兵に探らせますか?」

少女を支えるように両側に立つ黒髪と青い髪の女性。

「無駄よ。何の気配も感じないわ。こんなところで、空城の計を使うというのも考えられない。」

「では、劉備をせかして進ませますか?」

「そうね、そうしてちょうだい。」

「御意。」

この覇気をまとう少女の名前を曹操・真名を華琳。

三国志の中で最も覇に近づいた、乱世の奸雄である。

そして、両側に立つ女性は黒髪が夏候惇・真名を春蘭。

青い髪の女性は夏侯淵・真名を秋蘭で、華琳を支える双子の姉妹。

「・・・・・・・さてこれからどうなるのかしら。」

 

 

 

「この事をどう思う?」

黒髪の眼鏡をかけた女性が、長い硝子細工のような髪の女性に問いかける。

「どう思うって・・・・・・・考えるのは、そっちの仕事でしょうー。」

嫌そうに返事を返す。

「そう言うな。意見を聞きたいのよ。」

「ん~、逃げるためだと思うよ。」

「勘か?」

「そう、勘よ。」

「それは意見とは言わんのだが・・・・・・ふむ、もしそうなると厄介だな。」

「そうね、私たちの宿願のためにもね・・・・・・。」

風になびく孫の文字。

二人の女性が鋭い眼を汜水関に向ける。

黒髪の女性は周瑜・真名を冥琳。後の呉の大都督。

もう片方の女性が孫策・真名を雪蓮。後に江東の小覇王と呼ばれる人物である。

 

 

 

 

――益州・成都――

「た、大変です!」

「何が起きた?」

「厳顔・黄忠を中心に・・・・は、反乱が起きました!」

「なんだと!・・・・・・・おのれ、たかが武将風情が!」

「い、いかがなさいますか?」

「すぐさま鎮圧するのだ!」

「そ、それが兵や武官・文官のほとんどが反乱軍に寝返ったとのこと。」

「では援軍を要請しろ!」

「今、王朝は董卓に実権がにぎられており、しかも諸侯は連合を組んで董卓討伐に出向いております。」

「おのれぇぇぇぇええええ!!!!」

 

 

 

――反乱軍――

一刀率いる反乱軍は紫苑や他の武官・文官と合流して三十万の大軍となった。

「こんなに加わってくれるなんてな。本当に凄いよ、桔梗は。」

「それだけではありませぬ。お館さまの人柄ですぞ。」

「えぇ、こっそり抜け出しては民達と遊んでいたようですので。」

「・・・・・・・ばれてた?」

「当たり前ですぞ。」

「はい。」

「・・・・・・・・ごめんなさい。」

今はまだ誰とも戦っていない。

それほど劉璋に誰もが耐えかねていたのだろう。

「このまま、成都まで何もなければ良いけどな。」

 

しかし俺たちはこの時、背に迫る試練にまだ気付いていないだけだった。

 

 

 

第九話 完

 

 

 

 

予告

無事と言っていいのか、何事もなく成都を包囲する反乱軍。

 

しかし、それと同時にある報がもたらされる。

 

その報は、出会いは吉か凶か。

 

次回 心・恋姫†無双 ~大陸動乱編~

第十話 「激突・前編」

 

連合軍の、

 

反乱軍の、

 

戦いの鐘がなる。

 


 
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