No.763048

IS ゲッターを継ぐ者

第二話、前編です。

2015-03-08 14:43:29 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:877   閲覧ユーザー数:863

〜光牙side〜

 

 

「い、一夏ぁっ!」

 

「ドワォッ!?」

 

 

 目の前に現れた女性。彼女が僕を一夏といい僕は首を傾げた。

 

 誰かの名前か?そんな名前の人物、僕は知らない。

 

 でもそう言おうと思ったら……いきなりその女性が抱きついてきたんだ!

 

 

「一夏、一夏ぁ……」

 

 

 なんだ!? なんだってんだ!?

 

 見ず知らずの女性に抱きつかれる理由なんて分かる訳ない、まるで意味が分からんぞ!

 

 けど女性は一夏、一夏と言いながら、僕を離さない。

 

 いったいなんなんだ、一夏って!?

 

 

「一夏ぁ……」

 

 

 というか抱きついたままのこの人、どうにかならないのか?

 

 ……いい香りがしたり柔らかいのはいいんだけど第三者が見たら絶対勘違いされる。

 

 

「………………」

 

 

 プシュッ……。

 

 

 あー!? なんか立ち去る音聞こえた! 絶対見られたよ絶対!

 

 

「ぐふっ、ふぁなひて、ふぁなれてくふぁふぁい! (グフッ、離れて、離れて下さい!)」

 

「んぁっ、やめろ……くすぐったい」

 

 

 うぉぉぉい!? ピンクになるな展開ィ! そして動いたからだけどそんな声出すな女の人! 

 

 この作品まだ第二話なのに18禁にする気か!?

 

 

「は、はなしてぇぇぇ〜!!」

 

 

 ……とりあえずこの後。保険医なる人が来て、それで女性を離してくれた。

 

 

 

 

「んん……さ、さっきはすまなかったな」

 

「い、いや。別に大丈夫ですケド……」

 

 

 わざとらしく咳払いをし紛らわす黒髪の女性こと織斑千冬さん。本人がそう名乗った。その隣にはさっき来た(僕らを見て勘違いした)緑色の髪で眼鏡をかけた女性、山田真耶さんがいる。 

 

 二人は女性にしか動かせないパワードスーツ『インフィニット・ストラトス』、通称ISを扱う機関であるここ、IS学園という場所の教師だという。

 

 女性にしか動かせないのはなんじゃそりゃと思ったが、今突っ込むと話が進まなそうのでとりあえず今は隅に置いておく事にする。

 

 

「では滝沢、お前は何故海岸に倒れていた?」

 

「うーん……海岸にいたんですが。突拍子もないんですけど、僕はもしかしたら異世界からやって来たのではないかと」

 

「異世界?」

 

 

 首を傾げ何言ってるんだみたいな表情の織斑さん達。

 

 当然デスヨネー。

 

 

「僕は、ゲッターロボというスーパーロボットに乗って戦っていたんです」

 

 

 僕の事も話す。ゲッターロボ、ゲッター線、インベーダーとの戦い……。一部は伏せてだ。全部は話さず、分からないとこは仮定を混ぜてだけど。

 

 確定しているのは、僕の名前や僕が何をしていたか。仮定は、あの時の光でどういう訳かこの世界に来てしまったと思われるところだ。

 

 

「確かに簡単には信じられんな。お前は違う世界から来て、巨大ロボに乗り宇宙生物と戦っていたとは」

 

「まるでSFみたいですね」

 

 

 僕だってこんな突拍子もない事態に正直混乱している。

 

 一番の原因はあの時の光。あれは一体なんだったんだ、白い光と、その中で見たのは……。

 

 けどそれともう一つ。僕を混乱させている事がある。

 

 

「……で」

 

「で?」

 

「なんで僕に抱きついてきたんですか?」

 

「うぐっ! そ、それは……」

 

 

 織斑さんは目を逸らしバツが悪そうな表情を浮かべる。

 

 そう、さっきのピンク展開な18禁未遂だ。

 

 

「お、織斑先生?」

 

「い、いや大丈夫だ、山田君。ちゃんと話す……」

 

 

 けどそう言いつつ、頬をピンクに染め、モジモジして中々喋らない織斑さん。

 

 乙女かアンタは。

 

 

「いやですねー。喋りにくいとは思いますが、そこはちゃんと説明して下さいよ」

 

「う……」

 

「読者の皆さんだって初っぱなから原作と違いすぎる織斑さんに混乱してますよー?」

 

「うぅ……」

 

「つかなんですかそのモジモジしたのは。純真無垢な乙女ですか。アンタ乙女って歳じゃないだろうに何やってんですか、歳考えて下さいよコノヤロー」

 

「グッハァッ!?」

 

「織斑先生ー!?」

 

 

 見たか隼斗さん直伝の口責めラッシュ。心だ、心だ、心だぁ! の三連コンボ! 相手の心へ大ダメージだぜ。

 

 吐血する織斑先生。うん、ごふってないし大丈夫だ。

 

 

「大丈夫じゃありませんよ!?」

 

「いや、大丈夫だ山田君……ぶふっ」

 

「全然大丈夫じゃない!」

 

「血垂れてますよ。ティッシュ使います?」

 

「スマン……」

 

「どうしてこうなった」

 

「いや滝沢君のせいでしょう!」

 

「だが僕は謝らない」

 

「なんでですか!?」

 

「やりたかっただけです!」(ドヤァ)

 

 

 堂々のドヤ顔! 今の僕すっごいウザい顔してるだろうなぁ。自覚できるぜ。

 

 

「……いやすまん。話そう」

 

「凄いよ織斑さん、勲章ものだな」

 

「(……まだ二話ですよね、コレ……?)」

 

 

 はい、二話ですが何か?

 

 

 

 

「バカバカしいだろうが聞いてくれ。……お前は、似ているんだ。私の弟、織斑一夏に……」

 

 

 んで、織斑さんの理由を聞いた。聞いたワケだが……。

 

 

「僕が、似てる?」

 

「ああ。初めてお前の顔を見た時、一夏と思った程だ」

 

「なぁにそれぇ」

 

 

 予想外な答えに首を捻る。ただ似てたから抱きついたって……。

 

 

「ブラコンですかい。姉弟なんでしょ、その一夏さんと」

 

「そ、それはそうだが……。大切なたった一人の家族なんだ。いつも無茶をしとったから放っておけんだけで」

 

「墓穴掘ってますやん」

 

 

 「ぐふ……」と織斑さんは沈む。成る程、大事な家族で織斑さんには心配で堪らない訳か。

 

 気持ちは分かる。家族ってのはいいものだ。……例え血が繋がってなくても。

 

 けどね、雰囲気・デストロイで悪いけどさっきの抱きつきから察するに……重度のブラコンと判断した。

 

 うーん間違いない!(勝手に)

 

 

「あの、織斑先生。織斑一夏君って、あの?」

 

「そうだ。世間を騒がしたアイツだ」

 

 

 ここで山田さんがおずおずと尋ねる。

 

 世間を騒がせた? その一夏という人が?

 

 

「どういうことなんです? その人と僕が似てる事以外に関係があるんですか?」

 

 

 聞くと山田さんと織斑さんは顔を見合わせ、織斑さんがゆっくりと僕に顔を向け話してくれた。

 

 

 「……実はな。一夏は二年前に行方不明になっているんだ」

 

 

 たった一人の弟、一夏さんとその身に起きた事件を。

 

 


 
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