『Spirit World -02-』
「…なぜ、人間というものは…こう頭がまわらないのじゃ…。」
真下のコンクリート道路が、柔らかくなったかのように押し出したもの。
それは、紛れもなく。
どこをどう見ても銀髪の美少女であった。
「ひ、ひぃ…!」
そんなわけあるか!
こんな小さい子が、コンクリートの中からでてくるわけないだろ!
おかしい!おかしい!俺はどうなっちまったてんだよ!!
すると、幼女はカナタと自分の鼻が接触するほど近いところに瞬間、いや刹那の方が表現としては正しいのだろうか。
とにかく、近いところでこう口を開いた。
「ん、心臓の鼓動が速いの。おい、人間どうしたのじゃ。私をみて興奮しておるのか?どうなのじゃ?それとも、誘拐でもしようとしておるのかのう、それならやめておいたほうが身のためじゃが…」
こいつ、ふざけてるのか!?
それとも馬鹿なだけなのか!?
だが、これだけは言える。
本能としてなのだろうか。
こいつとは関わらないほうがいいこと。
そして…
『圧倒的な戦力差』
目を合わせたらものすごいプレッシャーに押しつぶされて
『殺されるかもしれない。』
この恐怖がカナタの全身を包み込んだ瞬間、彼は逃げていた。
…つもりだった。
幼女はとてつもない速さで自分の目の前に移動した瞬間
小さな拳が、カナタの腹に直撃する。
走っていた、反動でカナタは吹き飛ばされ後ろの大男と共に吹き飛ばされる。
「ぐぁ…」
「あっ、やりすぎたかのう。そうかこっちのこやつは…」
殺される。殺される。殺される。
怖い、恐怖心が全身を伝う。
「おい、おぬしなぜ、逃げようとした。」
「ごほ…っ!ごほ…!決まってんだろ!勝てないと思う相手から逃げるのは生物として当たり前のことだろうが!!」
「はぁ…腐っておる。性根が腐っておるぞおぬし、あー臭い臭い腐卵臭がしおる。少なくとも私の知っておるカナタは違う!このようなことで逃げる彼ではなかった…なのになぜ…うっぐ…ふぇ~ん!」
彼女の頬に、涙が伝う
先ほどまでの、威厳はどこに行ったのであろうか。
一瞬で、恐怖心などは消え去った。
あれ、この娘以外と可愛いんじゃ…
その瞬間、止まっていた時が動き出す。
「いでで…」
共に吹き飛ばされた大男は、その場に起き上がり何も言わずに
荒れている、辺りを見る
「これ…お前がやったのか…?」
「え、あ、いや…っ」
「う、うわあああ!お前らいくぞ!!!」
女性を囲んでいた男たちはなにがなんだかわからぬまま帰っていく。
「ふぇ~ん!!えっぐ…えっぐ…ひっぐ…」
はて、これは…どうしたらいいのだろうか…
「あの~…」
女性の声にカナタは、肩をあげる。
「あの、助けていただいてありがとうございますっ…」
「あ、いや、その助けるつもりはなかったというか…」
すると女性は笑みを浮かべてこう言った
「でも、実際に助けてくれたじゃないですか!あは!」
その笑みに俺は心を落とされていたのかもしれない。
「あの~お名前h…」
「あっ!いけない!お稽古の時間過ぎてる!ごめんなさい!失礼します本当にありがとうございました!」
スタスタといってしまった。
あーあ。
恋愛フラグは一気になくなってしまった。
なんてこった…。
あ、そういえば、あいつは…
「あっ…」
振り向けば、彼女もその場から居なくなっていた。
「おそい!!!なんで行ってから1時間もかかってるのよ!!しかも、卵もないじゃない!」
帰ってる途中女の子が男たちに囲まれていて避けようとしたけど幼女に止められて
大変なことがあったとかいったって信じてくれるはずがない。
俺は、実の母に頭を下げることしか出来なかった。
「ふぅ…」
自分の部屋のベッドに座りふとため息をつく。
いったい、なんだったのであろう。
あの幼女は何者でどこから来たのであろう。
人間とか言っていたところから人間ではないのであろうか。
「そうじゃのぉ、人間というよりこの世界で言う悪魔に近いものかも知れぬのう。」
「そうか~なるほどね~」
なるほど、確かにそうだとしたら
すべて納得のいくかもしれない。
??
今の声は。
すこし高い幼女の声。
このしゃべり方…
いそいで足元をみると、影が。
「嘘だろ…。」
真上を見ると
そこには、銀髪の小悪魔が居た。
「ひさしゅうの、人間。といっても三時間ほどか。」
やはり、そのプレッシャーは押しつぶされるほどのものであった。
だが、あの泣き姿をみた後と前では全然感じるものが違うのであった。
「うわぁ!いつからそこにいたんだよ!」
「そうじゃのう、大体、そのベッドの上にある枕の下に隠れて、うひひ、うへへ言ってたところからかのう。」
「あーなるほど、そこから見ていたと?」
「そうじゃ!」
「あああああああああああああ!!」
「別に恥ずかしいことではなかろう。人間はみんなそういう感情を持ち合わせているのは特に変わったことではなかろう、正常じゃ正常、おぬしは普通なのじゃ。」
「正常でも、見られていいことと悪いことがあるだろうが!!少しくらい気を使えよ!ふざけんな!」
「あ、その本じゃが私が捨てておいた!感謝しろ!」
カナタは尋常じゃない速さで枕の下を調べるとビリビリに破れたお気に入りの本がそこにはあった。
「ぁ…あ…ふざけるなあああ!泣き虫、でていけええ!」
「な、泣き虫!?泣き虫とはなんじゃ!この姿ではすぐに感情が高ぶって思いを爆発させる行為の、な、なにが恥ずかしいのじゃ!!」
「自分でいってるじゃねーか!」
「なら、本来の姿をみるがいい!!」
その言葉を発した瞬間から部屋の空気が一瞬にして変わった。
酸素が二酸化炭素に変わるくらいと同じほどの緊張が全体に走る。
その銀髪少女は段々と体が大きくなっていき。
まるで、脱皮のように体の皮のようなものが剥がれていく。
カナタがまばたきで目を瞑った瞬間。
0,3秒のうちに何があったのであろうか。
目の前には、腰辺りから吸い込まれるような濃く黒い羽。
そして、まさに悪魔のような尻尾の生えた裸の女性が目の前に立っていた。
Spirit World -02- END
-03-へ続く。
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今回は少し長くしました。
長くして思ったことが
やっぱり表現とかが難しくてぐだることですよね。
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