No.719334

リリカルHS 69話

桐生キラさん

こんにちは!
ちょっと作品数的に切りが良いので、今回は長めです。
ラスボスその2!VS士希戦

2014-09-19 18:01:54 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:1704   閲覧ユーザー数:1564

 

 

 

 

 

士希『自動防衛プログラム起動。対象の脅威判定を計測開始』

 

士希がレーゲンとユニゾンすると、士希は白い羽を生やし、感情のない言葉を羅列し始めた

 

士希『判定結果、危険値オーバーS。危険値がAを越えた為、天空剣の使用を許可します』

 

士希は手から白い大剣を出現させる。それと同時に、雨が降り出した

 

はやて「あれがゼウスか。ミネルバの言うことが本当なら、天候を操るらしいで」

 

フェイト「みたいだね。この雨、魔力を感じるよ」

 

なのは「魔力……へぇ、そっかぁ」

 

私らは杖を構え、士希に相対する。

とんでもないバカ魔力や。あいつの魔力量が多いんは知ってたけど、ここまでとは…

 

シグナム「主はやて、状況が状況ですので、本気でやっても構いませんか?」

 

はやて「お願いするわ。周辺に被害が出ぇへんように、なんとしても士希止めるで」

 

私が指示すると、みんなが真剣な様子で頷く中、シグナムだけはニヤリと笑っていた

 

シグナム「クックック…あーはっはっは!!とうとう主から許可がおりた!

士希!今日がお前の命日になる!」

 

いや、誰も殺せなんて言ってへんよ?

 

フェイト「いつからシグナムはこんな感じになったんだろうね」

 

ヴィータ「案外最初からかもしんねぇ…」

 

周りの人もほとんど諦めが入ってた

 

はやて「じゃあ行こうか!リイン、頼むで!」

 

リイン『はいです!支援は任せるです!』

 

さぁ、私も本気出そかな。自我はないやろうけど、本気でぶつかんのもアリやでな

 

はやて「ヴィータ、シグナム!先陣は任せんで!私は突撃支援や!

行くでぇ!穿て!ブラッディダガー!」

 

ヴィータとシグナムが士希に突っ込むと同時に、私は紅い短剣を複数掃射する。

それは真っ直ぐに、高速で士希へと向かっていった

 

士希『攻撃性の魔法を感知。迎撃開始』

 

士希は複数の短剣を、大剣の一振りで振り払う。

まるで羽虫でもあしらうように軽く振っただけやのに、とんでもない風圧が発生した

 

ヴィータ「ヤァァァァ!」

 

シグナム「死ねぇぇぇ!」

 

士希が風圧を発生させると同時に、ヴィータとシグナムがそれぞれ左右から挟み撃ちを仕掛ける。

士希はこれに気付き、右手で持った大剣でシグナムのレヴァンティンを止めようと掲げる。

ヴィータの攻撃には…

 

 

キィーン

 

 

ヴィータ「うわっ!?」

 

シグナム「止められた!?」

 

シグナムの剣は普通に受け止め、ヴィータのハンマーは、士希の腕に当たると同時に弾かれた

 

シャマル「セイクリッドディフェンダー!?あんな難しい防御魔法を二人相手にしながら!?」

 

どうやら士希は、かつて聖王が得意としていたセイクリッドディフェンダーを発動して二人の攻撃を対処したらしい。

チッ!魔法が使える士希がこんなにも面倒やとは思わんだな!

 

士希『殲滅する。天鳴万雷』

 

士希の大剣がレヴァンティンを受け止めたまま光出すと、魔法陣が上空に展開される

 

士希『堕ちろ』

 

 

ピシャーン!

 

 

瞬間、今度は雷が雨の如く広範囲に落ち始めた。

私らは散り散りになり、雷から逃げるように飛び回るが…

 

シグナム「クッ!」

 

シグナムだけは、士希にも追われ、徐々に追い詰められていた。

士希は大剣をブンブン振り回し、シグナムはそれを見極め防ぎつつ落雷にも注意していた。

このままやと、シグナムがやばい!

 

はやて「あぁもう!なんで私大技しかないねん!チャージ早よ!」

 

リイン『フルスロットルですー!』

 

私はシグナムを助けようと魔法を撃とうとするが、チャージに手間取っていた。

こんな時に何やけど、これ終わったらもうちょいチャージの早い魔法覚えよ

 

『Sonic move』

 

後ろから音声が聞こえた瞬間、私の横を雷が走る。

その雷は、士希の大剣に弾かれて態勢を崩していたシグナムを連れ去っていった

 

シグナム「クッ…すまない、テスタロッサ」

 

フェイト「うん。シグナム、ちょっと落ち着こう。多分、1人じゃ今の士希は倒せない」

 

フェイトちゃんの言うとおりやな。このまま無闇に突っ込むのは得策やない

 

はやて「おっと!せっかくチャージしたし、ぶち込んだろか。

遠き地にて、闇に染まれ!デアボリック・エミッション!」

 

私は詠唱を終え、魔力スフィアによる広域殲滅魔法を発動させる。

魔力スフィアは士希を包まんとその大きさを増すが、士希はこれを高速で上空に上がり回避していく

 

士希『豪風よ、全てを呑み込め。風雨凄凄』

 

士希が自身を回転させながら上空に上がると、それと同時に巨大な竜巻が発生する。

その巨大な竜巻は魔力スフィアすら呑み込み、こちらへ一直線に向かってきた

 

ヴィータ「うわっ!す、すげぇ風だ!引き摺り込まれる!」

 

フェイト「あの竜巻、呑まれるとまずいよ!中で雨と雷が鳴ってる!」

 

シグナム「クソ!士希の癖に忌々しい!」

 

はやて「言うてる場合か!逃げるで!」

 

リイン『急ぐですー!』

 

私らは竜巻から一心不乱に逃げようと後ろに下がり始める。

ヤバイヤバイヤバイ!あんなんに呑まれたら無事や済まへん!

 

はやて「!」

 

私らが後ろに下がろうと全力で飛ぶと、白い影とすれ違う。

その影は微動だにせず、杖を真っ直ぐ竜巻に向けて構えていた

 

フェイト「なのは!」

 

フェイトちゃんもなのはちゃんに気付き、慌ててなのはちゃんの元へ向かおうとする。

せやけどなのはちゃんは振り返らずに、私らに向けて親指を立ててくれた。

そしてレイジングハートのトリガーへと指を伸ばし…

 

なのは「ディバイーーン!バスターーー!!!」

 

なのはちゃんの凶悪なまでに巨大な直射砲が発射された。

その直射砲は竜巻とぶつかり合い、数秒程競り合った後になのはちゃんの直射砲が竜巻を押し返した

 

なのは「よし!」

 

撃ったなのはちゃんは満足気やった

 

はやて「う、うそやろ…」

 

フェイト「なのは、戦闘が始まってからずっと溜めてたからね」

 

そう言えば前線に出てこやんだな。

まぁ、なのはちゃんもどっちかって言うと、後方支援向きやでな。

せやからって、あの竜巻すら押し返すとは思わんだけど…

 

士希『損傷軽微。戦闘行為に支障はありません。引き続き、迎撃を開始します』

 

竜巻の中に居た士希の体は微妙に傷付いているように見えた。

どうやらディバインバスターのダメージが通ったみたいや

 

なのは「ねぇ、もう少しだけ私に時間くれないかな?

この環境なら、きっと後一発で行動不能に追い込めると思うの」

 

なのはちゃんの提案に、私は周りを見渡す。

辺りは魔力の雨や、先ほどの戦闘で散らばった魔力の残滓で充満されていた

 

はやて「なるほど、スターライトブレイカーやな?

これだけ魔力散らばってたら、凄い威力になりそうやな」

 

フェイト「確かに、収束砲撃ならセイクリッドディフェンダーも貫けるだろうね」

 

ディバインバスターが通ったんや。

スターライトブレイカーなら、間違いなくダメージになるはず。問題があるとすれば…

 

はやて「スターライトブレイカーを確実に当てる為の隙と、士希自身の体力が課題になるな」

 

ヴィータ「なのはの全力に、あいつが耐えられるかどうかって事か?」

 

はやて「いや、多分その逆やな。ザフィーラ!

ザフィーラから見て、この魔力量でのスターライトブレイカーで、士希落とせると思う?」

 

私がザフィーラに聞くと、ザフィーラは辺りを見渡し、苦笑いになった

 

ザフィーラ「い、いえ…おそらくはまだ足りない可能性も…」

 

私の予想通りの答えが返ってきた。

士希はこれまで、なのはちゃんのスターライトブレイカーを生身で受けて、平気な顔して復活してきた。さらに今はゼウスと融合状態でバリアジャケットも装着されとる。下手したら、なのはちゃんの攻撃でもまだ立ち上がる

 

シャマル「でしたら、あの時みたいに三人で攻撃してはどうでしょう?」

 

あの時?

 

なのは「あ、闇の書事件の時の…確かにそれなら確実だね!」

 

ザフィーラ「!?」

 

はやて「はぁ~なるほどなぁ。確かにそれなら…フェイトちゃんもそれでよかった?」

 

フェイト「え!?あ、あれやるの?さ、流石に士希が可哀想じゃ…」

 

フェイトちゃんが言うと、ザフィーラもコッソリ首をブンブン縦に振ってた。

いや、そりゃ私自身も、ちょっとオーバーキルな気はしてるけど…

 

シグナム「大丈夫だテスタロッサ。士希を信じろ。士希は並大抵の攻撃ではビクともしないんだ。テスタロッサやなのは、主はやてがちょっと全力で砲撃しても、きっとあいつなら余裕で生還できる」

 

シグナムはフェイトちゃんの肩を掴み、真っ直ぐフェイトちゃんを見つめて言った。

フェイトちゃんはシグナムのその力強い言葉に押されてしまい、頷いてしまった

 

フェイト「じゃ、じゃあ、私も頑張るね」

 

フェイトちゃんがそう言うと、シグナムは間違いなくニヤッと笑った。

シグナム、ほんまいつからあんなに黒くなってしまったんやろ

 

ザフィーラ「(あ、あの、主はやて。先ほどはああ言いましたが、どうか手加減を…)」

 

ザフィーラが物凄い心配した様子で念話してきた。

ザフィーラも変わったなぁ。めっちゃ目が泳いでる

 

はやて「(安心しぃやザフィーラ。

なのはちゃんはわからんけど、私も多分フェイトちゃんも、そんな全力ではやらんで)」

 

ザフィーラ「(そ、それでしたら…では、私は引き続き、結界の全力強化に当たります)」

 

そう言って、ザフィーラは離れたところで結界の強化に集中し始めた

 

シグナム「では主はやて、我らが士希の動きを止めてみせます。

主はやてやテスタロッサ、なのはは砲撃に集中してください」

 

シャマル「いいのかなー?」

 

ヴィータ「ま、士希はいろんな意味で不幸だったってことだ」

 

シャマルとヴィータが微妙な顔をする中、シグナムだけはとてもノリノリやった

 

なのは「さーて!全力全開!頑張ります!」

 

あ、シグナムだけやなくて、なのはちゃんもノリノリやった。

もうなのはちゃん1人で十分な気がしてきた

 

はやて「(あの、フェイトちゃん…)」

 

フェイト「(あはは、大丈夫だよはやて。私は少し抑えるから)」

 

フェイトちゃんが優しい子でよかった…

 

シグナム「シュツルムファルケン!翔けよ!隼!」

 

シグナムはシグナムで士希に全力で攻撃しとった。

士希は魔力による巨大な矢を大剣で受け止めるが、その直後に大爆発を引き起こした

 

ヴィータ「鋼の軛!」

 

シャマル「戒めの鎖!」

 

大爆発によるダメージを見逃さず、シャマルとヴィータがそれぞれ拘束を始める。

ヴィータの魔法で士希を檻に閉じ込め、さらにシャマルがその中の士希の動きを鎖で封じた

 

士希『拘束魔法を感知。破壊を開始します』

 

だが士希も黙って縛られる事はなく、無理矢理引きちぎろうともがき出す

 

なのは「あ、逃がさないよ?」

 

士希『!?』

 

士希が鎖を引きちぎろうとした瞬間、桜色のリングが士希の四肢を拘束した

 

はやて「れ、レストリクトロック…いつの間に…」

 

なのは「シグナムさんがシュツルムファルケンを撃った時かな。私も念のために、ね?」

 

怖っ!なのはちゃん怖っ!そしてなのはちゃん、容赦無く魔法収束してんな!

 

なのは「あは♪圧縮、圧縮ゥ!私はもういい感じかな。二人は?」

 

なのはちゃんの杖の先には、巨大な桜色の塊ができていた。

あんなにデカイの、ナハトの時でも見やへんだな

 

フェイト「私もいけるよ!」

 

フェイトちゃんも準備が出来たらしく、バルディッシュがザンバーフォームへと変形しており、魔力の雷を帯びていた

 

はやて「私ももう大丈夫やで。そしたら行こか!響け終焉の笛!ラグナロク!」

 

私は魔力を解放し、士希に狙いを定めて杖を構える

 

フェイト「雷光一閃!プラズマザンバー!」

 

フェイトちゃんは雷を帯びた大剣を掲げる

 

なのは「全力全開!スターライト!」

 

レイジングハートが士希に向けられると、収束が止まり、静寂が生まれた。そして…

 

『ブレイカーーーー!!!』

 

三人の掛け声と同時に、士希目掛けて巨大な魔法の砲撃が撃たれた。

桜色と金色と白の魔力光が重なり、轟音と爆発が辺りを支配する。

大地は焼かれ、森林は吹き飛び、結界にはヒビが入る。

ヴォルケンリッターが総出で結界の強化に当たっていたため、破られることはなかった

 

そして士希は…

 

士希「!?嘘だぎゃーーーー!!!」

 

運の悪い事に、光に呑まれたと同時に意識を取り戻したようやった

 

ごめんな、士希…

 

 

 

 

 

 

士希「いやね、俺、君らのそういう、何事にも全力でやるところは結構好きだよ?

でもね、これはやり過ぎだと思うんだ。なにこれ?核爆発でもあったの?

こんなバカデカいクレーター、俺見たことないよ?」

 

しばらくして士希が目を覚ますと、私らは皆して、士希に正座させられていた

 

はやて「い、いやぁ士希!ホンマ無事でよかったわぁ!」

 

フェイト「そうそう!流石士希だね!シグナムが言ってた通り、余裕で生還だね!」

 

シグナム「チッ、生きていたか」

 

なのは「もうちょっと収束してもよかったかな」

 

士希「これが無事に見えるか!?そしてシグナムとなのは!お前らはもう少し自重しろ!」

 

士希はかなりボロボロに傷付いていた。

いや、非殺傷設定にはしてあるけど、あれを人間が受けてよう原型留めとったよな

 

シャマル「きっとギャグ補正のおかげね」

 

ヴィータ「なのはとシグナム以外がやったら、即死だったろうな」

 

シグナムとなのはちゃんがネタキャラでホンマよかった…

 

士希「はぁ…もういい…とりあえず、出てこいレーゲン」

 

士希が言うと、ユニゾンが解除され、レーゲンが気まずそうに出てきた。

そしてガバッと頭を下げ…

 

レーゲン「皆さん!今回は僕のせいで迷惑かけて、本当にすみませんでした!」

 

まるで叫ぶように、レーゲンは謝った

 

はやて「ええよええよ。こうして戻ってきたんやで。な?みんな」

 

リイン「はい!おかえりです、レーゲン君!」

 

ヴィータ「おかえり。お前もお疲れさんだな」

 

シグナム「よく帰ってきたな、レーゲン」

 

シャマル「おかえりなさい。もう私もクタクタだから、早く一緒に帰ろ!」

 

ザフィーラ「やはり、士希の隣にはお前が居なければな」

 

フェイト「うん、士希とレーゲン、二人で一つだもんね」

 

なのは「やっぱり、二人は一緒にいないとね!」

 

皆がレーゲンを温かく迎える。レーゲンは皆の言葉を噛みしめるように聞き、涙を流していた

 

レーゲン「皆さん…本当に、本当にありがとうございます…」

 

レーゲンが泣き出すと、士希が頭を撫で始める。ホンマに、この二人はええ関係なんやな

 

はやて「お疲れ士希。結構苦戦したみたいやな」

 

士希「まぁな。おかげでお前の魔法食らうハメになっちまった。

ま、お前とフェイトは手を抜いてたんだろうけどな」

 

あ、気付いてたんや

 

はやて「あはは、まぁでも、これでようやく終わりやな」

 

これでようやく、日常に戻れるんや。なんやここまで長かったなぁ。明日から何し…

 

士希「……いや、まだ終わりじゃないんだ」

 

士希は顔を伏せ、ポツリと言った。その言葉に、私の心臓は早鐘を打った

 

士希「さて、そろそろ行くか。レーゲン、ユニゾンしろ」

 

レーゲン「!?はい…」

 

レーゲンは申し訳なさそうに、士希とユニゾンする。それと同時に、魔法陣が展開された

 

なのは「あれ?どこに行くの?」

 

フェイト「帰るんじゃないの?」

 

なのはちゃんとフェイトちゃんが聞く。すると士希は、弱々しく笑って見せた

 

士希「あぁ、ちょっと野暮用でな」

 

そういう士希やけど、私にはなんとなく、士希がまだ何かをしようとしとるってわかった

 

はやて「……帰りはいつ頃なん?」

 

士希「ちょっとわかんない。そんな遅くなるつもりはない」

 

はやて「それは、危険な事なん?」

 

士希「いや、そんな大した用事じゃねぇよ?」

 

士希は一瞬目を逸らして言った。その仕草の士希は、嘘をついてる時の士希やな

 

はやて「なら、私も行っていいよな?」

 

士希「ダメだ!」

 

士希はとても焦り、少し強い口調で怒鳴る。

その声に自分でもびっくりしたのか、士希はハッとなり、バツの悪そうな顔で私を見た

 

士希「悪い。だけど、これは俺がやらなきゃいけないことなんだ。

それにお前らを、はやてを巻き込めない」

 

やっぱりこいつは…

 

はやて「残りの神器を、回収するつもりなんやな?」

 

シャマル「あ、そっか。神器はまだ別の場所に…」

 

そう、レーゲンは最低限の神器を取り出してこの世界にやって来た。

なら、まだ残ってる神器があるってことや。

士希のことやで、それも全部回収したいんやろう

 

はやて「なぁ、士希。それって結局、レーゲンとおんなじ事してるってわかってる?

なにも、あんた一人で抱え込まんでもええやん。

それとも、士希には私らがそんなに頼りなく見える?」

 

士希「いや、むしろ怖いくらいだけど…」

 

あ、これトラウマ植え付けてしまったかも

 

はやて「あんた私に言ったよな?ひとりで抱え込むなって。それはこっちのセリフやで。

いい加減、人頼ること覚えようよ。あんたはもう、一人やないんやでさ」

 

私が言うと、私の後ろに居た皆も強く頷いてくれる。

士希はそれを見て、少し涙を溜め、ため息をはいた

 

士希「その、悪い。そうだよな。お前らが手伝ってくれた方が、早く終わるよな」

 

はやて「せやでー。見てみぃ、このメンツ。その気になれば星一つ潰せるんやで」

 

なのは「星かぁ。まだ潰したことはないなぁ」

 

フェイト「いや、普通は潰そうとは思わないよ。でも、はやての言う通りだよ。

私も士希にはお世話になったからさ、協力させてほしいな」

 

リイン「リインも頑張るですよ!」

 

ヴィータ「あたしもだ。お前の飯が食えなくなるのは嫌だしな」

 

ザフィーラ「無論、私も手伝うぞ、士希」

 

シャマル「私も。士希さんが居ないと、寂しくなりますからね」

 

シグナム「主の為であれば…」

 

レーゲン『はは、本当に、僕らは恵まれていますね』

 

士希「まったくだ。ホント、会えてよかったよ」

 

士希は諦めたように、手を上げる。士希の周りには、これだけ士希の味方になる人がおる。

せやから、いくら無数の神器が向かって来ようと、きっと私らなら…

 

「残念ですが、それは叶いません」

 

士希が私らに近づこうとした瞬間、私と士希の間に女性が割って入った

 

士希「ミネルバ?それはどういうことだ?」

 

士希が突然現れたミネルバに問いかける。

ミネルバは罪悪感に満ちた表情で私らに頭を下げた

 

ミネルバ「八神さん、本当にごめんなさい。

あなた達を、あの世界に連れていく事はできません」

 

はやて「それはどういう事や?」

 

ミネルバ「あの世界は本来、私達神器か、そのマスター以外入れないようになっているの。

あの世界の座標を設定したとしても、普通の転移では飛べない仕組みになっててね。

ゼウスや私たちがこの世界に留まっていたのもそれが原因ではあるのよ。

慎重に、然るべき手段で魔法を構築しないと、飛んだ瞬間に体がはじけ飛ぶ。

さらに言えば、この転移は一人用なの。

だから、ユニゾン状態の士希さん以外、飛ばすことができない」

 

うそやろ…士希以外に行けやんなんて…

 

フェイト「え?なら、スカリエッティはどうやって…」

 

ミネルバ「わからないわ。どういう訳か、あいつは転移の手段を知った。

そして私達を奪おうとした」

 

なのは「なら、方法さえわかれば、私達でも行けるんじゃ…」

 

ミネルバ「この魔法の構築には、八神さんやあなた達でも最短で5日はかかるわ。

でも、私達にはそれほどの時間も残されていない」

 

はやて「どういうことですか?」

 

ミネルバ「時間制限。あの結界の維持も、そろそろ限界なのよ。

私達が施した結界は、言わば応急処置のようなものなの。少ない魔力で固めたものだから。

だから、そろそろ効力を失ってもおかしくはない。そして結界が解除され、外に持ち出された神器が悪党の手に渡ることだけは阻止しないといけない」

 

そう、そういうことかいな。あの時先生は時間が限られてるって言ってた。

それはきっと、この事を指してたんやな

 

はやて「それじゃあまさか、ホンマに士希一人しか…」

 

先生が言ってた、私達ではなく、士希を利用するって意味もこれが最初から…

 

ミネルバ「本当にごめんなさい、八神さん。

私たちの勝手で、士希さんをもう少しだけ厄介ごとに巻き込むわ」

 

先生は深々と頭を下げた。それが、心の底から謝ってるのはわかる。

せやけど…

 

はやて「帰ってこれる保証はあるんですか?」

 

ミネルバ「絶対…はないわ」

 

そんな事を聞いてしまったら…

 

はやて「士希…ッ!?」

 

私は士希を引き留めようと声を掛けるが、その時の士希の顔を見て、口にしようとした言葉が出てこなくなった。士希の目は罪悪感と懺悔の念と、覚悟で満ちていた

 

士希「悪い…」

 

士希は謝る。瞳には少し、涙を浮かべて

 

はやて「あほ…謝んなや…もう決めたことなんやろ…?」

 

私は士希の胸に頭を押し付け、肩を弱弱しく殴る

 

士希「あぁ。はやてには、悪いと思ってる」

 

はやて「そやったら、さっさと行って、早く帰ってこい。あんま遅いと、浮気すんぞ…」

 

私がそういうと、士希は困ったように苦笑いする

 

士希「それは…困るな。浮気されたくないし、なるべく早く帰ってくるよ。

それまで、少し我慢できるか?」

 

士希は頭を撫でて言った。私はそれに頷き、泣くのを堪えて顔をあげる

 

はやて「うん…でも、ホンマに早く帰って来てよ…

私、あんたのおらん生活なんて、無理やでな」

 

士希「俺もだ。必ず帰ってくる。それまで、待っててくれ」

 

私と士希はお互いの顔を近づけ、唇を重ねる。とても悲しくて、優しい味のするキス。

私はこのキスに自分の想いを全て乗せた…

 

士希「じゃあ、そろそろ行くよ、はやて」

 

私と士希はお互いに顔を離し、少し距離を取る。

そして小さな魔法陣が士希の足元に現れた

 

はやて「うん、いってらっしゃい、士希。頑張ってな」

 

士希「あぁ、いってきます、はやて」

 

魔法陣は光だし、士希が微笑むと、転移が実行され、士希は行ってしまった

 

はやて「………」

 

士希を見送った私は、体を抱え、うずくまってしまった

 

なのは「はやてちゃん…」

 

フェイト「大丈夫はやて?」

 

なのはちゃんとフェイトちゃんが声をかけてくれる。

気付けば、シグナムもシャマルもヴィータもザフィーラもリインも…

みんな私を心配してくれとるようやった

 

はやて「うん…大丈夫…大丈夫やから…士希は…絶対に帰ってくるから」

 

私は士希から貰った指輪を触り、まだ少し降る雨を見つめ、彼を想った…

 

 

 

 

 

 

士希視点

 

 

 

転移が実行されると、眼前には何もない、砂漠のような景色が広がっていた

 

レーゲン『本当によかったのですか?』

 

しばらく歩くと、目の前に小さな扉のある洞窟にやってくる。

すると、ユニゾン状態のレーゲンが問いかけきた

 

士希「おいおい、ここまで来て何言ってんだよ。もう、引き返せねぇよ」

 

俺は扉に手を当てる。すると扉はガチャリと音をたてた。どうやら開いたらしい

 

レーゲン「本当に、最後までご迷惑をかけます…」

 

士希「いいんだよ。夏に言ったろ?何があっても、俺はお前の味方だって。

それに、ちゃっちゃと片づければいいだけじゃねぇか」

 

今の俺には、早く帰らなきゃいけない理由もある。

俺は、はやてに泣いてほしくない。だからこそ、さっさと終わらせて帰らないと…

 

咲希『あ、士希か?お前、ちょっと帰ってこいよ。デケェ祭りがあるぜ!』

 

突然、姉から念話が届く。あいつ、この世界にいても特定できたのか

 

士希「なんだ藪から棒に。てか、祭りってなんだよ」

 

咲希『化け物退治だ。お前の力が必要だ。だから帰ってこい』

 

化け物退治だと?こいつが俺の力を必要なんて言うのも珍しいな

 

士希「悪いな。俺も今からちょっと、神様退治するところなんだ」

 

咲希『はぁ?なんかよくわかんねぇが、それ終わったらすぐに来い。じゃなきゃ殺す』

 

そう一方的に言うと、咲希は念話を切りやがった

 

士希「まったく…あいつはいつもいつも…どうやら、すぐには帰れないみたいだな」

 

俺が扉を開けると、その中には無数の武器や怪物の姿があった

 

レーゲン『士希さん、来ます!』

 

レーゲンが叫び、戦闘態勢に入る。さて、はやての為にも、本気出すか

 

士希「あぁ、行こうぜ相棒!俺の邪魔する奴は、神様だって潰してみせる!」

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

 

こんにちは、桐生キラです!

 

 

 

士希が不幸な目にあったラスボス戦。実はこれ、自分の中でパターンが二つありました。

 

士希がレーゲンの異変に気づいていれば、ラスボスがミネルバになっていました。

そのルートでは士希はレーゲンの説得に成功し、ミネルバ戦をレーゲンとはやてと戦う事になっていました。

 

ただ、気づかないルートを書いたので、士希さんにはペナルティを受けてもらいました。

気づきました?このラスボス戦での士希のダメージはほぼ全て味方の攻撃によるものなんですよ。気づいていれば、トリプルブレイカーなんて受けずに済んだのに(笑)

 

ちなみに、どっちのルートを辿っても、結末は変わりません。

士希さんはどのみち、一人でレーゲンの封印世界に行くことになります

 

ラストの展開が少し駆け足気味なのが悔いですね。

もう少ししっかり書けるように、今後も頑張っていかないといけないなと反省しました。

 

 

 

さて、士希は無事に帰ってくることができるのでしょうか?

 

次回、リリカルHSエピローグ

 

こんなB級、C級展開にお付き合いくださり、ありがとうございます!

 

それでは、また次回!

 

 

 


 
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