No.716945

義輝記 星霜の章 その十八

いたさん

義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい!

2014-09-13 14:19:05 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:758   閲覧ユーザー数:705

【 于吉 動く…… の件 】

 

〖 徐州 下邳 曹操軍陣営内 にて 〗

 

于吉「フッ! まぁ……いいです。 『縛』!」

 

斗詩「!!!!」

 

于吉「『操』!!」

 

斗詩「………………」ガクッ

 

于吉「成功のようですね。 おやっ? 誰か来ましたか……」スッ─

 

ーーー

 

ダダダダダダッ!

 

曹兵「将軍! 如何されましたか!?」

 

斗詩「何でも……ありませ……ん」

 

曹兵「……? よ、様子が変ですが?」

 

斗詩「大丈夫……です! 下がって……いなさい!」

 

曹兵「はっ……はいっ! 失礼しました!」 ダッ!

 

ーーー

 

曹兵が立ち去った後、于吉が虚空より姿を現し、憮然とした態度で言い放つ。

 

于吉「危ない、危ない。 あの北郷のせいで……左慈一筋の貞淑な私が、淫乱変態紳士のように振る舞われる事、断じて許される事ではありません! だいたいなんですか!? この扱い……むっ!! こ、これは─────!!」

 

一刀より連絡を受けた華琳達は、一刀や将兵の貞操を守るため、『于吉の似顔絵』を張り出して注意勧告を出している。

 

于吉は、これを指差して非難しようとしたが───その動きが止まり、掲示されている『 絵 』を凝視する!!

 

于吉「………美しい! 左慈に見せたら、さぞや喜んでくれるでしょう!!」

 

竹簡に描かれている『少女漫画の主人公のような于吉』と『劇画のような逞しい于吉』が二つ掲示されている。 

 

于吉は、両方を見比べて……嘆息した。

 

于吉「ハァ~! 甲乙付けがたいですね……。 皆違って……素晴らしい!」

 

誰が書いたかは言わずも分かる……稀代の八○一画伯『臥龍鳳雛』である。

 

于吉は、丁寧に二つ外すと……懐に入れて持って行く。

 

于吉「ふふっ! 左慈に良き土産が出来ました!」

 

嬉しそうな于吉だが……それって泥ボ……!

 

于吉「人聞きの悪い……! 私の許可無しに、似顔絵を掲示しているのですよ? ですから……著作権の代金の代わりに……徴収するのです!!」

 

そんな独り言を呟き、辺りを見渡すが……居るのは于吉に操られる斗詩だけ。

 

于吉「……おかしいですね? 今、誰かと話をしていた筈ですが……。 まぁいいでしょう。 さて……本来であれば……北郷を連れて行くのが、私の役目。 しかし……丁度いい『人形』も手に入りましたし……ね?」

 

于吉が、右手を肩ぐらいにまで上げて、手を一回転すると………鋭利な短剣が出現し、斗詩の手に握らす。

 

于吉「命令です! この握っている短剣で、北郷一刀を一刺しになさい!!」

 

斗詩「うぅ……はぁ……ぃ」

 

斗詩は、ゆっくりと一刀の天幕に向かう。 

 

于吉「ふふっ! 北郷一刀……私を恥曝しにした罪は重いですよ? 愛される者の手に掛かり……死になさい!!!」

 

于吉は、斗詩の後ろ姿を見て……うっすらと笑みを浮かべた。

 

 

◆◇◆

 

 

【 立花勢の陣立て内容 の件 】

 

〖 徐州 下邳城内 にて 〗 

 

《 回想 》

 

始めに………道雪は『立花勢』を四つに分けた。 

 

楯を装備して防波堤のような役目を果たす『防楯隊』、剣を装備して近距離戦闘を得意とする『剣闘隊』、槍を装備し攻守の要になる『突槍隊』、弓を装備して遠距離攻撃を担う『弓箭隊』!

 

しかも『防楯隊』『剣闘隊』『突槍隊』を一人ずつ合わして三人一組を作り上げ、役割を持たせて、三人で助け合いながら動く事を厳命!!

 

その中には必ず……幾多の戦場に馳せ参じた古参兵を配置している。

 

『弓箭隊』は一部隊と纏まっている状態。 

 

それでも……約二十人一組と分けてある中に、古参兵一人が入り指揮を執るように命じていた。

 

★☆☆

 

古参兵達の多くは……身体を欠損している者が多い。 

 

……初めて戦場に立つ時は……少しの物音にも気が張り、敵が来襲すれば闇雲に戦う。 ふと、気が付けば……自分は生き残っている……。 そんな夢遊病みたいな戦いを繰り返した。

 

少し慣れれば、警戒しつつも余裕が現れ……敵が現れれば『やれ何隊だ、あっちの方向から来た!』など、反応が素早く出来るようになる。 

 

だが……熟練者と成ると『驕り』や『油断』を生じてしまう! 数々の経験が……正常な判断を狂わせ鈍らせてしまうのだろうか? 

 

楽勝な相手に己の首を奪われる等、枚挙に遑が(いとまが)無いのも事実!!

 

己の過信や慢心が───敵の刃を引き寄せてしまうのだろうか!?

 

運良く生き残っても……後に満足で働ける者は───少なかった。

 

戦場経験豊富の熟練者達なのだが……彼らは腕等を無くしているため、普通の兵達と同じ動きさえ出来ない。 そのため、集団戦では足手まといとされ、戦闘に参加する事を拒否されるか、後身の指導をするよう命令される。 

 

それでも、我が身を国の礎にと懇願までし命を懸ける者達がいるのも事実。 

 

仕方無しに新人達の末席に……腰を降ろす事になる。

 

★★☆

 

立花道雪の檄により、集まりし古参兵達だが……本当に戦に参加できるか不安に感じていた。 下手をすれば、捨て石にされる事も覚悟する!

 

道雪「よくぞ、来て頂きました! 貴方達、古参兵こそ……この軍の要であり原動力になります! どうか、私に………力を貸して下さい!」

 

深々と道雪が頭を下げられた時、皆が皆──驚き、自分達の役割を聞いて、更なる奮起を誓いあった!

 

★★★

 

腕等を欠損して戦えない古参兵に、やる気があるが……経験不足で空回りしている者を組ませ戦わせる! 経験豊富な者が手を貸せば、必ず良き働きをしてくれる! 

 

片腕だけの者でも、楯を持て攻撃を防げ、剣を使えば斬る事も出来る。 後の事は他の者が補ってくれる! 攻撃が欲しければ声を掛け合う! 仲間が危なくなれば、楯が防御し、剣が攻撃し、槍が突き出してくる!

 

逆に古参兵も忘れていた物を思い出すかもしれない。

 

三人三様違うからこそ、それぞれが補い助けて行動を起こす! さすれば、即戦力として戦いながら、被害を減らし更なる成長へと導く……立花道雪の人身掌握術である!!

 

★☆★

 

 

〖 徐州 下邳 晋軍陣営付近 にて 〗

 

道雪「敵が来ました! 防楯隊! 攻撃を防ぎなさい!!」

 

防楯隊「はっ!」

 

ーーー 

 

晋兵「ドオリャアアァァ!」

 

晋兵が剣を振り上げ攻めて来た! 防楯隊が古参兵、しかも片腕だが攻撃を遮る為に前へ進む!

 

防楯隊「とおっ!!」ガキィン

 

自分の攻撃を片腕の男に防がれた晋兵は、顔を真っ赤にさせ、両手持ちで襲いかかる! 両手と片腕……物理的法則では、どちらが有利か分かるだろう。

 

たが……この場所は戦場! 学校の教室では────断じて無い!

 

突槍隊「す、隙ありぃぃ!」シュッ─! グサッ!

 

晋兵「ゲフッ!」グラッ………バタリ

 

防楯隊「ハァッ! ハァッ! ハァッ!」……ビシッ!

 

死角から槍が飛び出し、晋兵の脇を貫く!! 血を吐きながら驚愕の顔で倒れる晋兵! 肩で息を吸いつつ、突槍隊の新人に親指を立てる古参兵!!

 

ーーーーー

 

道雪「各々が、自分達の仲間を守るように動くのです! あくまで私達だけで敵を撃破するような考えを持たないように!」

 

曹兵『はっ!』

 

道雪「決して前に出過ぎてなりません! もし、出過ぎて敵兵に紛れ込んでしまっても、弓箭隊の矢は避けて通ってはくれません! もし、紛れ込んでも私は容赦なく射よ!と命じます!! 合図を聞き逃さないように!!!」

 

曹兵『はっ……はいっ!!!!』

 

 

◆◇◆

 

【 一刀……攫われる! の件 】

 

〖 曹操軍陣営 一刀専用天幕内 にて 〗

 

バサッ!

 

斗詩「……………………」

 

寝台の上で北郷一刀が眠っていた。 筒井順慶の攻撃を受けて倒れたのだが、外傷は何も無く、医者の見立てでも不明。 未だに眠り続けている状態だ。

 

斗詩「…………………」───スッ! 

 

無表情の顔で、于吉が渡した短剣を両手で握りしめ、刃先を一刀の胸……心臓の部分に狙いを定めた。 そして、両手を頭上より上に動かし……勢いよく下に降ろし──────『キィィィーン!!』

 

 

『……やれやれ。 先程の熱烈な接吻と違い………早くも痴情の縺れで、殺されそうになるとは……流石、我が主と言うべきか………』

 

『北郷様! 申し訳ありません!! 御身を心配して張り込んでいたのですが………ま、まさか/////////』

 

『紫が……儁乂様にする………チュ~』

 

『ばっ!? そ、それどころじゃない!!』

 

 

 

斗詩が一刀の胸を刺す直前に一筋の光が乱舞し、持っていた短剣を弾き飛ばしす!! 短剣は天幕の壁に当たり、冷たい金属音を発しながら地に落ちた。

 

一刀の寝台の傍には、星、張儁乂、紫が佇んでいる。

 

星「斗詩の次の行動が、楽しみで覗きをしていたら……何とやらだ!」

 

儁乂「私が北郷様を御守りします! 二人で捕まえて………」

 

星「斗詩の怪力は、季衣や流琉並みの強さだ! お主の活躍も必要だ!」

 

紫「天幕内で………捕まえる!」

 

儁乂「分かりました! それでは御助力致します!」

 

短剣を飛ばされた後、そのまま動かない斗詩に、三人が一斉に飛びかかる! 

 

 

 

斗詩「………」ガク───ン!

 

『────!?』

 

散々な抵抗をされると思いきや、三人が身体を触ると、急に力を抜き倒れそうになる。 星が慌てて抱きしめた直後、一刀の寝台付近より声が聞こえた!!

 

『───やはり、私の術では通じませんでしたか。 ですが、仲間思い大いに結構! お陰様で………北郷一刀に近付く隙が出来ましたよ!!』

 

そこには……空中へ……寝台に寝たままの一刀の身体を浮かばせる……于吉の姿。 そして、星達を前に……右手を心臓の部分に当て、恭しく頭を下げて一礼を行う。 『では……御機嫌よう! またの機会に!』と言い添えて。

 

 

ーーーーーー

 

 

この後、相手の罵声や叫びを聞きながら、スッと姿を消えてやる!

 

拠点に戻った後に獲物を処分してから、椅子に腰掛け……相手からの呪詛の言葉を反芻する。 于吉の最大の楽しみ『鑑賞』を行うのだ!! 

 

椅子に座り、ゆったりとしてから指を組み、目を閉じながら……于吉の耳に届いた言葉をじっくり味わいながら、思い浮かべる!!

 

 

『返せえぇぇ!』 

 

『卑怯者ぉぉ!』 

 

『私を代わりにぃぃ───!』 

 

 

────正常な人物なら不快感を示すが、于吉にとっては素晴らしいメロディーに聞こえ、気分が………とても高揚するのだ! 

 

そう、正に『最高ぅにぃぃ『ハァイッ!』てやつだぁぁぁ!!』と言う状態。 

 

ーーーーーー

 

今回は、少し違った。 

 

何故か───自分の名前を言わないばかりか──変な渾名で呼んでくる!? 

 

それに────!?

 

ーーー

 

星「待てぇ!!……変態鬼畜メガネ!! 即刻、主を解放せよぉぉぉ────!!!」

 

儁乂「北郷様に手を出すなぁ!! え………とぉ……眼鏡!!」

 

紫「儁乂様は………紫が守る!」

 

于吉「ちょっと──お待ちなさい!! 私は于吉! この世界を管理する、神の如き存在です! それを何ですか! 眼鏡が主人公格で、中身の私は付録のような扱いは!? それに、私は誰彼構わず襲うような者ではありません!」

 

『……………………』

 

三人共に………疑いの眼差しで見る。 何を今更……っというような。

 

于吉「は……はっ! あっはははは!! 気が変わりましたよ! 北郷一刀!! 貴方は……この外史に来ても私をコケにしてくれるようですね!?  この品行方正な私が……変態紳士並みの扱いをされるなんてぇ───!!」

 

于吉が指を鳴らすと、于吉自身と一刀が消えて行く!

 

ただ、于吉達の姿が消えても──声だけが天幕に響き渡る!!

 

『貴女達は私を怒らせました! この私を……世界を管理する者の一人を変質者扱いした事! 人格不定! 漢女扱い! そして、我が計略の数々を邪魔した事!! 許せません!!! 許せません!!!! 許せる訳がありません!!!』

 

星「あ、主ぃ!!!」

 

儁乂「北郷様!!」

 

紫「…………お兄ちゃん!」

 

『外史の管理者の一人、この于吉が、天城颯馬との決戦に貴女達を招待しましょう! 勿論、観客は多いに越した事がない! 曹操軍と他の軍勢と一緒に来てくれれば、北郷一刀をお返ししますよ! 無論……無傷でね………!!』

 

最後にそう言い残すと……声は完全に途絶えた。

 

星「くっ! 不覚!! 私と……した事があぁぁぁぁ────!!」ドン!

 

紫「────!!!」

 

星の悲しき叫び、紫の悔しい顔が浮かぶ! ただ、儁乂だけは……悲しみや悔しさを見せず……思案中だった。 

 

『無傷で返す』?………あれほど恨む者が…………と。

 

 

◆◇◆

 

 

【 逆包囲網 の件 】

 

〖 徐州 下邳 晋軍陣営付近 にて 〗

 

道雪「敵が囲んできましたので離脱をします! 右側に一里(約420㍍)程移動! 弓箭隊は前方に斉射三連!! 合図を鳴らせ!!!」

 

バァーン! バァーン!

 

弓箭兵1「はっ! まずは最遠! 射てぇ!!」

 

弓箭隊2「次は中央! よぉく狙えよ! 放てぇ!」

 

弓箭隊3「最前線! 放った後、移動! 射てぇ!」

 

弓箭隊の援護により、立花勢が敵より離脱! 右側に移動し陣を編成し直す!

 

ーーー

 

〖 晋軍陣営内 〗

 

韓馥「何をしておるぅ! 我が軍が数で勝っておるのだ!! 早く潰せ!」

 

晋兵「懸命に戦っているのですが……何分と敵勢の士気高く………!」

 

韓馥「ならば、包囲網を敷け!! 軍を数千規模の小隊に分け、食らいつかせろ!! 相手の動きを止める事など出来ぬ弱兵なら……我が軍に要らぬと伝えよ!!! この意味分からねば………明日の命など無いと知れ!!」

 

晋兵「わ、分かりましたぁ!!!」

 

ーーー

 

〖 曹操軍 立花勢 〗

 

曹兵長「た、立花様! 大変です!! 敵が小隊に分けて散り、我等の動きを封じる模様です! このままでは……我等全員討ち死に……!!」

 

道雪「───分かりました! ならば、この立花道雪を敵勢の真ん中にまで置き去りにしてから退却なさい!! 一度、君命により弓矢の指揮を預かったのなら、死ぬか勝ってお返しするかが武士(もののふ)の道!!!」

 

曹兵長「いけません! どうか立花様だけでも離脱を!!」

 

道雪「これは天の国での私の生き様! 決死隊を募り、その者達と突撃しましょう! ぐずぐずしていたら逃げる機会を失います!! 急ぎなさい!!」

 

その決意を聞き、諫言をしていた曹兵長が逆に懇願する!

 

曹兵長「………立花様! 何卒、お供をさせて下さい!! 他の皆が反対しましたら、私が直接……立花様を背負い突入してみせます!!」

 

そして……その様子を聞いていた隊の主な者達も、口々に叫ぶ!!!

 

防楯隊「我等を……そのような腰抜けと思われるとは……誠に心外!!」

 

剣闘隊「勝ちましょう! 勝って立花様の勇名を更に広げましょう!!」

 

突槍隊「立花勢の強さ!! 団結力!! 恐ろしさ!! 敵味方に思い知らせて、あの世での自慢話に聞かせてやりますわい!!」

 

道雪は、目を閉じて何か考えていた後、反撃の檄を言い放つ!!!

 

道雪「皆……礼を言います! ありがとう!! しかし、援軍は必ず来ます!! だから無駄死には許しません!! 死する時は共にですよ!!」

 

『はい━━━━━━━っ!!!』

 

★☆☆

 

後に───晋兵の生き残りが語る。

 

『輿に乗じる将、采配鋭く振るえば、御味方の備え面白く崩れて散り行く也。 

 

幾度も劣勢に追い込めば、敵将曰わく『我、敵中へ放置せよ!!』と大音声で命を下す! 

 

その度に士気盛り返し、ついには我々を撃破に至る! 

 

嗚呼! 正に現身の闘神を……此の地で対戦する事になろうとは!! 生ある事……奇跡に近し僥倖也!!』

 

 

包囲網に掛かり、今までに無い執拗な攻撃を受けても……隊は乱れず良く働き、崩れそうになると決まって怒声が響く!

 

道雪「逃走しようとするのなら、私を敵中に乗り入れ置いて行きなさい!」

 

その言葉を聞く度───『信頼する将に……斯様な情けない振る舞いなど……見せれるものかぁぁぁ!!』と奮戦して持ち直す立花勢!

 

ーーーーー

 

〖 晋軍陣営内 〗

 

韓馥「何をしておる!? まだ倒せんのかぁ!!! この腰抜け共め!!!」

 

韓馥が苛立ち紛れに、傍にいる念者衆の一人を殴りつける!

 

念者衆「───うぐっ!!」

 

若衆「姉さん!!」

 

心配して───駆け寄る若衆達!

 

その様子を更に不快に感じ……纏めて蹴り飛ばそうと足を上げた……その時!

 

ダダダダダダダダ─────ッ!!

 

晋兵「で、伝令!!! 後方より敵勢『袁』の牙門旗を掲げ突撃を!!」

 

晋兵「対岸より曹操陣営が大挙して進軍!! そ、その十数万以上!!」

 

韓馥「な………何だとおぉぉぉ!?!?」

 

★★☆

 

〖 袁本初 別働隊 〗

 

麗羽「全軍急ぎなさい!! 立花様に助勢を請いながら……船の確保が予想外に遅れてしまいましたわ! どうか──御無事でぇ!!」

 

秋蘭「………私達に先に言って貰えば、もう少し早く出来たものを! 勇み足過ぎるぞ!? 麗羽!」

 

麗羽「重々承知してましたが……対岸は晋軍が駐屯地! 此方の行動が丸分かりでしたからね! なるべく隠密に事を運ばないと、迎撃される恐れがあったので華琳さんの手助けも無く、行う必要だったのですわ!」

 

秋蘭「………成る程! ───むっ! まだ、戦塵が高く上がっている!! 道雪殿は戦っておられるぞ!! 急げぇ! 急げぇぇ!!」

 

ーーー

 

〖 曹操軍陣営 〗

 

宗茂「私達も行きましょう! 流石に義母上でも……そろそろ限界です!」

 

紹運「だが……客将である我等だけが動くのは不味いのだ! あくまで曹操軍勝利を喧伝して貰わねば意味がない!! 誰か我等を指揮してくれる者を!」

 

『私が行くから大丈夫よ!』

 

後ろから声が聞こえ、振り向けば憤怒の表情を浮かべる覇王『曹孟徳』!!

 

華琳「一刀が………敵に攫われたわ!」

 

『───────!』

 

宗茂と紹運は、驚愕の表情を見せる!!

 

華琳「………颯馬達との決戦に来るなら、一刀を無傷で返してくれるなんて、戯言を抜かしたそうよ。 斗詩を操り、一刀を殺そうとした人物の言葉じゃないわ……腹立たしい!!」

 

歳久「………私も、あの道士についての考えが分かりません! ですから、敵大将を捕らえ、道士について白状させようと思いまして………」

 

家久「ここは、大体片付いたから……あたし達も協力するんだよ!!」

 

義弘「世界は違うと言っても……北郷家だから身内も同然! 助けてあげなきゃ! それに、久秀も順慶も知り合いだからね………」

 

義久「颯馬君や家族の次に大事な一刀君の為だもん~!! お姉ちゃん! 頑張るからね~!!」

 

歳久「…………ここに残して、料理でもされれば……曹操軍は壊滅の憂き目に合いますから。 そのような愚策など敬遠したいのです」

 

義久「えぇ────!!」

 

華琳「姉妹喧嘩は止めなさい! 後、松永の姿が見えないけど、多分ここには居ないわ! 晋軍を軽く撃破してしまいましょう!」

 

桂花「華琳様! そのような安易な予測では───!」

 

春蘭「いや! 私も大丈夫だと思う!!」

 

桂花「えぇぇ!? 春蘭に分かって、私が分からない!?」

 

星「簡単な話だ! あの道士『眼鏡』と言ったか? アイツが黒幕の一人だろう。 あんな大物が招待するのだ! 松永がここに居るより、颯馬殿との対決に向け策を練ると思うがな!?」

 

紫「『眼鏡』違う……『于吉』……だから『ウッキィ!』」

 

儁乂「その渾名はなんですか! 北郷様の身も心配ですが……紫の将来も心配です………」ハァ~!

 

桂花「ああぁぁぁ────! 春蘭にさえ分かった事が……私には判断が出来なかったなんてぇ!! 華琳様ぁぁ!! この愚かな桂花をお許し下さい!」

 

華琳「更に精進する事ね、桂花! でも、春蘭は……よく分かったわね!?」

 

春蘭「いえ、内容は全然分かりません! ですが、華琳様が大丈夫なら、絶対大丈夫だと信じていますから!!」

 

『……………………………………』

 

桂花「────わ、私より賢いと思った……少し前の私を……思いっきりぶん殴ってあげたいわぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

ーーーーーーーーーー

 

こうして、曹操軍による逆包囲網が完成する。

 

しかし、韓馥の手元には、春蘭に異常な力を引き出した『おにぎり』が残る!

 

兵数は───晋軍は十万を切った状態。 立花勢が約二万! 麗羽の手勢が三万! 華琳本隊が二十万!

 

果たして………如何なる話になるかは、次回にて。

 

ーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

前作では、投稿百話目達成と言う事で、お祝いのコメントありがとうございます! ただ、単に長い話だと言われでば………それだけなんですけどね。

 

それと、小説を書いて偶に困るネタも、コメント欄を読んでいると閃く事が多いんです。 例えば、反董卓連合の盟主が一刀になったのとか、風をコメント欄掲載文章で弄るとか。 作者の思惑を超えた物が出てくるのですから。

 

多分、他の作者様もそうだと……思いますので、コメント欄にも是非入れてみて下さい。 

 

于吉が遂に動きだしました。 次回かその次に、天城颯馬と松永久秀の最終戦になると思います。 双方の切り札は、これで一応揃いましたが……どうなることやら。

 

次回もよろしければ、読んで下さい!

 


 
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