No.703181

真・恋姫†無双 異伝「空と命と夢の狭間に」第四十七話


 お待たせしました!

 それでは前回の続きから…一刀の寝所に

続きを表示

2014-07-23 20:29:29 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:6667   閲覧ユーザー数:4738

 

「一刀殿…やはり寝ておられますよね?」

 

 部屋に入ってきた鈴音は恐る恐るといった感じで俺に近付いてきて、そっと俺の

 

 顔を窺うように見る。

 

 此処は『実は起きてますけど何か?』と言うべきか?それともこのまま寝たふり

 

 をしている方が良いのだろうか?などと考えている間にも鈴音の顔はドンドン俺

 

 に近付いてくる。

 

 こうして間近で見るのは久々だが、やはり彼女は可愛い顔立ちをしているなぁ…

 

 とか思ってる場合じゃない。さてこれからどうするべきか…俺がそう思ったその

 

 時、鈴音の唇が俺の頬に当たる…ってキスですか、これ!?

 

 俺の頭が混乱してきているのを知るはずもない鈴音は自分のした事に戸惑いを感

 

 じているのか、顔を赤くしたまま自分の唇に手を当てたまましばらく呆然として

 

 いたが、何やら意を決した顔をすると突然服を脱ぎ始める。一体何を…俺は間近

 

 に聞こえる衣擦れの音に何処か興奮を覚えながらもいきなりの展開にどう対応し

 

 たら良いのか分からず、ただ身を固くして寝たふりを続けるだけであった。

 

 そして何だか布団がめくれたと思ったと同時に俺の背中に温かくて柔らかい物が

 

 くっついてくる…まさか。

 

 それは確かめるまでもなく全裸の鈴音の温もりであった。何故このような展開に

 

 なっているのだろう?俺の頭の中は答えを見つけ出せないままただ混乱と興奮に

 

 包まれていた。

 

 

 

「一刀殿…はしたない女と思わないでください。だって、今日を逃がしたらもう…

 

 私は益州の州牧、そうそうお会い出来る立場では無いのですから」

 

 鈴音はまるで自分にそう言い聞かせるようにそう呟くとますます身体を密着させ

 

 てくる。

 

 やばい…これはやばい。何がやばいって、今回の遠征に出てから早や幾日、その

 

 間まったくそういう事をしていない(さすがの空様も軍事行動中に求めてくる事

 

 は無かったからだ)。なので現状かなりたまっているわけで…そしてこんなに柔

 

 らかいものが密着してきて俺の身体が反応しないわけはなく、俺の意志とは別物

 

 のようにいきりたってきていたりする。

 

 そして遂に鈴音の手が俺のそれに伸びてきて反応に気付いた瞬間、俺の身体を仰

 

 向けにする(一応ずっと俺は鈴音と逆の壁向きに身体を向けていた)。

 

 その状況でさすがに寝たままは無理があるだろうと思い眼を開けると…眼の前に

 

 は全裸で俺に覆いかぶさろうとする鈴音の姿があった。

 

「一刀殿、おはようございます」

 

 鈴音は一応そう挨拶はしてくるがその眼は『とっくに起きてましたよね?』と語

 

 っているように見えた。

 

「鈴音…一応聞くけど何故こんな…むぐっ」

 

 俺は一応質問しようとしたのだが、それを留めるかのように鈴音の唇で塞がれて

 

 しまう。

 

 

 

 そのまましばらくキスを続けていた後、鈴音は唇を離すと、

 

「此処まで来てそんな質問は無しですよ」

 

 そう笑顔で答えてくる。確かに此処まで来た以上、もはや考えるのは無しか…俺

 

 は肚を決め、鈴音の身体に手を伸ばそうとしたその時。

 

「一刀、いるか~」

 

 扉をドンドンと叩きながらそう俺を呼ぶ声が…この声は空様だ。やばい、この状

 

 況を見られたら…。

 

「何だ、扉は開いてるのか。入るぞ……………えっ?」

 

 止める間も無く扉を開けて入って来た空様の眼に映っていたのは全裸の鈴音が俺

 

 の上に覆いかぶさっている状況であった。

 

「ほほぅ…何時の間にか鈴音ともそういう関係にとはな。さすがは一刀か」

 

「!?…確か、李通殿と仰られましたね?許しも無く私の真名を呼ぶとは無礼であ

 

 ましょう!」

 

 鈴音はそう言って眦をあげて怒っていたが…あれ?確か鈴音の母親と空様は従姉

 

 妹同士じゃなかったけ?なら別に真名だってとっくに…あっ、そうか。そういえ

 

 ば鈴音は眼の前にいる『李通』が空様だって知らないんだった…そもそも『劉宏』

 

 は既に死んだ人間っていうのが基本認識だったな。

 

(ちなみに空は基本的に外では目深に兜を被った状態で過ごしており、今もその状

 

 態のままである)

 

 

 

「落ち着け、鈴音。この人は…『一刀殿は黙っててください!』…いや、でも」

 

「一刀、良い。確かにこのままじゃ私がただの無礼者だしな。鈴音、私だ。この顔

 

 を忘れたとは言わせぬぞ?」

 

 空様はそう言って兜を取って素顔を見せる。それを見た瞬間、鈴音の顔に困惑の

 

 色が浮かぶ。

 

「えっ…まさか、そんな?だって、空おば様は…」

 

「それについては説明がいるな」

 

 ・・・・・・・

 

「そうだったのですか…それでおば様は何時もそんな兜を」

 

 とりあえず全裸のままでは具合が悪いだろうと最低限の服を鈴音が身に着けた後、

 

 空様の事を説明すると、一応鈴音は納得してくれたようだ。

 

「それでおば様の事は皆知っているのですか?」

 

「いや、俺と命と夢の他は月と王允さんと馬騰さんと義真さんと樹季菜さんと瑠菜

 

 さんだけだよ…一応はね」

 

 ちなみに一応と言ったのは、輝里はおそらく知ってはいるが口に出さないだけな

 

 のと、燐里と風も見抜いていると見て間違いは無いだろうからだ。

 

「しかし何故そのような回りくどい事を?おば様の武勇を以てすれば大陸の混乱な

 

 どすぐにでも…」

 

「仮にそう出来たとしても一度『劉宏』に付いた悪名は消える事は無い。新しき国

 

 造りには新しき君主が必要だった、ただそれだけだ。実際に今や劉弁陛下の名は

 

 名君としてすっかり高まっているしな」

 

 

 

「そうですか…でもならば何故おば様は一刀殿と共に?」

 

「それは一刀が私を欲してくれているからだ」

 

 空様は鈴音の質問にそう答えるなり俺に身体を密着させてくる。しかもその手は

 

 いまだ興奮が治まりきらない俺のそれに伸びてくる。

 

「えっ、それじゃ一刀殿とおば様は…でも確か夢様は一刀殿のお子を身籠っていた

 

 はず…ええっ!?」

 

「鈴音、そのような細かい事は良いではないか。それよりお前もこっちに来い」

 

 空様はそう言いながら鈴音の身体を俺に密着させるように引き込む。

 

「えっ、一体何を…?」

 

「何をとはおかしいな事を。今しがたお前が一刀としようとした事を一緒にしよう

 

 と言っているだけだが?」

 

 空様はそう言うと同時に鈴音の服を脱がし、自分も服を脱ぎだす。

 

「えっ…でも、その…」

 

「そうか、鈴音は嫌なのか?なら私と一刀だけでスル事にしようか」

 

 そう言って空様は俺に覆いかぶさってくる…って、俺に選択肢は無しですか!?

 

「此処まで熱くなっておいて今更無しなんて一刀も治まらないだろう?まあ、任せ

 

 ておけ。お前の情熱は全て受け止めてやる故な」

 

 ううっ、このまま何も無しじゃつらいのは事実だけど…横で半ば呆然と見ている

 

 鈴音の事が…そう思ったその時。

 

 

 

「ううっ、やはりこのままなんて…一刀様、空おば様、私も!」

 

 鈴音はそう言って飛び込んでくる。

 

「そうか…だが鈴音は初めてだろう?あまり痛くないように手ほどきもしてやろう」

 

 空様がそう言うと鈴音も覚悟を決めたような顔で俺に覆いかぶさってくる…やっ

 

 ぱり俺には逃げ場無しですか!?ええいっ、此処まで来た以上は一人だろうが二

 

 人だろうが何処までもイってやろうじゃないか!

 

 ・・・・・・・

 

 そして次の日。

 

「一刀さんは?」

 

「うむ、どうやらまだ寝ておるようだな」

 

「無理もありません、交州からこっちずっと休み無しで指揮を執っておられたので

 

 すから。明日も朝一番に出発なのですから、今日位はゆっくり休んでもらいまし

 

 ょう。準備の方は私もお手伝いしますから」

 

 ちなみにそう言っている空と鈴音の肌が艶々としていたとしていたのは言うまで

 

 も無い。ちなみにその時一刀は…。

 

「あぁ…お日様が黄色い。空様はともかく、まさか鈴音まであんなに…今日が休息

 

 日で良かった…」

 

 そう呟いた後、昼近くまで爆睡していたのであった。

 

 

 

 そしてまた次の日。

 

「皆、揃ったな!それではこれより涼州に向かう!これまで以上に苦しい戦いにな

 

 るだろうが、気を引き締めて行くように!」

 

 俺達は桔梗さんと李厳さんを加えて涼州への援軍に向かう。そして出発する直前、

 

 見送りに来ていた鈴音が俺に近付いてくる。

 

「一刀殿…本当は私もあなたに付いていきたい。でも、私は州牧として益州の民を

 

 守る責務があります。だからせめてこれを…」

 

 そう言って鈴音が差し出してきたのは…。

 

「髪の毛?」

 

「はい、私の髪なんかじゃお守りにはならないとは思いますが…」

 

 髪の毛は女性にとって大事な物だというのにわざわざ俺なんかの為に…。

 

「そんな事は無いよ、ありがとう。大事にする」

 

「一刀殿…私は何時までもあなたを想っています」

 

「ありがとう、鈴音。それじゃ行ってくる」

 

「いってらっしゃいませ、一刀殿。ご武運を」

 

 鈴音はそのまま俺達が見えなくなるまで、ずっと城壁の上で見送っていたのであ

 

 った。

 

「むぅ、髪の毛なら私の方が長くて綺麗なのにな…鈴音め、うまい事やりおって」

 

 ちなみに空様がそう呟いていたのを俺が聞く事は無かったのであった。

 

 

 

「一刀殿、今回は儂も一緒だ。改めてよろしくお願いしますぞ」

 

 行軍を始めてしばらくした所で桔梗さんが挨拶をしてくる。

 

「こちらこそよろしくお願いします。ところで、魏延さんは今回は一緒じゃないの

 

 ですか?」

 

「ああ、あいつには先に涼州に向かってもらったんだ。馬騰殿宛の儂からの手紙も

 

 持たせたから大丈夫なはずじゃ」

 

 そうか、先に援軍に行ってくれているのなら馬騰さん達も心強いかな。

 

 この時の俺は涼州に着いた途端に大騒動が待っている事など思いもせずにそんな

 

 事を考えていたのであった。

 

 ・・・・・・・

 

 所は変わって洛陽にて。

 

「及川、良くやってくれたの。紫苑と稟もご苦労じゃった」

 

 孟達を連行してきた及川と賊の鎮圧から戻ってきた紫苑と稟に命がそう声をかけ

 

 ていた。

 

「ところで…及川、一刀の様子はどうじゃったかの?」

 

「どう…と言われてもワイも南陽で別れてからは分からないのですけど…特にそれ

 

 まではこれといって変わった風には見えへんかったです…が」

 

「そうか、ならば良いのじゃ…さすがの母様も戦場で押し倒すなどという事はしな

 

 かったようじゃな(ボソッ」

 

 まさか益州で空だけでなく鈴音にまで先を越されたなどと夢にも思っていない命

 

 はそう安堵の呟きをしていたのだったが…それを命が知るのはそう遠くない話で

 

 あり、大変な事が起きるのだが、それはまた後々の話である。

 

 

 

 成都を発って五日後、俺達は武威に着いていた。

 

「一刀さん、お久しぶりです。援軍、感謝します」

 

 そう言って出迎えてくれたのは雫であった。

 

「雫も元気そうで何より。蒲公英達はどうしてる?」

 

 俺がそう聞いた瞬間、雫の顔に何やら困った感じの雰囲気が走る。

 

「何かあったのか?」

 

「いえ、その…『何だと!もう一辺言ってみろ!!』『へぇ~んだ、何度も言わな

 

 きゃ分からないような脳筋無駄乳女に言う事なんかあるもんか、馬~鹿』………

 

 ええっと、その」

 

 困惑の色を深めている雫のはるか後方から何だか言い争うような声が…どうやら

 

 声からして蒲公英と魏延さんのようだが…一体何があったんだ?

 

「焔耶のアホが…一致団結して五胡に当たらなきゃならん時に何をやってるんだ?」

 

 桔梗さんがそう言って頭を抱えていたが…俺も同じ事を考えていた。はぁ、これ

 

 はまた大変そうだ。

 

 

                                   続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あとがき的なもの

 

 mokiti1976-2010です。

 

 とりあえず今回は…命より先に鈴音とヤッちゃった

 

 というお話でした。さあ、これがばれた時にどうな

 

 るのかがこれから楽しみでもあり恐ろしくもありと

 

 いう所です。

 

 そして戦いは涼州へと変わりますが…何だか剣呑な

 

 雰囲気になってます。これからどうなるのかはお楽

 

 しみという事で。

 

 とりあえず次回はこの続きから、蒲公英と焔耶の喧

 

 嘩からお送りします。

 

 

 それでは次回、第四十八話にてお会いいたしましょう。

 

 

 

 追伸 ちゃんと五胡とは戦うから安心してください。

 

 

 

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
40
1

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択