No.693458

義輝記 蒼穹の章 その十七

いたさん

義輝記の続編です。 よろしければ読んで下さい!

2014-06-12 21:46:08 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1190   閲覧ユーザー数:1066

【 二人の策謀 の件 】

 

〖 荊州 鳥林 本営 にて 〗

 

《 夕方近く (15時半頃) 》

 

袁兵「……荊州水軍が……壊滅いたしました!!!」

 

袁兵「『夏口』側! 四万の軍勢で対処しておりますが……隘路のため軍勢を展開する事が難しく、徐々に押されています! それに、長江より船団の援護あり、孫呉勢の勢い侮りがたく…………!!」

 

袁兵「報告! 鳥林峯の討伐隊四万……敗走!! 敵は……りょ、りょ、呂布でぇ───すぅ!! 他にも、反董卓連合で名を馳せた将が……縦横無尽に駆け回り、近くの軍勢を……恐怖に陥れています!!!」

 

袁兵「江陵側から董卓軍進撃!!! 巨大な槍を振り回し、突撃する将を阻む事が出来ず、我が軍全体が浮き足立っております!!!」

 

袁兵「ちょ、長江に『橋』が掛かり、対岸の敵軍勢が……攻めかかってきました!!! 敵軍勢………数万!!」

 

将2「何をしておる! 我々の軍勢が……遥かに多いのが分からないのか! 援軍を送れ!! 中央より援軍を送れぇ!!!」

 

袁兵「だ、駄目です!! 四方より責められ、動くのに制限が!!」

 

将2「な、なんだとぉ────!!」

 

☆☆★

 

久秀「荊州水軍は壊滅……実力なんて……噂程にもなかったようね……。 早々に袁術達と船を降りて、『鳥林』へ本営設置して正解よ。 ついでに……あの漢女達も……死んでくれればいいんだけど……」クスクス

 

順慶「違いますわ!! 颯馬様の神謀が……久秀の奸計を上回ったのですわよ!! さすがは私の颯馬様! そこに痺れる! 憧れるうぅぅぅ!!」

 

久秀「その言い方……無性に腹立たしいんだけど……? まぁ……確かに、この戦い。 かの『謀神』の戦い振りに、似ているわね?」

 

順慶「………毛利元就……ですか? まぁ……小早川より教えを受けていましぃ……当然ですわね。 あぁ~~! 颯馬様の凛々しい采配振り……この目で見たかったですわぁ~~!!」

 

久秀「……そう。 じゃあ……久秀は颯馬に負けちゃたし……この軍勢は……もう……お終いよね?」クスッ

 

順慶「フフフ………お終い? 

 

まさか……颯馬様を掌中に入れるまで、死ねませんわよ!! 

 

それに……貴女……まだ…何か考えているのでしょう? 悲壮感漂う……この軍勢の中で……その極上の『笑み』は……なんですの?」

 

久秀「そういう順慶も……あるのでしょう?」

 

順慶「ウフフフフフ───!!」

 

久秀「アッハハハハハ──!!」

 

☆★★

 

袁術軍の情勢は………劣勢に傾いていく。 

 

初めは…圧倒的な優位な誇った袁術軍に、数の劣る兵で戦わざる得なかった孫呉軍。 それが、ここまで逆転させるに至ったのは……天城颯馬による……劣勢を補うために起こした数々の策だった!

 

『弛弓の策』という迂回行動、後方を脅かす益州を内応と反乱で落とす謀略、船を焼き討ちにし、狭い場所に大軍を纏めさせた戦術! 

 

そして、完全包囲による殲滅!!

 

正に謀神『毛利元就』の戦術に酷似していた。

 

ーーーーー

 

久秀「……ここまでのようね! 

 

───伝令兵よ! 全軍に申し渡せ!!! 『司馬の策通りに』……総退却!! 『華容』に向けて……『作戦通り』総退却せよと!!!」

 

伝令兵「は、はぁ……『作戦通り』ですか?」

 

久秀「不思議なようね? 久秀の策……どんな策を指示されていたか分からないから……という理由からでしょう?」

 

伝令兵「はぁ……! 申し訳ありません! 私が指示を覚えていないばかりに……『いいのよ! 何も指示なんか……してないもの!』……はっ?」

 

久秀「そのまま……総退却の命令を出せば、味方の兵は大混乱! 孫呉に大打撃を与えられるわ! だから……『作戦通り』という言葉を付ければ、味方は我が策と信じ整然と退却し、敵は疑い進撃が遅くなる寸法よ!!」

 

伝令兵「───あっ!」

 

久秀「理解できたようね。 世に軍師を名乗る者は多いけど、真の軍師は策の仕込みが無くとも、言葉だけで発動させるものよ! 

 

………久秀の『反山吹の詭計』……速やかに実行なさい!」

 

伝令兵「はっ!」

 

▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲  ▲▽▼

 

 

《 反山吹の詭計 》

 

後拾遺和歌集の古歌『七重八重 花は咲けども ……』から名付けられた策。

 

『山吹には実が成らぬ』と言われていたのに掛けて、話術(花)で策が成功した(実が成った)と表している。

 

 

▼▽▲  ▲▽▼  ▼▽▲  ▲▽▼

 

★★★

 

〖 鳥林 本営 負傷者収容所 にて 〗

 

パン! パン!!

 

順慶「皆さん! 注目して下さい! 一度しか言いませんので、よく聞いて下さいまし! 聞かないと……命の保障は出来かねませんよ……?」

 

ここは……数刻前に夏口城を攻め……重軽傷を負った者達を収容した天幕。

 

火傷で呻く者、山芋を被り……全身赤くなり痒さと痛みに悶え苦しむ者、武器による負傷者等が………一斉に怯えた様子を見せて……順慶に注目した!!

 

順慶「………名誉の負傷を負った貴方達に……更なる名誉を与えて差し上げますわ!! 今すぐ、ここを引き上げて……私達に付いて来なさい!!」

 

順慶の突拍子もない命令など、何時もの事だが……今回は……無理!!

 

軽傷者なら、少し無理すれば大丈夫だが……問題は────重傷者!

 

順慶「担架を使用して連れて来るのは許可しますわ! 残るという者は……私が楽にしてあげますわよ!? ただ、強烈な痛みを味わいますが…」

 

この強烈な警告により、全負傷者は移動した。 

 

順慶の策に利用される事も知らずに……………。

 

★☆★

 

〖 鳥林 本営 天幕 にて 〗

 

薄暗い天幕の中、錆びた……鉄の檻が、中央に置いてあった。

 

付近には……怪しげな道具類、薬品が並ぶ。

 

その中に鎖に繋がれた……筋骨隆々の大男が両腕を上げて姿で、身動き一つせず、目を瞑り佇んでいる。 男の身体には、無数の傷が付いていたものの、見た目の異常は……何も無い。

 

カッカッカッ………! バサッ!

 

久秀「随分いい子になったのね? 久秀に罵詈雑言を吐いた者とは……とても思えないわよ? 使者殿……………いえ、○○○!!」

 

??「ーーーー!!」 ガチャン! ガチャガチャ!

 

久秀「そう……暴れたいの。 でも、もう少し待ちなさい! 貴方に投与した薬が……全身に回るのを待つのよ。 そうすれば……誰も貴方には勝てない! 例え、呂布や本多忠勝が相手になっても…………ね!!!」

 

??「 ーー?! ━━━!!!」 ガチャン! ガチガチ!!

 

久秀「そろそろ……薬が効いてきた様子。 後、記憶も少し操作して放してあげるわ! 一応、貴方の意を操る術を掛けてあるけど……それは、久秀に危害を加えないようにしただけ! 

 

────後は、その意志のまま……思う存分に暴れなさい!! 

 

服と『髭』と得物である『冷艶鋸』は、ここに用意してある!! これらを身に付け……この世界の将と颯馬に組する姫武将を抹殺し、颯馬に絶望と久秀に逆らう愚かさを──思い知らせてあげるのよ!!!」

 

 

(………ヤメテ…! ……ヒサヒデ……!)

 

 

久秀「───黙りなさい! 黙って……私の中で見ているのよ!! ……こんな、こんな!! ふざけた世界! 久秀を迷わせる颯馬! 邪魔する輩!! 

 

みんな、みんな!! 滅んでしまえばいいのよ─────!!!」

 

 

(………マ……ニゲ…テ…)

 

 

◆◇◆

 

【 強敵……出現! の件 】

 

〖 鳥林 周辺の街道 にて 〗

 

《 夕方 (15時半頃) 》

 

星「趙子竜の槍捌き! 受けれるものなら受けてみよ!!」

 

ガガガガッ! ヒューン ガガッ!

 

袁兵「ゴボッ!」

 

袁兵「アガッ!」

 

ーーーー

 

愛紗「ハアアァァァ────!!」

 

ザッシュ! ブシュ───!

 

袁兵「グゲゴォォ────!!」

 

ーーーー

 

義清「突いても突いても、きりがないのぉ! 鹿介殿!」

 

鹿介「ですが……隘路を利用して有利に戦える利点、兵数に劣る我々にとっては……有り難いことです!!」

 

朱里「ですが……三方での攻勢目覚ましいのに、私達の軍勢だけ……ここに留まるのは……やりきれないものが……あります………。 皆さん、命懸けで奮戦しているのに………!」

 

信玄「今は……時を待ちましょう! 

 

山の如く揺るがず、林の如く気を静め、攻める間に……風の如くつぶさに弱みを調べ、火の如く強力な攻撃を与える!! 『風林火山』の要諦です!」

 

朱里「はわわわ! 孫子とは……また違う解釈! でも……わかりました! ここで慌てていても……どうしようもないですから!」

 

ーーーーー

 

 

『━━━━━━━━━!!』

 

 

 

 

星「───────!?」ガクガク

 

愛紗「な、なんなのだ!? あの雄叫びは!!!」───ガクッ!

 

ーーーー

 

────────!

 

鹿介「ぐっ!! この闘氣は───!?」

 

義清「う───ぐっ!!」

 

朱里「はわぁ─────!?」

 

信玄「しゅ……朱里! 早く! 私の背中に……隠れなさい!!」

 

☆☆★

 

 

〖 鳥林峯 頂上付近 にて 〗

 

《 夕方 (15時半頃) 》

 

袁術軍達は、鳥林峯の別働隊を甘く見ていた。 ただ、策を成功させる為に、その場所に居たのだと!!

 

実際は、数日の籠城に耐えれるだけの糧食、武器等を頂上まで上げ、周りに柵を造り、敵の侵入に備えて臨戦態勢を取っていたのだから!

 

ーーーーーーー

 

霞「おりゃああぁぁぁ───!! 邪魔やぁ!!」

 

ブゥゥゥ────ン!! 

 

ブシャァ! ズシャ!!

 

袁兵「ギャアアアァァァ───!」

 

袁兵「グハッ!!」

 

ーーーーー

 

恋「…………死ね!」

 

ゴッ───!!

 

袁兵「はっ────」ブンッ!!

 

袁兵「へっ──」グシャッ!!

 

ーーーー

 

 

ねね「ちんきゅう……洛陽紅キック──!!」ゴゴゴッ!

 

空を跳び、翻して跳び蹴りを放つねね! 

 

背後には、夕日に照らされる洛陽が浮かばせつつ、急速な勢いで袁兵に向かって仕掛けた!!

 

袁兵「(パシッ!)……ふん! ガキが……!」

 

ねね「こ、こらぁ! は、離せぇ! 離すのでぇ──!!」

 

…………………あえなく……捕まった。

 

 

ザシュ──! ポフッ!

 

しかし、ねねの背後より、道雪が『雷切』で敵を斬り、宗茂が救い出す!

 

 

袁兵「ゲホッ!!」 バタッ!

 

 

 

道雪「ふぅ~! ねね殿……貴女が戦わないで下さい!!」

 

宗茂「ねね殿!! お怪我は無いですか~!?」

 

ねね「……うぅ…申し訳ないのです。 ねねの『ちんきゅうキック』の出番がなかったので……作者に怒鳴り込んで…無理やり出してもらったのですが…」

 

紹運「鍛えてもない軍師がやるものでは────! 伏せろ!!!」

 

──紹運、異様な気配を感じ取り、皆に退避を促す!!

 

サッ! サッサッ! スッ──!

 

ーーー

 

ゴォ─────!!! 

 

そして……麓より赤いモノが高速で──飛ばされてきた!!

 

ザザザザザアアァァァーーーー!!

 

赤き鎧を着た孫呉の兵が──車輪の如く回りながら、山頂目掛けて登って行く! もちろん……自分の意志で行ける筈が無い!   

 

孫兵「ギャアアアァァァーーーー!!!」

 

ドゴオオォォォ────!!

 

そのモノは、断末魔を挙げて──皆の後ろの壁面にぶつかった!!

 

ーーー

 

霞「なっ! なんやぁ──今んの!?」

 

恋「………人だった。 ……回転…してた?」

 

ねね「人が車輪の如く……飛んでいきましたぞ──!?」

 

宗茂「この世界の人は……そうやって飛ぶのですか!?!?」ワクワク

 

霞「そんなわけぇ───あるかぁぁい!!」ビシィッ!

 

宗茂「あうぅ───!」ビタンッ!

 

本家本元の神速ツッコミが、宗茂の額に入り……頭を抑えて跪く。

 

恋「………霞。 限度……大事……」

 

霞「恋に言われとぉうないわぁぁ───!!!」

 

ーーーーー

 

高橋紹運は、安否を気遣い……急いで衝突した場所に向かうが……

 

道雪「…………どうですか? ………兵は?」

 

紹運「……だめです……姉上………」

 

立花道雪は……下に見える戦場を眺め……戦慄を覚える………!

 

道雪「………麓より……数里ある此処まで……人を投げ飛ばすなんて………」

 

☆★★

 

〖 江陵方面側 鳥林付近 にて 〗

 

《 夕方 (15時半頃) 》

 

忠勝「まだまだ甘いでござるよ! 一人二人などと拘らずに、十人二十人で纏めて掛かってくるでござる!!」

 

ブゥゥゥン! シュッッッバァァァ───!

 

袁兵『────────!!』

 

袁兵『ーーーーーーーー!?』

 

バタバタバタバタバタバタ!!

 

昌景「いやはや……お見事! 過ぎたるものと謳われし良き働きじゃな!」

 

一存「相変わらず……すげぇ戦振りだぜ!」

 

長慶「忠勝殿! 見事な槍術! また、腕を上げられたか?」

 

忠勝「いやいや! 恋殿と付き合うと……ついつい楽しくて……刻限を忘れてしまうでござるよ!! 全力を出せる相手がいるのは……非常に嬉しいでござる!! 

 

後……恋殿のような……可愛い仕草が出来れば……もっと嬉しいでござるが………こればかりは……何ともでござるよぉ………」

 

長慶「大丈夫だ。 忠勝殿は、女の私から見ても……可愛いと思う。 恋殿は恋殿、忠勝殿は忠勝殿の可愛いさがある! そうだろう……一存!?」

 

一存「颯馬だったら……勿論! 『可愛いですよ、忠勝殿!』って言ってくれるぜ! 間違いなくな!! ……さぁて、俺も張り切って…行きますかっ!」

 

忠勝「//////////// も、もし………そうであれば……拙者……どんなに嬉しいかと…………」モジモジ モジモジ

 

昌景「うむうむ! 若者は大いに恋し悩むべ───皆! 用心せぃ!! この敵はぁ─────!?」───チャキッ!

 

長慶「……むっ!!」

 

一存「姉さん! 下がれ!! ………とんでもない奴が現れたようだ……!」

 

忠勝「……拙者も……これほど緊迫感に……差し迫った事は……今まで無かったでござるよ…………!!」

 

長慶「各部隊と颯馬に伝令を出せ!! とてつもない敵が現れたとな!」

 

伝令「はっ!!」

 

一存「全く…………これを考えた野郎………絶対……久秀の女狐だろう!! 人の恋路に……嫌な事……思い出させやがってぇーーーー!!!」

 

昌景「…そう思惑通り……易々とは……やられはせんぞ!!」

 

★★★

 

〖 荊州 赤壁近辺 にて 〗

 

《 夕方 (16時頃) 》

 

祭「長江の制水権は──我ら孫呉が抑えたぁ!! 

 

颯馬の仕掛けた包囲網は完成しているが、敵の数は我らより大軍! しっかりと押し包み……反撃を許すでない!!!」

 

亞莎「だ、大丈夫です! この戦は必ず勝てます!! 私達を信じて!!」

 

穏「残敵掃討は私達にお任せ下さい~~!!」

 

ーーー

 

〖 赤壁 雪蓮本営 にて 〗

 

颯馬「久秀殿………。 順慶殿………『 ポン! 』──?」クルッ

 

雪蓮「どうしたの? こ~んなぁ『いい女』が居るのに、他の女の事を考えていたなんて? しかも……敵将なのに?」

 

颯馬「…………二人が……あのような行動を起こしたのは、俺のせいではないか……って考えていたんだ……。 俺が……自分の都合で……二人を連れていけなかった。 泣きながら……せがまれたのに………!!」

 

雪蓮「へぇ~? あの将が颯馬に断らて……『はい、そうですかぁ~』て同行するのを諦めたの? あはははははっ! 傑作じゃない!!」

 

颯馬「おいっ! 雪蓮!!」

 

雪蓮「──颯馬! 勘違いしないで!! 貴方には貴方の譲れない……大事な理由があったから…断った。 そうでしょう?」

 

颯馬「…………」コクリ

 

雪蓮「………同行を拒否されたから? 相手に事情があるなんて当然の事! 相手が無理というなら……此方から譲歩しなさいよ!! 

 

『雪蓮……お前が譲る事など…私は知らん…』 ──外野は黙ってなさい!!

 

それで駄目なら、納得いくまで問いただしなさい! 死に物狂いで付いて行きなさいよ!! ……泣きながら諦めるなら……颯馬を好きになんか…なるな!! 逆恨みだなんて……馬鹿馬鹿しいったらありゃしない!!

 

………私はね! そんな悲劇の主人公みたいに、泣いて諦める中途半端な覚悟なんて──────大嫌いなの!!」

 

冥琳「だがな………恋した女は皆……一途で臆病で頑固なのさ。 

 

相手の理由など……頭では理解している! 『どうして無理なのか?』なんて………百も承知! 立ち去る者の……見せぬ悲しみさえな。

 

しかし……心が……従わないのだ。 納得しないし……我慢も出来ない。

 

『恋』と言う病が……人を狂わせるのだ……」

 

雪蓮「だけど、冥琳。 泣き寝入りするより、追いかけてって……相手にくっ付く事ぐらいしなきゃ……恋なんて成就できないものよ?」

 

??「そのとおり!!」

 

──ザッ、ザッ、ザッ

 

信長「好きなおのこが居るのなら、力尽くで勝ち取れ! 妥協など無用!! 諦めて身を焦がすなど……ただの『うつけ』よ!!」

 

雪蓮「うんうん!! そうよね! そうですよねぇ!」

 

冥琳「口調は荒いが、何故か……納得出来るな?」

 

信長「だが……主にも渡さんぞぉ!! 雪蓮!!」

 

雪蓮「ふふ~ん! 私の方が一歩先行ってるもんねぇ~~颯馬?」

 

信長「何ぃ~!? どういう事だ、颯馬よ!!!」

 

颯馬「え? い、いや…そのぉ……」

 

伝令「で、伝令──! た、大変ですぅぅぅ!!」

 

颯馬「どうした!?」

 

伝令「敵軍交戦中、急に『長い髭を生やした赤ら顔』の大男が現れ……本多様達と激しく対戦!! 苦戦しております!! し、至急援軍を───!!」

 

一同『ーーーーーーーー!!!!』

 

☆★★

 

〖 江陵方面側 鳥林付近 にて 〗

 

忠勝「フゥー、フゥー、フゥー!! とおおりゃぁぁ────!!」

 

??「ガアアァァァーーーーーー!!!」

 

ガキィ──ン! ガキィ───ン!!

 

ドガアァァ────!!

 

忠勝「うわあぁぁぁ─────!!」

 

一存「鬼十河を嘗めるな!!」

 

長慶「覚悟!!」

 

昌景「でええぇぇいいいぃぃ!!」

 

キン! ギン! ガッ!!

 

??「……ワガ……ヤイバヲクラエ!!」

 

ブゥ───────ン!

 

一存「うわぁ──っ!!」

 

長慶「うぐっ!!」

 

昌景「がほっ!!」

 

ドスッ…… ドスッ…… ドスッ……

 

カンウ「ワガナハ『カンウ』!! 『カン ウンチョウ』ダァァァ!!」

 

 

◆◇◆

 

【 混沌とする結末 の件 】

 

〖 赤壁 久秀本船 にて 〗

 

《 夕方 (16時頃) 》

 

その頃……船内を彷徨く……漢女達!

 

貂蝉「せっっっかく、私達から会いに来たのに、船内に誰も居ないなんて……失礼しちゃうわぁぁん!!」

 

卑弥呼「止めんかぁ貂蝉! 『おのこの惹かれる姿─その壱! 仕事に打ち込む後ろ姿』を眺める最高の機会ではないか!! 漢女道極意 『負の感情に飲み込まれるな! 好機と捉えよ!』を忘れたかぁぁ!!!」

 

貂蝉「───! 私とした事がぁぁぁ!! 月ちゃんに『おば様』と呼ばれて、慢心してしまったよぉぉねぇぇぇん!!!」

 

卑弥呼「………悟ればよい! 漢女道とは…先人達の汗と涙と筋肉で編み出されてきた道! こう語る儂でさえ……まだ未熟! ダーリンの顔を見つめるだけで、鳩胸がトクントクンと止まらないのだぁぁぁ!!」

 

貂蝉「卑弥呼でさえ……そんな態度になるなんてぇぇぇ………! 二人して更なる漢女道を磨き上げ、更なる高見を求めましょう!!」

 

卑弥呼「うむ!! ────! 貂蝉!?」

 

貂蝉「………卑弥呼も感じた!? 得体の知れない『おのこ』の気配を感じとったわぁぁん!!」

 

卑弥呼「───いかん! もしか……すると、ダーリンの危機かもしれん! 先に行くぞ!!」

 

貂蝉「ごめんなさいぃぃ! 私は颯馬ちゃんに頼まれた仕事を……華麗に往々しく優雅に成し遂げてから向かうわよぉぉん!」

 

卑弥呼「ふっ! あの『おのこ』からの願いであれば……仕方あるまい!! それまで、ダーリン共々……優しく守ってやるわぁぁぁ!!」 

 

ドッ────ン!!  

 

貂蝉「一体……どこに居るのかしらぁぁん!? 袁術ちゃん達……?」

 

☆☆★

 

〖 鳥林から葫蘆谷へ抜ける街道 にて 〗

 

《 夕方 (16時頃) 》

 

久秀達は……総退却の伝令を放った後、袁術等も連れて赤壁を逃れつつ『華容』へと向かった!

 

久秀「さて……戦場中央に『関羽』が現れたら……どんなモノでしょうね?」

 

順慶「……この世界に『関羽』が居るのに……わざわざ正史の『関羽』に偽装させるなんて……手が込んだ事を………!?」

 

久秀「結構自信作よ? 正史の関羽に似ていたし、呉に不満を持ち合わせていた………。 久秀と出会ったのは……天命みたいなものだもの!」

 

順慶「───そのまま、ソレに乗り換えてくれれば……私は、とても助かりますわぁ? 今からでも遅くは…………」

 

久秀「何を馬鹿言っているの……? アレは使い捨ての玩具! 颯馬は愛用の玩具! 幾ら天命でも……価値までは違うわよ!」

 

ーーーーーーーー

 

孫兵「でえりゃああぁぁぁ!!!」

 

孫兵「孫呉の敵めぇぇぇ!!!」

 

順慶「そこを退きなさい!!」ドゴッ!

 

孫呉兵「ガハッ!」

 

久秀「久秀の邪魔をするなんて……永久に無理よ!!」シュン!

 

董兵「グヘッ!!」

 

久秀「この人数じゃ……にっちもさっちもいかないわね? 順慶! 道を作りなさい!!」

 

順慶「私は、貴女の小間使いではありませんわ! でも、このままでは行軍に支障を来して………進めませんわね? 仕方ありませんわ」

 

孫呉兵「死ねぇーーーーーー!!」

 

順慶「知ってます? 安直な台詞を吐く者が……早く死にますのよぉ!!」

 

パシィ! スルゥ~!

 

孫呉兵の頭上より斬られる刀を受け流し、その兵の頭を持つ!!

 

孫呉兵「あへっ?」 ガシッ!

 

グルグルーーグルグルグル────!!

 

順慶「食らいなさい! 『人手裏剣』!!」

 

孫呉兵「グオオォォーーーーーー!!!」

 

順慶は片手で、孫兵を腕全体で振り回し……投げた!!

 

孫兵「ゴアアァァァ─────!!」

 

孫兵達「グケェ!」 「ゴバァ!!」 

 

ドカッ! ベキッ!

 

ーーーーーーーーー

 

久秀「それって……于吉が熱心に読んでいた書物の技?」

 

順慶「えぇ! 老師が于吉より回収したと言ってましたわ! 何でも……描かれている『おのこ』達の筋肉に萌えるとほざいていたそうで……」

 

久秀「───于吉らしいじゃない? あぁ……それで『無敵の翁』の技が使えるのね? 順慶を壊す楽しみが増えたわ………」

 

順慶「………他にも会得した技はありますわ! だけど、光栄に思いなさい!! その技は、久秀……貴女を最初の相手にしてあげますから!!」

 

久秀「久秀を相手に出来ると考えるあたり……技の程度が知れるわねぇ……」

 

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

 

関羽をどう扱おうかな………と考えていたら……こうなりました。

 

ちょうど、捕獲した人材もいましたしね。

 

また、宜しければ読んで下さい。

 


 
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