No.688674

九番目の熾天使・外伝 ~短編その⑫~

竜神丸さん

幽霊騒動その9

2014-05-23 16:59:29 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3384   閲覧ユーザー数:1201

『ズェアッ!!』

 

「ぬぉあ、く…!?」

 

アザゼルの振るう剣から斬撃が舞い、ブレイド目掛けて飛来。ブレイドは伏せると同時にブレイラウザーを逆手に持ち、別方向から武器を振るってきたザンジオーを斬り倒し踏みつける。

 

「ふぅ……まさか貴様までこっちにいたとはな、アザゼル…!!」

 

『我トテ、貴様がココにいる事など思ッテモいなかったゾ……マサカこんなにも早ク、貴様に復讐ヲ遂げられる日が来ようとはナァッ!!!』

 

「冗談じゃねぇよ本当に…」

 

『我々を忘れて貰っては困る!!』

 

「ぐっ!?」

 

ジェネラルシャドウの斬撃を右足に喰らったブレイドが転倒、そこにジャガーロードとビートルファンガイアが飛びかかって武器を振り下ろし、ブレイドもそれをブレイラウザーで受け止める。

 

「この……邪魔だテメェ等!!」

 

『『グガァッ!?』』

 

力ずくで押し返したブレイドが二体を斬り裂き、すぐに立ち上がってラウズアブゾーバーから一枚のカードを取り出す。取り出したカードには、コーカサスオオカブトの姿が描かれていた。

 

(くそ、どうする……ここで一度なっておくべきか…?)

 

カテゴリージャックのカードと併用すれば、ジャックフォームよりも更に強力な形態“キングフォーム”へのパワーアップが可能。しかしそれを実行するには特定以上の融合係数が必要であり、おまけに下手すれば肉体への負担よりも厄介なリスクを背負う事になる。

 

支配人の答えは…

 

「…チィッ!!」

 

 

 

 

 

 

≪EVOLUTION≫

 

 

 

 

 

 

『ヌ…?』

 

ブレイドはキングのカードをラウズアブゾーバーではなく、ブレイラウザーの方にスキャン。そうする事でブレイラウザーの消費されたAPが大幅にチャージされる。

 

『ホウ……先程ノような強化はしないのダナ』

 

「残念だったな……今回はひとまず、態勢を立て直させて貰うぜ」

 

『コノ我が、貴様ヲ逃がすとでも思ウカ?』

 

当然、アザゼルやゴーストショッカーの面々がブレイドを逃がそうとする訳が無い。あっという間にブレイドの周囲は怪人達に囲まれ、ジェネラルシャドウ以外の幹部達も一斉に揃う。

 

『諦めるのだな…!! たった一人で我々に挑む事自体、貴様にとっては自殺行為なのだ!!』

 

「なのだってうるせぇなマント野郎……言っとくが、策が無ぇって訳じゃねぇんだぜ?」

 

『減らず口を……消えるが良い!!』

 

「ッ!!」

 

アポロガイストがマグナムショットから強力なエネルギー弾を繰り出すと同時に、ブレイドは素早く一枚のカードをスキャンする。

 

≪TIME≫

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『…ッ!? 何ダト…!!』

 

その瞬間、アザゼル達は驚愕した。アポロガイストの銃撃が命中しようとした瞬間、ブレイドの姿がその場から一瞬で消え去ったのだから。これには怪人達も驚き、慌てて周囲を見渡す。

 

『ふむ、どうやら逃げられたようだな』

 

『く、おのれライダーめ…!!』

 

『構いはシナイ。今更奴がどう動こうト、我々の計画ニ変更は無いのダカラな…』

 

アポロガイストが悔しそうにしている中、アザゼルは特に興味なさげに剣を鞘に納め、その場から闇に紛れる形で姿を消す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――はぁ、はぁ……危なかったな…!」

 

その一方で、タイムの力で洞窟の奥深くまで逃げ延びる事に成功していたブレイド。変身を解除した支配人はブレイバックルを外すと同時に今までの疲労が一気に襲い掛かり、そのまま地面に大の字で倒れる。

 

「少し休憩する必要があるか…………にしてもあのゴーストショッカーとかいう連中、思ってた以上に面倒な事をしてくれてやがったな…」

 

行方不明になったユウナと咲良の二人を探しに来ただけだというのに、気付けば今のような厄介な事態に巻き込まれてしまっていた。と言ってもショッカーのような連中とは過去に何度も対峙した事がある以上、流石の支配人も彼等を野放しにする訳にはいかない。そして何よりも…

 

「…アザゼルの奴、まだ諦めてなかったのかよ」

 

支配人にとっては、アザゼルの存在が一番重要だった。実は支配人とその仲間達は過去に一度だけ、アザゼルと本格的に対峙した事があった。その際は支配人達の勝利に終わり、無事にアザゼル達を異界に封じ込める事も出来たのだが、アザゼルはそれでも地上世界への侵攻を諦めていなかったのだ。

 

(よりによってゴーストショッカーとまで結託してやがるんだ。もし地上世界に出てきたら……全てを破滅させようとするに決まってる)

 

その事を考えると、世界の破滅を目的とするアザゼルと、世界の支配を目的とするゴーストショッカーは本来なら結託する事などあり得ない筈。恐らくは異界から出るまでの一時休戦で、地上世界に出た後は互いに知らんぷり、もしくは今でも互いに腹の探り合いを行っているのかも知れない。

 

「何にせよ、早いとこ対策を立てなきゃなんねぇが……………………いかん、割とガチで疲れたな」

 

とにかく、今は体力を回復しなければ始まらない。そう思い、支配人が一眠りしようとしたその時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-酷イヨ、レイ…-

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「―――!?」

 

支配人は目を見開いてガバッと起き上がり、謎の声が聞こえてきた方向に振り向く。

 

「今の声……まさか…!!」

 

今の声に聞き覚えがあった支配人はすぐに立ち上がり、声のした方向へと進んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、支配人はすぐには動かなかった方が良かったかも知れない。

 

何故なら…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「X…キィィィィィィィィィィック!!!」

 

『『『オォォォォォォォ…!?』』』

 

「ちょ、アンタだけで先に進まないでってば!!」

 

支配人が動き出した数十秒後に、げんぶと凛の二人がこの洞窟に辿り着いたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、崩壊しかけている小学校…

 

 

 

 

 

『ショォォォォッカァァァァァァァァァァァァァァ…!!!』

 

「ぬぉ、ちょ!? うぉわ、く…あばばばばば!?」

 

ショッカーグリードが羽から繰り出す衝撃弾をロキはどれもスレスレで回避してから、近付いてきたアントロードを蹴り飛ばす。

 

「さぁて、今の俺で何処までやれるか…」

 

姿勢を低くして構えたロキに、後方からさそり男が接近しようとした瞬間―――

 

「サイレントフィールド」

 

―――床のあちこちから刀剣状の氷が出現し、怪人達を攻撃し始めた。当然さそり男も例外ではなく、氷の剣に貫かれ一瞬で氷漬けになる。しかし何体かは氷の剣を回避し、ロキの前まで接近する。

 

「ほう、来るか?」

 

『グルァッ!!』

 

ウォートホッグファンガイアはロキと互いに両手をガッチリと掴み合い、そのまま力ずくで彼を押し出そうとするも…

 

「アイスクレイドル」

 

『!? グ、ガァ…カ…!!』

 

ロキの両手に冷気が纏われ、そのまま掴んでいたウォートホッグファンガイアの両手を凍結し始める。それに気付いたウォートホッグファンガイアが逃げようとするが既に遅く、そのまま冷気が全身に渡り氷の彫像と化す羽目になってしまった。

 

「力で勝てると思ったら大間違いだ……てぇの!!」

 

『『『ギギィッ!?』』』

 

ロキの両手には今度は電撃が纏われ、左右から飛びかかって来たダークローチに一直線に向かい炸裂。撃墜されたダークローチ達は床に落下すると同時に氷の剣の餌食となり、次々と消滅していく。

 

『キ、貴様、人間ノ分際デェ…!!』

 

「その人間によって、思うがままにされる気分はどうだい? なかなかに屈辱だろう」

 

『ッ…小癪ナ真似ヲォッ!!!』

 

「はい引っかかった」

 

『何…グォッ!?』

 

飛び上がろうとしたショッカーグリードの翼に、ロキの放った氷柱が命中。するとみるみる翼が凍結していき、ショッカーグリードが床に落下する。

 

『グ、オノレェ…!!』

 

「お前が単細胞で助かったよ、こんな挑発にまで引っかかるしさ。さて」

 

ユーズからデュランダルが召喚され、ロキはそれに電撃を纏わせてからビリヤードのように構える。そのデュランダルの刃先はショッカーグリードに向けられていた。

 

『マ、待テ、ヤメロ!!』

 

「やなこった」

 

『ヤメ―――』

 

「スピリットボルト」

 

最後まで言い切る直前で、ロキはショッカーグリードに向かってデュランダルを撃ち込んだ。デュランダルの刃先がショッカーグリードの顔面に命中すると同時に大爆発を引き起こし、その後方にいた怪人ごと校舎の壁をぶち抜いてしまった。

 

「…少しやり過ぎたか?」

 

校舎の壁に開いてしまった大きな穴に、流石のロキも少しばかり自重しようと考える。

 

その時…

 

-ズズゥンッ!!-

 

「!?」

 

『ナメルナヨ……下等ナ人間メガァッ!!!』

 

「うぉぉぉぉぉぉまだ生きてたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

しぶとく生き残ったショッカーグリードが床をぶち抜く形で再び現れ、ロキの両足を掴んできた。倒したと思っていたからか、流石のロキも若干焦り出す。

 

「えぇい、離せぇい!! 地獄にはテメェ一人で落ちやがれ!!」

 

『黙レ!! コウナレバ、貴様モ道連レニシテクレル!!』

 

「迷惑極まりねぇなこの野郎!? 良いから離しやがれって、この!!」

 

その時…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そいつは俺の獲物だぁ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ッ!?」

 

『ナ…ヌグワァァァァァァァッ!?』

 

後方から感じ取った殺気に、ロキは急いでショッカーグリードの両手を振り払う。それと同時に一本の斬撃が高速で飛来し、ショッカーグリードを校舎の外にまで吹っ飛ばす。そして驚くロキの前に現れたのは、ZEROが変身したガオウだった。

 

「おっと、逃がしはしねぇよ…」

 

「その声は……お前、さてはZEROか!? いつの間にライダーの力を…!!」

 

「あん? …何だロキか。そこを退け、あのグリード野郎を喰らい尽くす」

 

「言われなくても退くっての…」

 

巻き込まれまいと後退するロキを他所にガオウは校舎の外に飛び出し、地面に転がっていたショッカーグリードを見ながら仮面の下で舌舐め摺りをする。

 

『ヌ、グ……オノレ、仮面ライダーメェ…!!』

 

「テメェも、俺が喰い尽くしてやるよ」

 

≪Full Charge≫

 

マスターパスがベルトに翳され、フリーエネルギーのチャージされたガオウガッシャーのオーラソードが分離して浮遊。そのままショッカーグリード目掛けて飛来し、その身体を真っ二つに斬り裂く。

 

『ガァァァァァッ!? ヌガァ、ア…ショッカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!!』

 

最後は両手を上げながら地面に膝を突き、爆散するショッカーグリード。その爆発した場所に、ショッカーグリードらしき残骸は微塵も残ってはいなかった。ガオウは小さく舌打ちする。

 

「加減を間違えたか。面倒な力だな、コイツも…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おーい、二人共ー!」

 

「あ、アンタ…!」

 

その後、崩れて瓦礫だらけとなった1階廊下にロキが到着。刀奈や雅也と合流する。

 

「ユウナは?」

 

「そ、それが、天井や壁が崩れる時の騒ぎで逸れてしまって…」

 

「今、あのマフラーの人が先生を探しに行ったんだけど…!! ど、どうしよう雅也……私達の所為で、先生が…先生がぁ…!!」

 

「くそ、また離れ離れになっちまったか…!!」

 

またしてもユウナと逸れてしまい、ロキは思わず頭を抱える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ…」

 

一方、無事に別の校舎まで逃げ切っていたユウナ。右腕の傷を手で押さえながらも、ロキ達と合流するべく別の通路から先程の校舎まで戻ろうとする。

 

「二人共、ちゃんと逃げてるかな……早く合流しないと…!」

 

『グルルルルル…』

 

「!?」

 

そんなユウナの前に、一体のワーム・サナギ体が姿を現す。不気味な鳴き声を上げるサナギ体は、右手の長い爪を揺らしながら彼女の接近する。

 

「ッ…痛!?」

 

しかし逃げようとしたユウナは足がもつれてしまい、その場に転倒。そこへサナギ体が接近し、その爪を思い切り振り下ろそうとする。

 

『グルルルルッ!!』

 

「く…!?」

 

氷柱槍(フリーズランス)

 

『グルゥ…!?』

 

直後、サナギ体の頭部を氷の槍が貫いた。サナギ体はその場に倒れ、ジュワジュワと音を立てながら塵となって消滅。氷の槍が飛んできた方向に振り向いて、ユウナは安心したような表情になる。

 

「スノーズさん…!」

 

「危ないところだったね、ユウナちゃん」

 

ロキの知らぬところで、またしてもユウナの命を救うスノーズだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

病院、屋上…

 

 

 

 

 

 

 

「真司さんが、仮面ライダー龍騎…!?」

 

「だろ? 真司さんよ」

 

『……』

 

okakaによって、かつては仮面ライダー龍騎として戦っていた事を暴露された真司。彼等の会話を聞いていたディアーリーズも、その事実には驚きを隠せずにいた。

 

「先に言うと、俺達も一応ライダーに変身する事は出来る。アンタが変身していたのとは、色々とシステムは違うけどな」

 

『マジか……マジで?』

 

「マジだ」

 

『…い、いやまぁ、確かに俺もライダーだったけどさ。にしても驚いたよ、まさかウルもライダーに変身するなんて』

 

「僕だって驚きましたよ。まさか真司さんもライダーだったなんて……あれ」

 

ここで、ディアーリーズはある事に気付く。

 

「じゃあ、真司さんが今ここで亡霊になっているのって…」

 

「ライダーバトルの中で死んじまったから、だろ?」

 

「「「「「!?」」」」」

 

『……』

 

okakaの衝撃発言で一同は驚き、真司は表情一つ変わらない。

 

「ある人物によって始められる事となったライダーバトル……それに勝ち残れば好きな願いを叶えられるという条件でライダーとなった者達が、互いに殺し合い勝者を決める……そうだよな?」

 

『…あぁ』

 

真司が口を開く。

 

『俺はモンスターから人を守る為に、ライダー同士の戦いを止める為にライダーとして戦ってきた。けど戦ってる途中で、ちょっと張り切り過ぎちゃってさ。思いっきりドジっちゃったんだ』

 

「ド、ドジっちゃったって…」

 

『初めてライダーになった時も“アイツ”に怒られたんだよな、はしゃぐなって。なのに俺、結局こうして死んじゃってさ……俺の願い、あの時やっと見つかったのに…』

 

「…真司さん?」

 

話している最中、少しずつ表情が暗くなっていく真司。しかし彼はすぐに表情を切り替え、パッと明るい表情に戻る。

 

『…ま、まぁ、俺も色々あったのさ! いやぁ、俺って本当に馬鹿なんだよなぁ~! ライダーやモンスターが関係ない時も編集長にはよく怒られるわ、変な弁護士からは散々扱き使われるわ、大変だった!』

 

「真司兄ちゃん、大変だったの~?」

 

『『『もっと話聞かせて~』』』

 

『へ? あ、あぁ、良いよ。話せる範囲内で』

 

咲良や子供の亡霊達から問いかけられる真司を他所に、okakaやディアーリーズは薄々気付いていた。

 

今の真司は、無理して明るくなろうとしている事に。

 

「…okakaさん」

 

「今は触れないでやれ。俺達みたいな他人が、あんまり首を突っ込んで良い話でもないだろうよ」

 

okakaの指摘により、何か言いたげだったディアーリーズも無言になってしまい、それを見ていたこなたや美空も思わず心配そうな表情になったその時…

 

-ズズゥン…-

 

「「「「「!?」」」」」

 

病院全体が、突然大きく揺れ出した。

 

「な、何だ!?」

 

「多分、下の階からだ!!」

 

FalSigの声を聞いた一同は、すぐさま下の階へと向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、1階廊下では…

 

 

 

 

 

 

 

『『『シャァァァァァァァァッ!!』』』

 

「だぁぁぁぁもぉぉぉぉぉしつこぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいっ!!!」

 

「ちょ、声出るねぇアスナちゃん…!!」

 

「本物の病院なら大迷惑だぞ、全く…!!」

 

アスナ、ハルト、awsの三名も、ゴーストショッカーの襲撃を受けていた。ハルトはバースに変身してバースバスターを乱射しまくり、アスナはレイピア型デバイス“フルール・ド・フルーレ”による剣術で一体一体を圧倒し、awsは素手で怪人達を次々と撃破していっている。

 

「しつこい…しつこ過ぎるわよ!! こっちは早くウルや咲良ちゃん達を見つけなきゃなんないってのに!!」

 

「ルイちゃんの姉ちゃんもな…ってぇそれはともかく、コイツ等本当に何なのさ?」

 

「私が知る訳ないだろう、というかこっちが聞きたいくらいだ!!」

 

『ゲッハハハハハハハ!!』

 

「「「!」」」

 

怪人達と戦っている三人の前に、背中から何本もの針を生やしたモヒカンの怪人―――ヤマアラシロイドが姿を現す。

 

『地上世界デ生キル人間共メ!! 今ココデ、コノヤマアラシロイド様ガ始末シテクレル!!』

 

「うっわぁ、喋り方からして明らかに小物っぽい…!!」

 

「自分で自分の格を下げてるようなものだな」

 

「言ってやるなって二人共。あのモヒカンちゃんが可哀想だろ? な?」

 

『可哀想ッテ言ウナァー!! エェイ、トニカクコレデモ喰ラエッ!!』

 

「え…ちょ、のわあばばばばばっ!?」

 

ヤマアラシロイドが背中から放った無数の針が、バース達の周囲を次々と破壊し始めた。バースは慌てて伏せる事で回避し、アスナは防御魔法で針を防ぎ、awsは飛んで来る針の一本一本を確実に叩き落とす。

 

「チ、針の数が多過ぎるな…!!」

 

「この……ハルト、何か対抗策ある!?」

 

「ちょいとだけ待ってくれ、やって見るわ……変身!」

 

≪ウォーター・プリーズ! スイースイースイースイー!≫

 

バースは物陰に隠れてから変身を解除してハルトの姿に戻り、代わりにウィザードライバーとウィザードリングを使ってウィザード・ウォータースタイルに変身。そこから更にリングを変え、再びドライバーに翳す。

 

≪ウォーター・ドラゴン! ジャバジャババシャーン・ザブンザブーン!≫

 

「ほっ!」

 

ウォータースタイルの強化形態“ウォータードラゴン”となったウィザードはすぐさま周囲の床や天井を凍結させ、更にヤマアラシロイドに向かって冷気を発射。発射しようとしていた針すらも氷漬けとなる。

 

『ナ、何!? シマッタ、コレデハ針ヲ飛バセンデハナイカ…!!』

 

「ほら隙ありだ!!」

 

≪チョーイイネ・スペシャル! サイコー!≫

 

音声が鳴ると共に、ウィザードの腰から長い竜の尻尾“ドラゴンテイル”が出現。地上に出された魚のように床や天井をドラゴンテイルが叩き、ウィザードもゆっくりと構え出す。

 

その時…

 

『グルァッ!!』

 

「な、ちょ、離しなさ…キャアッ!?」

 

「!? アスナちゃん!!」

 

ウィザード達から離れた位置でアスナがシームーンファンガイアの伸ばした触手に捕まり、そのまま電撃を加えられて気絶してしまった。それに気付いたウィザードはすぐさまドラゴンテイルを消して救出に向かおうとしたが、それを他の怪人達が妨害する。

 

『形成逆転ダナァ、人間共…!!』

 

「くそ、面倒な…!!」

 

『サァ、人質ニ危害ヲ加エラレタクナケレバ、大人シク降参スルノダナァ…ゲハハハハハハハ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アスナから離れて貰おうか、モヒカン野郎が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ナ…グゲフォアッ!?』

 

『キシャアッ!?』

 

ヤマアラシロイドとシームーンファンガイアに、数本の氷柱が命中。その衝撃でシームーンファンガイアの触手からアスナが解放され、ウォーロックが優しく抱き留める。

 

「「ディア(ウル)!?」」

 

「すみません二人共、心配かけました」

 

『キ、貴様!! ヨクモ邪魔ヲシテクレタナ―――』

 

「もう黙ってくれ小物野郎」

 

『ゴパァッ!?』

 

ウォーロックに向かって怒鳴ろうとしたヤマアラシロイドは真横からプロトディケイドに殴られ、壁まで吹っ飛ばされる。

 

≪スキャニングチャージ!≫

 

「うにゅ? せいやー!」

 

『『『シャァァァァァッ!?』』』

 

そこへ更に咲良が変身したと思われるオーズ・シャウタコンボがオクトバニッシュを発動し、怪人達を纏めて粉砕。あっという間に怪人はヤマアラシロイド一人だけになった。

 

『バ、馬鹿ナ…!?』

 

「んじゃ、そういう事で」

 

≪ファイナルアタックライド・ディディディディケイド!≫

 

『オ、オノレ…グギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!?』

 

最後はプロトディケイドのディメンションスラッシュで全身を斬り裂かれ、ヤマアラシロイドも爆散。ひとまず戦闘は終了し、プロトディケイドは変身を解除してokakaの姿に戻る。

 

「ふぅ……ご苦労様だよ、お二人さん」

 

「あぁ、全くだ」

 

「いやぁ~疲れた疲れた」

 

awsはその場に座り込み、ハルトもウィザードの変身を解除。ディアーリーズもウォーロックの変身を解除してからアスナをゆっくり床に寝かせる。

 

「「ウルー!」」

 

『『『ウル兄ちゃーん!』』』

 

「え…のわちゃあっ!?」

 

駆け付けたこなたと咲良、更には子供の亡霊達までもが一斉に飛びかかり、ディアーリーズは受け止め切れずに床に転倒する。そんな光景を見ていたokakaが和む。

 

「ありゃま、子供の幽霊さん達までいるのかい」

 

「あぁ。色々あって、懐かれちゃったらしい。そうだろ? 真司さんよ」

 

『す、凄過ぎるな皆…』

 

okakaが振り返った先から、真司が駆けつけて来た。壁や天井が氷漬けになっている状況やメンバー達のやり取りを見て、若干苦笑いしてしまっているが。

 

「凄いだろ? 俺もディアも、更には咲良ちゃんまで変身出来ちゃうんだからな」

 

『あ、あぁ、そうだな…』

 

「ぅ、ん……ウル?」

 

「あ、アスナ! 目が覚め―――」

 

「ウルゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!!」

 

「へぶぅっ!?」

 

「ズルいアスナちゃん、私にも抱き付かせろ!」

 

「わ、私も…!」

 

「はい、メズール」

 

『あら、ありがとね咲良ちゃん』

 

『ふん、俺の出番は無しか…』

 

「あれ、awsさんいたの?」

 

「いたぞさっきから!! おいFalSig、まさか私の存在に気付いてなかったのか!?」

 

意識を取り戻したアスナがディアーリーズに抱きつき、それにこなたと美空も続き、咲良はセルメダルに青のコアメダルを投げ入れてメズールを復活させ、アンクは自分のコアメダルの出番が無かった事で愚痴を零し、awsはFalSigに存在を気付かれていなかった事でショックを受けたりと、旅団メンバーならではのカオス状態が続く。

 

しかし、そんな中でも…

 

『……』

 

真司は一人、自分の右掌を見つめていた。

 

(幽霊の状態じゃ、まともな手助けは出来ない……何も出来ないのか、俺は…)

 

真司は拳を力強く握り締めるのだった。その姿を、okakaが見ていた事にも気付かずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

森を出た先の神社にて…

 

 

 

 

 

 

 

「「「……」」」

 

「ほっほー♪」

 

デルタ、ルカ、アキの三人は呆然とした表情で、kaitoは楽しそうな表情で目の前の光景を見ていた。

 

彼等の視線の先では…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねぇアン娘ちゃ~ん……私達と一緒に、面白~い事をしないかしら~ん?』

 

『駄目よ、アン娘ちゃんは私と気持ち良い事をするんだから!』

 

『ちょっと待ちなさい。アンタこそ、何を抜け駆けしようとしてんのよ』

 

『あ、あの…良かったら私と…』

 

「…またかい」

 

「…ぶほぅっ!!」

 

「いやぁ~眼福眼福」

 

またしても、女性の亡霊達に逆ナンパされているUnknownの姿があった。その近くでガルムは酒を飲みながら面白そうに見ており、蒼崎は女性の亡霊達の美しさに鼻から多量の愛情を噴き出している。

 

「さっきから言うが、私は男だと言っているだろ……な、ちょ、えぇい服を掴むな!!」

 

『えぇ~良いじゃな~い♪ ちょっとだけよ、ちょっとだけ』

 

『『脱がしちゃえ~脱がしちゃえ~♪』』

 

『し、失礼します…!』

 

「やめい!! 脱がそうとするな、ちょ…もう嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「ほっほう☆ これまた良いのが撮れるぞー!!」

 

「そうだろそうだろ? いやぁ~酒のネタに困らんよ」

 

「ぐふぅ……ナ、ナイスハレンチ…!!」

 

Unknownは再び巫女服を脱がされそうになり、kaitoとガルムは二人で楽しそうにデジタルカメラで撮影を続けており、蒼崎は鼻から愛情を噴きながら親指を立てている。

 

「「「…どうしてこうなったし」」」

 

あまりの光景に、思わず口も揃ってしまうデルタ達であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、病院の手術室では…

 

 

 

 

 

 

 

 

『ウ、ク…ウゥゥゥゥゥゥゥ…』

 

既に悪霊と化していた雲雀が、泣きながら手術室の隅にうずくまっていた。

 

『許サナイ……絶対ニ許サナイワヨ、ウルティムス……ウルティムスゥ…!!』

 

未だにディアーリーズに対する怨念を呟く雲雀。そしてディアーリーズの名前を呼ぶたびに、彼女の全身から出ているオーラが少しずつ強力になっていく。

 

『今度コソ、アナタヲコノ手デ消シテヤルワ……絶対に…!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「残念ながら、それは無理かと」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『!?』

 

その時だった。

 

竜神丸の振るった大鎌で、雲雀の身体が一瞬で切断されたのは。

 

『ガ、ァ…ッ!?』

 

「ふむ、妙ですねぇ? 何だか先程から、亡霊達をちゃんと冥界に送れている気がしないのですが…」

 

『ア、アナタハ……一体…』

 

雲雀は黒い塵となって、その場から消滅。しかし竜神丸はあまり嬉しくなさそうな表情をしていた。

 

「…まさか、何処かに吸い寄せられている?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴーストショッカーの集まる、洞窟内部…

 

 

 

 

 

 

『フフフフフ…』

 

不敵に笑うアザゼルの真上を、竜神丸に斬られた雲雀の魂が浮遊。そしてとある方向へと吸い寄せられていく。

 

『モットだぁ……更に亡霊達のエネルギーを収集し、異界の鍵ヲ完成させるノダ…!!』

 

アザゼルの目の前に浮いている、禍々しい形状をした黒い“鍵”。

 

そこに今、雲雀の魂が吸収されていくのだった。

 


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