No.687934

義輝記 蒼穹の章 その七

いたさん

義輝記の続編です。 よろしければ読んでください。 
5/20、加筆修正しました。

2014-05-19 22:35:33 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1381   閲覧ユーザー数:1240

【 曹操軍逃避行 の件 】

 

〖 官渡と汝南 中間地点 にて 〗

 

華琳「………予想以上に進軍速度が遅いわね。 一体何万の数がこちらに付いて行動しているの!?」

 

桂花「はっ! 一刀の説得により、徐州経由で逃走するように命じました。 劉延達が連れ出しましたので、我が方は約三万規模の軍勢になります!」

 

華琳「私達を囮扱いにして民達を逃がす……。 癪に障るけど、それしかないわね………」

 

ドタドタドタドタドタドタ!! 

 

曹兵「た、大変です! 十里先(約4㌔)に袁術軍進行中!!」

 

華琳「分かった! 行軍を乱さず道を進め!! 一部の隊は残り、敵進軍遅延策の実行に移す!!」

 

『はっ!!』

 

☆☆★

 

四方は小山に囲まれ、比較的道も穏やかな傾斜である。

 

しかし、急いで逃走した事が分かる衣類、家財道具等が散乱しており、道も人馬が慌てて通行したためか、かなり荒れている。

 

順慶「周辺に注意して進軍しなさい! 曹操は知謀に優れた将、ただ逃走している……なんて甘い事を考えていると………」

 

シューン! パン! パン!

 

袁兵「い、痛ぇ~! 痛ぇ~!!」

 

袁兵「グフゥ────!!」

 

順慶「………て、なりますわよ? 分かりましたか?」

 

筒井順慶は、前方に並び、自分を見て卑下た笑いを浮かべる兵二人を張り倒した。 それを見て恐れおののく袁兵達。

 

順慶「あっ!? 颯馬様に愛でて貰うハズのこの手に、別の『殿方』の汗が……颯馬様に嫌われてしまいますわ!!」フキフキ フキフキ

 

腰に巻いた帯より布を取り出し、手を拭く順慶。

 

戦勝軍とは思えぬ、緊迫感に満ちていた軍だった………。

 

《 追討軍……約十万 将……筒井順慶 》

 

因みに、この追討軍に久秀の術は使用していない。

 

理由は簡単で、融通が効かない事。 それと、久秀の美学に反する大嫌いな術だからである。 

 

この術を使用すれば……相手の意識を奪い、命じる事のみ繰り返す忠実な『玩具』になる。 

 

如何にも久秀が好きそうな術だが………久秀は、自分に反抗的な人物が居れば、調教・情け・恫喝・物品・金・快楽で少しずつ反抗心を削ぎ落とし、次第に久秀が居なければ何も出来ない『玩具』に変える。 

 

その途中で味わう反抗的態度、口調に酔いしれ、その者の態度が日々変わっていく様を見定める瞬間が、絶頂の域に達するのだ!

 

その大事な工程が省かれた術など、面白みがない八百一みたいな物。

 

そんな訳で、極力(きょくりょく)この術は使用しない事にしている。 

 

それに、あの謀を張り巡らす事が得意な将が、ただ無様に逃走するとは思えない。

 

もし、大規模な殲滅型の策を使われると、無謀な死の行進となる。 

 

そのため、意識が明確な兵を恐怖と規則で縛り付けて、操っているのである。 兵にとっては、どちらも迷惑極まわりない事だが。

 

ーーーーーーーーーーー

 

袁兵 1「で、伝令! 前方の小山に旗が翻しているそうです!」

 

順慶「斥候を向かわせ確認! 数人で旗のたなびく所を隈無く捜索! 子細を知らせない! その間、行軍を続けます!!」

 

袁兵 1「はっ!!」 ダダダダダダッ!!

 

順慶「……ただの偽計? それとも何かしら策を?」

 

袁兵 2「報告します! 先程の小山に対する山より狼煙が上がっているそうです!」

 

順慶「そこにも、早急に斥候を向かわせなさい! 全ての怪しい所は私に報告後、捜索を向かわせるのです!」

 

袁兵 2「ははぁ!」ダダダダダダッ!

 

順慶「大規模な策? それとも陽動?」

 

袁兵 3「筒井様! 先程の者達が戻って参りました。 敵陣に兵は存在せず! 辺りにも居ないとの事です!!」

 

順慶「ならば、先行して様子を確認するように!!」

 

袁兵 3「直ぐに向かわせます!!!」

 

順慶「(騎馬隊だけで率いて追尾すれば、もっと早く補足できますのに……。 いえ! 相手も万単位の精兵を有する者達。 

 

ここは……数の有利を消して乾坤一擲の攻撃を仕掛けましょうか? 

 

それとも、数の利を押しながら堅実に行動すべき……?) 

 

────あぁん!! 颯馬様! 順慶は、順慶は!! どうすればいいのでしょうか!?」フルフルフル!

 

袁兵 2「あ、あの……筒井様? 伝令が戻りました……が?」

 

ピタッ!

 

順慶「………何かありまして?」

 

袁兵 2「ぜ、前方で曹兵が、材木を井桁に組み込み、火を焚いているとの事です!! 『………他には?』 ──はっ?」

 

順慶「……他に可笑しな所は、無かったのかと聞いているのですよ? 例えば、わたくしと颯馬様の交流場面を観たとか?」ギロッ!

 

袁兵2 「そそそ…………そ、そんな事は御座いません!!!」

 

順慶「……取りあえず、先に様子を視に行きます!」

 

袁兵 3「はっ!」ホッ!

 

順慶「────ですが、もし…噂が流れれば、この世から消えて貰います!!」

 

袁兵2「はぁ、はい!!!」

 

◆◇◆

 

【 華琳と麗羽の撃退策 の件 】

 

〖 同地点 街道 隘路 にて 〗

 

雛里『……汝南に向ける街道に一つ難所ありましゅう! 両側の一方は切り立つ崖、もう片方は断崖絶壁。 

 

街道を向かうに人の通行、平行して二人以上通行不可能! ここなら、大軍を迎撃するには、持ってこいですよぉ~!! あわわわ!!』

 

 

雛里が示した絶好の隘路で敵の到着を待つ!!

 

華琳、一刀が井桁に組んだ五個の木材に火を点火する。

 

着火材になる松脂を付けているため、早めに燃え広がった。

 

ボォ! ボオォォ!! ゴゴゴゴ~~!

 

タッタッタッタッタッタッ──!!

 

華琳「秋蘭! 桃香! 『莢○○』を採集してきた!?」

 

桃香「うん! もちろんだよ!!」

 

秋蘭「華琳様! この通り……!」

 

華琳「花が○に似て、葉が○に似る。 そうね! 間違いないわ!」

 

華琳が莢○○を受け取ると、気を付けて持つ。

 

一刀「まさか……袁本初……いや、麗羽が……よくこんな植物を知っているもんだよなぁ……?」

 

華琳「………私も……驚きよ……!」

 

一刀「えぇ!! 麗羽は華琳の友達だったんだろ!?」

 

華琳「あのねぇ! 私達は名のある家の娘よ!? そうそう遊びに行く暇など無いの!! 学問や武術やら礼儀作法やら、色々忙しいかったんだから!!!」

 

一刀「……………花嫁泥棒………」

 

華琳「ちょっ!!! なんで貴方が───その事を!?」

 

ザザザザザザッ! ザザザザザッ!

 

麗羽「我が君! お待たせ致しました! これだけあれば宜しいと思いますわよ!!」

 

一刀「あぁ! ご苦労様、麗羽!! 怪我はなかったかい?」 

 

麗羽「ありがとうございます。 元々汝南はわたくし達袁家の膝元。 小さい頃は、勉学ついでに遊んだ所ですもの。 それに、毒草の知識も暗殺を防ぐ為に学んだ事。 お役に立てば嬉しいですわ!!」

 

華琳「───フゥ、こんな逸材が傍に居たのに、気が付かない私って………」

 

季衣「華琳様! 言われた通り、旗と狼煙を実行しましたよ!!」

 

華琳「あ……ありがとう、季衣! どう? 相手の様子は?」

 

季衣「将は多分一人だけ…かな? 白色の服、黒色の布を頭に付けた金髪の御人形みたいな女の子でした!! ボクを見つけるために斥候だしながら、どんどん進んでくんだもん! 追いつくのが大変で…!」

 

一刀「真桜と沙和、朱里が言っていた『化け物』か………」

 

華琳「念のため、伏兵も用意したけど……」

 

麗羽「今の時期だと、もう少しで……この場所が風上に変わりますわ。 時間を合わせる為に遅延工作をしたのですが……敵もやりますわね? 行軍しながら調査させるなんて………!!」

 

華琳「私なら、騎兵隊を選抜して昼夜兼業で追いつくわよ? その時はどうする気だったの?」

 

麗羽「簡単ですわ! 華琳さんと同じように、この地点に伏兵を置き討ち取って差し上げますわよ!! オーッホッホッホッ!!!」

 

華琳「……………(--#)」ムカムカムカ

 

一刀「あぁ───! ほらほらっ! 敵影が見えてきたから、準備準備!! ──季衣! 桃香を連れて、早く皆に合流しろ!!」

 

季衣「桃香ちゃん!! ほら、早く早く!!!」

 

桃香「華琳様! 秋蘭さん! 麗羽さん! ……そして一刀さん! 絶対に、絶対に───来てくださいね!!!」

 

華琳「……大丈夫よ。 桃香を残して逝かないから…。 私は貴女と愛紗を閨に呼び込むのも、野望の一つに入れてるの!!」

 

秋蘭「早く行くがいい……愛紗や鈴々が心配している。 同じ天然ボケの姉を持つと……苦労話に共感を覚えてしまうのでな」

 

麗羽「我が君は、わたくしが命に替えてお守りしますわ!」

 

一刀「……桃香! 必ず……また会おう!! 季衣! 頼むよ!!」

 

桃香「……何か一部、酷い言われ方されているけど、絶対だよ!!」

 

季衣「わかった! 必ず会おうね!!」

 

タッタッタッタッタッタッ!

 

◆◇◆

 

【 代償の末 の件 】

 

〖 同地点 にて 〗

 

順慶「ふふふ、あそこに居るのは……曹操と『北郷一刀』!! 老師から受けた命令を果たす良い機会!! 全軍! あそこに居る愚か者達を討ち取りなさい!!」

 

『オオォォォゥゥ───!』

 

………と言っても狭隘の地。 百人行っても混雑で動けない、まるで満員電車に乗り込んでいるような光景。

 

その《押し競饅頭》状態の狭隘を、二人の美少女がニヤリと笑う。

 

華琳「そろそろね?」

 

麗羽「………風も……狭隘に向けて吹いてきましたわ!」

 

形のいい唇に人差し指を少し入れて、すぐ外に出し風の向きを調べる。 少し艶っぽいと思ったのは、俺が欲求不満だから……じゃなく

男の本能だ! 絶対!!

 

秋蘭「……では、投入します! 北郷! 莢○○を小分けして、放り込め!! 絶対、燃えた煙を吸うな!!!」

 

一刀「それっ!!!」

 

バサバサッ!! シュッ~……ボッ! 

 

ボボボボボッ!!  シュッ~~~!!!

 

火に投入した莢○○が燃えて、黒々な煙が袁兵に向かう……。

 

そして、少し経つと袁兵達の様子が…………!!

 

袁兵 6「うっ!? ぐ、ぐるし~いぃ!! ウゲェ!!」

 

袁兵 7「腕が~!! 足が~!! 動かねぇ………」

 

袁兵 8「ゲエェー!! ゲホォ! ゲホォォ!!!」

 

麗羽「策が成功したみたいですわね! 我が君!!」

 

華琳「全軍!! 汝南に向かい転身!! 火が収まる前に逃げるわよ!!」

 

秋蘭「北郷! 残りを全部ぶち込んで、我々は退散するぞ!!」

 

一刀「なんだか、よく分かんないけど……了解!!」

 

俺は適当に莢○○を放り込み、馬に乗り逃げる準備をし………!!

 

 

 

ドゴオオォォォーーーーンン!!!

 

 

 

バキッ! ザシュ! シュ───!

 

 

『ぐわわゎゎゎ!!』

 

『順慶さーーやめぇーー!!』

 

『ヒ、ヒィーーッ! ギャァァァー!!!』

 

 

グシャ! グシャ!  ブチブチ!!

 

 

ーーーーーーー

ーーーー

 

 

ブーン! ブゥ─────ン!!

 

 

 

───────ドスン!!!

 

 

隘路からの突然の大音響! 多くの人間の断末魔!

 

そして──肉を破壊する──生々しい破壊音

 

その後……何かが……急速に接近して……俺のすぐ横に……

 

……丸い物が……落ちてきた……!

 

嫌な予感がしつつも……視線を向ければ………

 

 

 

口を大きく開き、目から血の涙を流す……袁兵の……頭………!!

 

 

 

 

一刀「うわあぁぁぁ──!!!!!!!」

 

 

 

俺の叫び声に、逃走準備中の華琳達が、俺に顔を向ける!! 

 

華琳「かず────なっ!!」

 

秋蘭「──────化け物がぁ!!」ガチャ!

 

麗羽「────お下がり下さい!!!」

 

 

三者三様の反応を見せ、隘路を皆で注目する!!!

 

 

『………毒草を燃やし……人体に嘔吐、麻痺を引き起こさせる……なんて……考えましたわね? しかも……狭隘な地で……行う事により行軍不能に………陥らせる。 ……おかげで動けない兵を……排除しないと……通過できませんわ!!』

 

シュ─────! トッ!

 

突然! 煙渦巻く隘路から一人の将が飛び出す!! 一里(約四百㍍)ぐらいの距離を、ひとっ飛びで半分以上縮めて、ユックリと此方に向かってきた!!

 

順慶「お初ですわよね…わたくしは『筒井順慶』と申しますわ!」

 

華琳「……黄巾賊討伐戦で虐殺を繰り返し、趙子竜を手玉にとった将が貴女なのね? そんな将が、なぜ私達を追撃しするのか白状してもらうわよ!!」チャキ!

 

順慶「……貴女達の存在が………颯馬様の運命を、私達の運命を狂わせた元凶! ………どのみち話したところ、貴女達に分かるまい!」

 

一刀「あ、貴女も、天城様と同じ別世界の戦国武将なのか!?」

 

順慶「……何となく颯馬様に雰囲気は似ていますわ。 だけど……あの方には、とても及びませんわね? 確かに、わたくしともう一人が颯馬様を慕い、この地に参りましたわ。 

 

しかし、目的は……もう一つ。 この世界の英雄と北郷一刀、貴方の抹殺ですわよ!!!」

 

一刀「な、何で!! どうして俺達を!!!」

 

順慶「………今から死に行く者に、これ以上……お話しする事などありません。 それから……覇王とは貴女の事? はぁ~。 この世界の英雄とは……何と矮小な者ばかりなんでしょうね……」

 

華琳が…全身に覇気をめぐらし対峙、すぐ横では…秋蘭が何時でも弓を射てるように構え、麗羽が俺を守るように前に出る!

 

俺は、そんな中……武者震いを起こす足を強制的に停止させ(持っていた刀の鞘で何回か叩いた)、丹田に気を練りながら様子を窺う。

 

『筒井順慶』……普通に見れば、可憐な美少女と呼ぶに相応しい将だが、見た目で騙されると危ない。 ……身体には返り血が飛び散り、顔は無表情に近く、周辺には得体の知れない気配が流れる。

 

それに……片方の手には、何も持っていないが、もう片手には……血だらけの首を無造作に持っているからして、残虐性が分かるのだ!

 

シュッ──ン!  ガッ!

 

先手必勝とばかり秋蘭が矢を射る! ……しかし、難なく持っていた首で防ぐ。 矢は首の額を貫いていた!

 

華琳「この曹孟徳を! 見くびるな───!!」

 

いつの間にか得物の『絶』を構え飛び込みが────

 

ドスッ!!

  

華琳「ゴフッ!!」 ゴロゴロ バタン!

 

順慶「……このくらいの挑発に乗るのが、矮小だと……何故、分からないのでしょうか? 加減はしましたわ、貴女は最後に殺して差し上げますから……そこで見物していなさい!」

 

華琳の鎌が上から振り落とされるのを視るや、上半身を後ろに反らして避け、その反動を利用して持っていた首を、華琳の腹に当てた!

 

秋蘭「華琳様!! ───!?」

 

順慶「貴女の弓は邪魔! 消えなさい!!」

 

秋蘭「─────!」

 

順慶は、グチャグチャになった頭を捨て……秋蘭の背後に廻り込む!

 

そして、初めて顔に『笑み』が浮かび、右手刀を掲げた!

 

順慶「まずは、ひと────ハッ!?」 

 

『チエエェェェ──イイィィィ!!!』

 

シュッ──ン! ザシュ!!  

 

俺は────瞬時に動き、動作が止まった順慶に、野太刀自顕流『抜き』の斬り上げを敢行する!! この世界に来てからも練習を続けたお家芸だ!! 『雲耀』は無理だが、それに近い早業だったはず……なのに!!

 

……フワッ  トッ!  

 

一刀「そんな!! アレを跳んで避けるのかぁぁ!?」

 

順慶「恐るべし業ですわね……! 一番弱いと侮ってしまったのが私の過ち!! その命……最初に奪わせていただきますわ!!」 スッ!

 

秋蘭「ほ、北郷………逃げろ!!」 ガクン!

 

麗羽「我が君──『ドン!』 ウッ─!!」 

 

華琳「一刀────!!」

 

俺の全身全霊の『抜き』が、まさか避けられるとは思わず……しかも、力を使い過ぎたため、動く事が適わない!

 

秋蘭は、緊張のあまり身体の力が抜け、助けに入ろうとした麗羽に、順慶は近くに落ちていた最初の兵の首を蹴り、麗羽に当てて動きを止めた!!

 

華琳も身体が動かず、此方に顔を向けて俺の名前を叫ぶのみ!!

 

順慶「これで、老師との命令が果たせます…………」

 

可愛い女の子の醜悪な笑顔が、俺の最後に見た風景か……と、ぼんやり考えていた。 

 

桃香……ごめん。 約束守れなかった。

 

季衣………兄ちゃん、先に逝くよ。 流琉と何時までも仲良く……

 

 

シュッ──────ン!  バン!!

 

(片膝を着く一刀の頭に、手刀を振り落とそうとした時、一本の矢が順慶に向かい、順慶が手刀を返して落とす!!)

 

順慶「───誰ですの!?」

 

 

 

ドドドドドドドドドドッ!

 

左校「御遣い様!! 早く!! 今のうちに逃げてください!!」

 

《 左校隊……五百人 》

 

 

 

ドドドドドドドドドドッ!!

 

大洪「旦那は死んじゃならねぇお人だぁ!! 青州の仲間達を!! 家族を!! 幸せにして──おくんなせぇ!!!」

 

《 大洪隊……五百人 》

 

 

あれは………青州黄巾賊の!!

 

 

ヨロヨロ ヨロヨロ バタン!

 

華琳「ゲホッ、ゲホッ!! わ、私が置いた伏兵よ……! 一刀の身が心配だと志願して来たから、今回の計略に組み込んだの!」

 

秋蘭「か、華琳様! 早く!!」

 

秋蘭は、華琳を急いで馬に乗せ、俺も乗るように…即す?

 

助けに来てくれた彼奴等は───!?

 

一刀「おい! 彼奴等を見殺しに───!!」

 

パシィ──ン!!

 

『するのか!!』と、最後の言葉をあげる前に、頬を叩かれた!! 瞬時に頬に走る痛みに、我に返って叩いた相手を見れば………。

 

そこには……涙を流しつつ、俺を見つめる麗羽の姿。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

順慶「退きなさい! 穢らわしい!!」

 

青州兵「ここから先! 通させねぇ!!」 ブン!

 

順慶「────ふん!」 シュッ!

 

青州兵「グワァッ!!」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

麗羽「我が君! あの者達の志、無駄には出来ません!! お叱りは後でいただきます!! 今は一刻も早く、この場を立ち去らなければ───」

 

一刀「──────くっ!」

 

俺達は…………この場を伏兵の皆に任せ………汝南に向かった…………

 

向かうしか………なかったんだよ! 

 

あの命懸けの志に報いるには……それしか──!!

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

順慶「待ちなさい!!」

 

順慶は追いかけようとするが、立ちはかだる者達は幾人も現れる! 幾ら痛めつけても、仲間を殺害しても、闘志が揺るぎる事なく…………

 

左校「あの方は、俺達を導く方だ!! 絶対に行かせん!!」

 

大洪「旦那!! 後を頼みましたぜぇぇ──────!!!」

 

二人は、ボロボロの姿になりながら、最後に一刀が向かった方向へ軽く一瞥したのち、最後の突撃を敢行していった──────

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

前作に御不満な方、申し訳ないです。

 

作るたびに頭を捻りつつ、考えるのですが……難しいものです。

 

そんな訳で、前作投稿後に早くも作り始め、早めの投稿になりました。 今回、華琳版長坂の戦いをと考えていたら、こんな具合にできましたので、不出来の前作より納得いかれるのでは……と思っています。 

 

 

作品中の植物は、実在する物ですので伏せ字で対応しました。

 

効果は、作品中の症状以上との事。 悪用されると大変ですので。

 

また、よろしければ、どうぞ読んでください。

 


 
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