No.686286

リリカルHS 39話

桐生キラさん

こんにちは!
今回で幽霊編はラストです!

2014-05-12 21:32:11 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:2144   閲覧ユーザー数:1893

 

 

 

 

 

 

やって来たのは俺の実家。

俺は急いで部屋を出て、父さんを探し始める。そして居間にやって来ると…

 

士希「父さんいるか!?」

 

詠「うお!?び、びっくりしたー」

 

月「ど、どうしたの士希君?そんなに慌てて…」

 

居間に居たのは月姉さんと詠姉さんだった。父さんは、どこだ?

 

詠「士希?って、あんたその頭どうしたのよ?」

 

今はレーゲンとユニゾン中だからな、銀髪の俺が気になるのだろう。

だが、詳しく話す暇はない

 

月「あの、零士さんなら今出張で呉に居るけど、どうかしたの?」

 

呉だと?クソッ!間が悪いにも程があるだろ!

 

詠「一体何があったの?」

 

二人は心配した様子で気にかけてくれたが、俺には余裕がなかった

 

クソッ!クソッ!クソッ!俺はあの親子に何もしてあげれないのか?

………いや、ちょっと待て!もしかしたら詠姉さんなら…

 

士希「詠姉さん!あなた写真が趣味でしたよね?」

 

詠「え?えぇ、まぁ」

 

士希「なら、幽霊を写し出すカメラを持っていませんか?」

 

そう、俺が探しているのは、ちょっと特殊なカメラ。

確か父さんが趣味で作ったはずだが…

 

詠「射影機のこと?確かに手元にあるけど、どうするのよ?

ていうか、あんたそんな物なくても確か視えたわよね?」

 

ビンゴ!俺の運もまだまだ尽きてないみたいだ

 

士希「今すぐ貸して下さい!事情は返す時に話すので!」

 

詠「んー?まぁいいわよ」

 

詠さんは立ち上がり、射影機を自室から持って来てくれた。

とても古いタイプのカメラ。せめてこれであいつらに…

 

士希「ありがとう詠姉さん!」

 

詠「いいわよ。どうせまた、人助けか何かでしょ。ほんと、あんたら親子はそっくりだわ」

 

月「ふふ、気をつけて行ってね、士希君」

 

俺は頷き、再び転移魔法陣を展開させ、転移を実行した

 

 

 

 

フェイト「あ、おかえり士希。どこに行ってたの?」

 

自室に帰ると、みんな律儀に待っていてくれた。

そんな光景を見て、俺は早速射影機を試してみた

 

 

パシャ

 

 

アリシア「ん?カメラ?」

 

リニス「ずいぶん古いタイプの物ですね」

 

プレシア「まさか、それで私達が写るとか?」

 

三人は少し元気はないものの、興味津々で聞いてくる。

俺は微笑み、早速出来た一枚を見せてあげる

 

フェイト「え?これって…」

 

アリシア「うそ…」

 

そこに写っていたのは、幽霊三人組。フェイトにもしっかり視えている。成功だ

 

リニス「まさかこんな物があるなんて…」

 

プレシア「あなた、これを持ってくるためにわざわざ?」

 

士希「あぁ、必要だろ?和解記念に。さぁ、さっさと並べ」

 

俺は三人とフェイトを有無を言わさず並ばせる。全員戸惑うも、しっかり従ってくれた。

フェイトを椅子に座らせ、彼女を挟んで右側にアリシアちゃん、左側にリニスさん、

そしてフェイトの後ろにプレシアさんと言う並びになった

 

レーゲン「(しきさんの視えている世界、今の僕なら視えています。

何故しきさんが必死だったのか、この光景を視ればわかります)」

 

ユニゾン状態だと、レーゲンも俺の視えている世界が視えているようだ

 

士希「(家族が不幸であることはあってはならない。

どんな家族も、等しく幸せにならなきゃダメなんだ。

だから俺は、その手伝いをする。こいつらの涙と、笑顔と、想いを残すために)」

 

フェイト「なんか、ドキドキする」

 

アリシア「一生物の宝物確定だね!」

 

リニス「偶然の出会いだったけど、本当に運命だったのかもしれませんね」

 

プレシア「…士希、礼を言うわ。見ず知らずの他人にここまでしてくれるなんて…」

 

確かに、他人かもしれない。

だがこうして知り合い、触れ合い、そして彼女達の想いを知ったのだ。

何かをしてあげたいと思わずにはいられない

 

士希「いいか?撮るぞ?みんなしっかり笑えよ?3…2…」

 

プレシア「…ごめんね、フェイト」

 

フェイト「…!?」

 

士希「…1」

 

 

パシャ

 

 

俺は出来上がった写真を確認しようする。すると…

 

フェイト「母さん!私は母さんを恨んでない!

あの時の母さんが必死だったことは知ってたから!余裕がないのもわかってたから!

それに私は、少しでも母さんに笑っていて欲しかったから!

優しい母さんが大好きだったから!だから、謝らないで!」

 

プレシア「フェイト…聞こえて…」

 

写真を撮る直前、プレシアさんは確かに謝罪の言葉を言っていた。

それが、フェイトにも聞こえていたのだろう。

出来上がった写真のフェイトは少し驚いた表情をしている

 

フェイト「母さんの気持ち、わかってるから。だから、安心して…

私は、フェイトは、プレシア母さんの事を心から愛しています…」

 

プレシア「フェイト!」

 

フェイトとプレシアさんは再び抱き合う形になった。

最後の最後に、この二人は通じ合えたんだと思いたい。

たった一瞬の奇跡かもしれないが、それでもきっと、

フェイトにはプレシアさんの言葉が聞こえたんだろう

 

レーゲン「(ハッピーエンド…ですね…)」

 

士希「(みたいだな。俺もこれなら…)」

 

 

 

 

ガッシャーン!!

 

 

なのは「フェイトちゃーん!!」

 

アルフ「どこだいフェイト!!」

 

なんかいい感じに終わりそうだったのに、最後の最後で、

なのはとアルフさんがうちの窓を破って現れた

 

フェイト「な、なのは!?」

 

なのは「いた!フェイトちゃん、大丈夫!?どうしてフェイトちゃんが泣いてるの!?」

 

アルフ「な!?誰に泣かされたんだい!?」

 

フェイト「え?あ、これは…」

 

士希「おいお前らちょっと待て!何人ん家の窓破って登場してやがる!?」

 

なのは「士希君?……ふーん、へぇー、そういうこと?

士希君、ちょっとお外で『おはなし』しようか?」

 

士希「え?」

 

アルフ「あたしも付き合うよ、なのは!フェイトを虐めるやつは許さない!」

 

あれ?これって、俺がフェイトを泣かした事になってんの?

 

フェイト「ちょ、ちょっと待ってなのは!士希は…」

 

なのは「ふふ、相変わらずフェイトちゃんは優しいなぁ。泣かした人を庇うんだもんなぁ。

でもね、フェイトちゃん、もう大丈夫だから。

フェイトちゃんの敵は私がスターライトブレイ狩るから」

 

士希「ちょ、ちょっと待て!それが何かは知らないが、何か不吉な予感が……

クソ!戦術的撤退だ!」

 

なのは「逃がさないよ!アクセルシューター!!」

 

俺が外に逃げると、直後に無数の魔力弾が四方八方から飛んでくる。

俺はこれを手持ちのナイフを使って撃ち落としていくが…

 

なのは「ディバイン・バスター!!」

 

士希「それは無理!!」

 

直射砲は防ぎきれないと判断した俺は回避行動を取る。すると…

 

士希「な!?バインド!?」

 

アルフ「やっちまいな、なのは!!」

 

避けた先でバインドを受けてしまった。どうやらアルフさんのバインドらしい。

しかもこれ、なんか解けねぇ!!今まで攻撃しなかったのは、バインドを強化する為か!?

 

士希「レーゲン、助け…」

 

レーゲン「しき隊長!ご武運を!」

 

いつの間にかユニゾン解除していたレーゲンが敬礼していた

 

士希「テメェ、レーゲン!裏切んな!」

 

俺はチラッとなのはを見る。するとあいつは、辺りに散らばった魔力を収束し始めていた。

ヤベェヤベェヤベェ!!あいつどんだけ溜めてやがる!?

 

なのは「星の光……スター・ライト!!」

 

士希「クソーー!不幸だぁぁぁぁぁ!!」

 

なのは「ブレイカァァァァァ!!!」

 

桜色の光が俺を包み込む。やっべ、ピンクがトラウマカラーになりそう…

 

アインス「む、あの光はNANOHAか」

 

はやて「うわっ、あれスターライトブレイカーとちゃうん?

チラッと士希が見えた気がしたけど、大丈夫かな」

 

ヴィータ「なんだかんだ、平気なんじゃねぇの?」

 

リイン「ですねー。士希さん結構頑丈ですし」

 

シグナム「クククッ、ふふ…」

 

シャマル「シグナム、あなた笑いすぎよ」

 

ザフィーラ「今度、あいつに見舞いの品を持って行くか」

 

 

 

 

士希「はい、何か言うことは?」

 

なのは・アルフ「申し訳ありませんでした…」

 

収束砲の直撃を受けた俺はしばらく気を失っていた。

そして気づけば、なのはとアルフさんが申し訳なさそうな顔でこちらを見ていた。

フェイトから事情を聞いたらしい

 

士希「てか、よくここにフェイトが居るってわかったな」

 

なのは「あ、私、フェイトちゃんが何処にいようが絶対わかる自信あるよ」

 

アルフ「そしてフェイトが悲しんでいるってのもなんとなくわかる」

 

なんのニュータイプだよ、こいつらは

 

リニス「ふふ、アルフもしっかり私の教えた魔法を使えているようで安心です」

 

プレシア「ま、フェイトの使い魔としては及第点ね」

 

アリシア「ていうか士希さん、あんな収束砲撃受けて、よく生きてたねー」

 

シリアスパートで受けていたら、間違いなくお前らの仲間入りをしていただろうな。

なのはがギャグ要員で助かった…

 

フェイト「あ、紹介するね。こちらが高町なのはさん。私の、恋人です!」

 

なのは「え?ど、どこにいるかわからないけど…高町なのはです!

フェイトちゃんを愛しています!フェイトちゃんをください!」

 

何言ってんのこの人?

 

フェイト「く、くださいだなんて…」

 

そしてフェイトも、何顔赤らめてんの?

 

リニス「まぁ、覗いてたから知ってたんですけどねー」

 

アリシア「ちゃんとフェイトの事も守ってくれるみたいだし、私はいいと思うなぁ」

 

プレシア「自由になさい、フェイト。ていうか、私が何を言っても聞かないでしょ?

あなたは私に似て、少し頑固な所があるし」

 

幽霊三人組は俺の方を見る。え?これ言わなきゃいけないの?

 

士希「えと、自由にしろだって」

 

なのは「ありがとうございます!さ、フェイトちゃん行こ!今夜は寝かさないよ!」

 

フェイト「え!?な、なのはぁ…」

 

アルフ「一件落着だね。じゃあね士希!」

 

そう言って、あいつらは飛んで帰っていった。

ホント、なんだよこれ…なんだこの台無し感…

 

フェイト「(士希!今日は本当にありがとう!士希には本当に感謝してもしきれないよ。

母さん達に会わせてくれて、本当にありがとう!この恩は必ず返すから!)」

 

突然フェイトから念話が飛んでくる。

俺は驚きつつも、彼女の言葉を聞いて、少しだけ、満たされた感じがあった

 

士希「(気にすんな。俺が好きでやったことだ。

しばらくはいると思うから、いつでもうちに来い。歓迎するよ)」

 

フェイト「(うん!本当にありがとう!士希は優しいんだね!)」

 

そう言ってから、念話が聞こえて来ることはなくなった。

俺は少しだけ照れてしまうものの、この視えてしまう体質と言うのも、悪くないと思えた

 

 

 

 

はやて「うーん…なんや寂しなるなぁ…」

 

士希「まぁ、いいんじゃねぇの?どうせ来年も来るだろ」

 

数日後、幽霊組が帰る日がやって来た。

この日までの間も、フェイトだけに留まらず、なのはやアルフさん、

八神家も毎日のようにうちを出入りしていた。

俺がバイトで家にいない間も、はやてから合鍵を受け取り勝手に来ていたらしい。

一歩間違えたら犯罪である

 

アリシア「士希さん、この数日間、本当にお世話になりました」

 

リニス「この恩は、必ずどこかでお返しします」

 

プレシア「あなたのおかげで、フェイトと和解できた。本当に、感謝するわ」

 

アインス「士希、主はやてを頼むぞ。もし泣かせたりしたら、呪うからな?」

 

なんか最後におどされたが、幽霊組に感謝されてしまった

 

士希「き、気をつけます…それと、向こうでも元気でやれよ。

うちにはいつでも来ていいからさ」

 

煩わしい、と思っていたことも確かだが、こいつらと過ごす時間もそれなりに楽しかった。

今こうして別れが来た時に、一抹の寂しさを覚える程には、こいつらの事を好きになったんだと思う

 

はやて「そっちにおるんやな?アインス!また来てな!

私ら八神家は、いつでもアインスの帰りを待っとるで。

アインスも、私の家族の一員なんやでな!」

 

アインス「はい。必ずまた来ます!主はやても、お元気で」

 

俺はリインさんの言葉を伝える。それを聞いたはやてと彼女の家族は満足気に笑っていた

 

フェイト「母さん、お姉ちゃん、リニス。また、会いに来てね。いつでも待ってるから」

 

なのは「私がフェイトちゃんを守ります!だから安心してください!」

 

リニス「ふふ、では頼みましたよ。フェイトは良い子と一緒になりました」

 

アリシア「そうだね、お姉ちゃんも安心だ。元気でね、フェイト!」

 

プレシア「ダメな母さんだったけど、これからも精一杯あなたを見守るわね。

幸せにね、フェイト」

 

俺はフェイトに彼女達の言葉を伝える。フェイトもなのはも、とても嬉しそうに頷いてくれた

 

アインス「では、そろそろ…」

 

アリシア「そうだね、帰ろっか」

 

リニス「今年は楽しかったですね」

 

プレシア「そうね、とても有意義だったわ。士希、本当にありがとう。

それじゃあ、フェイトをお願いね」

 

そう言って四人の体は徐々に薄れていく

 

士希「あぁ、こっちも楽しかった。また、来てください」

 

俺も別れの言葉を告げると、四人は微笑み、そして消えていった。

俺の眼には、もう幽霊は映っていない。どうやら俺自身も、この期間限定の能力を失ったようだ

 

はやて「もう、行った?」

 

士希「あぁ、ちゃんと笑って、帰って行ったよ」

 

なのは「そっか、よかった」

 

レーゲン「さみしく、なりますね…」

 

ヴィータ「なんか、少し湿っぽいな」

 

リイン「そう…ですね…」

 

シグナム「どんな出会いにも、別れはやってくる。最後に笑って送れたのだ、幸せではないか」

 

シャマル「そうね。それに、2度と会えない訳じゃ無いってわかったんだし、よかったんじゃないかしら」

 

ザフィーラ「だが、彼らの姿を、声を確認するのは、まだまだ先になるだろうな」

 

アルフ「だな。ていうか、早くてもいけねぇしな」

 

フェイト「………」

 

なのは「…フェイトちゃん?」

 

一人、ただ静かに空を眺めていたフェイトが心配になったのか、なのはは声をかける。

その声に反応し、フェイトはなのはに「大丈夫だよ」と言わんばかりに微笑み、再び空を見上げた

 

フェイト「いつかまた、必ずどこかで…それまで元気でね、みんな!」

 

きっと、彼女のこの言葉も、彼女達に届いているだろう。あの、心優しき、温かい家族に

 

 

 

 

あとがき

 

 

 

どうもこんにちは!なのはシリーズではフェイトが一番好きな桐生キラです!

 

 

 

今回のこの、季節感を無視した地味に長い幽霊話、いかがだったでしょうか?

 

切ない話、というものを書いてみたくて挑戦したんですが、切ない話って難しいですね

 

どういう風に書いたら涙腺を攻撃できるのかわかりませんでした(笑)

 

それに、書いていて気づいてしまったんです

 

あれ?これフェイトにフラグ建っちゃうんじゃね?って(笑)

 

この作品では八神はやてちゃんがメインヒロインなんです!

 

それ以外は認めません!

 

なので、なのはさんに登場してもらいました(笑)

 

ぶち壊しでしたねー(笑)

 

 

 

まぁ、そんな不幸な士希君には、次回でそろそろケジメをつけてもらおうと思っています

 

ご期待してくださると幸いです

 

それでは!!

 

 

 


 
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