No.676531

義輝記 雷雨の章 その弐拾五

いたさん

義輝記の続編です。 よろしければ、また読んで下さい。
4/6 加筆修正しました。

2014-04-05 21:36:25 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1571   閲覧ユーザー数:1365

【 吉報入る の件 】

 

〖 洛陽 宮廷内 董仲穎私室 にて 〗

 

月「あ、あぁ、天城様がぁぁぁ!?!? 本当? 本当に!? そうなの!? 詠ちゃん!!!」ガクガク! ガクガク!

 

詠「ゆ、月! 本当だから………いい加減……止めて……ウップ!」

 

月「ご、御免なさい───!! 詠ちゃん!!!」ペコペコ!!

 

詠「……何か、ボク……前作から、扱い惨くない!?」

 

月「…………………………………」プイッ

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

長慶「失礼致します!」  バン!!

 

 

長慶「月様! 皇帝陛下に言上致しました! 『天城颯馬 生存確認! この洛陽を取り巻く敵を制圧中』と。 陛下方は、安心されたご様子です!」

 

月「長慶さん、良かったですね!! 本当に良かったですね!!」

 

長慶「月様、御言葉……大変有り難いのですが、まだ…洛陽の取り巻く危機が去っておりません!! この危機が無くなり、颯馬や一存、皆が無事に戻られた時、始めて喜べましょう!!」

 

月「あっ! ごめんなさい!! 私は他の方の生還を、願わなくてはならないのに、天城様ばかり願ってしまって……………」

 

長慶「いえ、ここはまだ私室。 月様の思うままに振る舞って頂いて結構。 謁見の場で、周囲に気を付けていただければ、それで……」

 

       パタパタパタパタパタパタ!

 

兵「失礼します! 報告が……」

 

詠「分かったわ。 話を聞かせて…………」

 

月「…………長慶さん! はぐらかさないで教えて下さい!! 『天の国』の私は、どんな人だったのですか!?」

 

長慶「………あ、……いえ、なんと申しましょうか……」

 

詠「月! 長慶! 幾つか報告が入ってるから、謁見の場に入って頂戴! 何やら変な話が入っているのよ?」

 

長慶「…ホッ。 で、変とは……?」

 

月「へぅ~、誤魔化され─────えっ!?」

 

詠「兵達の報告では、反董卓連合の首魁『袁本初』、『曹猛徳』、『北郷一刀』、『袁公路』配下『孫伯符』等の牙門旗が確認されているの!!」

 

 一同『━━━━━━━━━━━━━━━━!!』

 

         ─────スッ!

 

三太夫「それについては、俺から説明させてもらうよ!」

 

長慶「三太夫!? これは、どういう事なのだ!?」

 

◆◇◆

 

【 駆け巡る吉報 の件 】

 

〖 洛陽 北門 にて 〗

 

一存「何だってぇ!? 曹操の部隊が援軍で来てる!? それと……!!! おい!! もう一度言ってみろ!! 『颯馬』が『あの馬鹿』が生きているのかよぉ!? 

 

くうぅぅぅぅ!!! 人に心配掛けさせやがって!! 

 

全部隊!! 曹操隊に呼応して突っ込みぞ!! 

 

あぁ!? 門の守備だと!? そんなもん、全開にしとけ!! 

 

何ぃ………!!   なっ!?!?

 

わ、わかった。 わかったから!! 少人数、残しておいてくれ! 

 

なっ!! 頼む!!!

 

……………姉、姉さんには、絶対に言うなよ! 

 

それと……何だ? 洒落が笑えん!? ば、馬鹿言ってんじゃねぇ!! 突撃するから、サッサッと付いてきやがれぇぇぇ!!!」

 

〖 西門 にて 〗

 

何進「…………………!! 何! 『天城』が健在! こちらに応援の隊を───!? 誠か? 誠にか───!!

 

そうか! そうかぁ!! はぁ─っはっはっはっはっはっは!!!

 

あいつめ………!! 儂にツッコんでばかりいたが、今度は『天城』が『とボケ』おったか!!! 

 

全軍! 伏竜の軍師『天城颯馬』は、あろう事か『洛陽』全域の者に『死んだ』と言うボケを放ちおったわ!! 

 

大将軍何進として、全員に命令だ!! 『 戦って生き残れ!! 』

 

生き残って『天城颯馬』に、神速を超える渾身のツッコミを───喰らわしてやるのだぁぁぁ!!!! 」

 

兵『オオオォォォ────────!!』

 

兵「御注進致します! 門を攻めます白装束の軍勢に向かい、攻め寄せる隊あり!! 牙門旗により、反董卓連合の『袁本初』の隊と思われます!!!」

 

何進「───! あの『天城』の事だ。 何か策を持って動かしたのであろう。 儂等も撃って出る!! 留守居を任せるぞ!!」

 

兵「御意!!」

 

〖 東門 にて 〗

 

小太郎「───────────! ほ、本当ですか!? 三太夫殿より直の伝言!! ───────分かりました! 援軍は孫策軍ですね。 なら、軍を『長蛇』に構えて三部隊に分け、一隊ごとに敵陣にぶつかり、また後ろに戻って下さい。 北条のお母様から教えて頂いた『多陣戦術』……この機に披露させてもらいます!!

 

私は………もう少し……ここに居ますので、貴方は……配下の者に、陣容と………戦術を伝えて下さい………。 

 

少し経てば、行きますから……………!

 

兵「…………(>_<)ゞ」ペコ  ダッ!

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

『颯馬』様………御無事で………御無事で! グスン! 本当に、本当にぃぃぃ~~良かっったぁぁぁぁぁ!! ウワアァァァ~~!!

 

 

◆◇◆

 

〖 北門 にて 〗

 

十河一存隊……四千 曹操軍…約一万 

 

白装束……約一万二千

 

華琳「敵は約一万! しかも将も居ない烏合の衆!! 我らの方が兵数も将も圧倒的に有利!! 洛陽の者達に、我らの戦い振りを御披露するのだ!!!」

 

曹兵「オオオォォォ!!!」

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ドカドカ!  バキッ! ドスッ!!

 

白装束「………………カハッ!」バタッ!

 

春蘭「どけぇ!! 貴様等では相手にならん!! 」ダッ!

 

愛紗「春蘭! 油断するなぁ!! 侮って深追いすれば、囲まれて討ち取られるぞ!!」

 

春蘭「ウグッ!」

 

秋蘭「……姉者、愛紗の言う通りだ! この敵兵は、個人戦より集団戦に力を発揮する。 ………非常に厄介な奴らだ!」

 

愛紗「……………………  ハッ!? 」バァ!

 

??「へぇ── 俺の殺気に即座に反応するたぁ、なかなか…やるじゃねえか!! 黒髪を束ねたネエチャンよぉ!!」

 

        ザッザッザッザッザッ

 

愛紗「誰だ! 名を名乗れ!! 」

 

一存「……この洛陽を守備する『十河一存』だ!! 曹操軍の大将に会いに来たんだが………あれ?……もしかして……義輝様に散々弄ばれちゃたネエチャンって……アンタの事かい!?」

 

愛紗「弄ばれ────!?!? ちょっと待てぇぇいぃぃ!! その如何わしい言い方は─────!! 」

 

秋蘭「名乗り遅れて失礼した! 私は、曹孟徳配下『夏侯妙才』!」

 

春蘭「………同じく『夏侯元譲』だ!!」

 

一存「 丁寧な挨拶……痛み入る 」

 

愛紗「こらぁ!! 無視するなぁぁぁ──────!!」

 

秋蘭「……………愛紗! 名を名乗らないか!!」

 

愛紗「!! ……申し訳ない! 私は『関雲長』と申す!! 」

 

一存「ふ~ん、へぇ~、ほぉ~」ジロジロ

 

愛紗「な、何ようだぁ…………き、急に、人を……ジロジロ……舐めまわすように…………見て…………」ポッ!

 

一存「………話には、聞いてたけどよぉ……。 実際、見ると聞くとは大違いじゃねえか? …颯馬の野郎、俺に嘘吐きやがったな…?」

 

愛紗「どういう事だ!」 

 

一存「………昔、颯馬が『 三国志の『関雲長』は、武名も名高く忠義も厚い素晴らしい将だ! 』と、よく言ってもんだから、生真面目な奴を想像してたんだがな…………。

 

………もし、アンタが『関羽』と言うなら、結構おちょくりやすいし、可愛いな! うんうん、好みだし、断然興味が湧いたぜ!!」

 

愛紗「はぁ─!?!? な、何を、い、言い出す─────!!!」

 

春蘭「……………………………」

 

秋蘭「………十河殿、今は一刻も争う時期! 我々に相談に来たのでは!?」

 

一存「おっと、わりぃ、わりぃ! 俺達の隊が門前で円陣組んでやりあってる! その後ろをアンタ等の軍で攻めて貰いたいんだ!」

 

秋蘭「……挟撃か。 曹孟徳様に伝えよう!!」

 

一存「おう! じゃ、頼んだぜ!!」ダッ!

 

春蘭「…………………………………」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

愛紗「あ、彼奴は……何…を…考えている!! 」

 

秋蘭「……………華琳様の許可が出た! 白装束の軍を囲むため、あの地点まで進軍! それから包囲だそうだ!!」

 

春蘭「………!!」ガクッ

 

秋蘭「──どうした! 姉者!!」

 

春蘭「………だ、大丈夫だ。 『どうせつ』と同じような『氣』を発散させるため……身体が勝手に臨戦態勢に入ろうと……。 動きを抑えつけるのに……力を使いすぎただけだ………… 」

 

愛紗「春蘭、無理なら休んでいろ! お前は、虎牢関で辺允とやらと相手取り、浅からぬ傷を被っている! 彼奴が内、私が外から攻めれば、早々に鳧が付くだろう!!」

 

春蘭「─────しかしだな!!」

 

秋蘭「姉者よ………華琳様が姉者を思うように、私も姉者の身を心配している。 ………私に…我が儘を幾ら言って構わないが……私を悲しませる事は───断じて許さんからな!!! 」

 

春蘭「…………分かった。 では、頼む!」

 

☆☆★

 

〖 西門 にて 〗

 

 

何進隊……四千 袁紹軍…約三万 

 

白装束……約一万二千

 

 

何進「────? あれは、本当に袁本初の隊で、間違えないのだな!? 」

 

兵「はっ! 間違いございません!!」

 

何進「『偃月の陣』からの包囲網。 完全包囲とするかと思えば、我らの方に向かい、逃げ口が開いているではないか!」

 

付属の将「これは……一部包囲網を解除して、あの逃げ口から出る兵を、我らに始末させる無礼な行い! 戦が終わり次第、この事も詰問するべきです!!」

 

何進「…………いや、あれは『囲師必闕の計』だ! 誰かある! あの欠けている陣の傍に、『二段に分けた長蛇の陣』を左右に伏せておけ!」

 

別の将「は!」

 

何進「よいか! 三度程、槍攻撃を終われば、前衛後衛を入れ替えろ! 疲れが癒えた兵を攻撃に向かわせるのだ!!」

 

別の将「承知!!」ダッ!

 

付属の将「何故です! 奴らは、洛陽の皇帝陛下に弓を引いた愚か者! 奴らに命令を送り、単独で処理させれば、良いのではないですか!?」

 

何進「………そのようにして、連合軍に手柄を立てさせ、反乱の罪を軽減させる……天城の策だろうな。 

 

だが、お前の言う通りに、全部を連合軍任せにすれば、洛陽の民は、どう思う…………? 

 

自分達や皇帝陛下を守護する禁軍が、地方の軍閥を頼りにする。 

 

即ち、『 禁軍=有象無象の軍 』となり、洛陽の民は、地方の軍閥に心を寄せる事になる!」

 

付属の将「───────!」

 

何進「儂が一番驚いたのは、あの『袁本初』が、脇役に徹して協力を求めようとした事だ。 自分が主役ではないと、気がすまない奴が………。 果たして、あの心変わりの原因とは…何だろうなぁ?」

 

 

☆★★

 

〖 東門 にて 〗

 

 

風魔隊……四千 孫策軍…約八千 

 

白装束……約一万二千

 

 

穏「ムムム────────!!」

 

冥琳「─────────これは、また!!」

 

蓮華「ふ、二人とも、どうしたの!? 早く援軍を出さなければ、洛陽軍が負けてしまうわよ!!」

 

雪蓮「蓮華、気持ちは分かるけど……もう少しだけ待ちなさい! 

 

祭!! 洛陽軍を救出するため、兵を五隊に分けて。 それぞれ、私、祭、冥琳、穏、明命で率いて戦うから!!」

 

祭「承知致そう!!」

 

蓮華「待って、姉様!! 私も!!!」

 

雪蓮「貴女は駄目! 蓮華は、この戦場を俯瞰して、隊の流れを把握出来るように努めなさい!! 思春は、蓮華の護衛をお願い!!」

 

思春「はっ!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

小太郎「第一陣、突撃!!」

 

第一陣隊「ウオオォォォ────────!!」

 

白装束『───────!!!』  ドオォーン!!

 

 

小太郎「あそこの敵隊列が崩れました! 第二陣、そこに向け突撃しなさい!」

 

第二陣隊「ドオオリャアアァァァ!!!」

 

白装束『ーーーーーーーーーーーー!!』 ドドオォォーーン!

 

 

小太郎「第三陣! 止めを刺しますよ! 突撃!!!」

 

第三陣「あい・あい・さー!!」

 

白装束『…………………!!!』 ドッカァーン!!

 

    ───────────────

 

雪蓮「敵が崩れたわ! 私が正面、右側を冥琳、左側を祭! 遊軍として右側を穏、左側を明命! 包囲し突撃せよ!!」

 

孫兵「わああぁぁぁ──────!!」

 

ーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーーー

 

小太郎「皆さん…………ありがとうございました!」

 

雪蓮「いいわよ! こっちだって、明命……周幼平が助けて貰ったもの…! それに、私達は最後の一押しをしただけ! 単独であそこまでやるなんて思わなかったわ! ね、冥琳?」

 

冥琳「全くだ! ここで数多の恩義を、少しでも返せればと思ったんが。 ………まさか、颯馬以外に新戦術を披露する者が居るなんて……『天の御遣い』とは───底が知れん!!」

 

穏「………ああぁぁぁ! 新戦術が!! 是非、是非に!!! 」

 

小太郎「……私の母が、教えてくれた戦術なんです。 北条家得意のお家芸だって………」

 

祭「? 姓が違うのは、他家へ養子に行かれたからか!? 」 

 

小太郎「いえ、私と母は血の繋がりが無いんです……」

 

祭「──! すまん! 余計な事を…… 」

 

小太郎「構いませんよ……事実ですので。 

 

北条の母は、拾い子の私を養ってくれて、他の姉妹同様に可愛いがってくれたんです。 姉妹達も仲良くしてくれて。

 

しかも…一門以外に教えてはいけない戦術も…丁寧に丁寧に……」

 

蓮華「……………………」

 

小太郎「……ですので、皆さんが、この戦術に興味をお持ちなのは分かりますが、お教えするわけには……参りません。 言えるのは、『盗んで下さい!』としか………」

 

冥琳「それなら、我らも大歓迎だ! 軍師たる者、教わるばかりでは成長など無理だ! 相手の戦術を解読、研究し、己の得意戦術にしなければ…………!!」

 

小太郎「助かります。 でも、名称だけお教えしますね。 先程の戦術が『多陣 五月雨の陣』。 これが昇華すると、最終戦法『多陣 胡蝶の陣』となります 」

 

穏「名前だけでも~興奮が~収まりませ~ん!!」

 

冥琳「明命! ………やれ!」

 

明命「はい!」 ドス!  穏「キュ~~~」

 

 

◆◇◆

 

〖 颯馬、到着後 の件 〗

 

【 洛陽 南門近く にて 】

 

義清「あ、兄者!? その姿は! どうされたのじゃ!?」

 

鹿介「─────そ、颯馬殿!?」

 

今の俺の状態は、頭を布で巻かれ、身体は青あざだらけ。 時間が経つにつれ、顔もかなり浮腫んで(むくんで)しまったようで、喋り辛い口を動かし、視界が狭くなった目を、強制に開いて………前を見る。 

二人の姫武将の驚く顔が見え、『あぁ、また凪殿が泣かれるな……』と密かに罪悪感を覚えているのだか、切羽詰まった状況も、兵より聞いている。

 

『島左近』殿が『筒井順慶』に討ち取られるそうになり、『馬孟起』殿達の奮戦により救出されたと……。 

 

そして、白装束の軍勢が洛陽の南門を激しく攻める中で、『筒井順慶』は誰かを待つように、身繕いしているとも。

 

 ……まるで、逢い引きを待つ乙女だった……と。

 

まぁ、前の『日の本』に居た時の順慶殿を知っているし、討伐戦の時にも再会したから。 

 

姿は、本当に可憐と言って良いほどの姫武将なのだが、あの時の事が思い出され……会えば、ただ事ではすまないだろう。 

 

今、俺の下には、恋や忠勝殿の一騎当万の将を先頭に、他の姫武将達もいるし、同時に、静観していた馬寿成様が動かれ、援軍である馬孟起殿率いる二万の援軍も駆けつけておられる。

 

それに、早くしないと、南門が開放される恐れがあるため、俺は覚悟を決めて向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

〖 洛陽 南門 にて 〗

 

一同『…………………………………………』

 

結果………………南門には……………誰も居なかった。

 

俺達の姿を見た、南門守備の兵が駆け寄り、事情を報告してくれた。

 

『敵将に、白装束の兵が近付き、何か話すような仕草をすると、顔を真っ赤にした敵将が怒鳴りながら、退却を命じて立ち去った!』

 

この撤退の理由が 『月様達の襲撃が失敗に終わったため』 と判明したのは、後のこと。

 

何かの罠かと思い、散々思い悩んだ俺が………馬鹿みたいだ……

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

この後、洛陽防衛戦は成功し、皇帝陛下は元より月様や主な将達も、全員無事であった事は、とても喜ばしい!!!

 

しかし、俺の怪我や偽装の報告には…………喧々囂々(けんけんごうごう)。 心配、罵倒、ツッコミ、嫌み等散々言われ、何度心が折れそうになったことか。

 

月様には涙を溜められ『心配したんですよ!?』と怒鳴られて、俺に抱きつき泣かれた。

 

詠には『方法としては、間違いは無いけど……私ぐらい真実を報告させないぃぃ!!』と拗ねられた。

 

長慶殿は『………何にしても……無事で良かった。 だが、あまり心配させないでくれ………』と、口数少なく言われた。

 

一存は『俺や姉さんを泣かすんじゃねぇ!!』と言い放つので、泣いたんだと茶々を入れたら……殴られた……。 

 

左近殿は『……理由は納得している。 だが、今までに無く……心胆が凍えたぞ……』と喋ると、寝台でこっちに向けていた顔を、逆に向けてしまった。

 

小太郎は、何も言わず…俺の前に来たかと思うと、そのまま俺を抱きしめて、ただただ泣き続けた……およそ一刻程……………。

 

何進殿には、『よくぞ、よくぞ!! 生きて帰ってきた!!!』と普通に大喜びされた。 

 

連合軍諸氏は、兵を洛陽の外に駐屯させる。 

 

将達は、全員、監視の兵と恋、忠勝殿、信長、信玄殿に付き添われながら謁見の間に集まって貰った。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

〖 洛陽 城壁 にて 〗

 

で、何故か……こうなった。

 

なんでも、何進殿が……禁軍兵士達に約束した事があるため、来て欲しいとの、連絡をもらったので、赴いたのだが……………?

 

……急に城壁に立たたされ『前方を見ろ!』と、何進殿の指示通りに動けば、城壁下に禁軍兵士達が集まっている。

 

俺が姿を表すと、口々に声を張り上げた!?

 

★☆★    ★☆★   ★☆★   

 

『天の御遣い様!! 感謝しています!!!』

 

『心配掛けさせやがって!! 今度、酒奢りやがれ!!』

 

『べ、別に、アンタなんか……心配……してないんだからね!!』

 

『野郎! なんで生きてるんだ!? 死んだ方に有り金を全部かけたのに!!!』

 

『ありがとー! あまぎさまー!!』

 

 

★☆★    ★☆★   ★☆★   

 

 

………多数の禁軍から寄せられる『大声援』が、何進殿曰わく『ツッコミ』と言う名に変えられて、俺に迫ってきた……!!!

 

今まで……多数の戦を『日の本』に居た時頃から…行い………

数多の敵の命を奪い取ったのだ。 

 

……この身には数多くの『罪』が降り積もっていると感じている。 

 

天から送られた命を、神でも無い自分達の欲望のために、無惨に刈り取っていく行為。 罪悪感を感じない方がおかしい……!!

 

そのため……俺の心は、何度も何度も屈折しそうになり、そのたびに覚悟をし直したり、将達の叱咤激励で、こうして居られる!

 

だが、今回の戦で、いや……初めて戦で……『守れた人達の言葉』を

こんな大規模で、こんな身近で、そんなに親しくも無い俺に向けて、言われた事など無い!!!

 

何という安堵感! 味わうことなかった『勝利の本当の意味』!

 

俺は…………少しの間………感動で………泣き続けた。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

〖 城壁 出入り口周辺 にて 〗

 

 

月「良かったですね………天城様!」クスン

 

詠「………月、さっき颯馬の生死を、賭事の対象にしていた兵を捕縛したわよ? 小太郎と三太夫を潜り込ませて良かったわ!」

 

月「…………詠ちゃん。 その兵と賭事に加わった不届き者達も、当然探っているんだよね………?」ギロッ!

 

詠「勿論、当然じゃない!! 洛陽防衛最大の要となった功労者に、ふざけた事を行った奴を許す訳ないじゃない!!!」ニヤッ

 

月「………どうしようかな? 車裂き? 凌遅刑? 」

 

小太郎「……………串刺し刑も宜しいかと………」

 

詠「ちょっと! 急に現れないでよ! 

 

それに……それらはダメ! 死刑では悪評が立つ元よ。 命の危険に侵されつつ、生き残れて罰の恐ろしさが伝わるヤツを!?」

 

信玄「ならば────私の案を提示します!!」ズイ!

 

月「………お伺いしても…………?」

 

信玄「はっ! 私は、『料理』か『添い寝』と具申します!!」

 

一同『???』

 

***   ***   ***

 

後に、史書に曰わく

 

『……御遣いに不遜を働いた兵は、それぞれ二択を迫られた。 

 

《料理》を食すか? 寝台で《添い寝》をして頂くか?

 

兵達は、どんな過酷な刑かと思ったが……ご褒美に近い物のため、皆これを疑う。 再三の申し出を受け、初めて信に至る。

 

………………是即ち……謀……也と、気付く者は皆無。

 

《料理》を選ぶ者、御遣いの一人『島津義久』の創作料理《満漢全席》完食を強い拘束され、七日七晩…生死を彷徨す。

 

《添い寝》を選ぶ者、《漢女》二人、左右を挟撃、《親密を深める儀式》なる猥褻行為に及ぶ。 是、防御する不可也。

 

刑終了後……受刑者達、他の兵士達へ涙ながらに語る。

 

『古今東西、この刑より怖き、是少なし!!!』

 

これより、賭の対象『天の御遣い』にする事、絶えたり。

 

ただ《  董相国、暴君也 》の伝え聞く、この項、最初也 』

 

***   ***   ***

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

あとがき

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

仕事も一段落しましたので、作品作りに没頭したのですが、途中ネタが浮かばなくなり、かなり悩み込んだ作品です。

 

誤字脱字等ありますが、お知らせいただければ直しますので、お願いします。

 

今回、前作で董卓の評価にご意見いただいたので、急遽作成したオマケがあります。 コメントいただいた方が一人、酷い目にあわれていますが、前作のコメントに合わせて入れて見ました。

 

本来なら、許可を得てからなんですが……先に掲載させて貰いました。 お二人様 ごめんなさいね。

 

ご不快でしたら、この部分だけ削除しますので………。

 

────────────────────

 

 

【 おまけ の件 】 ( 本編と関係ありません )  

 

〖 洛陽 董仲穎私室 にて 〗

 

月「ハァ……………」

 

詠「入るわよ! 月!?」 バン!

 

詠「どうしたのよ!? どこか……体調がおかしいの!?」

 

月「うぅん……違うの。 

 

『《天の国》の董仲穎ってどんな人かな?』って、詠ちゃん達に聞いたけど、教えてくれないでしょう? 」

 

詠「だって、あんな奴だって知ったら、月が耐えられない!! 『私、こんな人だったなんてぇ! もう生きてられないぃぃ!』って、楚の屈原みたいに、入水してもらいたくないの!!」

 

月「──────もう、いいよっ!! 『天の国の私』の事、教えてくれる人を探して来る!!!」ダッ!!  バン!!

 

詠「えっ!? ちょっと、月────!!」ダッ!!

 

 

数刻後───────

 

詠「だ、駄目……………! いくら捜しても見つからない。 

 

颯馬達に聞いたけど教えていないと言うし……。 月、一体どこに行ってしまったのよぉぉぉ!!」

 

トコトコ トコトコ トコトコ トコ!

 

月「…………あれ? 詠ちゃん?」キョトン?

 

詠「月!! どこ行っていたのよ!? 心配したのよ!!」

 

月「……………誰も教えてくれなかったから……作品の『こめんと欄』を見に行ったの…………」

 

詠「そんなとこ…行っても……あれ? 顔に血みたいな汚れが…?」

 

月「……お二人、親切に教えてくれたんだけど、意味が抽象的でね。『暴君』『化け物』と『明君』『傑物』を合わせ持つ英雄みたいなのかな? でも、お二人とも最終評価は別れるみたい………」

 

詠「う………ん。 それは分かったけど、その顔に付いてる『汚れ』は、何………? 」

 

月「………これは、たいした事ないよ? 

 

そのお二人の内、一人がね。 私が、天城様の絵を踏んだのは、自業自得だと言うんだよ……? 

 

酷いよね………。 詠ちゃんが、大声出さなければ……私の秘密も、天城様の顔に傷付く事も、全然なかったのに……………。 

 

それなのに、詠ちゃんの事を弁護して、尚且つ私の……胸を……俎(まないた)呼ばわりするんだよ………? いくら、詠ちゃんの方が大きいからって………酷いよ。 ヒドいよね? ヒドイデショウ……エイチャン!?」

 

詠「う、うん! 月の言う通り!! (ごめん! 弁護してくれた人! ボク、まだ……死にたくない!!) 」

 

月「………だからね。 私がキチンと指導してあげたの。 女の子にそんな理不尽な事言わないように………って。 たがら、その時についた『汚れ』……だよ?」( ´∀`)

 

詠「コクッ! コクッ!!」

 

 

 


 
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