第三章‐漆話 『 開戦!反董卓連合~前略汜水関の前より~ 』
「お~ほっほっほっ。皆さんよくぞ集まってくれましたわ」
汜水関を前に結成された連合の陣営でその諸侯の代表が集まる中檄文を飛ばした本人である袁紹は盛大な高笑いで出迎える。それをよく知る曹操等は溜息を吐き、またそれを知らない劉備等は呆気に取られている。
「それで?私達はあなたの呼びかけに応じ、こうして集まった訳だけど。この連合の目的を今一度はっきりと教えて欲しいわね」
「ええ、よろしくってよ曹操さん。この連合の目的は一つ。洛陽にて帝を手中に収め更には圧政を布き都を専横しているという董卓を討ち帝を救い出すことですわ」
袁紹の言葉に諸侯は顔を顰め、あるいは許せないといった表情の者もいるが曹操だけは違っていた。なぜならこの中において彼女だけが事の真相を事前に知っているからである。(二章‐肆話参照)
(それにしても、聞いた以上に尾鰭が付いているようね)
「袁紹、その情報は確かなのね?」
「ええ、間違いありませんわ。何せ私の所へ命からがら逃げてきた張譲さんが言うことですもの。帝に尽くす十常侍の彼がそう仰るなら確かですわ」
(と、言う事は麗羽は自分では確かめている訳ではない。そうなるとあの時御遣いとの交渉が失敗したのは痛いわね。下手をすればこちらが逆賊扱いされてもおかしくないわ)
「それでは、洛陽を目指し進軍したいと思いますが、その前に一つ重要な事を決めておく必要がありますわ」
その言葉に各人はなんだと首を傾げる。
「それは、この連合において誰が総大将を務めるかということですわ」
今度の一言で曹操は呆れ返る、予想出来ていたとはいえやはりこうして形になるとつくづく呆れるばかりである。そうしている間にも袁紹は家柄が~とか名門で~と話を続けている。要は自分がやりたいだけなのは明らかで誰かに推薦されるのを待っているのは明白だが、そうして下手に自分が被害を受けるのは誰だって嫌に決まっている。そう思っている諸侯は特に何も言わず口を噤んでいる。特に曹操は御遣いが相手である事も知っているのだからなお更である。
「え~っと、なら袁紹さんが総大将で良いんじゃないでしょうか」
「桃香様!?」
そう言った者に全員の視線が集まる。
(馬鹿な子ね。確かあれは…)
「あなた確か劉備さんでしたわね?」
「あっ、はい。その、袁紹さんがこうして集めた訳ですし、家柄的にも問題ないんじゃないでしょうか」
「他には誰もおりませんの?でしたら、劉備さんがそこまで仰るならこの袁本初が総大将を務めさせていただきますわ。皆さん異論はありませんわね?」
(はぁ、どうでもいいから、早くこの茶番が終わってくれないかしらね)
「では、劉備さんにはこの連合で先陣を切る栄誉を差し上げますわ」
「ええ!?」
案の定、最前線に配置されることに周りはただご愁傷様といった感じである。
「あら、まさかこの私を総大将に推薦しておいて、その総大将の采配に異を唱えるなんてこといたしませんわよね?」
「ええと、それは…」
「分かりました。その任謹んでお受けします」
「そうですわね。それでこそですわ」
「しかし、私共は他の諸侯に比べ力不足です。その為袁紹さんには兵と武具、兵站を貸して頂きたいのです」
「あら、なぜ私がそんなことを…」
「汜水関を突破した際そこに袁紹さんからの援助があったとあればそれだけで袁紹さんは名声を得られると思うんです」
(…上手いわね。劉備本人は別としてどうやら臣下には恵まれているようね)
「よろしいですわ。では後でそちらの陣営に派遣いたしますわ」
上機嫌な袁紹を他所にその後暫くして解散した諸侯は皆疲れきっていた。
「組長ー、連合の奴等がお出ましだぞ」
「そうか。布陣はどうだった?」
「先頭は『劉』と『孫』、その後ろに『袁』が二つ、両側に『曹』と『馬』、後ろは…忘れた」
楠の報告に頷きそのまま眼前を見据える。今この汜水関には和輝と霞、鈴蘭、柊、太白、楠が居並んでいる。といっても指揮官として旗を立てているのは霞の『張』、鈴蘭の『華』、そして和輝の丸に五枚の花弁の花…
「さってと、柊。奴等はどう来ると思う?」
「現実的に考えて華雄将軍を挑発してくると思います。その証拠に先頭には『孫』の旗があり、恐らくは古傷を抉ってくるかと」
「ああ~確かに、鈴蘭は前に孫堅に負けとるからその辺突いてくるかもわからんなぁ」
「私はそんな安い挑発には乗らんぞ」
「…まっ、どこまで持つか分かんねぇが、どうせ出るしな。その辺は乗ってやるか。ただし突っ込み過ぎんなよ。面倒くせぇからな」
「う、ううん善処はする」
「合図は最初に決めた通り、時期は柊に任せる。念の為言っとくが此処で死守する必要は無ぇ。此処での目的は飽く迄士気を落とすことだ。その為に敢えて
「「応っ」」
和輝の言葉に霞と鈴蘭は勢い良く応える。とはいえその為には連合の頭を引っ張り出す必要がある。つまり、一度戦いお呼びでない劉備と孫家には引き下がってもらうしかない。とはいえ、
「劉備の奴等…どういうつもりでそっちに付いたのかはっきりして貰うか」
初めて会った時、奴等に言った意味を理解しているのか。
「返答次第じゃあ無事じゃ済まさねぇぞ」
「見えてきましたね」
「ええ、あの橘花の旗が気になるけど、とりあえず予定通りに華雄を釣り上げましょうか、思春、明命、あなた達も付いてきなさい」
「「はい」」
「鈴々、我等も行くぞ」
「合点なのだ」
「案の定鈴蘭を刺激してきたか」
「せやな。しっかし善処するなんて自信無さげに言うとった割りに自分平気そうやん」
「まあ、な。前に和輝が悪党の覚悟云々と話していたのを思い出してな。そうしたらなぜか覚悟の違いのような物を感じてな」(三章‐壱話参照)
「まあ、あれだけこっちは悪だの向こうが正義だの言ってればそうも感じるわな。って和輝どないしたん?」
「…別になんでもねぇよ」
(ったく、聞くまでも無かったか。結局あいつ等は会った時と変わらず上辺しか見てねぇわけか)
しかし、それとは別の事のに太白が気付く。
「親分。あの黒髪のやつ。前に黄巾討伐の時に会ったッス」
「…やれやれだな。まぁいいか。そろそろ出てってやるか。俺と鈴蘭と霞で出る。太白、柊後は任すぞ」
「「はい(ッス)」」
「うっし、じゃまずは盛大に啖呵切るとしますか」
「門が開くのだ」
「どうやら成功のようですね」
「ええ、でも様子がおかしいわね」
(此方の思惑では華雄が出てきてそのまま突出してくるのを叩くつもりだったけど、どういうこと?それに何か嫌な予感がするわね)
「愛紗!あれ!」
「なっ、あれは!」
(どうやら、あの男は関羽と張飛の知る者のようね)
「あなた、一体何者?」
孫策の問いかけに和輝は静かに嗤うと中腰になり左手を膝に乗せ右手を前に出す。この時代の人間は知らないだろうが和輝にとっては慣れ親しんだ任侠スタイルである。
「知らざぁ言って聞かせやしょう。手前、姓は橘、名は和輝。立てば悪党、座しても悪党、歩く姿も又悪党の悪、悪、悪と三拍子揃った大悪党でございやす。甚だ力不足ではございますが『立華組』組長として大恩ある御嬢、董卓の為この汜水関の防衛を任されておりやす。手前勝手ではごぜえますが不肖橘、この
その名乗りの上げ方に連合はどこも唖然となっている。
「ははっ、和輝えらい大見得きったなあ」
「こういうのは格好つけられる時に派手にやっとくモンなんだよ」
さぁて、と和輝は息を吸い込む。
「お前ぇ等!おっ始めるぞ!」
「「「「「おおおおおおお!!!」」」」」
和輝の一声に雄叫びを上げて兵達が応える。
「此方も負けられん!行くぞ、我等の力を見せ付けてやるのだ!!」
それに対抗するように関羽もまた声を張り上げる。
今此処に、戦いの火蓋は切って落とされた。
あとがき
ツナまん「どもども、皆様数時間ぶりです」
狐燐(♀)「…ねえ、なんで僕は此処に呼ばれたの?」
ツナまん「ゲストです。折角二作品書いてるしどうせならもう片方のオリキャラをゲストであとがきに出しちゃおうと試験的に」
狐燐(♀)「それは分かったけど、なんで(♀)が付いてるわけ?」
ツナまん「女の子(狐)要素です。本編も丁度
狐燐(♀)「ヒドッ。それあんたのせいじゃん、しかもオリキャラって向こうは僕だけじゃん!」
ツナまん「まあ、こっちの方が反響いいですしね」
狐燐(♀)「身も蓋も無いことを」
ツナまん「まあまあ、それに今は出てないだけで向こうにも♀のオリキャラは出ますよ」
狐燐(♀)「なんで女の子じゃなくて♀表記?」
ツナまん「だって人外ですし」
狐燐(♀)「はあ!?」
ツナまん「『虎と狐』のオリキャラは人外多めです」
狐燐(♀)「…もういいです。それよりなんでこんな感じで切り上げたの?」
ツナまん「次回は戦闘になるのでその辺の描写に力を入れたいので。後このままいくと和輝の名乗りが掠れると思ったので」
狐燐(♀)「他に言いたいことは?」
ツナまん「次回の話はなるべく食事中は避けてお読み下さい」
狐燐(♀)「なにそれ怖い」
ツナまん「では、皆様また次回!!」
狐燐(♀)「無視すんなー!」
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話が出来たら即投稿。やっぱ和輝はこうでなくちゃ
『Re:道』と書いて『リロード』ということで
注:オリキャラ出ます。リメイク作品です