No.656952

九番目の熾天使・外伝 ~ライダー戦国大合戦~

竜神丸さん

第5話

2014-01-23 17:00:01 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1711   閲覧ユーザー数:803

次元世界と戦獄の世界。

 

その狭間に存在する、異次元空間にて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「ギギギギギギギギッ!!」」」」」

 

「だぁもう、数が多過ぎるんじゃボケェェェェェェェェェッ!!!」

 

「倒しても倒しても、どんどん湧いて来やがる…!!」

 

その中にある岩山の道でも、朱音達は怪人達の妨害に遭っていた。あまりの数の多さに、タイガは苛立ちながらデストバイザーを振り回してゲッコーイマジンやジラフオルフェノクを吹っ飛ばし、ナイトはダークバイザーの刃をシケーダファンガイアの肩に当てたまま斜めに斬り裂く。

 

「そもそも、さっ!! 変な空間に来たのは良いけ、どっ!! ここから一体、どうやって移動すれば良いのさっ!!」

 

「恐らく、また別の場所で空間の裂け目が見つかるかも知れん!! 後は頑張って、それを見つけ出すしかないだろうよ!!」

 

「いや、それは別に良いんですが……あれを見て下さい」

 

「あぁっ!?」

 

ヘラクスの指差した方向には…

 

 

 

 

 

 

「アァァァァァァァン娘ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!! 待っていなさい、お姉ちゃんが今すぐ助けに行くからぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「「「「「ギギャァァァァァァァァァァァァッ!!?」」」」」

 

妨害して来る怪人達をものともせず、次々と薙ぎ倒しては先に進んでいくラルクの姿があった。

 

「…早くしないと、朱音さんが一人でどんどん先に行っちゃいますよ?」

 

「待て朱音さん!! お願いだから一人で先に行くなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

「わぁお、大変だねぇ朱音さんも」

 

レイが慌てて追いかけ、その後をヘラクス、ケタロス、サソードが付いて行く。レイはともかく後者の三人が気楽に付いて行っているの、はクロックアップがあるから別に走らなくとも問題なく追いつけるからだろう。

 

「あのクジラ怪人、見つけたら鯨肉にして焼いてやるわ…!! いや、敢えてステーキにするのも良いかしら? 他には竜田揚げか、もしくは刺身にするのもありかもブツブツブツブツ…」

 

ホエール・ドーパントに対する怒りの所為だろうか、走りながらも小さい声で恐ろしい事をブツブツと呟き始めているラルク。その前にホエール・ドーパントに吸収されたUnknownを助け出すべきではないのかと、そういった突っ込みが飛んで来そうなのはここだけの話だ。

 

「ちょ、ちょっと待って下さいよ朱音さん!!」

 

『ヤケにタフなお嬢さんだ。確か今は、ライダー以外の能力が使えないんじゃなかったか?』

 

「いや、朱音さんの場合は素でアレなんだよ……アン娘さんの事になると、物凄いパワー発揮しやがるんだよあの人…!!」」

 

ラルクが猛スピードで走っていくのを、レイはひぃひぃ言いながら頑張って追いかけている。その後ろからはサソード、ヘラクス、ケタロスも気楽に付いて来てはいたのだが…

 

「あ、すまんルカ。やっぱり俺達は先に行っとくわ」

 

「朱音さんは私達でどうにかしておきますので、その辺はご安心を」

 

「んじゃそういう事で、バイビー♪」

 

≪≪≪Clock Up≫≫≫

 

「え、ちょ…!?」

 

その瞬間、マスクドライダー三人は一瞬でラルクの下まで走り去ってしまった。

 

「置いてけぼりですかこの薄情者共ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!?」

 

『…頑張りたまえ少年、道はまだ長いぞ』

 

レイは仮面の下で涙目になりながら、必死にラルク達に追いつくべく走り続ける。

 

 

 

 

 

「おい、アイツ等だけで先に行っちまってんぞ!?」

 

「急いで追いかけるぞ!! こんな所に置いてけぼりなんて俺はごめんだ!!」

 

「やれやれ、面倒臭い人だな朱音さんも…」

 

一方でタイガ、ナイト、アギトもラルク達の後を追いかけ続けていた。空の色もカラフルに歪んでいるような不安定な空間なのだ、こんな所に置いていかれるなど彼等からすれば溜まったものではない。

 

「「「キシャァァァァァァッ!!」」」

 

しかし、そう都合良く物事を進められるほど世の中は甘くない。三人の前に大量のグールが現れ、容赦なく妨害して来る。

 

「だぁもう邪魔だっつってんだろ!!」

 

「チィ、ならば俺だけでも…!!」

 

≪ADVENT≫

 

『キキィーッ!!』

 

「あ、ちょ、ずりぃぞ二百式!?」

 

ここで足止めされる訳にはいかない。そう判断したナイトはすかさずダークウィングを召喚。ダークウィングが背中に張り付く事で飛行が可能になったナイトはそのままラルク達のいる方まで一直線に飛んで行ってしまった。

 

「あんにゃろう!? 俺達を置いて行きやがった!!」

 

「ちょ、数が多過ぎだろ…!!」

 

あまりに多過ぎるグール達と薙ぎ倒しながら、崖際の道を進んでいたその時…

 

 

 

 

-ピシッ-

 

 

 

 

「「へ?」」

 

何やら、不穏な音が聞こえてきた。

 

「お、おいおい…」

 

「まさか…」

 

そして…

 

 

 

 

 

 

-ボゴォンッ!!-

 

 

 

 

 

 

「「やっぱりかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」」

 

元々彼等の進んでいた道自体が結構脆かったのだろう。足元の岩がバラバラに崩れ、二人はそのまま崖の下へと落下していってしまった。

 

「二百式の野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 覚えてやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

「おぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!? 何で俺達だけこんな目にぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!?」

 

二人は断末魔を上げるものの、飛行能力を持たない所為で何も出来ないまま落下していき、そして落下先にあった空間の裂け目へと突入してしまうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「―――あでっ!?」」

 

そして戦獄の世界。空間の裂け目から出てきたタイガとアギトは地面に激突し、空間の裂け目は静かに消滅する。

 

「痛ぅ~…!! くそ、二百式の奴覚えてろよ…!!」

 

「…で、ここ何処だ?」

 

二人が迷い込んだのは、月夜に照らされた真っ暗な森林だった。二人は変身を解除してmiriとげんぶの姿に戻り、辺りを見回す。

 

「あぁもう、朱音さん達とはぐれるなんて運が無ぇな俺達」

 

「過ぎた事をグチグチ言っても仕方ないな。ひとまず、ここが何処なのかを把握してから…」

 

言いかけたところで、miriとげんぶは何かに気付いた。

 

「…げんぶ」

 

「あぁ……囲まれてる」

 

周囲の木や草の中から黒いスーツと仮面を身に付けた謎の仮面ライダー達が姿を現し、一斉に二人を取り囲んだ。謎のライダー達は槍や斧、銃などを所持しており、この世界にやってきた二人に対して警戒している様子だ。

 

「やる気なのか、ただ警戒してるだけか…」

 

「敵じゃなきゃ良し、敵なら……潰していくだけだ」

 

miriはタイガのカードデッキを出し、げんぶはオルタリングを出現させる。それを見た謎のライダー達は一斉に武器を構える。

 

「待て待てお前等、ちょっと待てっての」

 

「「ッ!?」」

 

その時、ドスの利いた低い声が聞こえてきた。その声を聞いたライダー達は武器を下ろし、声が聞こえてきた方向に頭を下げる。

 

「…?」

 

「何だ…?」

 

「ほぉう……いきなり騎神が現れたかと思えば、人間の姿になっちまうとはな」

 

miriとげんぶの前に、茶色の甲冑を纏った強面の男性武将が姿を現した。その後ろからはワニを模したような銅色の戦士“仮面ライダーガオウ”も姿を現す。

 

「お前……誰だ?」

 

「んあ、俺か? 俺はなぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガオウ軍のマサムネってもんだ。よろしくなぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、ロキ達は…

 

 

 

 

 

 

 

 

「アトラス伝説、ねぇ…」

 

ユキムラの城。その畳がある個室にて、okakaとハルトはロキ達からこの世界の事情などについて聞かされているところだった。okakaは身体に巻いた包帯の上から上着を羽織っており、ハルトから貰った煎餅を齧りながら話を聞いている。

 

「ユキムラ殿によると、アトラスとは大昔に存在していた古代兵器の名称だそうです。あまりに強大過ぎる力を持っていた為、とある賢者が何百年も前に封印してしまったそうです」

 

「そして、その封印を解くのに“アトラスの器”というのが必要だそうです。だけど今、アトラスの器がどういった物なのかは判明してない上にアトラスが封印されている場所すらも不明らしいです」

 

「古代兵器アトラスか……何だか、冒険心をくすぐられる話だねぇ」

 

探求者としての性だろうか。元々理工学の科学者だったハルトは、古代兵器や大昔の伝説などを聞かされて興奮を隠せないでいるようだ。

 

「といっても、こっちの世間じゃ信憑性の低い伝説らしいわよ。ほとんどの住民達はそんなのは嘘っぱちだとか言って全然信じてないんだって」

 

「けど、安心は出来ないんだよなぁ……あの騎神ディバイドが絡んでるとなると」

 

「とにかくだ。元の世界に戻るまでの間はユキムラさんもここに住ませてくれるみたいだし、ディバイドがまた襲って来るようであれば、俺達で何とか倒すだけだ」

 

「正直、それが一番良いかもな……あぁもう、眠たくなってきたぜ…」

 

ロキは欠伸をしてから、布団にボテッと寝転がる。

 

「今日はもう寝ましょう。これからの行動については、明日考えてもまだ遅くないでしょうし」

 

「それじゃあウル、そろそろ寝ようじゃない♪」

 

「いや、僕はそっちの布団で「あ、一人で寝ようとしてもそうはいかないわよ?」…デスヨネェ~」

 

「それじゃ、私達はもう寝るから。お休み~♪」

 

「あぁ、また一緒に寝る羽目に……ちょ、だから服を掴んだまま引き摺ったら痛いんだってば!?」

 

ディアーリーズはアキに引き摺られつつ、別の部屋に向かって行ってしまった。部屋にはokaka、ロキ、デルタ、ハルトの四人だけが残る。

 

「さぁて、寝よう。寝るしかなゴガァァァァァァァァ…」

 

「おいおい、寝るの早ぇなハルト……まぁ良いや。俺も寝ようっと」

 

「早い内に傷を治したいし、俺も寝るわ。んじゃお休みぃ…ぐごぉぉぉぉぉ」

 

「…鼾がうるさいですね」

 

あっという間に寝てしまったokaka、ロキ、ハルトの三人。デルタは耳栓をはめてから、布団に寝転がって枕に頭を置く。

 

(それにしても……ミッドチルダで戦って以降、妙に身体の調子が良い気がしますね)

 

掛け布団の中に入ってからも、デルタは右手をギュッパギュッパと握ったり開いたりする。

 

(ライダー以外の力が無力化という事は、コジマの力も無効化しているという事か……なるほど。この世界もデメリットばかりじゃないようですね)

 

そんな事を考えながら、デルタも眠りにつく為にゆっくり目を閉じるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦獄の世界。

 

とある村の近くにある、深い林の中…

 

 

 

 

 

 

 

「「「ギュルルルルルルル…!!」」」

 

「はぁ、はぁ、はぁ…!!」

 

村に住んでいる住民だろうか。一人の女性が、三体のワームサナギ体に追いかけられていた。女性は服がどれだけ汚れようが、転んで足に擦り傷が出来ようが、とにかく走り続ける。

 

「だ、誰か…!! 誰か助けて……キャッ!?」

 

とにかく逃げる事だけしか考えていなかった。その所為で、足元の少し大きめの石に気付かなかった女性は躓いて地面に倒れてしまう。

 

「痛ッ……ひぃ!?」

 

「「「ギュルルルッ!!」」」

 

あっという間に女性に追いついたサナギ体達。その内の一体が、女性に向かって右手の長い爪を振り下ろそうとした。

 

「グルゥッ!!」

 

「ひ…嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここかぁ、祭りの場所は…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『SWORD VENT』

 

「グル…ギュルァァァァッ!?」

 

「…え?」

 

女性が殺される事は無かった。金属音が鳴り響くと同時に、サナギ体達が転倒したからだ。

 

「あぁ~…」

 

突如現れた、毒々しい紫色の鎧を纏ったコブラのような戦士―――仮面ライダー王蛇は、大きく息を吐いてから首をゴキゴキと鳴らす。左手には、黄金の突撃剣“ベノサーベル”が握られている。

 

「あ、あなたは……騎神…!?」

 

「あん? 邪魔だ、とっとと消えろ」

 

そういうと女性はすぐにその場から逃げ出し、王蛇はすぐにサナギ体達の方に視線を向ける。

 

「何だ、ただの雑魚共か……無駄に期待しちまったじゃねぇかよ…!!」

 

「「「グルルルルル…!!」」」

 

雑魚と言われて腹が立ったのか、サナギ体達は王蛇に向かって襲い掛かった。しかし王蛇はサナギ体達の攻撃をベノサーベルで難なく受け止め、鉄パイプでぶん殴るかのようにベノサーベルでダメージを与えていく。

 

「お前等じゃ足りねぇんだよ……とっとと消え失せろぉっ!!」

 

「「「グルォォォォォォォッ!!?」」」

 

王蛇はその場で一回転し、三体のサナギ体を纏めて攻撃。サナギ体達は跡形も無く爆死した。

 

「…チッ!!」

 

サナギ体を倒した王蛇はベノサーベルを放り捨てた後、ベルトからカードデッキを抜き取る。変身が解除され、中からはZEROが姿を現した。

 

「イライラするんだよ……喰いたい奴を、一匹も碌に喰えねぇのがよぉ…!!!」

 

ZEROは近くの木を何度も蹴りつけてから、その場で高く雄叫びを上げる。それにより、林中の鳥達が一斉に飛び立っていくのだった。

 


 
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