No.657228 九番目の熾天使・外伝 ~ライダー戦国大合戦~竜神丸さん 2014-01-24 19:00:03 投稿 / 全1ページ 総閲覧数:3337 閲覧ユーザー数:867 |
あれから一夜明け、戦獄の世界…
「ふぁぁぁ…」
「お、ロキも起きたか」
「んぁ、おはよう」
ユキムラの城にて。起きたばかりのロキは大きく欠伸し、既に起きていたハルトに現在の状況を確認する。
「えぇっと……今はどういう状況?」
「あぁ。デルタさんは外でトレーニング、okakaはまだ寝てる最中。んでウルは…」
「ウルは?」
「…色々あって、やつれちゃってる」
ハルトの指差した方向には…
「はひ、はひ…」
「う~ん…♪ 良い夜だったわ~♪」
何故かやつれているディアーリーズと、妙に肌がツヤツヤしているアキの姿があった。
「…何があったし?」
「俺も知らん」
昨夜に何があったのか、それはロキにもハルトにも分からないのだった。
一方。ユキムラの城がある村とは違う、別の村…
「「何この状況?」」
「二百式、ルカ、お願いだ助けてくれ」
「「無理」」
「うぅぅぅぅ…どごにいっぢゃっだのよアンごぢゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん…」
「…何でこうなったんでしょうか?」
「さぁ? 俺にも分からん」
無事に戦獄の世界へ移動し、一つの村に辿り着く事が出来た朱音一同。しかし結局Unknownの行方が分からなくなってしまったからか、とうとう朱音は泣き出してしまったのだ。これを見ていた竜神丸達も現在朱音に泣き付かれているBlazも、どうやって泣き止ませるべきなのか残りのメンバーで考えているところだ。
「弱りましたね。朱音さんがここまで泣くなんて、今までもそうそうありませんでしたし…」
「よし、こうなれば」
蒼崎は奥の手でも出すかのように、懐からある物を取り出す。
「朱音さんや、朱音さんや」
「うぅぅぅ…ふぇ?」
(うわ、鼻水付いてる!?)
Blazの反応はさておき。涙目の状態で顔を上げた朱音に、蒼崎はピンク色の液体が入った小瓶を差し出す。
「なにごれ…?」
「俺が少し前に開発した薬品です。この世界では使えませんが、元の世界に戻った時にアン娘さんに使ってやって下さい」
「だげど、どうやっでづがうの…?」
「それはですね…」
蒼崎が朱音に耳打ちする。
その直後…
「ありがとう蒼崎さん、帰って使わせて貰うわ!!」
「「「「もう泣き止んだ!?」」」」
「うんうん、泣き止んでくれて何より」
何を聞かされたのか、即座に復活してみせた朱音。何故か両目が物凄くキラキラ輝いている。
「え、あの薬品って何なんですか?」
「ルカ、お前にはまだ早い」
「?」
そんな声もあったが、とにかくこれで朱音は復活した。
しかし、まだ問題は残っている。
「ところで二百式さん……miriさんとげんぶさん、置いてっちゃったんですって?」
「うぐ…ッ!?」
竜神丸に指摘され、思わず言葉に詰まる二百式。実際本当に置いて行ってしまったのだから、何も否定出来ない。
「し、仕方ないだろ!! 急がないとお前等に置いてかれるし、そもそもダークウィングでの飛行は一人しか出来な…」
「それが置いて行って良い理由に繋がると思ったら大間違いです」
「いや、だからだな…」
「言い訳無用です。団長さんに言いつけますよ?」
「マジですいませんでした」
流石の二百式も、やはり団長のクライシスには逆らえないのだろう。竜神丸が話題に出した途端に素早く土下座して謝罪する程に。
「まぁあの二人については、上手くこっちの世界に来てくれてる事を祈るしかないわな」
「でも何ででしょう? 何か僕達の知らないところで、もっと面倒臭い事に巻き込まれてしまってるような気がしてならないんですが…」
「「「まぁそれは確かに」」」
ルカの言葉に蒼崎、竜神丸、Blazが賛同する。この時点でmiriとげんぶの二人が、とある武将と出会ってしまっている事など知る由も無いだろう。
「にしてもよ。本当に不思議な世界だな、ここは」
「確かに……昔の時代にタイムスリップしたような気分です」
「…といっても、この時代にあったら明らかにおかしいような物もありますけどね」
朱音達も、今回到着した異世界には驚きを隠せないでいた。現在彼等がいる村では多くの村人達が元気に活動しており、村中の建物も大昔の時代を彷彿とさせている。しかし村人の中には現代風の服装をしている者も存在していたりと、何処かおかしな感じがしているのも確かである。
「ところでBlazさん、腕と目は大丈夫ですかね?」
「あぁ。動くっちゃ動くんだがよ、やっぱ普段の力は出せそうにねぇや」
Blazは右手をぶんぶん振ったり、右目をパチパチ開いたり閉じたりする。
「やはり……魔法や超能力などが使えない中でも、一応人間としての活動は可能なようですね。魔素が完全に無効化されているならBlazさんは腕と目が使えない筈ですし、私もTウイルスが無効化されればまともに動けないでしょうし」
「普段の能力は使えないが……人間として活動する事だけなら許されているってか?」
「あとは、ライダーシステムも使用可能なくらいですね。正直曖昧なんですよね、そこら辺が」
ライダーシステム以外の能力が拒絶される異世界。しかしそんな世界でも、竜神丸やBlazは身体に不自由なく活動が可能。何がどういった基準になっているのかがあまりに曖昧過ぎて、普段様々な世界を移動している旅団メンバーからすれば、よく分からない事が多過ぎるのだ。
「まぁ、その辺は情報収集でもしていくしかないわね。もしかしたら行方不明のメンバーとも合流出来るかも知れないし、アン娘ちゃんを攫ったあのクジラ野郎と出くわすかも知、れ……な…」
「…朱音さん?」
「アンごぢゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん…どごにいるのよぉぉぉぉぉぉぉ…!!」
(((((あぁもう本当めんどくせぇな、この人)))))
やっぱりUnknownの事を思い出してしまうのか、またしても泣き出してしまった朱音。今度は竜神丸とルカに泣き付いてしまい、流石の二百式達もこれは面倒臭いと思わずにはいられない。
「…ひとまず、俺達は情報収集をして来るとしよう。竜神丸とルカは朱音さんを頼む」
「はぁ……仕方ありませんね、全く」
「ほら朱音さん、もう泣かないで下さい。アン娘さんもいつか救出出来ますから」
「うぅぅぅぅぅ…」
泣き止まない朱音は竜神丸とルカが引き受ける事になり、二百式と蒼崎、Blazの三人は村の中で情報収集に回る事になった。
「ア~ン~ゴ~ヂャ~ン…!!」
「ちょ、朱音さん!? 鼻水、鼻水出てますって!?」
(…やれやれ、本当に何でこうなったんだか)
取り敢えず、朱音さんを泣き止ませる役目はルカさんに押し付けましょうか。この時点でそう思い始めた竜神丸であった。
「しかし、本当にタイプスリップしたような気分になるな」
「確かに…」
「何にせよ。まずは俺達が何処にいるのか、この世界がどういった世界なのか、それらをきちんと把握しておかなきゃならん」
村の中で散策を始めた二百式、蒼崎、Blazの三人。今のところは大昔の村といった感じの雰囲気しかなく、ただ過去の時代に来ただけなのか、それとも完全に異世界なのか、イマイチ把握が出来ない。
「こんな時、騒動でも起これば何か分かるかも知れないんだがなぁ~」
「物騒な事を言うな。大体、そんなのが都合良く起こる訳が―――」
「キャァァァァァァァァァァァァッ!!」
「「「…起こっちゃったよ」」」
突然聞こえてきた悲鳴の下まで、三人が駆け付ける。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ怪物だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「た、助けてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?」
「「「グルァァァァァァァァァァッ!!!」」」
逃げ惑う村人達の後方からはエレファントオルフェノク、シャークファンガイア、イカジャガーヤミーといった怪人達が迫って来ていた。
「おいおい、こんな所でも出くわすのかよ…」
「面倒だ。さっさと片付けるとしよう」
「それが一番!」
二百式はカードデッキを取り出し、蒼崎のブレスレットにはカブティックゼクターが飛来し、Blazが取り出したサソードヤイバーにはサソードゼクターが取り付く。
「「「変身!!」」」
≪≪Henshin≫≫
「「「グルァッ!?」」」
二百式はナイトに、蒼崎はケタロスに、Blazはサソードに変身。怪人達に向かって駆け出し、容赦なく飛び蹴りをかます。
「あ、あれは、騎神…!?」
「あ、新たな騎神様が、駆け付けて下さった…!!」
「あぁ、騎神様…!!」
「…へ、何?」
ナイト達の姿を見た村人達が、一斉に彼等を称え始めた。何の事かよく分からないサソードだったが、ひとまず目の前の敵に集中する。
「何の事かは知らん…がっ!!」
「向かって来るなら、叩き斬るのみだ」
「我等に向かって来るとは、愚かな連中めぇっ!!」
「グガァッ!?」
サソードがエレファントオルフェノクを斬り裂き、ナイトがシャークファンガイアを連続で殴り、ケタロスはイカジャガーヤミーの身体にゼクトクナイガンを思い切り突き刺す。
「さっさとくたばれ!!」
「よいしょっ!!」
「らっしゃあっ!!!」
「「「グギャァァァァァァァァァッ!?」」」
三人のライダーによって、怪人達はあっという間に倒され爆散。怪人達の撃破を確認した三人は変身を解除し、いつもの姿に戻る。
「全く、他愛の無い…」
「おぉ…!! 騎神様達が、我々を守って下さった…!!」
「あぁ、ありがとうございます騎神様…!!」
「騎神様…!!」
「…へ、何これ?」
気付けば三人は、村人達に囲まれてしまっていた。しかも村人達は腰を低くしたまま彼等を称え続けており、三人は若干だが困惑を隠せない。
「な、何だ一体…?」
「よく分からんが、とにかく情報収集に戻るとしよ―――」
「そこの者達、少し待ってくれ!」
「「?」」
「何…ッ!!」
その時、三人の前に甲冑を纏った数人の兵士と、青色の着物に刀を携えた女性が駆け付けて来た。ちなみにその女性を見て、蒼崎は目が一瞬でハートマークになる。
「あなた達が、怪物共を退治してくれたのか?」
「へ? ま、まぁそうだが…」
「そうか。民達を助けてくれて、感謝する」
「退治というより、襲われると面倒だから倒したまでだ」
「あぁ、何て美人なんだ…!! すいません、名前を教え―――」
「「お前は少し黙っててくれないか」」
「あじゃぱーっ!?」
こんな時まで平常運転の蒼崎に、二百式とBlazが容赦なく突っ込みチョップを炸裂させる。
「どういった理由であれ、あなた達が守ってくれなければ村に被害が出てしまっていただろう……あなた達には私達の方から、何か礼をしなければならない」
「礼は良いがその前に、アンタ等は一体何者なんだ? 俺達はまぁ……色々あって、ここへ来る事自体が初めてなんだ」
「む、そうだったのか? では名乗らなくてはいけないな」
二百式は女性にそう問いかけ……そして、予想外の返事が返って来た。
「私の名はランマル。アーク軍を率いるノブナガ様に、仕えている者だ」
「「!?」」
ノブナガ。
想定外の名前が出てきた事で二百式とBlazは驚いて顔を見合わせた。
「はぁ~…美しいお方だ…!!」
最も、蒼崎はいつも通りだったが。
一方、待機中の朱音達は…
「…妙に遅いですね、あの三人」
「また何処かで、騒ぎにでも巻き込まれてるんでしょうよ」
「えぇ~……それはそれで、こっちが困るんですが…」
「うっく、ひっく…」
村のとある団子屋にて、竜神丸とルカはお茶を飲みながらのんびり寛ぎ、朱音は未だに泣き続けながら串団子を頬張っていた。ちなみに、何故三人がこんな所にいるのかというと…
「おやおやまぁまぁ、あんまり泣きなさんな。朱音ちゃんや」
「うぅぅぅぅ…おばぁざぁぁぁぁぁぁぁん…!!」
((…朱音さんがこんなに泣いてるの初めて見たな))
団子屋を営んでいる老婆に、泊めさせて貰う事になったからである。竜神丸が「お金が無いので、一日だけでも良いからここに泊めさせて欲しい」と頼んだ結果、店の商売を手伝う代わりにしばらく泊めさせて貰う事になったのだ。ちなみに朱音は先程から老婆に慰めて貰っており、竜神丸とルカは彼女がここまで泣き虫と化している事にむしろ新鮮味を感じている訳である。
「…しかし驚きましたね。この世界にも、仮面ライダーが存在していたなんて」
「それも、武将達を守る騎神としてね……やれやれ、世界とは本当に広いものです」
彼等も、団子屋の老婆から騎神の事や戦の事は聞かされたらしい。貴重な情報を入手してラッキーだと思うと同時に、ライダー同士が戦っている世界だと知って少々複雑に感じているようだ。
「騎神同士が戦い、領地を奪い合う世界。そしてここの領地を統括しているのが…」
竜神丸は遠くに見える巨大な城に視線を向ける。
「アーク軍……あの、織田信長が率いている勢力という訳ですか」
「僕等の知ってる武将の名前が出てくるなんて……これだともう、仮面ライダー版戦国時代ですよ」
「確か戦国時代の歴史には、仮面ライダーなんて存在はいなかった筈……そうでしょう?」
「はい。俺達がいた地球の歴史には、仮面ライダーは存在していません。歴史の中にも、仮面ライダーが騎神として存在しているなんて史実はありませんし」
「つまりここは、戦国時代そっくりの別世界……一種のパラレルワールドという訳ですか」
「そういう事になりますね」
二人は同時にお茶を一口飲み、そして一息つく。
「…にしても本当に遅いですね、あの三人。このままじゃ僕達もまともに動けませんよ」
「というか朱音さんを押し付けられた時点で、どの道私達は碌に動ける状況じゃありませんがね」
「それは確かに…って、アンタは何もしてないでしょうが!!」
「いや、私じゃ朱音さんを慰めようが無いので。ルカさんに任せようと思いまして」
「少しは手伝おうって気持ちは沸かないんですか!?」
「はい、沸きません」
「即答された!?」
「まぁ、もうそんなのはどうでも良いじゃないですか。今はこの団子屋のお婆さんに慰めて貰ってますし。良かったですね解放されて」
「良かったね、じゃないですよ全く…」
その時…
「ねぇ聞いたかい? 昨日の夜、また怪物が出たんだってさぁ」
「あぁ聞いたよ。今度は西の村で人が襲われたらしいね」
「「…!」」
団子屋の客である着物を着た女性が二人、何やら噂話をしていた。竜神丸とルカは聞こえてないフリをしつつ、しっかり聞き耳を立てる。
「けど確か、怪物は騎神様が倒して下さったんだろ? なら良かったじゃないかい。被害が出ずに済んだんだから」
「それがねぇ、ちょっとばかり事情が違うんだよ。実はその騎神様、今までに見た事の無い騎神様だったらしくてさぁ」
((見た事の無い騎神…?))
竜神丸とルカはお茶を飲みながら、会話の内容をしっかり聞き取ろうとする。
「見た事の無い騎神様だって? どんなお姿をしてるんだい?」
「何だか紫色の鎧を纏ってたみたいでさ、まるで蛇のような雰囲気を持った騎神様だったってさ」
(蛇のような騎神…?)
(確か支配人さんが取り扱ってる中に、王蛇というのがありましたね)
女性達の会話は更に続く。
「大変なのはここからだよ。何とその騎神様、人間の男が変身している事が分かったんだって」
「人間の男がかい!? 何かの見間違いじゃないのかい?」
「本当なんだよ! 直接見た人もいるんだって」
((…ん?))
人間が変身した騎神。そこまで聞いて、竜神丸とルカは薄々嫌な予感がした。
(ま、まさか、そんな訳ないですよね…?)
(当たり前です。彼には今回の件は知らせていませんから…)
「話によるとね。その男は左腕が義手になってて、頬には一本の傷跡があるらしいんだよ」
「「ブフゥーッ!!?」」
覚えのあり過ぎる特徴に、竜神丸とルカは思わず盛大にお茶を噴いてしまった。それに気付いていない女性二人は、更に会話を続ける。
「その男はね、何やら苛立ってるみたいでさ。下手すりゃ村人にも襲い掛かるんじゃないかって噂になってるんだよ」
「まぁ怖い話だねぇ。騎神様が人を襲うなんて、騎神ディバイドでさえあんなに恐ろしいというのに」
その会話を他所に、竜神丸とルカは離れた位置で顔を見合わせる。
「どういう事ですか……何でZEROさんまで、こっちの世界に来ちゃってるんですか…!!」
「恐らくですが。
「冗談じゃありませんよ!! ライダーシステムしか使えない状態とはいえですよ!? あの人が王蛇なんかに変身して暴れたら、ほぼ確実に被害が酷くなっちゃいます!!」
「となると、私達が何とかして探し出さなければならない訳ですか……全く。どうしてこう、面倒な状況ばかりが続いてしまうんでしょうか…」
「ひっく……あれ、どうしたの二人共…?」
竜神丸が頭を抱えたその時、二人の下に朱音がやって来た。
「おや、朱音さん。もう大丈夫なんですか?」
「うん。ひっく……いつまでも泣いてたら、アン娘ちゃんに怒られちゃうし……アン娘ちゃんを助け出した後に、思いっきり襲っちゃえば良いもの!!」
((あ、いつもの朱音さんだ))
どうやら朱音も何とか復活はしたようだ。彼女が復活した事に安心する二人だったが、同時に騒動が終わった後に襲われるであろうUnknownに対して合掌せざるを得なかった。
「ところで二人共。さっき思いっきりお茶噴いてたけど、どうしたの?」
「あぁはい、実は…」
ルカが朱音に事情を説明する。
「あら、じゃあZEROさんもこっちの世界に来てるの?」
「ちょ、何でそんな軽いんですか!?」
「いやだって。私達が言っても、ZEROさん多分止めようが無いじゃない」
「「あぁ、それは確かに」」
「だからZEROさんの件については諦めて、彼が被害を出さない事を祈るしかないわね」
「はぁ…」
「しかし、こうしてる間にも何処かで被害を出してそうな気がするのは何ででしょうねぇ…?」
竜神丸はそう呟くが、三人はまだ気付いていなかった……まさか本当に、そんな状況をZEROが作ってしまっていた事に。
彼等がいるのとは別の村、そのとある城。
その城内にて…
「騎神ディバイドは昨日、ポセイドン軍の騎神ポセイドンをも討ち取った模様」
「このままでは、騎神ディバイドが天下を取ってしまうのも時間の問題です。かくなる上は、降伏せざるを得ないかと…」
「降伏だと? 駄目だ駄目だ!」
家臣達の提案をあっさり却下する武将―――徳川イエヤスは、座っていた椅子から立ち上がる。
「このまま騎神ディバイドに好きなようにさせる気か? そんなんじゃこの俺、イエヤスの名が廃るってもんだ!」
「しかしイエヤス様!! 我々は既に、騎神コーカサスを失った状態……この状況ではもう、立ち向かう術も…」
「大丈夫だ、心配はいらん。実は昨日……騎神の姿に変身出来る男を発見してな」
「な、騎神に変身する男ですか…!?」
「その通り。では皆にも紹介しておこう……お~い、出てきて良いぞ」
イエヤスに呼ばれ、家臣達の前に立ったのは…
「…どうしてこうなったし」
そう、他でもない支配人だったのである。
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第6話