No.638567

恋姫・鬼・無双 第2幕 Ep1

白雷さん

みなさんお久しぶりです。

2013-11-21 11:55:25 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:4951   閲覧ユーザー数:4159

~一刀視点~

 

天水、董卓の治める地にきてから一週間が過ぎた。俺は、街の様子そして民達の話に耳を傾けていたが、董卓を悪く言う奴は誰一人としていない。それどころか、董卓様がいなければという好意的な声が大多数を占めている。つまり、この世界で、もし反董卓連合というものが結成されるのであれば、それは董卓は祭り上げられるということだ。あの連合は本当に茶番劇となるわけか・・・。

 

しかしそれは、まだ先のことだ。まだ考えることは別にある。黄巾党の乱である。前回、賊があの街に襲ってきたとき、蒲公英には戦うなといったが、これからはそうにもいかない。彼女だって、戦うと決めていたんだ。事実、蒲公英もあの日から俺に隠れて日々、特訓に励んでいる。この世界で生きていくんだ。彼女にも覚悟があるのであろう。であるならば、俺もそれを支えなければな、そう思う。

 

「よっ!なにしてるんだ、蒲公英!」

 

俺は、蒲公英がこっそりと鍛錬をしていたところに顔を出す。そこはすこし城下街から離れた小さな森の中である。離れたといっても、ここは董卓の領地の中なので、警備も行き届いていて安全な場所であった。

 

「わっ!お兄様!」

 

俺がきたことに驚いたのかそんな風にあわてながら持っていた槍を後ろに隠す。しかし、その小さな身ではその長い槍は隠しきれず周りを見渡しながら近くの木に走っていってそれを隠した。

 

「え、あの。蒲公英・・・見えてるんだけど」

「えっ・・あっ、うん。なんでもないよ。なんでも、ただ体がなまっちゃって運動しなきゃなあって。」

 

以前、桜華と会うきっかけとなった場所。あの街の外で俺に言われたときのことを思い出したのであろう。蒲公英は槍をもって鍛錬をしていたことが俺に知られたことに動揺していた。

 

「あの時、俺がいったことを気にしているのか?」

「うん・・。」

「そうか。」

「でっ、でもね!あの時、お兄様が言ったことは良くわかるんだよ。 けれど・・」

 

そうだ。蒲公英は確かに良くわかっていた。いやそれ以上だった。あの時蒲公英は、彼女を置いていく俺の気持ちに気づき、涙をながしながら、そして力になれない悔しさ抑えながら、ありがとうと俺に言ったのだ。

 

「ああ。じゃあ、なんで今槍をもって、修行してるんだ?」

「それは・・その、」

 

そんな俺の質問に彼女は口ごもる。

 

「ううん、ごめん。わかっていたんだ俺も。」

「お兄様?」

「蒲公英だって、戦いたいんだよな?」

「お兄様・・・」

 

俺はそうやって見上げる彼女の頭に手を乗せる。

 

「あの時、戦えなかったとき悔しかっただろう?だから、あの後こっそり隠れてでも修行していたんだろう?」

「うん。自分が弱いのはわかってる。けれど、たんぽぽはこのまま弱いままでいたくない。このまま、ただ見ているだけじゃいやなの。お兄様と一緒に戦いたい。」

「ああ、俺も蒲公英のことずっと見てたからわかるよ。」

「お兄様っ!?何をいきなりっ!」

「え、そういうことじゃなくて、その、なんだ。蒲公英がここ最近鍛錬をここでしているのをみていたんだ。」

「えーー!じゃあなんで声をかけてくれなかったの!」

「どんな覚悟があるか見たかったんだ。ごめんな。んでも、俺が間違ってたよ。しっかりとした覚悟が蒲公英にはあった。ごめんな。」

「お兄様・・・。」

「だから、俺は決めた。蒲公英」

「何?」

「俺と一緒に戦ってくれ。」

「うん!もちろんだよ!んでも、たんぽぽまだ弱いからたくさん鍛錬が必要かも」

「そこは大丈夫だ。俺が一緒にボロボロになるまでつきあってやるから。」

「えーー、そんな体力馬鹿じゃないもん、」

「でも、もう決めただろう?」

「うーー、そういわれるとやるしかないじゃん。いじわる!」

 

そうして、その日を境に俺と蒲公英による二人の特訓が始まった。そして、その特訓にはいつの間にか桜華が加わり、3人での特訓となっていた。特訓の後に、蒲公英か桜華が作って食える弁当といえるものをみんなで食べていると、心がおちついた。まるで、これから始まる残酷な戦いがないのではないのかと思えるくらいに。そのくらい、俺はこの3人で共に過ごす時間が大切になっていた。この2人が、蒲公英と桜華が俺の家族とも言える存在になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

~愛里視点~

 

 

「愛里、この曹孟徳の元にいるのであれば、何もしないことは許されないわよ。」

 

華琳ちゃんと一緒に覇道を歩むことに決めてから一週間が経過していた。そんなこともいわれてはいたのだが、なかなかに仕事は見つからない。まずは、文字は読めないし、どこに何があるのかわからなかったし、だから私はこの一週間で一からこの国の文字を勉強し始め、そして、暇があるときは街をまわってみていた。

 

そうした一週間で、気づいたことは多くあった。この街は確かにいい街だ。けれど、もう少し機能的に変えられる。これは、未来からきたから気づけることであった。たとえば、ここでは、盛んな通りとそうでない通りの差が激しい。それは、警備の観点からみればわかる。にぎやかな通りは、警備隊の建物が近くにあり、何かが起こってもすぐに警備隊がかけつける。しかし、にぎやかでない通りは、警備隊の到着が遅い。そのために、盗みが行われても犯人を逃してしまうことが多い。それがまた、犯罪者を生むという、悪循環を生み出していた。

 

そのことに気がついた私は、現代の知識でなんとか資料をつくり、華琳ちゃんにそれをみせた。

 

「警備隊の分散、ね。ふーん。なるほどね、これをあなた一人で?」

「街の人たちにもいろいろと協力してもらったよ」

「そういえば、あなたはもう人気者になっているらしいじゃないの」

「え、そうなの?」

「ええ、天の御使いにしてはずいぶんと可愛らしいと。」

「あはは、それはうれしいよ。」

「上にたつものとして、民とそのように接する心をもつのは大切なことよ。」

「うん」

「あなたの案、いい案だと思うわ。一応桂花にも確認をとったあとで、また聞くこともあるでしょう」

 

そういいながら、華琳ちゃんは私の書類を机に置き、こちらにその体を向ける。

 

「それで、愛里。ここにはもうなれたかしら?」

「うん、みんな優しくしてくれるし。だいぶ慣れてきたかな」

「そう、それはよかった。それで、あの城壁で私がいったこと、覚えているわよね?」

「うん」

「では、何かすべきことを見つけたのかしら?あれくらいの書類をこんな短時間でつくれるのだもの。文官にでもなりたいのかしら?」

「ううん」

「じゃあ、何がやりたいのかしら?」

「華琳ちゃん、私は戦場で皆を導く将になりたい。」

 

そうだ、いつも私は守られてきてばっかりで、そしてそんな私がいやだった。だから、もう私は逃げたくないんだ。もう、決めたんだ。そして、そうすればきっと私はいつか・・・

 

「・・・」

 

私がそんなことをいうと華琳ちゃんは意外とでもいいたいかのように、その口をあけてこちらを見ていた。

 

「華琳ちゃん?」

「あ、いえ。ごめんなさいね。その心をきいても?」

「うん。華琳ちゃんには愛里にはお兄ちゃんがいるって話したよね」

「ええ、そうね」

「愛里のお兄ちゃんは愛里よりものすごく強くて、いつも誰かのために動ける優しい人だった。愛里はそんなおにいちゃんにいつも守ってもらってばっかりだった。それでもね、そんなお兄ちゃんを一度だけ、愛里が守れたときがあるの」

「へえ、いいお兄さんなのね。それで?」

「それはこれだよ。」

 

そういいながら私は眼帯に手を当てる。

 

「そう・・・」

「私はね、華琳ちゃん。この目を失って悲しくはなかった。むしろお兄ちゃんを守れたという証みたいで自分が誇らしかった。そのとき気がついたの。人を守る覚悟と、その重みに。そして、人のために自分の力を使うことができるその優しさと強さに。」

「つらいことがあったのね。それでも、あなたの覚悟。よくわかったわ。でもね、愛里。たとえ貴方がなりたいと思ってもなれないこともある。とくに皆を率いる将はいろいろなものが求められるわ。あなたは人をひきつけるものをもっている。しかし、将に求められる一番といってもいいものは何かわかる?」

「それは、皆を率いる力。」

「そうね。確かにそれは大切よ。しかし、もっと大切なことは戦場で倒れない強さよ。」

「戦場で倒れない、強さ・・・」

「ええ。いくら皆に慕われている将であっても、やられてしまえば、その部隊の士気はおち結果的には壊滅につながってしまうわ。将でありたいのなら、どんな戦況においても倒れない強さを持たないといけないのよ。」

 

 

 

 

 

 

~華琳視点~

 

そうだ。愛里とて、ここまで言えばわかるであろう。たしかに、彼女にはそれなりなりの覚悟がある、けれど、覚悟と現実は違うのだ。だから、私のいったことを彼女は受け止め、考え直すと私は、そう思っていた。けれど、彼女は私の目をまっすぐに見てこういってきた。

 

「わかった。愛里、強くなるよ。この世界で一番強く。誰にでも倒されない、そんな存在に。」

 

最初は、天の御使いというなのお飾りにすぎないのかもしれないと思ってはいたのだけれど、それは間違っていたのかもしれない。あんな短い時間で私たちが考え付かないような案をもってきて、てっきり文官にでもなりたいのかと思ったら違っていた。彼女は私の前で、私の覇気に怖気づくことなく堂々とそう宣言してみせた。もしかしたら、私は、とんでもない拾い物をしたのかもしれないわね・・・わたしはそんなことを一人思う。

 

「なるほど。あなたの覚悟。それはわかったわ。でもね、私も、はいとは簡単にはいえない。あなたがそこまでいうのであれば、その武確かなものなのでしょう。であるならば見せてもらうわ。そうね・・それでは、まずは部隊長と仕合をしてもらうわ。」

「華琳ちゃん、そんな試しはいらないよ。はるちゃんと戦わせて。」

「なっ、愛里。一応いっておくのだけれど、春蘭は私の陣営の中で一番強いのよ?」

「うん。それは知っている。けれど、いい戦いができると思うよ。」

 

そういいながらふっと笑う愛里には春蘭から感じるものと似たような気を感じる。なるほど・・・ね。言葉だけではないということか。

 

「はははっ、面白いわね。しかし、この曹孟徳にそうまでいったのであれば、その言葉、本物でなければもう将になりたいなどということは許さないわよ。」

「うん、そのくらいの覚悟はできているよ。」

「そう、いい目ね。」

 

私はそういいながら、彼女をつれて春蘭が鍛錬をしているところへとむかっていった。

 

 

 

 

 

 

 

~愛里視点~

 

 

華琳ちゃんが私を連れて行った先はお城の庭だった。そこでは、はるちゃんが鍛錬をしている。いつも見てはいたが、やはり、はるちゃんは強い、そう思う。だからこそ、しばらく戦っていなかったためか、誰かを相手に剣をふりたいという衝動に駆られる。こんな私に自分でも驚くが、やはりお兄ちゃんのせいなんだろうなと思う。

 

「ちょっと、春蘭、いいかしら?」

 

そんな華琳ちゃんのことばにはるちゃんの腕は止められる。

 

「か、華琳様!?政務中ではないのですか?」

「まあ、少し休憩よ。それで、あなたにひとつ頼みがあるのだけれど、いいかしら?」

「と、当然です!華琳様からの頼みとあればいくらでも!!」

「そう。ならば、愛里と戦ってみてくれないかしら?」

「へっ・・!?」

 

華琳ちゃんから出た言葉は意外だったのか、はるちゃんはそんな声をだして驚いている。

 

「愛里と戦いなさいといっているのだけれど。」

「いえ、しかし。華琳様、愛里は・・」

 

そういいながら、はるちゃんがこちらを見る。はるちゃんは私が一度も剣を取ったことを見たことがない。それは、私が夜に鍛錬をしていたからだ。お兄ちゃんが言っていたことだったのだが、視界がわるいところで鍛錬を繰り返すことによって神経が研ぎ澄まされるらしい。つまり、片目を失った私にとってはいい特訓法であった。

 

「これは、命令よ。それとも、何?あなたは負けることを恐れているの?」

「そんなことはっ!・・・わかりました。華琳様がそういうのであれば。」

「ええ、本気で倒しなさい。」

「御意。」

 

そんな風に春蘭はいうと、先ほどまでの雰囲気はとってかわり、武人として、敵を倒すものとしての彼女がそこにはいた。彼女は模擬剣をとり、その剣を構える。私も、はるちゃんにならって、はるちゃんから渡された模擬剣をとり、その剣を構える。

 

「愛里、すまんな。これは華琳様からの命令でな。悪いが本気を出させてもらう」

「うん、そのほうが愛里もうれしいよ。」

 

それでははじめ!そんな華琳ちゃんの言葉と共に私とはるちゃんの仕合は始まった。私は、目を閉じる。今までやってきたこともあり、周りの穏やかな空気をその身で感じる。そして、目の前の強大な気、はるちゃんの存在感もしっかりと感じる。

 

「なっ!愛里、お前、どういうつもりだ。」

 

はるちゃんは私がいきなりその目をとじたことに驚き、そういってきた。その声から、少し怒っていることが感じられる。しかし、私は何もいうことはなく、ただ目を閉じていた。

 

「本気でいくといったはずだよな。ここで手加減はしない。でぇぇええいいい!」

 

はるちゃんはそういいながら私に飛び掛ってくる。私は感じていた。空気の乱れを。目では見えない、わずかなその流れを。

 

 

 

 

 

 

 

~華琳視点~

 

愛里からは確かに、春蘭と似たような気を感じ取ることができた。それでも、圧倒的に春蘭がうわまわっていると私は思っていた。そして、最初の春蘭の一撃でこの仕合は終わるであろうと思っていた。

 

"ガキンッ”

 

しかし私の予想はそんな鈍い音によって打ち砕かれる。

 

「嘘、でしょ・・」

 

私は目の前に広がる光景にそんな言葉を隠せないでいた。愛里はまだ、その目を閉じている。しかし、彼女はしっかりとその剣で春蘭が振り下ろした剣を受けていた。

 

 

 

~愛里視点~

 

 

おにいちゃん、私は、もう誰にも負けないくらい強くなる。そして絶対私はっ!

 

「はぁぁぁぁあ!」

 

私は目を開け、反撃の態勢にでる。はるちゃんのその剣を押し返し、体勢を低く構え胴を狙いにいく。

 

   「くっ!」

 

でも、さすがはあの夏侯惇のことだけはある。私の攻撃をしっかりと受け止めていた。

 

   「愛里、お前・・・」

 

私の剣を受け止める彼女の表情からは今までと違うものが感じられた。

 

  「はははっ、おもしろい!面白いぞっ!愛里!」

 

一瞬動揺していた彼女の表情はかわり、彼女は私を見ながらそう笑っていた。なんでだろう・・そんな風に笑うはるちゃんをみて、私もなぜか笑みを隠せないでいた。

楽しい・・こんな風に思うのはやっぱりお兄ちゃんのせいなんだろう。手が震える。久しぶりに相手を前に剣を振るう感覚だ。もっと戦いたい、私の体がそういっているかのようだった。

 

「やっぱり、はるちゃんは強いね。」

 

はるちゃんと距離を置いた私はそういう。

 

  「当たり前だ。私は華琳様の剣だ。誰にも負けることはない!」

 

そういいながらはるちゃんが振るう剣は重たく、鋭い。

 

「やっぱり。はるちゃんは華琳ちゃんのために。」

 

  「そうだ!だから、私に敗北の二文字はありえない!」

 

「だったら、愛里もそうだよ。愛里はこの世界で一番強い人を知っているっ!」

 

"ガキンッ”

 

そういいながら私が振るう剣ははるちゃんによってとめられる。

 

「だから私は、その人に近づくまで、その人の横にたつまで、絶対に負けないってそう決めた。だからっ!」

 

   「くっ!」

 

私は、自分の長所ではるその速さを生かして攻撃に移る。最初は頭へ、次は体勢を低くして胴へ、そして相手の後方に回りながら正面へ。そんな攻撃を速さを緩めずに繰り返す。暗闇の中で鍛錬をしていたかいがあったのか、はるちゃんの攻撃が目に入らなくても、空気の流れでなんとなくわかっていた。

 

「はぁぁああああ」

 

"ガキンッ”

 

それでも、私の連続技もはるちゃんにとめられる。

 

「はぁっ、はぁっ」

 

鍛錬を続けたといっても、1ヶ月も激しい運動をせず病院にいたんだ。もうそろそろ体力の限界が近い。まだ、まだ・・・お兄ちゃんには遠いのかな・・・

そんな思いが脳裏によぎる。 でもっ・・

私は今持つ剣を再び握り締める。

 

   「予想外だぞ、愛里。ここまでお前がやるとは。」

 

「いったでしょ。私は一番強い人を知っているって。」

 

   「お前をそこまで思わせる人物、私も剣を交えてみたい。」

 

「その前にまだ、愛里がいるでしょっ!」

 

   「ふっ、そうだな。では、いくぞっ!愛里っ!」

 

 

 

「「はぁぁぁぁあああああっ!」」

 

 

私たちは、お互い剣を構えて相手へとその剣を振り下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ん?、ここ、は?」

 

気がつけば私は自分の部屋の寝台のうえで寝ていた。

 

「あら、起きたのかしら?」

 

そんな声に横を向けば華琳ちゃんがそこにはいた。

 

「華琳ちゃん?愛里は・・」

 

「あら?覚えていないのかしら」

 

あ・・・そうか、私ははるちゃんと仕合をして、負けたんだ。かなわなかったんだ・・・

 

「ちょっ、愛里?どうしたの?傷口が傷むのかしら?」

「あれ・・・?」

 

私は気づかないうちに涙を流していた。華琳ちゃんは眼帯の傷を心配してくれているようだけど、そうじゃない・・・悔しかった。わたしは、あの時お兄ちゃんを守れて少しだけ、お兄ちゃんに近づいたとそう思っていたはずなのに・・・まだまだ、私はおにいちゃんに届くことがない・・

 

「ごめんね、華琳ちゃん。あんなに偉そうなことをいっておいて。」

「何をいっているの、愛里。あれだけ春蘭と戦っておきながら強くないとでも言うのかしら?」

「だって、私ははるちゃんに負けた・・」

 

そういった私に対しての華琳ちゃんの表情がすこし変わる。

 

「それを聞いたら春蘭は怒るわよ?」

 

「華琳ちゃん?」

 

「確かにね、愛里。あなたにもそれなりの戦う覚悟と強さがあるわ。そして、負けたくないという強い気持ちも確かにわかった。けれど、それは春蘭も同じはずよ。それに、あなたが自分自身を弱いというのであれば、貴方を相手に互角に戦った春蘭も弱いといっていることになるは」

 

「そんなことはっ!」

 

そういおうとする私の頭にぽんっと華琳ちゃんの手がのっけられる。

 

「愛里。貴方は十分に強いわ。それは実際この目で見た私が保証する。だから愛里、いえ、天の御使いよ。あなたをこの私の将としてむかいいれる。」

 

「・・いい、の?」

 

「なにを言っているの、その武を持ちながら何もしないほうがよっぽど悪いわ。」

 

「華琳ちゃん・・」

 

「改めて、これからよろしくね、愛里!」

 

「・・・うんっ」

 

私は私の主が差し出すその手をとる。そうして私は、曹操のもとで剣を振るう将となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~一刀視点~

 

 

「一刀様、あらゆる場所で反乱がおきはじめています。」

「そうか、桜華。それで、特徴は?」

「はい、やはり一刀様が言っていたように黄色の布が目印となっているようです」

「そうか・・」

 

 

ついにきたか・・・黄巾の乱。三国史の始まり。民の怒りの爆発・・・

 

俺に、彼らを止める権利があるのか・・・

 

「一刀様?」

「いや、なんでもない。」

 

いや、こんなところで迷ってはいられない。俺は、俺の理想をかなえるために。

 

「桜華、俺たちもそろそろ行くぞ。」

「いよいよ、ですね。一刀様」

「ああ、蒲公英!」

「馬の準備はできてるよ!お兄様!」

 

 

「一刀様、もうひとつ言っておきたいことが」

「なんだ?」

「天の御使いが曹操のもとに舞い降りたという噂が流れています。」

「天の、御使い・・か。くだらない・・」

「なんでも、隻眼の少女だとか。」

「・・・」

 

そんな彼女の言葉に俺は少し立ち止まる。

 

「一刀様?どうかなされましたか?」

「・・、いや、なんでもない。」

 

「お兄様ーー!桜華さーん!はやくーー!」

 

馬をひきいた蒲公英が少しはなれたところからこちらを呼んでいる。

 

「ああ!蒲公英、桜華!いくぞ!」

「御意」 「わかったのー!」

 

 

そうして俺たちは天水の街を後にした。

 

 

 

まさか・・・な。一瞬俺の頭によぎった不安は強い風とともに、消し去られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ1

 

 

「これは好機だ!絶対逃がすな!!!」

 

俺は剣を構え前へ進む。

 

「よお、1年ぶりだな」

 

俺はそんな言葉とともに決めポーズをとった。

 

 

 

 

「・・・、お兄様?何してるの?」

「あ、蒲公英。これはな、よくしってる敵を追い詰めたときの台詞だ。かっこいいだろ?」

「あ・・うん、えーっと。」

「なんだ、蒲公英、反応が薄いな・・桜華はどうおもう?」

 

「うーん、こんなのはどうです?  くっ、この俺の王の力が!」

「おっ、桜華、いいね。」

「一刀様に喜んでもらえて何よりです。」

「じゃあ、早速やってみるか」

 

俺はそういい、剣を構え、その剣を誰かに弾き飛ばされたかのように、

後方へ投げつける。

 

「くっ、こっ、この俺の王の力がぁぁああ!」

 

 

 

きまったと思って横をみたらそこにはもう蒲公英と桜華はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

みなさんお久しぶりです。白雷です。

忙しい時期もおわり、落ち着いたのでまた書いていこうと思います。

今後ともどうぞよろしくお願いします

 

 

 


 
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