No.592463

武器の御遣い

第漆話

2013-06-29 15:12:05 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2374   閲覧ユーザー数:2063

 

 

 

 

桂花「それにしても、良かったの?あんなんで」

『ああ。本気で面倒な事に成りそうだったからな』

 

 

一刀達の元から――正確には曹操から――逃げるように去った後、旗を取って桂花達の元に戻り、そのまま五人を銀狼(インロウ)に乗せ(銀狼は可也渋っていたが、頑張って説得した)そのまま先に桂花・季衣・流琉の目的地の陳留に向かっている

 

 

明命「しかし、師匠は矢張り強いです!流石は師匠です!」

 

 

あの戦闘の後、桂花達と合流すると明命が『師匠と呼んでも良いですか!?』と聞いて来た。まあ、呼び方は気にしないと言った所、明命は俺の事を師匠と呼ぶように成った。そしてそんなこんなで意外と近かった――実際は銀狼の足が速すぎるだけでどんなに急いでも馬で3日掛かる距離離れていた――流石に都の近くに狼に乗って現れる訳にもいかないので、陳留付近で桂花・流琉・季衣を下す

 

 

桂花「ありがとね迦楼羅。道中楽しかったわ」

季衣「えぇ~お姉ちゃん一緒に来ないの?」

流琉「こら季衣!姉様を困らせないの!!」

季衣「うぅ~でも~」

『ははは、まあこれが今生の別れじゃ無いんだ。今は乱世だが、平和に成ればきっと会えるさ』

季衣「うぅ~、分かったよぅ」

『よしよし、聞き分けの良い奴は嫌いじゃない』

 

 

そう言って俺は季衣の頭をワシャワシャと撫でる

 

 

季衣「んにぃ~~」

『良し。なら一旦お別れだ。こいつは選別だ』

 

 

そう言って季衣の頭から手を退け、持っていた酒を渡す

 

 

流琉「これは………姉様が作ったお酒ですか?」

『ああ、陳留(むこう)に着いた時に三人で飲んでくれ』

流琉「ありがとうございます、姉様」

『気にするな。じゃあ、達者でな』

 

 

俺は銀狼に跨りそのまま陳留を後にした

 

 

 

 

銀狼の足を以てすれば陳留から長沙まで一刻(2時間ほど)で来れた(明命と亞莎は早すぎてグロッキーに成ったが)。まあ、来れたのは良いんだが……………

 

 

 

 

『何故眼下の荒野で戦が繰り広げられている』

亞莎「そう言われても」

明命「師匠は戦と余程縁が有るようです」

 

 

そんな縁は要らない。俺が真に仕えたいと思う良君(りょうくん)(原作の董卓や劉備等)と縁を持ちたい。そしてそのまま配下としてその人に尽くしたい。まあ、それには他の国も見て回らなきゃな

 

 

『取敢えず、今回は二人も参戦してもらう』

亞莎「分りました」

明命「ハイです!」

『銀狼は此処で待機、明命と亞莎が前衛で俺が後衛だ。お前等は呉に仕えたいんだったな』

亞莎・明命「「ハイ」」

『なら二人は前衛に出て自分達の強さを呉軍に示すんだ。そしたら士官も楽になるだろ』

亞莎・明命「「分りました!」」

『うし、じゃあ始めますか』

 

 

 

 

 

 

Side:三人称

 

 

~戦場~

 

 

現在戦場では呉軍と黄巾賊による一進一退の攻防が繰り広げられていた、しかもかれこれ三日。別に呉軍が弱い訳でも、黄巾賊が強すぎる訳でも無い。呉軍が本気に成れば黄巾賊なんて半刻(1時間位)有れば倒せるだろう。では何故呉軍が押し切れないか。単純に数の差である。黄巾賊10万に対し、呉軍は3万~3万5千程。この戦力差で負けないのは指揮官の能力差だ

 

 

黄蓋「ほれ!其処と其処に隙間が空いたぞ!その隙間から攻め立てぃ!」

周瑜「敵に疲労の色が見えた!前衛と後衛を入れ替えて押し切れ!」

 

 

黄巾賊に主だった将は居ない。本当に唯の烏合の衆だ。それに比べ、呉軍には周瑜・黄蓋等の知将や良将が数多く居る。数の差が此処まで広くなかったら圧勝していただろう

 

 

 

 

――――オオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォン!!!!!!

 

 

 

 

狼の遠吠えが戦場に響き渡る。これにより、戦闘が中断される

 

 

黄巾賊の半分近くが戦々恐々。ガタガタと震え、武器を落とし、頭を抱え、へたり込んで失禁している者まで居る始末。その表情は皆この世の終わりと言わんばかりの絶望に満ちていた

 

 

その間、呉軍は攻撃が出来ずにいた。呉軍の心情は皆『何故普通より少し大きい程度の狼の遠吠え程度で?』で満たされていた。それは何もなかった黄巾賊も同じようで

 

 

黄巾雑魚1「おいおい、何やってんだよ」

 

 

おちゃらけた口調で絶望に附している者に声を掛ける者が居た。その質問に絶望している者はこう答える

 

 

黄巾雑魚2「お、お前は知らないからそんな態度で居れるんだ!!俺は見た、見てしまった。聞いてしまった。この遠吠えは間違いなく蒼狼の舞姫だ!!!蒼狼の舞姫が来た!!!!」

 

 

怯えた口調と表情でそう答える黄巾賊の一人。しかし

 

 

黄巾隊長1「ふん!蒼狼の舞姫がどうした!!一人で1万の味方を倒しただ?んなもん所詮噂だ!!恐れる理由に成らん!!!」

黄巾雑魚3「そうだぜ?」

黄巾雑魚4「うおおおおおお!!!蒼狼の舞姫が何だってんだってーの!そんな奴なら姿を見せろや!!!」

 

 

最早眼前の呉軍無視でこの場に居ない蒼狼の舞姫を挑発し始める黄巾賊。と、その時

 

 

ピュン!ピュン!ピュン!

 

 

黄巾雑魚3「ギャ!!」

黄巾雑魚4「ガッ!?」

 

 

矢が雨霰と黄巾賊に降り注ぐ。降り注ぐ矢は次々に黄巾賊を打ち抜く

 

 

黄巾隊長2「……………ハッ!一体何処からの攻撃だ!!」

 

 

いち早く正気に戻った黄巾賊の隊長格と思しき男が怒鳴りながら周りを見回す。すると後方から

 

 

黄巾雑魚5「うぎゃーーーーーーー!!!?」

黄巾雑魚6「ぐが・・ぐ!」

黄巾雑魚7「うあああ!?!?!」

 

 

等と言った悲鳴と肉を切る音が聞こえた

 

 

黄巾隊長3「後ろだ!後方に隊を回せ!」

 

 

そう隊長格の男の一人が号令を下す。が、それを易々と見逃すほど呉軍では無い

 

 

周瑜「今だ!一気に攻め立てよ!!」

黄蓋「皆!!公瑾の隊に続け!!!」

 

 

周瑜と黄蓋の号令で突撃を掛ける呉軍。それに成す術なく打ち取られていく黄巾賊。こうして、三日続いた呉軍と黄巾賊の攻防はあっと言う間に決着がついた

 

 

 

 

黄蓋「助かった。お主等が居らなんだらもっと長引いておったわ。礼を言うぞ」

明命「い、いえ!とんでもない!!」

亞莎「そ、そそそそそそそそうです!!当然の事をしただけです!」

周瑜「落ち着け。それで、君達は呉に仕えてくれると言うのは?」

明命「はい!私達はそのために長沙に向かっていたのです!で、途中でこの戦場を通りかかったので」

周瑜「二人旅か?実力は先程の戦闘で分かったが、危険では無かったのか?」

明命「いえ。迦楼羅さんと銀狼さんが居てくれたので!それに先日まで一緒に旅する仲間も居ましたし。ですよね!迦楼羅さん!………ってあれ?居ないです」

亞莎「あれ?ホントですね」

黄蓋「? 何を言うておる?最初からお主等二人だけであったであろう?」

明命「あれ?可笑しいですね。お二方が来るまで一緒に居たはずなのですが」

 

 

迦楼羅は前回みたく誰かが寄ってくる前に退散した。そして、その時

 

 

呉兵「な、何だこの狼は!!」

 

 

周瑜・黄蓋「「ッ!?」」

 

 

周瑜と黄蓋は声がする方向を見て絶句した。まあ、銀狼を始めて見る人は大抵悲鳴を上げるか絶句する

 

 

明命「あ!銀狼さんです!」

 

 

明命が銀狼に寄って行くと銀狼は加えていた酒瓶を渡す。酒瓶には『餞別』と彫られている木の皮が張ってあった

 

 

亞莎「これは、迦楼羅さんの作ったお酒ですか?」

銀狼「…………(コク)」

 

 

亞莎の問いに頷いて答える銀狼。そして背に乗せていた桃色の長髪(・・・・・)の人物を周瑜達の前に放り投げる

 

 

??「フギャ!」

 

 

投げられた人物は頭から地面に突っ込み、奇妙な悲鳴を上げる

 

 

周瑜「!? しぇ、雪蓮!?」

黄蓋「策殿が狼に連れられて来おったぞ。………うん?なんじゃこの紙は」

 

 

銀狼に連れられて来た人物――孫策の額に張り付けて有った木の皮を見ると『届け物』と彫られていた。

 

 

 

そして付属してあった竹簡には

 

 

 

近くの小川で釣りをしていた。どうにも戦中に抜けてきた総大将らしいので届ける

 

 

 

と書かれていた。酒と人物と竹簡を届け終えた銀狼は踵を返して去って行った

 

 

その数分後、一人の女性の悲鳴が戦場だった場所に響いたとか

 

 

 

 

あの後、迦楼羅の噂は大陸中に轟き、飛将軍と並ぶ轟将軍と呼ばれるように成った

 

 

そして迦楼羅が明命・亞莎を長沙に送ってから一週間後。迦楼羅は洛陽近くの荒野に居た。但し、銀狼以外にも少女が三人居る。小柄な緑髪の少女、名を陳宮、真名を音々音。身の丈を超える戟を携えた赤い髪を持つ少女、名を呂布、真名を恋。白髪白眉に黒の外套を着た少女、名を馬良、真名を菖蒲(しゃうほ)。呂布と迦楼羅は背中合わせに眼前に目をやる

 

 

そこには荒野に翻る黄巾の旗。その数はおよそ15万

 

 

『……恋、中枢に動きあり。菖蒲、下がれ』

菖蒲「分かりました。師匠」

恋「ん、分かった。ねね、後ろに下がる」

音々音「い、イヤですぞ!ねねは恋殿を守ります!」

恋「……背中を見守ってくれればそれでいい…………だから、下がる」

菖蒲「ねね。今の僕達は邪魔にしかならない。出来るのは見守る事だけ」

音々音「れ、恋殿ぉ~」

呂布「……早く」

『急げ。銀狼、陳宮と菖蒲を守ってやれ』

陳宮「は、はいですぞ!」

銀狼《……………分かった》

 

 

この時、雲が太陽に掛かり、少しばかり辺りが陰っていた

 

 

戦場とは思えないのんびりした空気の中、眼前の黄巾党から三人の少女が現れる

 

 

天和「こんにちは~」

恋「…こんにちは」

『……どうも(天和達か、少しやり辛いが、これも巡り合わせだ。一応三人には危害を加えないようにするか)』

天和「お姉さんたち、ここで何やってるの?」

『待ってる』

地和「まってる?何を?」

恋「……雨」

地和「雨ぇ?」

天和「お天気も良いし、雨なんて降りそうにないと思うんだけど……」

恋「……(フルフル)…………雨は雨でも……赫い雨が降る。きっと」

三姉妹「「「……………」」」

 

 

二人の言葉に三人が唸る

 

 

地和「(ねえ、人和。やっぱりこの人たちおつむが弱い人なんじゃないの?)」

人和「(私もそうとしか思えなくなってきた。けどこんなところに犬と子供を連れて?)」

天和「(まあ、やさしい人たちみたいだから、お願いすればどいてくれると思うよ?)」

人和「(そうね。私がいってみる)」

 

 

彼女ら三人のうちで意見を交わしているのをみて恋と迦楼羅は首をかしげる

 

 

天和「あのね。このあたり、もしかしたら戦争になっちゃうかもしれないから、今のうちに安全な所に避難したほうがいいと思うんだけど?」

人和「私たちの行軍の妨げにもなりますし、道をあけてくれるとうれしいんですが……」

 

 

彼女達は100%善意でそういったのだろう。しかし二人にとっては眼前の敵など眼中になかった。それ故にこう答えを返す

 

 

恋「……(フルフル)」

『………気にすることはない』

天和「えっと、てことは道をあけてくれないってこと?」

『………そうなる』

天和「いやいやいやここにいるとホントに危ないんだってば!」

恋「……危なくないよ」

『…………この程度、危機とは思えない』

地和「だーかーらー!お姉さんたちわからない!?私たち黄巾党だよ?兵隊連れて行軍中なの!私達にはお姉さんたちを傷つけるつもりはないけど、後ろには黄巾党の男たちがわんさかやってきてるんだから!」

 

 

彼女らにとってみれば自分たちの率いる兵隊たちはすべからく民衆の恐怖の対象であると思っていたのだろう。今までの戦いにおいて敗れたことがなかったのだから

 

 

人和「みんな戦闘前で気が立ってるし、貴方達がここにいると男達がどう出るか……。残念だけど身の保障はできません」

天和「そうなる前にどこかに行ってほしいんだけど?」

恋「……(フルフル)」

『………お心遣いには感謝する』

地和「はぁ~。これだけ言っても聞いてくれないならもう何言っても無駄だよ」

人和「そうね。忠告しましたから、何が起きても責任はとれません。……いいですね?」

『…………わざわざ前線まで出てきてもらってすまない』

恋「……(コクッ)」

地和「てことは了解ってことだよね。人和、この人は放っておいて先に進もう?」

人和「まって、ちぃ姉さん。……ねぇ、あなたたちの名前を教えて?」

地和「そんなの聞いたって仕方が」

人和「ちぃ姉さんはだまってて。……それくらい教えてくれるでしょ?」

恋「……そっちの名前は?」

『………名前を聞いたほうから名乗るのが礼儀』

天和「あ~確かに。えっとね、私は張角だよ」

人和「ちょ、姉さん!不用意に名乗らないでって、いつも言ってるでしょ!?」

天和「でもこの子たちの言うとおり自分から名乗るのは礼儀だよ?」

恋「……張角?」

天和「うん!でね、こっちの青い髪の子が張宝ちゃんで、こっちの眼鏡をかけたのが張梁ちゃんだよ。よろしくね!」

恋「……よろしく」

『…………よろしく』

 

 

三人の名を聞いた時、恋の目に剣呑な光が宿ったことに三人は気付かない。迦楼羅は端から正体を知っていたのでさして驚きはしない

 

 

地和「さぁ、これでいいでしょ。次はあなたたちの番。名前、教えなさい」

恋「………呂」

『……………馬』

 

 

二人の口から告げられたのは自らの性

 

 

地和「呂に馬?それだけ?(あざな)は?」

恋「………奉先」

『…………幼条』

 

 

そして字が告げられる

 

 

天和「あれ?呂奉先と馬幼条って、お姉ちゃんどこかで聞いたような……?」

人和「……あっ!呂奉先と馬幼条って、まさか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間、太陽に掛かっていた雲が突如消え、陽光が背中合わせに立つ二人にさんさんと降り注いだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恋「董卓軍所属。第一師団師団長、呂奉先」

『流浪の傭兵、馬幼条』

迦楼羅・恋『「目的。北上してくる黄巾党の殲滅」』

恋「だから、張角、張宝、張梁。三人揃って……ここで死ね」

三姉妹「「「ッ!!?」」」

 

 

三姉妹は叩き付けられた殺気に声に成らない悲鳴上げる

 

 

恋「ねね」

『菖蒲』

音々音・菖蒲「「はい!!(ハイですぞ!)」」

迦楼羅・恋『「………旗を」』

音々音・菖蒲「「御意ぃぃぃぃぃ!!」」

 

 

二人は各々手に持つ旗を掲げる

 

 

音々音・菖蒲「「遠からん者は音にも聞け!近くば寄って目にも見よ!!」」

音々音「青天に翻るは!血で染め抜いた真紅の呂旗!!」

菖蒲「青き空の下で風を受けはためくは!眩き白銀に鮮血で描かれた白銀の馬旗!!」

音々音「悪鬼はひれ伏し、鬼神も逃げる!」

菖蒲「悪魔を退け、閻魔も殺す!」

音々音「天下に名を轟かせる、董卓軍の一番槍!」

菖蒲「昏い地獄より再臨せし、天下無双の戦人!」

音々音「飛将軍、呂奉先の旗なり!」

菖蒲「轟将軍、馬幼条が旗印!」

音々音「天に唾する悪党どもよ!」

菖蒲「その目でとくと!」

音々音・菖蒲「「仰ぎ見るがいい(のです)!!!」」

『…………われらの使命は獣の屠殺』

恋「遠慮は要らない」

迦楼羅・恋『「かかってこい」』

 

 

 

 

オリキャラ

 

 

馬良

 

姓は馬、名は良、字は季条。真名は菖蒲(しゃうほ)

 

容姿

三極姫の周瑜を幼くして白髪白眉にした感じ。早い話がTSしたアルビノな三極姫のロリ周瑜

 

備考

迦楼羅が明命と亞莎を長沙に送り届けた翌日に、賊に襲われている所を助けられ、迦楼羅の強さと優しさに惹かれて弟子に成った少女

武は賊を5人追い払えるか如何かだが、体力と知略が秀でている。現在、迦楼羅の師事の元、武力を強化中

武器は中距離戦では槍を、近距離戦では双剣を、遠距離では弓を使う

 

 

 


 
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