No.577405

恋姫 エピローグ 華琳√ エンド

白雷さん

~貴方の笑顔のために~華琳√のエンディングです。

華琳、さすがです!

2013-05-18 03:11:32 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:9925   閲覧ユーザー数:7830

華琳√エンド

 

 

 

 

 

~華琳視点~

 

 

あれから、あの三国を揺るがした戦いから1ヶ月が過ぎていた。あの戦いの後、私たちは一刀を三国同盟の象徴として迎えた。いろいろと戦後処理は大変ではあったが、2年待った彼の姿が隣にあったのだ。私はなんでもできるような感じがした。

 

それから、私たちはそれぞれの国へと帰っていった。桃香たちは成都へ。雪蓮たちは建業へと戻っていった。それぞれ、やることがあるのであろう。雪蓮たちはあの反乱の後にもかかわらず、大軍を率いて来てくれた。そして、それは桃香たちも同じだ。五胡という大勢力にあたった後、そのままこちらへと来てくれた。

 

「かりが、できたわね。」

 

私はそうつぶやく。一人、城のはずれの小さな森で、私はこの戦いで出たたくさんの戦死者を弔っていた。敵の策にはまってしまったとはいえ、私はこの戦いで多くの仲間を失ってしまった。その兵のほとんどは私を守るためとそう笑顔で死んでいったのだ。

 

 

「三国は今ひとつなんだから、かりなんてないんじゃないのか」

「あら、一刀。私がここにいるって、よくわかったわね。」

「まあ、会議が終わったとき華琳があんな表情をしていたんだ。少し心配になって、ちょっと後を突いてきたんだ。」

 

はぁ・・・まったく一刀は。誰にも悟られていないと思っていたのに。なんで、彼はそういうところだけ鋭いのかしら・・・

 

「ここは・・」

 

そう思っていると、一刀はあたりを見渡しながらそういう。私の前には石碑がたてられ、その周りには小さな石が重ねられていた。そして、そのところどころには小さい花が添えられてあった。

 

「そうか・・」

 

それを見た彼は、この場所の意味に気づいたのかそう言う。

 

「ここはね。私が私であるための場所。」

 

そう、目の前の石碑には橋 玄という文字が刻まれている。

 

「一刀、この戦いで私は多くの命を失った。大切な民を犠牲にした。大切な兵に私は守ってもらった。」

「そう、だな。」

「私は王。私は彼らを率いるものなの。だから、命が失われていくたびに私は立ち止まることなんて許されなかった。」

「ああ、そうだったな。」

「でもね、時々そんな自分が怖いのよ。そんなことを続けて、私は大切なことを忘れているのではないかって。命を犠牲にしてしまうのはしょうがないと思ってしまう自分がいるんじゃないかって。」

「華琳・・」

「だから、戦いがあるたびに私はいつもここに来ていた。そして、ここでいつも吐き出していた。その感情、すべてを。」

「そうだったのか・・・」

 

そう、いつもそうだった。みんなの前では堂々としていなければいけない。けれど、私はみんなが思っているほど強くないんだ。私だって一人の人間。でも、私は王として生まれてきた。いや、その道を自分で選んだ。だから、私はすべてを背負わなければいけなかったんだ。

 

「つらかったんだな。」

 

そういう私を彼はそうそっと抱きしめる。だめだ・・・私はそう思う。ここは、私が王として背負ってきた覚悟の場所。ここで彼に甘えてしまったら私は・・・・そう思いながら彼の手を押さえ、私は彼から少し距離をおく。

 

「華琳?」

「だめ・・・一刀。」

 

 

そうだ・・・大きな戦いが終わったからといって私はまだ王だ。これからも、私は王として歩んでいかなければいけない。だから、その道を歩くために、私は私のすべてを明かすことなんてできない。明かしてしまったら、私は自分に甘くなってしまう。自分が弱くなってしまう。

 

 

 

 

 

 

「いいんじゃ、ないのか。」

 

そんな風に思っていると、彼は再び私を抱きしめた。私は、再び彼から離れようとする。しかし彼はその腕に力をいれ、私を放そうとはしなかった。

 

「いや、一刀放して!」

「いやだ・・」

「だめ。これは私が背負わなければいけないものなの。私は王なのだから。」

「知ってるよ。」

「だったら、放しなさい!あなたにならわかるでしょう。」

「ああ、わかるさ。」

「だったら!」

「でも、放さない。華琳、もう君を一人にはしないよ。したくないんだ」

「え・・・」

 

私はその言葉に、目から熱いものがこみ上げてくる。気づけば、その涙は私の頬に伝わり流れ落ちた。

 

「わかっているよ。華琳。この石は、戦場で失った人のためにあるのだろう。戦場で、華琳は泣いてはいけないから。王として、どこまでも先頭に立つものとして、その道を振り返ってはいけないから。だから、ここで一人で彼らを送っていたのだろう。」

「かずと・・・」

 

彼はわかっていた。なんで、私が一人ここにいて、彼を拒んだことも。それをわかっていながらも、彼は私をこうして抱きしめてくれている。

 

「一刀、私は王になるために、たくさんの命を流してきた。それは敵のものでもあるけど、仲間のものでもある。」

「そうだな。ここまで、たくさんの命が失われた。この平和を手に入れるために、たくさんの仲間が旅立っていったな。」

「桃香はいつも言っていた。みんなを笑顔にしたいって。そんな風に。私はそんな甘い理想を抱える彼女が嫌いだった。けれど、それは違ったのかもしれない。そんな甘い理想を堂々と胸を張って抱えられる彼女がうらやましかったのかもしれない。」

「まあ、桃香は意外とお気楽に見えてなにかといろいろ考えているからな。」

「あ、そうやって、桃香のかたをもつんだ?」

「いや、違うって。」

「でも、私はそれでも、そんな甘い覚悟の先には未来なんかないって思っていた。」

「ああ、華琳はそうだよな。」

「でも、時々思うのよ。もし、桃香の理想を私も追っていたのなら、こんなに多くの人が死なずにいたんじゃないかって。」

「そうかも、しれないな。」

「一刀?」

「けれど、華琳は違うって思ったんだろう?そんな甘い考えでは国は成り立たないって。」

「そうだけど、でもっ」

「少なくとも、俺は華琳の道を歩みたいって思ったんだ。俺は、華琳が思った先に明るき未来があるってそうずっと思ってたよ。」

「かずと・・」

「そんなのはもちろん俺だけじゃない。春蘭だって、秋蘭だって。みんなそう思ったからこそ、今まで華琳の傍にいたんだ。」

「でも、私はっ、私は・・・これで、よかったのかな?一刀・・・」

「ああ、それでよかったんだ。立派だったよ華琳。華琳はがんばったさ。だから・・さから、さ。もう、一人で背負い込むな。」

「かずと・・」

 

 

ああ・・・・なんでだろう。今まで、ずっと我慢しようとそう思っていた。けれど、なんでだろう。なんで、こんなに涙があふれてとまらないのだろう。なんで、彼が一緒だと私はこんなにも私でいられるのだろう・・・なんで、彼が一緒にいると、誰かに頼ることがいいことだと思ってしまうのだろう・・・

 

 

「なあ、華琳。俺の夢って知ってるか?」

「一刀の・・・夢?それは」

 

私の涙を彼はその手でぬぐいながら、そう話を始める。そんな彼の質問に、私はあの戦いのあと彼と城壁で話していたことを思い出す。

 

    「俺の望みは、華琳やみなと一緒にいることだ」

 

そう、彼の望み。それは私とみんなと一緒にいること・・・確かに彼はあの時そう言ってくれた。

 

「それは、その・・・私やみんなと一緒にいたいということ?」

 

すこし自分で言うのは恥ずかしかったが、私は彼に言われたままのことをそういった。

 

「それもある。けれど、ちがう、かな」

 

彼はそういいながらその手で頭の後ろを、まるで照れているのを隠すかのように、かきながらそういう。けれど、私は、えっ、と思ってしまう。だって私は、あの時うれしかったのだ。彼が私たちと一緒にいたいといってくれたことが。だから、今、それを拒まれてしまうのは、悲しかったし、正直腹が立った。うそつき・・・私はそう心の中でつぶやく。

 

 

 

 

 

 

 

「俺の夢はな、華琳。君の隣に胸をはって立てることだったんだ。今も、昔も、ずっと俺はそう思っていた。」

「・・・・」

 

なにもいえなかった。私は・・・馬鹿だ。そうじゃない。彼はいつも私のためにがんばっていた。最初は頼りなかったけれど、彼は彼なりにがんばっていた。そして、あの別れの日だって彼は、いや彼が一番つらいはずなのに私を励ましてくれた・・・私は・・。

 

「ずっと、俺は思ってたよ華琳。いつか、君が背負うその大切なものを、その苦しみを、その悲しみも、そして喜びも、俺は一緒にみたいって。」

「一刀、私はっ。」

 

そうじゃないか・・・いつも彼はまっすぐだった。いつも彼はその気持ちを私に素直に打ち明けてきた。逃げていたのは私じゃないか・・・

 

「華琳、俺は、華琳の隣に立てる男にふさわしくなった・・・かな?すこしでもいいから華琳が背負っているものを分けてくれることができるような、そんな男になれた、かな?」

 

私が、馬鹿なことを考えて悩んでいる間彼は、こんな私の隣に立つためにずっと努力をしていたんだ。

 

「私はね・・一刀。ずっと、一人だった。」

「ああ・・・・」

「王だったの。いえ、今もそう。仲間はいるけれど、この王としての孤独は消えることはなかった。」

「そうなんだろうな。」

「でも、いいの、かな?私は・・・王なのに・・・。誰かに頼って、いいのかな・・?」

 

そう、初めて打ち明ける自分が感じていた孤独に、そしてそんな甘えに、私のこぶしは震えていた。怖かった。彼にそんなの華琳らしくないと言われてしまうことが。けれど、彼はそんな私のこぶしを優しく包みこんでくれた。

 

 

「そのために、俺はここにいるんだ華琳。」

 

 

「みんな、変に思わないかな・・・?」

「思うかもしれないな」

「思うのね・・」

「でも、俺は思わない。華琳は華琳だから。」

「かずと・・・私は、ね。今までがんばってきた。自分でいうのも、なんだけどがんばってきたのよ。本当をいうとね、何度も王なんかやめたいって思ったこともあった。でも、そうしたら私は自分が許せなくなる。そしてなにより、仲間たちの期待を裏切ることになってしまう。」

「ああ。がんばったな。華琳。」

 

今まで、そしてこれからも絶対に口にはしないと思っていたことが自然と口から零れ落ちる。そんな私に彼は優しくそういってくれた。

 

「私のことを理解してくれない人たちに怒りたいことだってあった。」

「ああ」

「私だって、桃香みたいに民とともに心から笑いたかった。」

「ああ」

「雪蓮みたいに、自然に兵たちと酒を飲み交わし、話がしたかった。」

「ああ」

「仲間がなくなったときも、泣きたかった・・・・」

「だったら、俺がいるから。ずっと。だから、もう我慢しないでくれ。一人で背負い込まないでくれ。怒りたいときは怒ればいい。笑いたいときは笑えばいい。悲しいときは泣けばいい。俺が、いるから・・、俺がずっと、傍にいるから。だから、華琳は華琳でいてくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

「かずと・・・うっ、うっ・・。うえぇぇえええん。」

 

 

 

 

私は、そうやさしく抱きしめてくれた彼の胸の中でいつまでも泣いていた。

 

 

「わたし、ねっ・・かずと。一刀が思ってるより、弱虫だよ・・・」

「ああ、知ってるよ。それにいじっぱりだ。」

「なんだ、しってるの、ね。」

「俺を誰だと思ってるんだ?」

「それに、わたし、独占欲が強いのよ」

「ああ、華琳らしいな。」

「だから、その・・・一刀がほかの女の子と一緒にいるのはいやだし、なんで私じゃないのって思う・・」

「おおっ、華琳からそういってもらえるとは・・うれしい限りだ」

「馬鹿。 」

「ありがとうな、華琳」

「一刀が気が多いのは知ってる。それにそんなあなたに多くのものが好意をよせていることも。でも、私は・・・私は一刀じゃなきゃだめなの・・あなたがいなきゃだめなの」

「うれしいよ。華琳。俺も、君がいなきゃだめだ。だから、華琳」

 

そういいながら彼は私の手を改めて握る。

 

 

 

 

 

「俺と、結婚してください。」

 

 

 

「なっ!かず・・・と?」

「俺は、ずっと君だけを見ていた。そんな小さい肩にすべてを背負って、最初はただ尊敬していた。けれど、俺は気づいたんだ。華琳もほかの女の子と何も変わらないんだって。つよいところも、王であろうとするそのたくましい姿も。そして、泣き虫な君も、いじっぱりな君も、ぜんぶ華琳。そんな華琳が俺は大好きだ。だから、俺をずっと、これから先もずっと、華琳の隣にいさせてください。一緒に道を歩かせてください。」

 

そんな彼からの婚姻の申し込み。彼は、たくさんの女の子の中から、私の隣にいることを望んでくれた。・・そんな思いがこみ上げる。これからもずっと、そして何より、私が彼の隣にいられることを思うと、私はそのうれしさを抑えきれない。

 

 

 

「うんっ、うん・・・一刀。私も、一刀の隣にいたい。」

 

 

そういい、私たちは誓いの口付けを交わした。日が暮れ始めたその空は、夕焼け色に染まり、いつまでも私たちをあたたかく照らしだしていた。

 

 

 

 

 

 

橋 玄様、

 

お元気でしょうか?私は、私の偉大なる師にそう挨拶を始める。隣にいる彼は、そう目をつぶって言葉には出さないではいるが、そう話す私の手を握ってくれている。

私は、この曹孟徳はごらんの通り元気でやっています。思い返してみれば、あなたにであってから、何年もの時がたちました。はじめに出会ったときを覚えていますか?私が、幼かったころ、まだ何も知らずにそれでも、強がっていた私を橋玄様は優しく包み込んでくれましたね。大丈夫、貴方ならやっていけるって。孤独だった私が、寂しかった私が、その言葉にどんなに救われたのかをあなたは知ることもないでしょう。

 

それからというもの、あなたは私にいろいろなことを教えてくれました。政治、経済、兵法、民と接する心・・・そのどれもが私には新鮮で、驚いてばかりでした。最初のころは、貴方が、がんばったねといって笑ってくれるのを見たいがために、私は勉強に打ち込んだのを覚えています。それから、私は春蘭に出会い、秋蘭に出会い、みんなに出会ってゆきました。

 

貴方が旅立ってしまったと聞いたときは、私は一人でいつもここに来て泣いていました。貴方は、私のただ一人の師だったから・・・何もかもがわからなくなってしまい、でもみんなの代表だから、私は前に進まなければいけなかった。そんなときですよ。彼に出会ったのは。

 

北郷一刀、最初は、ただの天の御使いという名だけをもったそれだけの男だって、そう思っていました。けれど、それは違ったんです。彼は変えてくれました、こんな私を。彼は救ってくれました。孤独でいた私を。彼は気づかないうちに私の中で大きくなっていました。

 

橋玄様はいってくれましたね。いつか、あなたもきっと貴方のことを支えて隣にたってくれるひとが見つかるだろうって。そんなの、ただの夢物語だと思っていました。けれど・・・あなたは、正しかった。私には、今、こんなにも大切な彼がいるのだから。こうやって、私の気持ちを分かち合ってくれる彼が隣に立っているのだから。

 

橋玄様、やっとですよ。やっと、こうして私は三国の王になり、そして大きな試練を乗り越えました。橋玄様、見ていてくれていましたか?私は、ちゃんとやっていけていましたか?貴方がなくなってからも、私はここに来てはただ、泣いてばかりでした。けれど、やっとです。私は、あなたにやっとこの言葉を言えそうです。

 

 

「今まで、ありがとうございました。橋玄様、私はもう大丈夫です。ですから、ゆっくり、天の地でその身をお安めください。」

 

 

 

 

 

 

 

それから、10年後・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「お父さんーーー、お母さんがご飯できたって!」

「おー、わかった今行く。」

 

とある屋敷の庭で鍛錬をしている俺に、小さな女の子がそう叫びながら、走ってやってくる。彼女の名前は一華。俺と華琳の子供だ。そして、今日は彼女の5歳の誕生日だ。

 

「どーーーん!!」

 

そういいながら、一華は俺にぶつかってくる。その体を受け止めながら、また成長したなとそう思う。あの日、俺が華琳にプロポーズをした日。華琳は俺のことを笑顔で受けてとめてくれた。それから、俺と華琳は正式にみんなにそのことを伝えた。最初は静寂に包まれていた王座の間は、その後、わぁぁあああという大歓声に包まれた。それぞれがいいたいことがあったのだろうが、皆が俺たちを祝福してくれた。

 

 

「こらこら。一華、お父さんは今汗をかいているから、そんなにくっつくと、くさくなっちゃうぞ。」

「いいのーー。」

「お母さんに怒られちゃうぞーー。」

「えーー、それはやだ。お母さん怒ると怖いし・・・」

 

ああ、一華・・俺はこのことをずっと墓場まで持っていくよ。君は、本当の華琳の怖さをまだ、知らない・・・そう思う俺とは反対に、一華はえへへーと笑っている。

 

「じゃあ、ほら、着替えておいで。今日は一華が主役なんだ。バーベキューももうすぐ始まるぞ」

「ばーべきゅ?」

「外でみんなでご飯を食べるんだ。」

「みんなで?」

「そうだ。今日は一華のために、みんなくることになっているぞ。春蘭、秋蘭、桂花も、みんなくるぞ。」

「ええ!!ほんとーに?」

「ああ、本当だ。だから、着替えてきなさい。」

「はーい!わかった!!」

 

 

俺が、風呂に入り、一華と一緒に誕生日会場に向かうとそこにはもうみんながいた。

 

「一刀、ずいぶんと遅かったじゃない。」

 

そう笑いながらこっちによってくるきれいな金の髪を持った女性。あれから10年たったあとの今の彼女の姿は、以前にまして美しくなっていた。

 

「きれいだよ、華琳。」

 

ふいにそんな言葉が口からでる。

 

「なっ!そういうことはいわないの!みんながみているでしょう!」

「ああ、ごめん、ごめん。」

「もう!」

 

そういう俺たちを皆は見ながらくすくすと笑っていた。

 

「いやーー、あれから10年たちましたが、あいかわらずお兄さんはお兄さんですねーー。風はそこまで変わっていないお兄さんをみると、自分も変わっていないのではないかという感覚にとらわれてしまうのですよーー。」

「風さん・・?相変わらずとかいうなよ。それに、お兄さんとか呼ぶ年じゃないだろ!」

「ぐーーー」

「寝るなっ!その冗談、よく10年以上も続けられるな!」

「おおっ!いやいや、10年もしっかりと真面目に返してくれる人がいるのでーー。」

 

 

「ねー、お父さん。相変わらずってなんのことーー?」

「ほーー。一華ちゃんは興味深々ですねー。風は感激したのですよー。あのですねーー、お兄さんは種馬という別の名前がありまして・・  イタっ」

「お前は、余計なことを娘に叩き込まなくていい。」

「たたいているのはお兄さんじゃないですかーー。もう、いたいですよーーー。」

 

 

「はぁ、相変わらずあんたはあんたね。まったくどうしようもない変態だわ。」

「いや・・・桂花ちゃん?俺、何も言ってないよね?」

「いやーーー、ちゃんとかいわないでよ!まじ気持ち悪い!」

 

そういいながら、桂花は本当に震えていた。そこまでされると、さすがに俺も悪い気がしてくるんだが・・・何もしていないのに。

 

「ねー、お母さん。お父さんがいじめられてるよ?」

「あー、あれはいいのよ。昔もそうだったのだから。」

「お父さんは正義の味方なのに?だってお母さん、一華が寝るときいつもおとうさんが何をしてかっこよかったーとか、話してくれるのに?」

「なっ!ちょっ!一華!!」

 

そんな風に一華から打ち明ける真実に華琳は顔を赤らめていた。俺はというと、ほー、そうだったのかと知らない真実に内心にやにやしていた。

 

「なによ?」

 

そんな俺の気持ちは表情にでていたのか、華琳が近づいてきてそう言う。

 

「べつにーー。」

「もう!何なのよ!別に、あなたのことだけを話しているんじゃないんだから!」

「はいはい。」

「返事は一回。一華がまねするでしょう!」

「おー、怖い怖い。」

「ちょっ!一刀!」

 

 

「はぁ、まったくお二人さんはいつまでたってもヒューヒューやな。」

 

そんな俺たちに霞はため息をつきながらそういう。

 

「ちょっと、霞。このどこをみればそういえるのかしら?」

「いや、誰だってそう思うやろ。なあ、惇ちゃんもそうおもうやろ?」

「むーーー、た、たしかに・・お似合いだと、思うが・・・一刀、貴様!華琳様を侮辱することは許さん!」

「おいおい、今日は一華の誕生日だ。剣をそんな風に振るうなよ。」

「うるさい!」

「ほらほら、姉者。落ち着け。一刀もわかってやれ。姉者は嫉妬しているのだよ。」

「しっ、しっ、しっとだとーーーー!なぁ!そんなぁぁ・・・しゅうらーん」

「はいはい、もうこんな年なんだから泣かないでくれ。」

 

 

「隊長、幸せそうで何よりです。」

「ああ、ありがとうな凪。それで、今日も警備のほうは順調か?」

「はい、滞りなく。それに、今日は一華様の5歳を祝う記念すべき日。そのようなことは、気にしないでください。」

「あーー、凪ちゃんは、またそうやって!自分だけがやってるみたいにいって!」

「なっ、そんな風にはいっていないだろう。」

「ああ、もう、二人ともええ加減にせえや。まったく、こうなったのは隊長のせいやで?」

「えっ、俺かよ・・・」

 

 

 

俺は、そんなまるで、10年前とは変わらない光景を見ながら笑っていた。皆は、いろいろなところで話をしながら騒いでいる。

 

「一刀」

 

そんな風にみんなを見ていると、華琳がそう俺の名前を呼びながら、その身を俺に預けてくる。俺はそんな彼女の肩をぎゅっとこちらに引き寄せる。

 

 

「幸せね・・・」

「ああ、幸せだ。」

 

そううれしそうにつぶやく彼女にそう答える。

 

「一刀、貴方はこの10年、どうだった?私を選んで、よかったと思ってる?」

「なにを言っているんだ、華琳。君じゃなかったらだめだったさ。」

「あら、みんながいるのにそんなこといっちゃっていいんだ?」

「誰がいようとそういうさ。本当のことなんだから。」

「そうね、私も、そう思うわ」

「あれ?華琳も、いいのか?」

「何言っているの?私は三国の王、華琳よ。」

「ああ、そうだな。」

 

 

そういって俺たちは笑いあった。

 

幸せだ・・・本当にそう思う。この10年は本当にあっという間だった。それは、きっと華琳がそばにいてくれたからであろう。そして、これからも、きっと時はとどまることなく流れていくであろう。今度は、一華もともに。

 

一生なんてあっという間だ。だからこそ、俺は今この瞬間を、華琳と、そして一華と、みんなといることができるこの一瞬を大切にしたい。

 

 

「お父さん?お母さん?けきって何?」

 

そう俺たちが話していると、一華がそういいながら近づいてくる。

 

「ああ、きっとケーキのことだろう。甘くて、おいしいものだよ。」

「えっ!そーなの!じゃあはやく行こうよ!一華の分なくなっちゃう。」

「それはないわ、一華。あなたのために作ったのだから。」

 

そういいながらも俺と、華琳は一華が引っ張る方向へと二人、歩いていく。

 

「なあ、華琳。見つけたな、俺たちが守るべき笑顔を。」

「ええ、そうね。」

 

 

「これからも、よろしく頼むな、華琳。」

「当たり前よ、一刀。ねえ、一刀・・・」

 

 

 

 

 

「・・・・大好き」

 

 

 

そう彼女がそっとつぶやいてくれた言葉は俺の頭にいつまでも優しく響いていた。

 

 

華琳√エンド

 

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

 

いかがでしたでしょうか?華琳√のエンディングでした。

 

やっぱり、なんていったって、華琳はかわいいですねーー。

 

拠点の希望を出してくださったユーザー様の方々の期待にはこたえていきたいと思います。

今回はらいおう様とnao様の希望で、華琳√を書きました。

お二人には感謝するとともに、満足してもらえたらなと思っています。

 

 

ではでは・・・

 

 

またーーーー


 
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