No.562077

真剣で私に恋しなさい!S 妄想妨害電波ネタ

MiTiさん

現代恋姫シリーズを書いてたら受信してしまった、お馴染妄想妨害電波ネタ…

楽しんでいただけたら幸いです。

では、どうぞ…

2013-04-02 23:53:11 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:7543   閲覧ユーザー数:7011

動きが読まれ中れば終わるだろう攻撃もかわされいなされ受け流され、

逆に的確に返され着々とダメージを積み重ねられ、

終には切り札の一つでもある瞬間回復を封じられ、

誰もが、身近で見てきた風間ファミリーでさえも見た事が無い満身創痍の百代の姿。

 

タッグマッチであれど燕と百代の決闘であり、

戦闘に参加する意思無しと舞台の端で見守っていた大和は、

押される一方で満身創痍になって行く百代を見て後悔・悔恨の思いを強くしていた。

 

ネタになるからと話題にした結果が、

燕や百代という異性からモテているという自惚れが、

燕と行動し共に過ごしてきた時間が、

その全ての結果が今の百代の姿を作り出した。

 

そしてついに、タッグのコンビである燕は天に向かって手を掲げた。

戦闘の流れや台詞から勝つための必殺技、話に聞いていた平蜘蛛が使われるのだろう。

 

そこまで考え到った大和は…

 

 

 

はるか上空、大気圏を突入して何かが燕に向けて落ちてくる。

落下の、装着の衝撃により埃が舞い、それが晴れると、

そこには名前の通り蜘蛛を模した機械、いや兵器を装着した燕がいた。

 

勝利を確信して燕が右手の装備、平蜘蛛の砲口を百代に向ける。

一瞬でエネルギーの収束を終え、ついに止めの一撃が放たれる。

その一撃は、世界が認める武神百代が放つかわかみ波と同等かそれ以上のもの。

万全の状態であれば防げたが、今の百代は満身創痍。

回避や防御はおろか身体を動かすことさえままならない百代は、

自身に迫り来るその一撃を呆然と眺めることしか出来なかった。

どう対処・対応するのかという考えも浮かばないうちに、

もはや直撃は避けられない所まで来ていたが、

中る直前に、百代は何かに押されるのを感じた。そして…

 

 

会場を爆音と閃光、観客保護のために張られた結界を通り越して衝撃が広がる。

やがて会場に吹く風により煙が晴れていく。

その光景に、全員が驚愕する…

 

煙が晴れた舞台には、片側に燕が、反対側に百代が、

そして舞台の中心には…大和が立っていた。

 

燕は平蜘蛛を構えたまま、百代は最後の一撃が放たれる直前までいた場所よりも少し後ろに下がり膝を着いて、

どちらも驚愕をはらんだ表情で中心に立つ大和を見ていた。

 

その大和の状態は、一言で表すならば瀕死とも言える状態だった。

武神や天下五弓による鍛錬メニューにより一般学生よりも多少鍛えられてはいるが、

彼はあくまで一般人であり、武神ほどの身体強度は無く、

気が使えるわけでもないので多くの武に関わるものが使うような、

気のコーティングによる身体防御が使えるわけでもない。

武神を倒すために放たれた一撃の直撃を食らった大和は、

衣服の大部分が破れていて、その境目は大体焦げている。

破れ目から露出して見える肌はほとんどが赤黒くなっている。

外見だけでもコレほどのものであり、身体の内部は想像もつかない。

せめてもの防御なのか、顔を覆う両手の袖は両肩までが塵となっている。

位置体勢から一番前に来ているせいか、両腕は黒く染まっている。

 

会場の全員のときが暫く止まり、やがて大和が動くと同時に動き出す。

顔を覆っていた両腕が下がると、それに引っ張られるように上半身が前に傾く。

このままでは倒れると、今の大和にこれ以上刺激衝撃を与えてはならないと、

燕と百代は慌てて動き出そうとするが、

一歩前に踏み出しバランスをとって大和は倒れることは無かった。

それでも身体の震えは観客からも分かるくらいで、いつ倒れてもおかしくは無い。

そんな状態のまま、大和は声を絞り出す。

 

 

「…しん…ぱ、ん」

 

「…なんだ?」

 

「この、大会…って、タッグマ…チ、ですよね」

 

「そうだな」

 

「タッグの、片方が…戦闘、不能になったら…負けです、よね?」

 

「本大会がタッグマッチである以上、片方がそうなったらルール上負けだ」

 

「それ、なら…この試合……知性チームの………負け、です」

 

「ふぅむ、試合…というより勝負の様子からして燕選手と武神の真剣勝負。

 観客の中には納得できん者も出るかもしれないが?」

 

「ルールは…ルールですか、ら………それに…もう、限、か…」

 

ドサァ…

 

「「大和(クン)!?」」

 

大和が倒れたのを見て、二人が慌てて駆け寄る。

その光景を見守りながら審判の田尻(大佐)は声を張り上げる。

 

『そこまでぇ!!パートナー大和選手が倒れたことにより、

 このエキビジョンマッチ、勝者は、武神川神百代!!』

 

ゆっくり、少しずつではあるが、会場を拍手の音が包んでいく。

その中心で、燕と百代の二人が座り込み、それぞれの側から片手を頭の後ろにして抱え、

もう片方で大和の手を握っている。

 

「大和…なんであんなことを…」

 

「百代ちゃんみたいな人ならともかく、普通の男の子な大和クンが平蜘蛛の一撃を受けるなんて…」

 

朦朧とする意識の中、二人の声が聞こえてくる。

その問いに、大和は苦渋と苦笑を混ぜた表情を浮かべながら答える。

意識は薄れているが、横になり経っているより負担が減ったことで、

問いに答えるだけの意識は保っていた。

 

「…一つは責任とけじめ。

 俺の所為で、姉さんは精神的に万全じゃなく、

 燕先輩の策もあって真剣(マジ)な全力で…戦えなかった」

 

「…それは私の未熟なところだ。真剣勝負である以上、

 そう言うところも含めての勝負だ。なのにお前が出てくることなんて」

 

「……もう一つは…俺のわがまま、かな?」

 

「大和クンの、わがまま?」

 

「…姉さんには武神で、最強であって欲しい……

 …燕先輩には、こういう誰かに嫌われるかもしれない策を使った勝負じゃなく、

 鍛錬して、切磋琢磨して、純粋な燕先輩自身の力と技で姉さんと勝負して欲しい…

 屋上で会ったときから見てきた俺からなら、燕先輩ならそれが出来ると思う…

 …そばにいたからわかる、自分と対等に戦える相手がいなくて絶望していた姉さんと、

 そこにやって来て、あんなに楽しそうに話し笑ってじゃれあってた燕先輩…

 これからも、俺も含めて、皆で仲良く…やっていきたいな、っていう俺のわがまま」

 

「大和…」「大和クン…」

 

言いたい事を言い切った大和は、小さく微笑んで見せながら目を閉じた。

 

 

やがて救護班がやってきて大和を運び出していく。

それを見送った二人は立ち上がり、互いに向き合う。

暫く無言で向き合う二人だが、やがて燕が言葉を発する。

 

「…結局、私の負けかぁ」

 

「…いや、正直アレを食らって無くても、その前の状態で私は動けなかった。

 今意識があるのも大和のお陰だ。試合で勝って勝負に負けた、って所だな」

 

「そかそか…ねぇ、百代ちゃん?」

 

「なんだ、燕?」

 

「…試合の前にも言ったけど…これからも仲良くしてくれる、かな?」

 

「あぁ、もちろんだ。…大和にも言われてるし、何より私自身もそう望んでる」

 

「嬉しいなぁ。それからさ…また勝負を挑んでも良いかな?

 今度は平蜘蛛っていう機械の力を使わない、正真正銘マジな私の実力で!」

 

「望むところだ!ただし、私はもっと強くなるぞ。

 今回は燕と大和に私のダメな所を教えられた。

 それを克服して、私はもっと強くなる!

 大和が望んだ武神で、最強であり続ける!!」

 

「それなら私も、一緒に強くなるからね百代ちゃん!!」

 

互いに挑戦的な笑みを見せながら、二人は拳を打ち付け合う。

その光景を微笑ましく見守っていた田尻はマイクに向かって声を張り上げる。

 

『勝負を終えても次なる戦いを!挑戦する者!受ける者!

 強者に挑むその心!更なる高みを目指すその心!

 これぞ武士道魂!川神魂!!

 最後に激熱でドラマチックな展開を見せ、

 これにて若獅子トーナメントの終了を宣言する!!』

 

熱い大歓声と共に、トーナメントは終了した。

 

 

数日後…

 

でたらめな存在が集まる川神。瀕死ともいえる状態だった大和だが、

特殊な治療を重ねて、僅か数日で日常生活を遅れるまでに回復していた。

とは言っても、平蜘蛛の一撃で負った傷は大きく深く、

身体の到る所を包帯で包んだ状態ではあるが、

それでも日常生活を遅れるまでには回復していた。

 

療養中に大和が気にしていた二人は、宣言どおり勝負の前と変わらず仲良くしていた。

いや、以前よりも仲良くしていた。友人として、親友として、好敵手として。

そして、武に関してだけではなく、二人は別の方面でも戦っていた。それは…

 

 

 

朝起きて、朝食を取り、準備を済ませて寮を出て学園に向かう。

そんないつもの光景なのだが、変化があった。

 

風間ファミリーの登校パターンは、寮生が寮から出発し、寮の近所に住む岳人とモロがまず合流。

その後河川敷付近で鍛錬しながらの一子とどこからとも無く百代が合流。

これが大体のパターンだった。

変化とは、寮を出る時点でのこと。療養期を終えて大和が学園に通えるようになってから、その初日。

大和たちが寮を出ると、そこには予想外の人物。川神百代が待ち構えていた。

 

「姉さん?なんでこんな朝早くから寮に?」

 

「決まってるだろぉ、大和の迎えだよ」

 

「俺の?」

 

「大和のケガは私にも責任があるわけだからな。

 早く全快してもらうように世話をするのが筋ってものだろ?」

 

「…そこまでしてくれなくてもいいのに」

 

「私がしたいからするんだ。ってわけで行くぞ!」

 

「ちょっ!?流石にお姫様抱っこは簡便して!?」

 

そんな感じで、大和たちの登校風景に百代が始めからいるという変化があった。

 

 

登校中、お姫様抱っここそしなかったが、百代は大和にべったりと張り付き離れる様子が無い。

それではむしろ大和に負担が掛かるのではと誰もが思うが、そこは武神の百代。

絶妙なバランス感覚と体勢で大和へ負担が掛からない、むしろ減らすように歩いているのだ。

流石に気にせずにいられず、何故ここまで聞いてみたところ…

 

「なんて言うか…私って武神て呼ばれるくらいの強さを持ってるわけだろ?

 そうなると、常に前に立って敵を倒していって後を守る立場になるわけだよ。

 だがな…あの時、私は大和に守られた…

 それがきっかけかな。私が大和に惹かれるのは。

 だから、これは責任とかももちろんあるけど、私がしたいからそうしてるんだ。

 迷惑じゃなかったら…もう少しこのままでいさせてくれないか?」

 

そんなことを、普段めったに浮かべないしおらしく、顔を赤らめながら、

体勢的に耳元で囁くように言われるものだから、聞いている大和の方が顔を赤くした。

断る理由が浮かばず、と言うより浮かべず、結局大和は百台のされるがままになるのだった…

 

トーナメントが終わってからの大きな変化。それは、武神川神百代が、

直江大和という一人の男(漢)に対する思いが、

新たに出てきた姉キャラに対する姉としての独占欲ではなく、

恋心へと変わったことだった。

 

 

 

そして、変化はそれだけではなかった…

 

 

昼休み。二人きりで食べたいとパッと現れてバッと大和をさらい、百代は屋上へと向かった。

しかし、そこには先客、燕がいた。

 

何故一人なのか聞いたところ、トーナメントでの戦いぶりや策士ぶりから、

どこかよそよそしい空気が感じられ、それなら一人の方が落ち着けると思ったらしい。

だが、それでは流石に寂しいだろうと、百代と大和は一緒に食べることを提案し、

燕は満面の笑みでそれを承諾した。そして、昼食が始まったのだが…

 

「ほぅら大~和~、あ~ん」

 

「いや、姉さん、自分で食えるって!?」

 

「と言っても、これ私自作のおにぎりだぞ。

 のりが巻いてるとは言え、手に持ったら包帯が汚れるじゃないか」

 

言いながら無理やり突っ込むように大和の口におにぎりを捻じ込む百代。

その際、おにぎりを持っていた指ごと口に入ったのだが、

それを抜くどころか、数秒口の中を巡らせ、それを抜くと僅かにこびりついていた米粒を自分で舐め取る。

ある意味百代らしい強引な間接キスだった。

それを目の前で見せ付けられた燕は「ぅわ~お」と呟く。

 

「私が目の前にいるのに、百代ちゃんったら大胆だねぇ」

 

「大和が汚したのは私の責任だからな。こうやって世話をするのが筋ってモノだ」

 

「ってことは、怪我をさせちゃった張本人の私もそうする義務があると」

 

「い~や、私がやるから燕はしなくていいぞ」

 

「む~、むしろ私がしたいのに」

 

「だぁめだ!大和は私のなんだからな!」

 

「む~…それなら…ぁあ!さっき大和クンの写真を見て顔を赤くしてた娘があそこに!」

 

「なっ!?ど、どこだ!?」

 

燕の台詞に思わず彼女が指差す方を注視する百代。

その隙に、燕は弁当の具の一つを口に入れ、

そのまますかさず大和の口に入れる。つまり、口移しを行った。

 

「んむぐぅう!?」「んなぁああ!?」

 

一瞬目を話した隙に行われた燕と大和の口移し、つまりキス。

百代が声をあげようが指を指そうが、燕は止めない。

数秒か、十数秒か、数十秒か、

咀嚼し、舌ごと相手の口に入れて、食べさせるだけでなく自分でも食べて。

そうしてようやく離れたかと思うと、二人の唇には日の光を反射して銀に輝く糸が垂れていた。

 

「むっふっふ~、大和クンと繋がっちゃった~♪」

 

「そぉんな繋がり一瞬で!…って、切れない!?」

 

「甘いよぉ百代ちゃん!納豆小町産の納豆の粘り気はすさまじいよ」

 

「ええぃ、このこのこの!?」

 

燕と大和の口に出来た糸(納豆の粘りと唾液)は、気を纏った音速の拳でようやく切れたとか…

 

 

その後も、大和は燕と百代からの熱烈アプローチを受けながら食事をしたのだった。

 

トーナメントより前の三人ならば、燕が大和に対してアプローチをかけ、

それを目撃、または察知した百代が駆けつけるも、接触する前に燕が撤退を果たし、

それを追うよりも前に百代が上書きアプローチを行うのがよくあるパターンだった。

 

そして、トーナメント後は、燕の願望どおり、百代と大和の宣言どおり、

トーナメント前と同じく、むしろそれ以上の交友関係を持っていた。

 

それだけではなく、大和に身体を張って守られると言う体験を通して、

大和に惹かれている事を自覚した百代は、

姉としての独占欲ではなく、一人の女として恋愛感情を持って大和に接するようになった。

それは他の女性に、特に燕に対して牽制しているところもあった。

 

他の女性はともかく、大衆の前でファーストキスを捧げるまでに好意を寄せている燕は、

牽制などものともせず自分も、と言うより自分の方がと言った感じで対抗してくるのだ。

 

大和とどちらかが二人きりのときはより積極的に、

他人が見ているところでは自重するのかと思ったらむしろ見せ付けるように、

そこに大和がいればアプローチをかけないときなど無かった。

 

燕と百代。二人は友人同士であり、親友同士であり、

武のライバルであり、恋のライバルでもあった。

 

二人に挟まれる大和は、悪い方向に向かわずに済んだことには安心するが、

衆人環視の前でアプローチをかけてくるのは勘弁してくれと思った。

だが、これほどの美女達に好意を寄せられて嬉しくも思うのだった。

 

 

~あとがき~

 

いかがでしたでしょうか?毎度お馴染?妄想妨害電波より出来たマジ恋Sの短編SSは。

 

アインさんのマジ恋SSを呼んでマジ恋Aが猛烈にプレイしたくなり、

 

ネット販売限定ってところで大いに悩んだが、

 

欲望には勝てず、結局DMMに登録・購入・プレイを果たしました。

 

で…現代恋姫シリーズを執筆中、PCの更新があったんですが、

 

その時ミスって保存をしない状態でやっちゃったもんだから、

 

後はあとがきを書いて投稿するだけって所まで行ってた一話がパーに…

 

書き直してたら、もう少しこうした方がって考えが浮かんで、

 

どこまで書いたか、どんな展開だったか、どんな文章だったか、どこを直した方が良いか…

 

いろいろと考え思い出しながら書いてたらふと電波を受信してしまった…

 

一度妨害電波受信すると中々抜けないもので、結局書いちゃいました(笑)

 

今回のコンセプトは「大和が漢を見せる!」って所と、

 

本当は漢を見せた大和に大勢が胸キュンするってのを本当はやりたかったんですけど、

 

難易度高すぎたんで、√からして自動的に燕と、

 

強いからこそ守られるというめったに無いシチュで胸ドッキュンしちゃった百代になりました。

 

一種のつり橋効果?になるのかな?

 

で、毎度申し訳なく思いますが、続く予定…今のところ皆無です(涙)

 

パッと出のネタですよコレ?後の展開なんて全く考えてません!

 

現代恋姫シリーズの続きのためにやったことですので、これで戻れることでしょう。

 

もし、この話を読んでいただき、自分がこの続きを!という方大歓迎ですので、遠慮なくどうぞ。

 

近々、現代恋姫シリーズ霞編を投稿する予定です。

 

その後の予定としては、霞編の続きは勿論のこと、

 

小蓮編が書けそうです(ちなみに、オリキャラ出しちゃったりします)。

 

では、この辺で…

 

次回の投稿でお会いしましょう!


 
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