No.557297

リリカルなのはSFIA

たかBさん

第五話 Dエクストラクター零号機

2013-03-20 20:29:47 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:6013   閲覧ユーザー数:5281

 第五話 Dエクストラクター零号機

 

 

 

 ヴィータ視点。

 

 「だぁーっ!ちくしょう!」

 

 私、ヴィータははやての作った部隊の一室で書類整理をしていた。

 別に書類整理が嫌で叫んでいるのではない。

 経過報告の内容がイヤになって来たのだ。

 

 スバルのほうはまだまだ攻撃と防御の意識の切り替えが悪い。ガンガン攻めて相手が倒れるまで突き進む。

 相手との力量に差があればそれでもいい。だけど、相手が自分よりも上手だったらずっと勝てない。だからそれを指導すればいい。

 

 問題はティアナだ。

 『模擬戦では何でもアリ』と、はやてがいうとティアナの奴、得意の幻術でまず私の目の前から消えて森の方へとさっさと逃げた。それを追ったのが間違いだった。

 それからは魔法を使わない攻撃。

 質量兵器とまではいわないが、つたで繋がれた丸太やら落とし穴。まるで地球のゲリラという武装集団が仕掛けるような罠で攻撃してきた。

 一応バリアジャケットがあるのでそれくらいじゃ私はびくともしないがその物理攻撃の中に紛れて対AMF。魔力を無効化する障壁すらも撃ち抜く魔法弾を放ってくる。

 私が罠にはまるまではバリアジャケットすら解除して魔力を感知させず、私の足が止まった瞬間に即展開。魔弾を発射する。

 一応、長年戦ってきた実績がある騎士として少し手間取ったがティアナをのした。

 

 「・・・あいつ。どこであんな戦い方を覚えやがった」

 

 教導官のなのはも眉をハの字に曲げて困っていた。

 一応、なんでもありとは言ったけど危ないよね。と、言っていた。だけど、お前の砲撃もアブねえよな?

 もし、空中戦であの砲撃を受けて気絶。地面に叩き付けられてお陀仏。なんてことにはならなければいいけど・・・。

 

 「・・・騎士の私じゃ、あいつを鍛える事なんて数えるくらいしかねえぞ」

 

 それこそ魔力や体力向上の基礎訓練ぐらいだ。

 スバルと同じメニューをやらせればいい。

 ティアナは新入りの中では一番弱い(・・・・)。だけど、相手の実力も自分の実力も見抜いて私の訓練についてきている。

 模擬戦でもチビ達と組ませた時も指示を出しては私達を苦しませた。

 ティアナは指揮官タイプだ。しかも、前線で幻術を使いながらスバルやフェイトが保護責任者となって面倒見ているチビ達も上手く使う。

 射撃などオマケだ。

 あいつの魔力では私達のバリアジャケットは貫けないながらも、私達を足止め。スバルかチビその一。エリオで決定打を撃ちこんで来ようとする。

 

 「だー!あんまりほめ過ぎるのも駄目だし、かといって欠点も少なすぎる!もっと正々堂々と戦えなんて騎士っぽいことも言えねえ!」

 

 時代が私達、守護騎士に合わない。だけど、今は様々な犯罪がある。私達騎士の戦いよりもティアナの戦い方の方が適している。

 お蔭で私は報告書を書くのに手間を取っていた。

 いっそ自分の力を過信しすぎと書ければいいが、ティアナ自身も自分が一番弱い事を自覚している。

 本当に出来た後輩だよ!あいつは!

 

 

 ティアナ視点。

 

 「・・・へぷし」

 

 私は不意に出てきたくしゃみを抑えると同時に目が覚めた。

 機動六課主要メンバーの模擬戦記録を見たまま眠ってしまっていたようだ。

 体中がヘロヘロになるまで訓練をしてもらった後に自主訓練。その後になのはさんやフェイトさんの模擬戦記録を見ていた。

 なのはさんの防御を貫くにはスバルがいい。

 フェイトさんには私でも貫けるけど、効果は薄そうだ。ピンク頭のキャロに支援してもらわないと効果は無い。というか、あの人に私の攻撃が追いつくことはない。となると、エリオかしらね。

 ヴィータ副隊長もスバル。シグナム副隊長もスバルが一番だろう。

 私とエリオとキャロは可能な限りスバルを相手に近付けて、フォローをする。

 

 「…でも結局。私が一番足手まといなんだよね」

 

 簡単な自作のグラフを並べる。

 総魔力や体力。バリアジャケットの防御力。瞬発的攻撃力。チャージ込みの全力攻撃。その他もろもろ。

 私は戦闘メンバーの中では一番弱い。だから・・・。

 

 「クロスミラージュ。戦闘技術に関する書物。市街戦。トラップで検索して、あとはあんたの判断で今の私に出来そうな戦闘方法を模索して」

 

 [了解]

 

 つい、この間。機動六課から支給された私の新しいデバイス。カード状態で待機していたクロスミラージュは私の寝ている枕もとでチカチカと点滅しながら私の声に答える。

 

 『出来ない事を無理にやる必要はない。出来ることで最大限のフォローを』

 『出来るまでやる。出来ないからやる。迷惑をかけない程度に!』

 

 兄さんと高志さんはそう言いながら訓練していたっけ・・・。

 まあ、それにならって私は私の出来ることをする。

 それは騙し討ちや罠といったベルカの騎士では絶対に取らない変化球勝負。

 正面からまともにやっても打ち倒されるなら利用できるものは何でも利用する。

 聞こえは悪いけどこの考え方で私は何とか模擬戦でも大きなダメージを受けずに済んでいる。

 高志さんは釘を打ちだす拳銃?のような物で射撃訓練を行っていたが魔力がすっからかんになるまで訓練しては倒れていた。これを見て私も無理はしないように心掛けている。

 結局、一緒に訓練して最後に見た成果は三メートル近くからの射撃でようやく的の真ん中に当てたっけ・・・。

 高志さんとはもう三年は会っていない。兄さんは時々会っては湯豆腐をふるまっているらしいけど・・・。

 あの人は今、どれぐらいの事をどれだけできるんだろう?

 

 再び睡魔がやってきたのでうとうとする。

 まだ起床時間までは時間がある。もう少し寝かせてもらおう。

 だが、その前に・・・。

 

 「うにゃ~」

 

 私のすぐ隣で寝ているスバルを上のベッドに戻さないとね。

 

 

 リニス視点。

 

 「お帰りなさい、プレシア。聖王教会での収穫はありましたか?」

 

 「無いわよ。これといった変化は無かったわ。そうね、アリサさんがシスターシャッハと模擬戦をしていたくらいかしら」

 

 ゼクシスの移動本部として、時空航行艦隊の一つとして、補助に回っていたアースラの留守を任された私はDエクストラクターの性能調査をまとめているとプレシアが聖王教会から戻ってきた。

 護衛としてアリサさんも一緒だ。ただ、彼女の方は目がいきいきとしていた。

 

 「やっぱり本家は違うわね。シグナムとの剣の稽古もいいけど、あの人みたいに武器だけじゃなく体捌き。空中戦では効果が薄く見られがちな足さばきを改めて思い知らされたわ」

 

 「怪我とかしていませんかアリサ?あなたの父上からは怪我が無いように気をつけてと言われたばかりなのに無茶はしていませんか?」

 

 「世界の平和を守る組織に怪我をしないとかありえないでしょ。それが非公式なら尚更ね」

 

 まあ、ゼクシスはそうでしょうね。

 今、このアースラに駐在しているのはプレシアにアリサ。そして、私とデバイスマイスターのマリー。そして、

 

 「リニス。データの収集が終わった。次は・・・。ああ、帰って来たのか。アリサ。帰ってきて悪いがフレイムアイズを貸してくれないか、整備をしたいんだ」

 

 元夜天の騎士。リインフォース。

 彼女は数年前からプレシアの助手を務めていると同時にDエクストラクターとカートリッジシステムの研究をしてもらっている。

 スフィアリアクターでありながら戦闘能力は高志に封印されたような状態。だけど、何かの役に立ちたいと思って機動六課とゼクシスを行き来してもらっている。

 巨大なアースラの整備をするには少なすぎる人員だが、もう一人。というか、一機が整備全てを担っている。

 

 「チビさーん。どこですか~?」

 

 「こら、リイン。いくらオフでこちらに来ているとはいえあまりはしゃぎすぎるなよ」

 

 「はうっ、すいません。お姉様。・・・でもぉ」

 

 リインフォース・ツヴァイ。通称リイン。

 リインフォースを幼くして、身長そのものも手の平に乗るサイズの彼女がリインフォースの後ろからやってきた。

 いっておくが彼女が整備をしているのではない。

 

 「ぎー」

 

 「あ~、いましたー♪チビさ~ん♪」

 

 「・・・ぎー」

 

 おいおい。俺は掃除したばかりだから抱きつくと汚れちまうぜ?

 と、言いたげなちっこいガンレオン。通称チビレオン。

 元々はお手伝いロボ兼アリシアの玩具として作られたチビレオンはリインの抱擁をされるがままにしていた。

 一見すると子供がごっついライオンの鎧に飛びついているようにも見える。

 

 「ははは、リインはチビレオンのことが本当に好きなのね」

 

 リイン曰く、チビレオンに一目惚れだという。

 ちっこい者同士で気が合うのだろうか?

 

 「はいですっ!だって、お姉様もはやてちゃんもだいみゅぐぐぐ」

 

 「ぎー」

 

 ほら、言っている傍から顔に埃がついちまったじゃねえか。

 リニスの姉さん。これから自分、デバイス用の洗浄室に行ってきます。

 と、言っているように聞こえる。

 

 「お疲れ、チビ君。もう、休んでいいわよ」

 

 「ぎー」

 

 今から、洗浄しに行くけどリインも一緒に行くか?

 と、言っているように見える。

 

 「いくです!」

 

 リインの発言に少し顔を赤く仕掛けたリインフォースだったが、チビレオンのおかげでそれ以上顔を赤くすることは無かった。

 リインはリインフォースとはやてを元にして作られているので好意の対象も似る。

 それを指摘されそうになったのを止めてくれたチビレオンに感謝の視線を送る。

 

 「・・・」

 

 気にしないでください。と、背中で語っているように見える。

 チビレオンは視線に気が付いたが、気が付かないふりをして、私達がいた部屋からリインを連れて出ていく。

 その様子を見てアリサは私に話しかけてきた。

 

 「あの、リニスさん。チビって本当に機械なんですか?中に小さい人でも入っていません?渋めのおじさんが・・・」

 

 あなたにもそう聞こえましたかアリサ。

 私も時々思います。だけど、フルメンテした時は何の異常もなかった。もちろん、中に人はいなかった。

そういう事は、自分で自分をメンテ出来る自立型のロボットを作ったプレシアに聞いてください。

 

 「まあ、改良は貴方達のデバイス同様に時間が空いた時に暇つぶしもかねてチビレオンを改造しているわよ。ただ何故かバルディッシュのように喋ることが出来ないのよね」

 

 ぎー。だけで伝わっていますものね。会話が。

 

 「だ、だがアレをデバイスと言うには高性能過ぎるような…。カートリッジ。薬莢一発分の魔力で一週間は動くなんて。しかも、このアースラを掃除・整備をし続ける」

 

 本当に高性能ですねチビ君。

 

 「仕方ないわよ。作っていてなんだけど私もよくわかってないもの。ただガンレオンを調べた時に確認出来たものだけを出来るだけ模写して機械兵士の頭脳を持たせたらあんな風になっちゃったんだもの」

 

 ああ、そういえば『時の庭園』に大量にいましたね。でも、あれって明らかに武力目的ですよね?

 そう考えるとチビレオンもそう驚かないですね。

 

 

 

 

 

 「さすがDエクストラクター零号機。まだまだ未知の部分が見えるわね」

 

 

 

 

 

 その発言に誰もが驚いた!!

 

 

 

 初めて聞きましたよ?!

 

 

 

 私とアリサ。リインフォースはプレシアの発言ついていろいろと聞きたいことがあったが、ゼクシスが明日から機動六課に協力する日だから今日はもうおやすみ。と、解散させられた。

 翌日、フェイト達と会った時、あくびを堪えるのに必死だった。

 緊張して眠れなかったのではない。疑問が強すぎて寝れなかったのだ。

 

 ぎー。と鳴くあいつの存在が気になって・・・。

 

 


 
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