No.547339

ALO~閃光の妖精姫~ 第18魔 交渉

本郷 刃さん

第18魔です。
ついにアスナ達が会談場所に乱入します!
原作とは違う展開を書いてみました。

どうぞ・・・。

2013-02-22 10:23:45 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:12081   閲覧ユーザー数:11104

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第18魔 交渉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナSide

 

わたし達はアルン高原の上空を飛行しながら目的地に向かっている。

このフィールドにはモンスターが出現しないらしいので、この地域が会談場所に選ばれたらしい。

その時、ユイちゃんが声を上げた。

 

「プレイヤー反応を確認しました! 前方に68人の大集団、これがサラマンダーの強襲部隊と思われます!

 さらに前方に14人の反応、これがシルフとケットシーの会議出席者と予想できます!

 双方の接触まで……50秒!」

 

ユイちゃんの指差す先には低空飛行を行う集団らしき影、その先には椅子に座る者達が話し合っているのが見える。

あちらはおそらく迫る脅威に気付いていない。

 

「あれじゃあ間に合わない…!」

 

リーファちゃんが悔しそうに呟いた。

この状況、キリトくんならどうする?

彼なら、あらゆる手を尽くして対処するはず。

こちらには4人の強者がいる、わたしには……ある、仮初で張りぼてだけど切り札が…。

わたしにはレクトの名が出せる。

 

「ユイちゃんはリーファちゃんと一緒に来て!

 ハクヤ君、ハジメ君、ヴァル君、ルナリオ君はわたしと一緒に突貫して!」

 

「え、アスナさん!?」

 

「ママ!?」

 

「は、面白そうだな!」

 

「……遅れるなよ?」

 

「「了解(っす)!」」

 

驚くリーファちゃんにユイちゃんを任せ、ハクヤ君は楽しそうにし、ハジメ君は挑発的に言い、

ヴァル君とルナリオ君は頷きながら応えてくれた。

わたし達5人はすぐにでも攻撃を始めそうなサラマンダーと動揺するシルフとケットシーの間に突っ込んだ。

 

―――ドガァァァァァンッ!

 

土煙を上げて着地したわたし達はそれが晴れるとサラマンダーの軍勢へと向いた。

そしてわたしは、SAOでの自分を思い浮かべてから言葉を発した。

 

「双方共に、剣を引きなさい!!!」

 

それと同時に、わたしを守るように囲んでいた4人が『覇気』を放った。

 

アスナSide Out

 

 

 

リーファSide

 

離れていたはずのあたしにも届いた、透き通るかつ凛とした声。

それと同時に感じ取った感覚に、体が一瞬だけど動かせなくなった。

サラマンダーの部隊だけでなく、シルフとケットシーにも動揺が奔っている。

あたしはとにかくサクヤの傍に降り立った。

 

「サクヤ」

 

「っ、リーファ!? 何故ここに、いや…まずこの状況は…?」

 

滅多に動揺をみせない彼女がここまで揺れるのは初めて見たけれど、今はそんな場合ではない。

 

「今は説明できる状況じゃないけど、あたし達の命運は……あの人達が握っているってことになるわ…」

 

サクヤは混乱しているものの、あたしの登場で少しは落ち着いたみたいだ。

側にいるケットシーの領主と思われる女性、アリシャ・ルーさんも動揺しつつこの現状を見守っている。

他のシルフとケットシー達も狼狽えているし、けれどそれは相手のサラマンダーも同じ。

この状況、どうなるんだろう…。

 

リーファSide Out

 

 

 

アスナSide

 

さて、取り敢えずは割り込み成功、次に進まなくちゃ。

 

「指揮官に話があります!」

 

「ウンディーネの娘にしては良い度胸をしているな。シルフ、サラマンダー、インプ、レプラコーンの混成PTか…。

 部外者が何の用だ?」

 

わたしの呼びかけに応えて、1人のサラマンダーが現れた。彼が指揮官ね。

 

「わたしはアスナと言います、貴方の名をお聞かせくださいますか?」

 

「礼儀はあるようだな…、良いだろう。

 俺の名は『ユージーン』、サラマンダー領主『モーティマー』が弟にして将軍だ」

 

領主の弟というのはゲーム内での兄弟なのか、それともリアル共になのかは分からない。

けれど将軍と名乗り、この人数を率いていることからかなりの猛者なのは間違いない。

背後でシルフやケットシーのみんなの動揺の声が聞こえるから。

でも、この程度では怯まない。

 

「では、ユージーン将軍。

 今回のシルフ、ケットシー両種族の同盟会談への襲撃はシルフの裏切り者、

 シグルドからの情報を元にしているのは間違いありませんか?」

 

「なっ!?」

 

後ろのリーファちゃんの隣にいた女性が声を上げた。

まさか自分の身内に売られたとは思わなかっただろう。

 

「知らんな、そんな男のことは…」

 

「何故男だと?」

 

「……名前を聞けばそう思うだろう…」

 

「そうですか、しかし彼はシルフの幹部の1人…剣の腕も立つそうですが、

 将軍を名乗る貴方が何故知らないのですか? 将軍と名乗る以上、武人なのでしょう?」

 

「………」

 

続くわたしと将軍の問答、しかし彼は言葉を詰まらせ顔を歪めた。わたしは話しの対象を変える。

 

「シルフ領主、サクヤさん。シグルドがシルフを裏切る要素に心当たりはありませんか?」

 

「あ、その…1つ、ある…。

 数日後に導入されるという『アップデート5.0』、それに『転生システム』というのが実装されているそうで、

 シグルドはパワー志向の男だからそこをモーティマー殿が利用しようとした、と予測できる…」

 

その話しをしている最中に将軍の表情を窺ってみると、やはり僅かに表情が変わった。これは当たりかな。

 

「ありがとうございます。それで、どうですか? ユージーン将軍、彼女の言ったことは当たっていますか?」

 

「ふっ、おそろしい娘だな…。その通りだ、だがそれを知った程度でどうするというのだ?

 この数を相手に、時間稼ぎというわけではあるまい…」

 

わたしの問いに彼は開き直って答えた。これも想定内である。

 

「では次に、わたし達を追っていたメイジ部隊が撃退されたのはご存知ですか?」

 

「それはそちらに対して恨みのあったサラマンダーが独断で行ったのではないのか?」

 

「わたしはサラマンダーだとは一言も言っていませんが」

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

将軍だけでなく、他のサラマンダー達にも衝撃が奔ったようだ。将軍の表情に焦りが浮かぶ。

 

「動揺していますね。それでも攻撃を仕掛けて来ないのは、さすがは武人というところですね」

 

わたしは敢えて上からの言葉でそう言った。

ここはまず、誰が支配の立場が上なのかを知らしめないといけなから。

 

「撃退したサラマンダーの人数は20人。その前に撃退した部隊は10人。

 後者はわたしとレプラコーンの彼、そしてサクヤさんの隣に居るシルフの彼女。

 前者はさらに3人を加えた計6人で迎撃しました。

 6人で20人ならば、ここに居るシルフとケットシー両領主と各6人ずつの14人、

 計20人での迎撃ならば勝利は出来なくともお互いに全滅、こちらは領主2人を逃がすことも可能でしょう。

 そうすれば、貴方達の目的は一切達成できないでしょうけど……どう思いますか?」

 

「………何が目的だ…」

 

よし、こちらの餌に喰いついてくれた。

 

「まずはこれを見てください」

 

そう言ってわたしは自身の全財産を大きな袋2つ分に出現させた、

上空からでも分かるように袋を開いているので、それが何かを確認した将軍は驚いている。

 

「これはわたしの全財産、約800万ユルドがあります。これをサラマンダーに譲りましょう」

 

「「「「「「「「「「なっ!?」」」」」」」」」」

 

神霆流の男の子達以外が驚く、当然かな。

 

「条件はここにいるサラマンダーの皆さんが、シルフとケットシーとの同盟に参入することです」

 

「っ、なにをバカなことを!」

 

わたしが放った条件に憤慨する将軍、

それに対して側にいる『死神』と『剣帝』が覇気を放ち、将軍は声が出ないように押し黙った。

『神速』と『破壊王』も臨戦態勢を取る。

 

「殺り合うというなら俺と1戦どうかな? 将軍」

 

「……抜け駆けは良くないぞ、ハクヤ」

 

「お2人とも、ここは僕に譲ってくれませんか?」

 

「3人とも、今回はボクがやるっすよ」

 

ハクヤ君、ハジメ君、ヴァル君、ルナリオ君が言葉にしていく、けれど周囲には反応する余裕はない。

彼らの濃い覇気と殺気が包み込んでいるからだ、かの将軍も身動きが取れない様子。

 

「はいはい、みんなそこまで。わたし達は交渉に来たんだよ?」

 

「「「「分かった(はい)」」」」

 

わたしが4人を宥めたことで空気が和らぐ、これで完全にこの一帯での支配権がわたしに移った。

 

「もし戦いになったとしてこちらは1人でも逃亡に成功すれば、

 『サラマンダーの領主やユージーン将軍は不意打ちを突かなければ勝つ事のできない者』、

 というレッテルを貼る噂を流すこともできますが…」

 

ここでわたしが話を区切ると、将軍の表情が焦りや狼狽を見せているのがわかった。

作戦とはいえ彼自身、ALO中のプレイヤーからそんな風に呼ばれるのはさすがに堪えるだろう。

 

「そこで先程の条件です。こちらの800万ユルドに対して、ここに居る貴方を含めた68人のサラマンダー、

 シルフ、ケットシー両種族との混成攻略戦への参戦、条件としては良いと思いますよ」

 

「……確かに、良い条件ではあるだろう。

 だがな、光妖精族(アルフ)への転生はこのゲームのプレイヤー達の祈願の1つだ。

 その条件を飲めばアルフへの転生できる確率も減る、そうだろう?」

 

「ええ、そうですね……ですが…本当にアルフは実在するんでしょうか?」

 

将軍の言う通りである、けれどそれはアルフが実在すれば(・・・・・)の話しだ。

わたしの言葉に周囲に再び動揺が奔る。ハクヤ君達でさえ驚いている。

 

「わたしがこのALOを始めた目的は幾つかあります、その1つが……レクトプログレスの関係者としての査察です」

 

「「「「「「「「「「っ!?」」」」」」」」」」

 

「お、おい、アスナ! それをここで言うのか!?」

 

わたしの言葉に驚愕が奔り、ハクヤ君も意図に気付いたように動揺しながら言った。

 

「1年間が経過してもクリアされない『グランドクエスト』、

 社内でも不審の声が上がり始めているので、査察としてわたしが派遣されました」

 

「つまり、貴女が直にグランドクエストに挑戦し、不正がないかを探る、と…」

 

「ええ。勿論これはゲームを管理しているGMには内密ですので、最初から始めた次第です。

 故に、仲間集めも信頼できる方々に声を掛けています。

 今回も信を持てると思い、この場に居る貴方がたに素性を明かしました……どうか、協力をお願いします」

 

わたしは頭を下げた。ユージーン将軍の回答は……。

 

アスナSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

アスナさんが副団長モードになりましたw

 

どうだ、この交渉(脅迫)の腕前は! キリトさんがいないとこんな風になるんですぜ?

 

レクトの名を出してまでの対話、まさかのシルフ、ケットシー、サラマンダーの同盟、果たしてどうなるか?

 

次回にて・・・あ、将軍との一騎打ちはありますよ、相手は次回で分かりますので。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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