No.546996

ALO~閃光の妖精姫~ 第17魔 友の、仲間の、家族の為に

本郷 刃さん

第17魔です。
シルフの危機を知ったリーファ、どう行動するのか?

どうぞ・・・。

2013-02-21 10:56:03 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:12222   閲覧ユーザー数:11242

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第17魔 友の、仲間の、家族の為に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アスナSide

 

リーファちゃんがベンチに座ってログアウトしたので、わたしは彼女の隣に座った。

ルナリオ君とヴァル君はこの場に残り、ハクヤ君とハジメ君は少しだけ店を見てくると言ってこの場を離れたけれど、

すぐに爬虫類か何かの串焼きを買ってきたので、わたしはギョッとした。

それをルナリオ君とヴァル君にも渡し、2人はあっさりと口にした。

 

「アスナも食べるか?」

 

「え、遠慮します!」

 

ハクヤ君は人数分買ってきていたようだけど、わたしは首を即座に振って拒否した。

ユイちゃんは興味があったみたいだけど、それこそあってはならない!

モグモグと口を動かす男の子達、その時…リーファちゃんの眼が開き、いきなり立ち上がった。

 

「ど、どうしたの、リーファちゃん?」

 

「皆さん、ごめんなさい……あたし、今から急いで行かないといけない場所があるんです。

 それに、もしかしたらここに戻って来れないかもしれないし…」

 

わたしは驚きながらリーファちゃんに訊ねるけれど、彼女は表情を僅かに暗くしながらそう答えた。

兄の救出を望んでいた彼女が言うということは、何か大きな事が起きているのかもしれない…。

 

「リーファちゃん、移動しながらでいいから説明してもらってもいいかな?」

 

「は、はい」

 

彼女が答えるのを確認して、わたしはみんなに目配せをした。

みんなはそれに頷くと食べていたものを飲み込んだ。

そしてわたし達はアルン側の門へ向けて走り出した。

走りながらも、門を出たところでリーファちゃんの説明が始まった。

 

 

 

リーファちゃんからの説明を聞き終えたわたし達。

 

「リーファ、サラマンダー側のメリットって何があるんすか?」

 

ルナリオ君の問いかけにリーファちゃんは答えた。

まずは同盟の崩壊、次にシルフ側から情報が漏れたことによるケットシー側からの報復など、

そして領主を討伐することで発生するボーナスなどがこの場合のサラマンダー側のメリットとのこと。

説明を終えた彼女の表情にはやはり翳がある。

 

「これは、シルフ族の問題だから……あたしは領主のサクヤが友達だから、

 だけどこんなことに皆さんを巻き込みたくないんです」

 

辛そうに言い放つリーファちゃん、彼女はさらに続ける。

 

「ここで時間をくってしまえば、お兄ちゃんを助けるのも難しくなります。だから皆さんは先に進んでください」

 

辛そうに、辛そうな笑みを浮かべるリーファちゃん……彼女の手を、ルナリオ君が握った。

わたし達全員が走る足を止める。

 

「ルナ君…? 皆さん…?」

 

彼女は疑問を持ちながら首を傾げた。

 

「リーファ、そんなこと言わないでほしいっす。シルフの問題だからとか、巻き込みたく無いとか…」

 

「でも、実際そうだから…」

 

ルナリオ君の言葉にリーファちゃんは小さく呟いた。

 

「リーファちゃんは領主さんが友達だから助けたい、そうだよな?」

 

「…はい」

 

「でもキリトさん、和人さんも早く助け出したい、だよね?」

 

「…うん」

 

「……その為には、私達は先に進み、キミはそちらに行く、と?」

 

「…はぃ」

 

ハクヤ君、ヴァル君、ハジメ君の問いかけにも小さな声で頷いて応える。

段々と声が小さくなっていのが分かった。

でも、わたしもこれに続かないといけない。

 

「リーファちゃん、それはね……わたし達も同じなんだよ」

 

「え…」

 

「わたしにとってキリトくんは最も愛する人で、ハクヤ君達にとっては大事な友達で、

 リーファちゃんにとっては大事なお兄さん……でもわたし達にとっては、

 リーファちゃんも大事なお友達で、大事な仲間で、助けてあげたいんだよ。

 リーファちゃんがサクヤさんを思うように…」

 

「ぁ……ぁ、あたし…」

 

わたしの意図に気付いたリーファちゃんは涙を浮かべ始めた。

 

「だからね、リーファちゃん…。巻き込みたくないって言わないで、無関係だなんて思わないで。

 わたし達はみんな友達で、仲間で、家族なんだから、ね?」

 

「勿論です♪」

 

「(ぐすっ)ぁ、ありがとう、ございます…!」

 

わたしの言葉にユイちゃんが嬉々として答え、リーファちゃんは涙を流しながらお礼を言ってきた。

 

「これで決まりっすね。シルフとケットシーの領主救出、並びに…」

 

「サラマンダー部隊の迎撃、だね…」

 

「……ふっ、楽しみだ…」

 

「腕が鳴るな」

 

ルナリオ君とヴァル君は目的を言葉にし、ハジメ君とハクヤ君は意気込んでいる。

 

「よし、ユイちゃんはわたしのポケットの中に入って「はい」。リーファちゃんはルナリオ君と手を繋いで」

 

「は、はい///」

 

疑問と照れを合わせながらも彼女はルナリオ君と手を繋いだ。

わたしは男の子達に視線を向け、彼らはそれに頷いて応えた。

そしてわたし達は同時に最大速度で地面を駆け出した。

 

「きゃあぁぁぁぁぁ!!!???」

 

絶叫を上げてルナリオ君に手を引かれながら体が宙に浮くリーファちゃん。

わたし達5人はフルスピードで洞窟を駆け抜けていく。

途中で遭遇したオークを無視して間を抜き走り、出口まで走り抜く。

こんなに全開で走るのはSAO以来かな~♪

 

「ひえぇぇぇぇぇ!!!???」

 

未だに絶叫を上げているリーファちゃん、まぁ仕方ないよね。

そしてついに出口への光が現れた。

それを抜けると目の前は崖で、わたし達はそのまま空中へと飛び出し、すぐさま翅を展開して飛行した。

リーファちゃんは驚きつつも翅を展開して飛行する。

 

「び、びっくりしたよ~~~……」

 

半泣き状態でリーファちゃんはそう言った。

 

「いや~、中々楽しかったっすね~♪」

 

「全力疾走は久しぶりだよ」

 

「……時間短縮にもなったな」

 

「まったくだ♪」

 

ルナリオ君、ヴァル君、ハジメ君、ハクヤ君は満足気に感想を述べ、

わたしは疲れ気味のリーファちゃんの傍に移動した。

 

「どうだった?」

 

「な、なんか怖かったです……あっ…」

 

「どうし、…っ!」

 

わたしが彼女に感想を聞いてみたその時、彼女は何かに気が付き、わたしも目でそれを追った。そこには…、

 

「世界樹…」

 

巨大な樹木が天空を覆うように聳え立っていた、あの上にキリトくんが…。

他のみんなもそう思っているのか、世界樹を睨みつけている……けれど、

すぐに頭を振り払って今からすることを考えた。

 

「リーファ、会談場所はどこっすか?」

 

「今抜けた山脈には3つの大きな切れ目があるの。

 その内の1つでケットシー領につながる『蝶の谷』の内陸側の出口でやるみたいだよ。

 ここから…北西の方角!」

 

ルナリオ君が聞くと彼女はそう答えて、北西の方角を指した。

時間は今から20分がリミットらしい。

サラマンダーは南東から先程の方角に向かっているはず。

 

「……急ぐしかない、か」

 

ハジメ君の呟きにみんなが頷く。

 

「ユイちゃん、サーチをお願い。大人数の反応があったら教えて」

 

「了解です」

 

わたしは胸ポケットから顔を出していたユイちゃんにお願いして、彼女は敬礼して答えた。

キリトくん、助けるの少しだけ遅れちゃうけど、絶対にみんなで行くからね!

 

アスナSide Out

 

 

 

キリトSide

 

~午後6時頃~

 

今日もやってきた妖精王(笑)の機嫌は非常に悪かった、言うなれば妖精王(怒)。

扉から入って来るなり、早々に俺を殴ったり蹴ったり、剣で刻んだりと八つ当たりのように攻撃をしてきた。

一頻(ひとしき)りの攻撃を終えた奴は勝手に話し始めた。

 

「まったく、最悪だよ。結城の本家がいきなり僕と明日奈君の婚約を破棄しやがった。

 一体なんだっていうんだ!」

 

いや、俺にそんなことを言われてもな…。むしろ俺にとっては好都合なわけだし。

しかしそう思っていても言わないのが吉である。なので…、

 

「別にアンタには問題無いだろ?

 今の実験が成功すれば、いくらでもどうとでもなるし、好きなようにできるんじゃないのか?」

 

「はは、まぁその通りだね。少しばかり予定が狂ったけれど、結城の人間を思い通りに操ればどうとでもなるか。

 その時はキミの前で彼女の晴れ姿を拝ませてあげるよ、はっはっはっ!」

 

俺が(へりくだ)ったように言ったのが気に入ったのか、機嫌を良くして扉から出て行った……ふぅ、疲れた…。

 

『お疲れ様、キリト君』

 

「ホントに疲れる……」

 

茅場が現れて苦笑しながら言った。

 

『それにしても、何故彼とアスナ君の婚約が解消したのだろうか?』

 

「……1つだけ、心当たりがある…」

 

『ほう、なんだね?』

 

「『朝霧財閥』、そして……『神霆流』…」

 

疑問に思った茅場に俺は答えた。

ティアさんこそがあの朝霧財閥の娘であり、シャインがその恋人であり、

政界や金融界にパイプを持つことが可能であること。

そして神霆流の当主である俺達の師匠は警察機構などに面識があることを教えた。

 

『なるほど、つまり黒衣衆の諸君が伝手を使い、アスナ君の自由を奪うことになる結城家に圧力を掛けたということか』

 

「多分な…ったく、やってくれるよ…」

 

頼りになる仲間の行動に嬉しい反面、やりすぎでは?と思うが、まぁいいか。

 

「で、そういうお前はGMアクセス用のカードキーを見つけたのか?」

 

『勿論だ。それでどうするかね?』

 

「今日の深夜、決行する」

 

カードキーの強奪、それこそ今回俺が成すべきことだ。ここに彼女達を招く為に…。

 

キリトSide Out

 

 

 

To be continued……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書きです。

 

え~というわけで、アスナ達が会談へと乱入します。

 

そして午後6時頃のキリトさんと茅場さんの様子でしたw

 

キリトさんがやっぱり黒いお・・・w

 

次回はまだ戦闘にはなりませんが、アスナさんが副団長+策士モードになります。

 

それでは・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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