No.545523

【獣機特警K-9】そして、出逢いは突然に。【交流】

古淵工機さん

クオンの恋はまだ始まったばかりだ!
さぁがんばれクオン!いつか結ばれるその日まで!!

■出演
クオン:http://www.tinami.com/view/372605

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2013-02-17 20:10:38 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:681   閲覧ユーザー数:649

3月11日、17時25分。

その日学校を終えたクオンは、いつものように地下鉄に乗り込み、自宅近くの駅で下車したところであった。

「ふぅ、今回は柔道部の応援やらでお腹減っちゃったな。腹ごしらえにコンビニで何か買ってくか」

と、駅前にあるコンビニに入り、食品の置いてある棚へまっすぐに向かう。

 

「えーっと、ツナと鮭イクラと…」

彼女がおにぎりを手に取り、買い物カゴに入れていく。

続いてペットボトルのお茶を手に取ろうとしたときだった。

「「あ…」」

ふと、隣にいた客と目が合った。

よく見ると、同じエバーグリーンカレッジの制服を着ている。

色が青い制服、それにがっちりした体つきで、すぐに男子だとわかった。

彼の名はジャック・ココノエ。クオンのクラスメートだった。

 

「き、君は確か空手部主将のジャック!」

「なんだクオン、お前も来てたのか」

「いやぁ、何なんだろうねハハハ。ちょっと小腹がすいたな、みたいな感じで」

…と、いたって普通の、クラスメート同士の何気ない会話である。

「じゃ、ボクこれから帰らなきゃだからこれで」

「おう、またなー」

と、クオンがレジに向かおうとした、まさにそのときであった。

「お前ら全員動くんじゃねえ!静かにしろー!!」

突然レジに、ジャージ姿の覆面男の一団がナイフを持って飛び出してきたのだ!

「きゃあ!なんなんですかぁ!?」

店員のウサギ形ファンガーが恐怖におびえる。

「いいか!この店の売上金を全部このバッグに詰めな!言うとおりにしねぇと客を一人ずつ殺すぞ!!」

「ひ、ひ…」

「やめないか!そんなことが許されると…」

と、一人のテラナーの男が強盗団に食って掛かるが…一団のうちの一人が、その男の足元めがけてレーザーガンを放つ!

 

「ひっ!?」

「おっと、誰が抵抗していいっつったよ?」

装甲して入間にも、他の強盗たちはレジをこじ開け、金をバッグに詰め込もうとしている。

もはやこれまでか。誰もがそう思ったその瞬間だった。

「ぎゃぁ!?」

突如銃声が響いた。クオンが懐からレーザーリボルバーを取り出し、強盗団の一人に命中させたのだ。

出力を抑えているとは言うものの、プラズマレーザーを食らった強盗は全身が麻痺し、床に崩れ落ちたのだった。

「そこまでだ!全員武器を下ろし投降しろ!!」

「んだコラぁ!?抵抗するなって言ってるよなぁ?このクソガキがぁ!」

「ふっ、果たしてこれを見ても同じことが言えるのかな…?」

 

そういってクオンが取り出したのは、警察手帳だ。

臨時警官、という扱いではあるが、クオンもれっきとした一人の警察官なので、このように警察手帳を持っているのである。

「…警察だ。もう一度言うぞ…全員武器を下ろし投降するんだ!!」

「ちっ…よりによってこのガキがサツかよ!野郎ども!まずはこいつから畳んじまえーっ!!」

強盗団は店員を乱暴に突き放すと、一斉にクオンめがけ飛び掛る…。

 

…いや、飛び掛った…筈だった。

「せぇぇぃやぁぁぁっ!!」

ふと、強盗団の前に青い一筋の影が横切り、正拳、裏拳…とにかく拳を叩き込んでいく!

「くそ!何がどうなってやがる!!」

「…ジャック!?」

「…ふぅーっ、オレってばこういうゴタゴタした騒ぎは嫌いだからな」

そう、拳を叩き込んだのは他でもない、ジャックだったのである!

「ほぉ、面白ぇじゃねえか。二人まとめてボコボコにされなきゃわからねえみてぇだな!?」

 

と、ジャックはふいにクオンの方を見つめて尋ねる。

「…クオン、確かお前も空手やってたんだよな?」

「う、うん。それと柔道、剣道もかじってるけどね…」

「じゃあ話が早いな。こいつら返り討ちにしてやろうぜ!」

「お、おう!」

クオンとジャックは一気に、強盗団めがけて飛び掛る!

一人、一人、そしてまた一人。ある者は拳を、ある者は蹴りを、またある者は警棒を喰らい、次々に倒れていく。

「さぁ、残るはお前一人だ。観念しておとなしく…」

と、クオンがリーダー格の男に食って掛かる。

「くっくっく…これ以上動くなよお巡りさんよ」

「な!?」

「た、助けて…」

なんとこの男、先ほどの店員を人質に取ったのである!

「これ以上動いたらこの娘の命はねえぞ?ヒッヒッヒ…」

「くそっ、なんて卑怯な真似を…」

動くに動けないクオンとジャック。緊迫した空気が張り詰めた、ちょうどそのときだった…。

「!?」

突然、男が持っていたナイフに光の弾丸が当たり、そのまま弾けとんだのである!!

 

「…ふぅ。今日も人的被害はなし。隊長、敵さんの武器は撃ち落としました」

「…そうか、わかった。これより突入する」

付近に止めてあったパトカー…ナインチャリオットからの精密な狙撃。

クオンにはその狙撃の主がはっきりとわかったのだった。

「…アレク兄ちゃん!」

「おっと、来ているのはアレクだけではないぞ」

「隊長!!」

なんと、ナインチャリオットから犯人めがけて一直線にエルザが飛び込んできたのである!

「…警察だ。お前たち5人とも強盗殺人未遂で逮捕する!さぁ来い!!」

…かくして、この小さなコンビニを襲った強盗事件はあっけなく幕を閉じたのであった。

犯人確保から数分後。

「…そうか。協力感謝する」

と、エルザ、アレク、クオンの三人はジャックに敬礼する。

「へへへ、どうもどうも」

と、照れ笑いをしているジャックのもとに、クオンがゆっくりと歩み寄ってきた。

そして…。

 

「あ、あの…さ」

「?」

「…一緒に戦ってくれて、その…」

クオンの頬はいつしか赤らんでいた。それだけではない。

普段ははっきりとものを言うクオンだったが、今回はなぜか言葉が紡ぎだせずにいたのである。

(なんだろ…?言葉がうまく出ない…それに…動力炉(リアクター)がほんのり熱い!なんだろ、電子頭脳がボーっとしてきて…)

「おーい、クオン?」

と、心配そうに覗き込むジャックに、クオンはそっと答えた。

「…あ、ありがと…」

「へへへ、もういいって。それよかお前顔赤いけどどうかしたのか?」

「べ、べべべべ別にっ!なんでもないったらっ…」

と、慌てふためき目を回すクオンに、エルザはそっと微笑みながら続ける。

「ハハハ、クオンにもとうとう恋の季節が巡ってきたようだなwwww」

「そっ、そんなことないってばもうっ、隊長まで!!」

時刻は18時32分。夜空に、笑い声が響いていた…。

 

ちなみにこの出会いが、のちにクオンの人生を大きく変えていくことになるのだが、それはまた後の話である。

無論、今の彼女自身、まだそれに気づくことがないのだから。

 


 
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