No.537519

真・恋姫†無双~絆創公~ 第十八話 【事情を知る者】

この作品の裏設定みたいなものです。まあ、勘のいい方ならなんとなく分かるかと思われます。

2013-01-29 11:15:06 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1870   閲覧ユーザー数:1580

第十八話

 

「な~るほどねぇ~ん、そういう事だったのぅ~……」

「奇怪な幻が、まさかご主人様を狙っていたとは…………!!」

 経緯を聞いた漢女二人は、その顔を曇らせた。

「はい……僕たちは北郷一刀さんと、そのご家族を守るために、この世界にやってきたんです!」

「だったら、ワタシ達と同じ存在ってワケなのね~?」

「ええ、それに近い存在と考えて頂いて構いません。それで、お二人には何か心当たりは無いのか、と思いまして……」

「うーむ、生憎だが儂らにも、その正体が掴めんのだ。漢女の力をもってしても、な」

「そう、ですか…………」

 新たな情報を手に入れることが出来ず、スーツの男は悔しそうな表情になる。

「そ~んな顔しないのぅ、良い男が台無しじゃないのよぅ」

「いや、良い男だなんて……」

「謙遜する事は無いっ!! 漢女が太鼓判を押すのだから胸を張るべきである!!」

 と、言ってる本人が、我先にと逞しい胸を張って、豪快に笑っている。

「ハハッ、じゃあ自信を持ってみましょうかね…………で、お願いがあるのですが」

「皆まで言うな!! 奇怪な集団の事は儂らに任せておけ!!」

「し、調べて頂けるんですか!?」

「良い男の頼みは断らないし、ご主人様の為ですものぅ! ここで引き受けなかったら、漢女の恥よぅ!!」

 親指を立てて、ニカッと笑って見せた白い歯は、褐色の肌も相まって、やけに輝いて見えた。

「あ、ありがとうございます!!」

「ガハハハハハッ! 良い笑顔じゃわい! それでこそ、お主らしいと言うものだ!!」

「……もしかして、既に分かってたりします?」

「漢女の勘を甘く見てもらっちゃ困るのよぅ! アナタと、あの眼鏡のボウヤ、恐らくは…………」

「…………皆さんには、秘密にしておいて貰えますか? バレると後々面倒なんで……」

「分かってるわよぅん! 男と漢女のヤ・ク・ソ・クね♪ でも、妬けちゃうわねぇ~ん…………」

「貂蝉よ、嫉妬している時間は無いぞ! 一刻も早くアヤツらの正体を突き止めねば!!」

「あら、そうねん! じゃあ、名残惜しいけど、ご主人様と、ご家族の皆さんと、あと他の皆にも宜しく言っておいてねぇん!」

「ええ、了解いたしました」

「では、ひとっ飛びするぞ!」

 

 -ビューーーーーン!!-

 

「………………本当に飛ぶんですか」

 漢女二人の飛行機雲(?)の平行線を眺めながら、二人らしいなぁと苦笑する。

 

 

「ただいま戻りましたぁ…………?」

「判断は皆様に任せますので…………ああ、御苦労様……」

 漢女二人との交渉を終えて、大広間へと戻ってきた男は、入った瞬間に違和感を覚えた。

 自分が現れた際の、皆から向けられる視線が、何かを怪しむような感じにとれたのだ。

 

「す、すいません、主任。これは一体……」

 上司の所に駆け寄り、皆に背を向けた後、囁き声で質問した。

「お前が二人と話してる間に、私は計画の詳細や項目を説明していたんだ……」

 同じように囁き声で、質問に応えた。

「いや、それは何となく分かったんですけど、今僕が入ってきた時に、何で皆から変な顔されたのかなーって……」

「ああ……あの二人を大人しくさせたから、多分そんな嗜好の持ち主だと思われているんだろうな」

「……ええと、“そんな嗜好”というのは、つまり…………」

「そういうことだ。恐らくこの会話も、“そういうこと”だと思われているだろうな」

「………………」

 肩越しに皆の顔を確認すると、どこか余所余所しい態度をしている。

「もし、そうだとしたら……どうなります?」

「約二名、興奮する人間がいる」

「冷静にそんな冗談言われても嬉しくないです!!」

 

 その後、皆の誤解を解くために、泣きながら何度も土下座をしているスーツ姿の男がいた。

 

「…………ハア、疲れた」

「少しは私の気持ちが分かったか?」

「はい、文字通り“身をもって”……」 

「なら、ほら。後はお前が説明しろ」

 そう言って、手に持っていた紙の束を手渡した。

「ハーイ……えー、私達の指示は絶対ではないので……」

「それはもう説明した。一番最後の項目だ」

「は? 最後、最後…………ってこれ……」

「私は苦手な類だ。おまえが言ってくれ」

 

 

「相変わらず潔癖なんすから…………えー、この件が解決するまでですね、北郷一刀さんとの夜の相手はなるべく控えて下さい…………」

 

 一刀の家族がやってきた時よりも、遙かに大きい衝撃が女性達に襲いかかってきた。

 

 

 

 

 

-続く-


 
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