No.537516

真・恋姫†無双~絆創公~ 第十七話 【初見は衝撃的】

この二人、我々かなり好きです。キャラ的に。

2013-01-29 11:02:33 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1823   閲覧ユーザー数:1574

第十七話

 

「な、ななな何ですか!?」

「敵の襲撃かっ!!?」

「いえ…………あいつらは…………」

 身構える客人の男性二人を、黒髪の美少女はうんざりした様子で制止する。

 

「ちょっとぅ~、アタシ達を仲間外れにするなんて、酷いじゃないのぅ!!」

「ご主人様の御両親に挨拶をせねば、漢女が廃るというもの!! 是非とも儂らを頭に刻み込んでもらう!!」

 筋骨隆々の気持ち悪…………もとい魅力的な二人の漢女達に、知人である少女達は面倒臭い気持ちを隠しきれない。

「ご主人様のご家族のみなさま~!! はじめまして~! ワタシが絶世の美女、貂蝉ちゃんとぅ~!!」

「漢女道亜細亜方面前継承者、卑弥呼であ~る!!」

 

「…………という事です」

 

 うんざりした様子を見せているのは愛紗だけではない。スーツの男二人も同じであった。

「はー…………面倒な…………おい、アキラ。対応しろ」

「ハァ!!? イヤイヤイヤイヤ、何でですか!?」

「今まで任務遂行を遅れさせた責任を、これで帳消しにしてやるから」

「割に合わないっすよ!! 嫌ですって!!」

 首を凄まじい速さで横に振りながら、抗議を続ける。

「それに…………あの二人は…………!」

「………………あっ、そうか!!」

 上司の意図を察したのか、部下の男は慌てたように何かしらの支度を始める。

「ち、ちょっと僕、行ってきます!!」

「頼むぞ………………!」

 

「す、すいません!! 少し良いですか……?」

 漢女二人に駆け寄って、男は恐る恐る話し掛けた。

 その様子を伺いながら、少女達は内心で、あの漢女達はそう易々と引き下がらないだろうと考えていた。

 北郷一刀関連に対して、異様な執着を見せるあの二人を、上手く手懐ける事は出来ないだろうと、経験から学んでいた。

 

 そう考えている内に、二人はスーツ姿の男の後に付いていくように、大広間を出ていった。

「エエッ!!?」

 あまりに大人しくなった二人を見送りながら、少女達は呆気にとられるしかなかった。

「す、凄い…………!」

「い、一体どうしたというの!?」

 桃香と蓮華を始め、交渉していたスーツの男は、漢女に対してボソボソと話しかけていたために、周りの人間は内容が全く聞き取れなかった。

 

「どうやら上手くいったようだな…………あっ、大丈夫ですか皆さん!?」

 安心したのも束の間、残ったもう一人のスーツの男は、北郷一家の様子を伺う。

「あ、あれが…………貂蝉、と、卑弥呼……だと……!?」

「あ、頭が痛くなってきた…………」

 男性陣は既に現実逃避を始めていたようだ。

「かなり個性的な人達ね~」

 母親は何も気に留めていないのか、ニコニコと微笑んでいた。

 

 そして、残る妹は……

「……………………」

 三人が出て行った入り口の方を、ただジーッと見つめていた。

 それを見た沙和と真桜は驚いていた。

「おーっ、佳乃ちゃんって意外と我慢強いんだねー!!」

「ウチはてっきり、泣き出してまうかと思っとったんやけど…………」

「……………………」

「……………………?」

 二人の問いかけに無反応な少女に、違和感を覚えた凪が近付いた。

「…………佳乃様?」

 名前を呼び掛けながら、少女の顔の前で軽く手を振ってみる。

 

「……………………」

 

 無反応だった。

 

「…………た、大変だっ!! 目を開いたまま気を失っている!!」

「な、何やて!?」

「よ、佳乃ちゃーん!! しっかりしてなのー!!」

「俺に任せろっ!! 待ってろ!! 今すぐ治療を…………!!」

 一難去ってまた一難、繊細すぎた少女の介抱に、また室内が慌ただしくなる。

 それを眺めているスーツの男は、大きく溜め息を吐いた。

「ハァァァ…………結局こうなるのか…………」

 眉間に皺を寄せて、うなだれている。

 

「しかし、あの二人は頼りになるだろう……何せ“専門分野”だからな…………」

 

 その視線は、先程出て行った三人が話しているであろう、中庭へと向かっていた。

 

 

 

 

 

-続く-


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
11
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択