No.536587

真・恋姫†妄想 もしもTINAMIの管理者が御遣いになったら #1

狭乃 狼さん

書ける物を書きたい時に、そして書ける時に書く。

これが今年のボクの方針です(オイw

というわけで、とある方の作品に影響されて、こんなモノを書いてみました。

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2013-01-27 03:48:11 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4677   閲覧ユーザー数:4092

 「知らない天井だ……」

 

 うん。一辺言ってみたかったんだよね、このテンプレ台詞(笑)。

 まあそうやって念願が思わず叶った事はさておき、ここ、どこ?何で俺、今時珍しい完全木造住宅と言うか、掘っ立て小屋みたいな部屋で寝てんだ?

 

 「えーっと。確か昨日は、ヴァルハラのラボで研究に没頭してて、で、人段落ついたところで部屋に戻ってシャワー浴びて、で、そのまま飯も食わずに睡魔に負けた……はずなんだが」

 

 そうそう、自己紹介がまだだったけな。

 俺は外史という、人々の想いから創生された一種のパラレルワールドを、時に監視し時に記録したりとする、一般には管理者と呼ばれる存在に籍を置く者で、名前を……あれ?

 

 「……ちょっと待て俺。若ボケするには早いだろ?なんで、自分の名前が出てこな……あり?」

 

 あ、出てくるには出てきた。……けどおかしいな?俺、管理者としての名前、こんなんじゃなかった筈だが?……あ、そうだそうだ。この名前、昔、若気の至りで使ってたペンネームじゃんか。

 

 「……で、なんでこっちの名前しか出てこんのだ?ちょっと待て……管理者用ウィンドウは……え」

 

 某VRMMOアニメでキャラクター達がやっていたような動きで右手を中空で動かし、管理者なら誰でも使える専用システム管理画面を目の前に出そうとした俺だったんだが、上下左右、前後斜め、何処をどう動かしても、いつも出てくるソレが全く出てこない。

 

 「……ここってまさか、外史の中か?いやでも、だとしてもシステムコンソールが使えないのはおかしい。外史の中に居ようが空間(スペース)(上級管理者に与えられる専用外史観測室)に居ようが、システムコンソールは何処でも何時でも使えるはずだし……あ」

 

 ……ある。

 たった一つだけ、システムコンソールが使えない状況が、使えなくされる状態があるわ。そう、俺自身が、俺自身として、外史の登場人物に設定されている時だ。つまりこの状態は……。

 

 「お?目が覚めたのか?」

 「へ?」

 

 どうやら俺が自分の思考の淵に入りきっている間に、この部屋のドアを開けて入って来ていた人間がいたらしい。突然にした自分以外の声にそちらへと視線を向けると、そこに一人の女性が水差しのような物の乗った盆を持って立っていた。

 紫色のショートカットヘアに、ビキニと同じ程度の面積しかない胸当てをつけ、蝶の模様のあしらわれた、スリットの大胆なスカートを身に着けたその人は。

 

 「……(ゆん)?なんでここに?」

 「っ!……貴っ様あっ!」

 「おわあっ!?」

 

 突然に。豪速で振り下ろされたソレによって、真っ二つにされた俺……ではなく、俺が先まで寝ていた木製ベッド。つか、なんで彼女が俺を攻撃すんの?いつも通りに名前を呼んだだけ……あ、もしかして。

 

 「ちょ、ちょ、ちょっと待った!もしかして、今俺が言ったのって君の真名」

 「そうだ!何処をどうして見ず知らずの貴様が、父も母も既に他界して他に知る者の居る筈のない、私の真名を知っている!?しかも事もあろうに勝手にその口にするなど……っ!」

 「いや、これにはちょっと深い事情が……って、あぶねっ?!」

 

 話しながらも、完全に怒り心頭の彼女は、狭い部屋の中を必死で逃げ回る俺に対し、立て続けにその手の得物、彼女愛用の武器、金剛爆斧を振り下ろしてくる。もちろん、“向こう”に居るときならともかく、今と言う状況でんなものに当たったら、間違いなく怪我じゃ済まないだろう事が分かりきっている俺は、彼女のその斬撃全てをかわして逃げているので、小屋の中はあっという間に穴だらけになっていく。

 

 「おのれ!ちょこまかと逃げるな!」

 「待って!本当に待って!訂正する!謝る!だからとにかく俺の話をどわあっ?!」

 

 駄目だ!彼女、完全に頭に血が上ってる!あー、もう!こうなったら……っ!

 

 「人の話を……聞けっての!」

 「なっ?!」

 

 がっし、と。俺に向かって振り下ろされた金剛爆斧のその“刃”の部分を、俺は素手で掴んで止めて、あいたもう一方の手で刃の付け根の部分を掴み、軽く捻って彼女の手からソレを奪う。そしてそのまま彼女の背後に瞬歩、足に気を集中させる事により短距離を超高速で移動する業、を使って回り込み、たった今本人から奪った金剛爆斧の刃をその首筋に中てる。

 

 「い、何時の間に私の背後に……っ!」

 「……さっきも言ったけど、君の真名を呼んだことは訂正する。“知り合い”と貴方の容姿が良く似ていて、真名まで同じだったっていう不幸な事故が重なったんだ。本当だ。どうか信じてくれ」

 

 と。彼女が外史(ところ)変われど彼女であるなら、これで納まってくれる……はずだけど。

 

 「……そ、そう、なのか?なるほど。それなら納得もいく、か……」

 

 あ。ホントに信じたよ。まあ、俺もあながち嘘は言っちゃあ居ないけど、うん、やっぱり、世界が違っても彼女は彼女だわ。

 にしても良かった。一か八かで反撃に出ては見たけど、能力(ちから)の全てを“封印”されたわけじゃあないらしいな。鋼気功も瞬歩も使えたし。

 

 「じゃ、もう襲わないでくれるかい?」

 「ああ。だからお前も、この刃を退いてくれ」

 「分かった」

 

 彼女の首筋からそっと金剛爆斧の刃を外し、俺は一歩だけ後ろに下がる。ソレと同時に、彼女は俺の方へと向き直り、そして、次の瞬間に二人揃ってやった事と言うと。

 

 「すまん!」

 「悪かった!」

 『……って、え?』

 

 体を90度前屈状態にしての全力での、お互いへの謝罪で御座いました。

 

 「ちょっと待て!なんでソッチが謝る?!今悪いのは、話も聞かずに刃を振るい続けた私だろう?!」

 「いやいや!本当に悪いのはちゃんと確認もせず、貴方の真名を呼んだ俺の方だから!」

 

 そしてそこから暫く、まあ時間にしておよそ三十分ほどか。互いに悪いのは自分だと譲らず、売り言葉に買い言葉で喧々諤々としたやり取りが続いたわけだが、それを止めたのは騒ぎを聞きつけてやって来たのであろう、もう一人の人物だった。

 で、それが誰かと言うと。

 

 「ちょっと華雄!一体さっきの騒ぎは何事よ!?」

 「へ?……なじぇして?」

 

 どして?なんで?彼女が何故にこの人のところに現れなされますか?

 

 「桂花か。いやなに、ちょっとしたその、互いの思惑の入れ違いと言うかだな」

 「思惑の入れ違いって……ってちょっと!なにをどうしたらそれで、この小屋がこんな風になるわけ?!せっかく見つけた今夜の寝床どうすんのよ?!」

 「う。その、す、すまん……」

 「……(ぼーぜん)」

 

 桂花、って言いましたね?間違いなく、彼女、恋姫†夢想世界の華雄が、この、猫耳フードの着いたパーカー羽織ったこの人を、桂花、そう呼ばれましたね?

 恋姫世界で桂花と言えばそう、魏の、曹操こと華琳に仕えた希代の軍略家、荀彧文若さんしかいらっしゃいませんね。……まいったなー、こら。けどまあこれで確定したな。何がどうしてか知らんが、俺は今、どこかの恋姫外史の登場人物として放り込まれてるみたいだ。管理者としての能力や権限と言ったものも、どうやらほとんど封印されているらしい。

 ……貂蝉か卑弥呼、もしくは左慈か于吉あたりの、いや、ひょっとしたら意思(ウィル)の仕業かもしれん。それとももっと上でも絡んでるのかね?

 あ、ちなみに意思(ウィル)っつーのはだ、全宇宙の生命体、その全ての潜在意識が寄り集まり、一つの意思を独立して形成するようになった存在の事だ。一貫した確固たる論拠を持ちながらも、同時に多くの矛盾も孕んだ論拠も持っている、そんな存在で、そのウィル自身曰く、彼、彼らがそうなっているのは、精神的に矛盾した意識の持ち主である生命体、すなわち人間の影響が一番強く出ているからだという。

 そんなウィルは普段、ありとあらゆる正史、外史から、資質に優れた者を選抜して外史の管理者へと勧誘、認定しているわけだが、そのウィルであっても、外史そのものを司ると存在というわけでは決してなく、そのさらに上に、俺達の想像もつかないような存在が居て、正史外史を問わずその全てを管理している……らしい。

 

 閑話休題。

 

 

 ……しかし、今回のこれの元凶が誰かはともかく、俺にこの外史で一体どーせーと?まさかと思うが、俺に、北郷一刀みたいな天の御遣い役でもやれとか?で、その初期メンバーがこの二人と?あ、なんか頭痛くなってきた……。

 

 「まあとりあえずは、小屋のことは後回しにして。その人、目、覚ましたのね。あんた、感謝しなさいよ?突然人様の目の前に光りながら降って湧いたかと思えば、気絶していて全く起きる気配も無かったところを、縁も所縁も無い私達で介抱してあげたんだから」

 「いや降って湧いたって……ん?光ながら?つまり、その前には流星が見えたなんてこと」

 「見えたな。それが旅の途上だった私達の眼前に降ってきた。そしてそこにお前が居たと言うわけだ」

 

 あ、御遣い役、けてーい。

 

 「……も、なるようにしかならんな、こりゃ」

 「ところでアンタ、自分の名前ぐらいは言えるんでしょうね?記憶喪失とか言ったらぶん殴って思い出させてあげるけど?」 

 

 記憶……あ、なんか頭に浮いてきた。なるほど、こういう設定で通せと言うのか、もしくはそういうことになってるってことかね?

 

 「……大丈夫だよ。流石に記憶はなくしてない。……俺の名前は『柾木九朗』。マサキ、クロウだ。姓が柾木で名が九朗。そっちの華雄さん同様字ってのは持ってない。『聖フランチェスカ学園』ってところで、世界史……歴史の教師をしていた。歳は……永遠の二十歳ってことで」

 「……ふざけてんの?」

 「フザケテナンカイマセンヨ?」

 「……なんで片言になるんだよ。というか、お前、何で私の姓名を知っている?」

 「いや、なんでもなにも、さっきソッチのお嬢さんがそう、貴女を呼んでましたが?」

 「……そうだったか?」

 「……華雄……アンタね……」

 

 本気で首をかしげる華雄の横で、頭のこめかみを押さえて溜息をつく荀彧こと桂花。しかし、“向こう”じゃヨメの華雄こと雲と、義娘(ムスメ)の桂花が初期メンバーねー。ああそういや、本来、原作恋姫の華雄には真名って無かった筈だよな?桂花もどっちかって言うと、俺に対する態度が原作の男嫌い(アレ)からすると随分柔らかいし、もしかしてこの二人、記憶こそ無いけど正真正銘ウチの……じゃないだろうな?

 

 「ま、それもその内、何かしらのフラグでも立ちゃ分かるだろ(ぼそ)」

 「ん?何か言ったか?」

 「いんや、なんにも」

 

 まあメタ発言はともかくとして、まずは現状の状況把握をしておきますかね。まあお決まりとしちゃあ、今は黄巾の乱の起きる直前位、もしくは起こって間もないくらい……なんだろうけど。

 

 「ところでさ、ちょっと聞いておきたいんだけど、今って何年?」

 「今か?中平の元年だが」

 「……つーことは、西暦で言うと184年だったか……やっぱり黄巾の乱の起きる年だな」

 「……あによ、その“せいれき”って。それにこうきん、って、もしかして今あちこちで暴れてる連中の事?黄色い頭巾とかしてる賊集団」

 「あーいや、とりあえず、前者の事は聞き流して欲しいかな?黄巾についてはその通りだよ。ま、どうせ一年足らずで消えるような、一時的な連中だけど」

 「お前は何故そう思うのだ?連中、その勢いは飛ぶ鳥を落とすが如しだし、乱は大陸中に広がっているから、そう簡単には」

 「所詮は素人の寄せ集め、だからさ。規模がどれほど大きかろうが、横の繋がりなんざほとんどないような烏合の衆だし、その内官軍やら義勇軍やらに確固撃破されて消えていくさ」

 

 まあこの世界は史実の世界とは違うわけだし、多少の差異は出るかも知れんが、大体黄巾の末路は一緒だろう。あ、そういえば桂花はともかく、華雄って確かこの時期にはもう(ゆえ)、董卓のところで将軍をしてる筈なんだけど……その辺どうなってるんだろ?

 

 「なあゆ、じゃなくて華雄さん」

 「ん?」

 「董卓将軍の事は……知ってる?」

 「董卓?……だれだ、それ?」

 「へ?」

 「桂花、お前は董卓という名の人物、知っているか?」

 「いいえ。始めて聞く名前だけど」

 「……マジで?」

 

 おいおい。……あー、でもまあたしかに、恋姫世界なら月、董卓がまだ無名でも不思議は無いか。だからこそ、後々反董卓連合の時に言い様に名前を使われたし、正体ばれずに劉備陣営に引き取られたわけでもあるし。

 

 「……すいません、今のは忘れてください。じゃあ、二人はこれからどうする予定だったわけ?何処かの官軍にでも仕官して、名を上げようとでもしていたのかい?」

 「まあそんなところだ。ところでお前、あーっと、柾木、だったか?不躾なことを聞くが、『天の御遣い』の事は聞いた事は?」

 「……なんのこと?」

 

 ほら来た、って感じだったけど、一応、聞いておきましょう。何かしら、違い見たいなのがあるかもだし。

 

 「『蒼空より舞い降りる三つの流星、そはそれぞれに、天よりの御遣いを乗せる。白、黒、赤、三色の光を纏いし御遣いたち、混迷せし大陸に安定の時を齎す者達なり』。……そんな予言がな、まことしやかに大陸中に流れているのさ」

 

 は?三つ?天の御遣い、三人も居るの?

 

 「その内の一つである黒、お前の着ているその衣装がまさにそれだろう?だから最初にお前を見つけたとき、もしかしたらお前がそうなのではないかと、私は思ったんだが」

 「私は半信半疑、だけどね。けど、もしあんたが本当にその内の一人なら、無名の私達が担ぐには絶好の御輿にはなるんだけどね」

 「……御輿、か。はっきり言うな。ま、本当に俺が天の御遣いなのかどうかはともかく、少なくとも、この世界、この時代の人間ではないな。俺がいたのは今から二千年ほど後の世界だったし、土地的にもこの大陸ではなく、今なら倭って呼ばれる島だったけど」

 「……二千年後の未来、だと?」

 「ああ、だからさ、二人の事もある程度は知ってるよ。揃ってその名を歴史に残している人物だしね。華雄さんも、荀彧さんも、ね」

 「っ!……そう、名乗っても居ない私の姓名を知ってるんだ。見た感じ、衣装の生地も私の知らないもので出来てるみたいだし、どうやらただの与太話でも無さそうね」

 

 おう。さすがはかの曹操をもって我が子房と言わしめた荀彧文若。理解が早くて助かる。

 

 「で、どうする?お望みとあらば、御輿としての天の御遣い、演じるのにやぶさかではないけど?」

 「……いいのか?見ず知らずの人間に、その名を貸したりなどして」

 「(まあ本当は見ず知らずってわけじゃあないんだけど)……いいさ。君らこそ、見ず知らずでおまけに得体の知れない俺を保護してくれたわけだし、袖刷りあうも他生の縁っていうしな」

 「……分かったわ。なら、せいぜいこき使ってあげるから、覚悟しておきなさい」

 「はは、お手柔らかに」

 

 そんなこんなで、俺は華雄と桂花、この二人に担がれて御輿を、天の御遣いの役を演じることになった。とはいえ、二人とも私兵とか義勇軍とかを率いているわけじゃあないし、官軍に所属しているわけでもないんで、まずはちゃんとした拠点、そして兵力、物資、その他諸々を得るための方策、それを練らないとな。

 ……それにしても、だ。

 今回はどうやら、御遣い役が俺を含めて三人居るみたいだけど、後の二人は誰じゃろな?まあ、うち一人は、本家天の御遣いである北郷一刀で決まりだとして……残りの一人も、誰か管理者だったりしないだろうな?

 はは、まさかね。

 

 

 

 その頃、幽州は五台山の麓、楼桑村と呼ばれるその地にて。

 

 

 

 「我ら三名、生まれし時と場は異なれど!」

 「この生ある限り、その全てを共とし!」

 「……死ぬまで皆、絶対一緒!」

 

 咲き乱れる桃の花の下、杯を手に手に取り、高々と掲げて宣誓をして行く俺達三人。

 

 『天よ!我らが赤心、どうぞご照覧あれ!』

 

 そして、最後の宣言を大音声で合わせ、一気に杯の中身を飲み干す。これで、俺達は晴れて、義兄妹となったわけである。

 

 「……どうされました、兄者?」

 「あ、いや、なんか、感無量だなーってさ。何しろ、かの有名な関羽と呂布、その二人と義兄妹になったなんて、なんか、夢でも見てるんじゃないかなーってさ」

 「……優兄(ゆうにい)は、恋と兄妹になったの……嬉しくない?」

  

 ほんの僅かに悲しそうな顔をしてその首をかしげ、うるうるとしたその瞳で、俺の方を上目遣いでじっと見てくる、その赤毛の少女。触覚の様に二本だけぴんと立ったの彼女の髪の毛が、犬の振る尻尾の様にぴこぴこと動く。

 萌え。……じゃなくって!

 

 「そ、そんなわけないだろ!?“(れん)と兄妹になれて、めちゃくちゃ嬉しいに決まってるじゃないか!」

 「……ほんと?」

 「ほんとだとも!あまりにも嬉しいからこそ、夢だったら嫌だなー、って、そう思っただけだって!」

 「……よかった」

 

 俺の言葉で心底ほっとしたのか、その頬を赤らめるその赤髪の女の子、恋。

 そう、恋なのだ。

 つまり、恋姫世界では最強の武を誇る、そして、萌えという点においてもまさに最強である、呂布奉先こと恋。その恋が、頭を撫でる俺の手で最高の微笑を浮かべているのだ!あー、この世界に突然放り込まれたときはどうなるかと思ったけど、これだけでもう、いつ死んでも悔いはない!

 

 「……優牙(ゆうが)義兄上。お気持ちは良く分かりますが、あまりだらしない顔はなさらないで下さい。他の者への示し、というのもありますから」

 「……あ、ひょっとして、ヤキモチ?なんだ、羨ましいならそういえば良いのに。可愛いな、愛紗は」

 「なっ?!べ、べつにヤキモチなどと言うわけではなくですね!私はたんに、秋風三兄妹の長兄として、優牙義兄上にはもっとご自身を律していただきたくですね……っ!」

 「……顔真っ赤にして言っても説得力無いと思うよ、愛紗?」

 「ななななっ……!?」

 

 愛紗。そう、恋姫における元祖ヒロイン、美髪公関羽こと愛紗。その彼女もまた、この世界に来た俺が、ウルトラハッピーにも義兄妹になった、もう一人なのだ。

 おっと、自己紹介、しておくかな。

 俺の名前は『秋風優牙(あきかぜゆうが)』。元の世界では『聖フランチェスカ』っていう学校に通っていた学生だ。それが何の因果か、気がつけば突然、この、恋姫†夢想っていうゲームの世界に飛ばされていた。

 え?なんでこの世界がゲームの世界だって分かるのかって?実をいうと、聖フランチェスカの学生とは世を忍ぶ仮の姿。その実態は、この、恋姫世界を初めとした『外史』世界、それらを管理する管理者集団の一人だったりするのだ。

 まあもっとも、実際どういう仕組みかは分からないが、その管理者としての本来の名前が、なぜかどうしても出てこないし、管理者がもっているはずの様々な特殊能力やら権限が一切使えなくなってるんだけどな。とはいえ、最低限の力は残ってるみたいで、この愛紗とは互角に勝負出来ていたけど。

 

 (……システムコンソールが全く使えないってのは、やっぱり痛いな……。現状把握がほとんど出来やしない。誰が何のために、俺をこの世界に放り込んで、能力やら記憶の一部やらを封印したのか、理由がさっぱり見当つかん……まあ、可能性的には貂蝉たち、あるいは意思(ウィル)の仕業なんだろうけど)

 

 「……優兄?」

 「おっと。悪い悪い、恋。ちょっと考え事に耽ってたよ。ところで愛紗?」

 「はい」

 「これからまずどうする?義勇軍、立ち上げたのは良いけど、物資とかの補給、まずはそれを確保したほうが良いじゃないかと思うんだけど」

 「そうですね。義兄上の言われるとおり、まずは物資の目処をつけるためにも、この辺り一帯の領主である公孫賛殿の募兵に応じようと思っているのですが」

 「なるほど」

 

 ハム……じゃなくて、白蓮さんのところに、ね。ま、それが無難かね?袁紹……麗羽の所に行ったところで、『下賎な義勇兵なんかに用はありませんわよ!おーっほっほっほ!』……ってなるのが目に見えてるし。

 

 「なら善は急げ、だ。早速に出発するとしようか」

 「はい」

 「……ん」

 

 そして、俺達は仲間の義勇兵五十人ばかりと共に、一路、幽州は北平の太守である公孫賛、白蓮の所へと向かった。

 他の御遣いの事も気にはなるけど、ま、その内嫌でも会うことになるだろ。元祖御遣いの一刀もそうだけど、もう一人の御遣いって誰だろうな~?案外、知った顔だったりして、な。ははは。

 

 

 

 つづく

 

 

 

 と言う感じの、またもや思い付きから始まった新作ですw

 

 えー加減にせい、という意見はとりあえず無しの方向でww

 

 だって書きたくなったんだもん!(コラw 

 

 さて、このお話、実は他所の作者さんが書いている、TINAMIの管理者が御遣いになったら?というものからインスピレーションを得て思いつきました。

 

 そしてオリ主というべき、黒と赤の御遣い。

 

 前者は私本人。そして後者は、TINAMIユーザーのお一人である、YTA氏でございます。

 

 もちろん、本来の御遣いである一刀も、別の勢力でちゃんと出てまいります。

 

 ただし、この作品はあくまで息抜きようの、言っては悪いですがお遊び作品です。

 

 なので、更新頻度は他の作品よりも遥かに遅いです。忘れた頃にふと、続きを書く気になったら書く、その程度でやっていきますので、あー、こんなのもあったなあ、ぐらいのお気持ちで、これからも見てやってくださいw

 

 では今回はこれにて。

 

 

 再見~!

 

 

 P.S.YTAさま、ご出演、本当にありがとう御座いました。あの二人以外に、配下にほしい恋姫が居たら遠慮なく言ってくださいね。都合上無理がなければ、受け付けますので。ではw


 
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