No.536043

超次元ゲイム ネプテューヌmk2 ~Blue Wind~(Where is true …?)

こたさん

うぬう…やること多くてやばい…

2013-01-25 21:21:44 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:1212   閲覧ユーザー数:1190

「……………………」

 

リーンボックスの教会内、ネプギア達から一部始終を聞いたチカは眉間に皺を寄せ黙り込んだ。

 

「…………あの娘、いつの間に……しかもよりによって犯罪組織なんかに……!」

 

チカは一同から顔を背けると僅かに開かれた口からギリッ……と歯軋りの音を漏らす。

 

「レーラは……いつ頃から姿が見えなくなったのかしら?」

「……さぁ、お姉様が捕まってからは私自身も動揺してたしあまり覚えてないわね。ただ、ここ最近……私が誘拐される少し前まではリーンボックスにいた気がするわ。」

「…………」

「……けど、あの娘はそんなことをする子じゃなかった気がするわ。お姉様の業務の手伝いも積極的にしてたし、毎日ギルドに行きリーンボックスのシェア上昇に貢献してたわ。」

「……要は、かなり真面目な娘だったってことね……」

 

ふぅむ、とアイエフが顎に手を置く。

 

「…………けど、私達の目の前にいたレーラは完全に女神やゲイムギョウ界を否定していたわ。」

「ハッキリ言って、がすとはレーラがそういう性格だったってことが信じられないですの。」

 

あ……と日本一が顔を上げる。

 

「もしかして、レーラは犯罪組織に操られてるんじゃないかな?きっとここ最近に誘拐されて――」

「あんな強いのに?」

 

ぁ……と日本一が口籠る。

確かに、可能性としては考えられなくもなかったが、実際に彼女と一戦を交えその実力を知っている一同にとってあまりそうは思えなかった。

 

「……それに、操られてるにしては妙に自分の意志がはっきりしてる気がするです。もし犯罪組織に操られてるんなら自分達にとって都合の悪い女神の存在を記憶から抹消されるなりされるんじゃないでしょうか……?」

 

コンパが言い終えるとアイエフが再び口を開いた。

 

「……それと、もう一つ。どうしても引っかかることがあるの。」

「何かしら?」

 

「――――どうして、5pbに女神候補生の存在を教えなかったの?」

「…………………」

 

アイエフの問いに、チカは眉間に皺を寄せた。

5pbは不安気にチカを見つめている。

 

「…………私はあの娘と話す気になれなかったのよ。」

「え?」

 

「――ここ最近、あの娘の様子が急変したの。」

 

どくん、とネプギアの心臓が大きく鳴る。

チカは話を続けた。

 

「――あれは、5pbに声をかけた少し前辺りね。先程、私は『あの娘は業務の手伝いも積極的にしてたし、毎日ギルドに行きリーンボックスのシェア上昇に貢献してた』と言ったわね?それはあの時も変わらなかったわ。相変わらず真面目だった。私があの娘でなく5pbに頼ったのはそれが理由の一つでもあるわ。」

 

教会内は厳粛な空気に包まれている。

 

「――ただ、どこか……いつもの彼女ではない気がしたの。あの娘はここ最近私と会話していないわ。それどころか、私を避けているようにも感じられるような一面もあったわ。私の顔を見るとすぐに部屋に閉じこもったりしてた。」

 

チカは5pbを一瞥する。

 

「……けど、無理に話しても逆効果。だから、私はそんな状態のあの娘と極力関わらせないためにも5pbにあの娘のことは伝えてなかったの。」

 

ネプギアは心臓を鷲掴みにされたような気分になり、そっと胸に手を置く。

 

―――じゃあ、あの時レーラちゃんの言ってたことは……?

 

 

 

ゲイムギョウ界が嫌い――女神なんていらない――

 

 

 

 

―――でも、あの時……5pbさんの声を聞いていた時のレーラちゃんの様子もおかしかったし……

 

 

 

「…………とりあえず、レーラの件は了解したわ。今後あの娘があなた達の前に現れたならもう一度何があったのかを聞いてあげて。きっと何かあるはずよ。」

「はい!」

 

ネプギアがハッキリと返事する。

 

「……さて、じゃあ次の問題。」

「え?次の問題?」

 

「――――5pb。あなた、審査はどうしたの?」

 

あ……!と一同の声が一致する。

 

「な、何か忘れてると思ったら……!?」

 

アイエフが蟠りがとけたようにあぁ~……と声を発する一方5pbは焦り出している。

 

「ど、どうしよう~!?い、今何時!?」

「今は……午後4時39分ですね。」

「わ~!?ボクの出場まであと一分だぁ~!?」

 

5pbはすっかり我を忘れアタフタと慌て出す。

 

バッ!

 

「うわッ!?」

 

突如何かにグッと腕を引かれ5pbの身体が前に倒れる。

 

「へへッ、ならその一分間で俺がその会場まで連れてってやるさ!」

 

気がつくと、5pbはソニックによってお姫様抱っこされている状態となっていた。突然のこと過ぎて5pbは「え?え?」とキョロキョロしている。

 

「で、でもあんた場所分かるの?」

「いや?そんなの走り回ってれば分かるさ。けど、絶対に間に合ってみせるぜ!」

 

ソニックがそう言い残すとギュンッ!と走り出し部屋を出る。

 

「…………なんか心配ね。私達もスカイ・ビークルで追いましょう。」

「待って、私も行くわ。あの子のプロデビューを是非この目で見届けたいの。」

「分かりました、行きましょうチカさん!」

 

一同は教会を出るとスカイ・ビークルに乗り込みその場を後にした。

 

 

「エントリーナンバー7番『リッカさん』ありがとうございましたー!」

 

マイクを片手に司会者がもう片方の腕をリッカと呼ばれた女性に向ける。すっかり茜色となった大空の下で複数の照明に照らされた金髪の長髪でオペラ歌手のような派手な衣装の美しいその女性は滝のような拍手を送る観客にお辞儀すると舞台裏へと戻っていった。

どうやら会場の様子は生中継でテレビ放送されているようだ。観客席の端では数十台ものテレビカメラでスタッフがステージ上や会場全体の様子を収録している。

 

「……ケイブ、5pbは!?」

「……居ないわ。」

 

その会場の入口では――グランドとケイブが血眼で5pbの姿を探していた。

5pbの出番はもう次であるというのに、5pbが戻ってこないのだ。

 

「あんの馬鹿ッ……やっぱ行かせない方が良かったんじゃないのか!?」

「……けど…………」

 

ケイブがグランドから顔を背ける。

 

 

――ケイブ、お願い!ボクに行かせて!

 

 

あの時の5pbの懇願の表情を見た時、私は『止めてはいけない』と思っていた……。

けど、何故かはわからない。

 

「どうすんだよ!?もう始まっちまうぜ!?」

 

グランドがステージの方へと振り向く。

先程の司会者が拍手をしながら複数の照明の光が集中しているステージの真ん中へスタスタと歩いている。

 

「さぁ、プロデビュー最終審査――『ファイナル・ディーヴァ』の参加者も残す所一人となりました。エントリーナンバー8番、『5pb』さん!お願いします!」

 

司会者が言い終わるとステージに数箇所設備されているスピーカーから曲のイントロが流れ始める。

 

「あぁ~~!!どうすんだよぉ!」

 

グランドはダンダンと地団駄を踏みケイブに尋ねる。

だが、ケイブは表情を変えることなくステージを眺めていた。

 

キキィッ!

 

「ッ!」

 

そんなケイブとグランドの背後に何かのブレーキのかかる音が耳に入り二人は振り返る。

 

「ケイブさんッ!」

 

二人の目の前にあったのはスカイ・ビークル。

そんなスカイ・ビークルからネプギアが飛び降りるとケイブとグランドに歩み寄る。

 

「ケイブさん、5pbさんは!?」

 

はぁはぁ、と息を切らしネプギアが問うもケイブは静かに首を横に振る。

 

「あんの馬鹿……やっぱり迷ったのね……ッ!」

 

遅れてアイエフ達もスカイ・ビークルから降りるとネプギア達に歩み寄る。

 

「…………もう手遅れだ、曲も始まっちまってる。」

 

グランドがそっとステージに目をやる。

 

「……プロデビューは今回は諦めるようしかねぇな。」

「そんな……!?」

 

グランドがケイブに目を向けるとケイブも諦めたように首を前に倒した。

一同がやり取りしている最中もソニックと5pbは姿を現さない。

ケイブとグランドは完全に諦めモードになっていた。

太陽は既に地平線へと沈み、辺りは暗くなり始めていた。

 

「―――待ちなさい。」

 

そんな二人にチカが歩み寄る。

会場の入口付近の街灯が光りだした。

 

「……チカ?」

「…………まだ、どうにかなるかもしれないわ。」

「は?この状況でどうやって――――」

「女神候補生。」

 

チカがネプギアに顔を向ける。

 

「はい?」

 

チカは踏ん切りをつけるように小さく頷くと口を開く。

 

 

「―――5pbが来るまで、あなたが繋ぎなさい。」

 

 

チカの言葉にケイブとグランドは「え……ッ!?」「な……ッ!?」と愕然する一方でネプギアは目を丸くする。

 

「……え……えぇぇぇぇッ!?」

 

そして、ようやくその言葉の意味を理解するとさらに目を丸くした。

 

「わ……私が……!?」

「えぇ。こうなったらあの子が来るまでにあなたが繋ぐしかないわ。」

「お、おいチカ!お前何言ってんだ!」

「……確か、『ファイナル・ディーヴァ』はバックダンサーの起用や観客席からのアシストは認められているはずよ。なら、あの子が来るまでにこの子がステージで繋ぐこともOKのはず。」

「けど、無謀すぎるわ。いくらなんでも――」

「あの子の夢が叶う瞬間を見逃してもいいの!?」

 

チカは再びネプギアへと顔を向ける。

 

「いいわね、女神候補生。歌でも踊りでも何でもいいわ。とにかく何かやってあの子が来るまで繋げて。」

「そ、そんなこと急に言われても……――――」

 

「あら、ネプギアじゃない?」

 

背後からかけられた声にネプギアは振り返る。

 

「――ユニちゃん?」

 

何故か、そこにユニが立っていた。

だが、それだけではない。

 

「あ……ネプギアちゃん……」

「あー、ネプギアー!」

 

ユニの隣にはロムとラムの姿もあった。二人は小さな手を繋ぎユニの隣を歩いていた。

 

「み、みんなどうしてここに!?」

「どうしてって……帰る前にこのライブ見ていこうって思ってたのよ?」

「ユニちゃんとは街中で知り合ったんだよねーロムちゃん!」

「うん……ラムちゃん……(こくこく)」

 

そんな女神候補生達のやり取りを見ていたチカはふぅむ、と顎に手を置いた。

 

「―――あなた達。」

 

チカが女神候補生達に歩み寄る。

そして、告げた。

 

 

「――――今すぐ、ステージにあがりなさい。」

 

 

 

 

 

~~~~♪~~~~~~♪~~~~~♪

 

 

カラフルなライトの光に照らされたステージ上で既に音楽はかかり、イントロはもう終わりに近づいている。しかし、出演者であるはずの5pbは姿を見せない。

流石にどこかおかしいと観客達が響めき始めた。

 

「…………………?」

 

司会者も思わず手元のプログラム用紙を何度も確認する。

 

「………おい、5pbはどうなっている!」

 

そして、近くのスタッフに極力声を抑え尋ねるも―――

 

「分かりません、ステージ裏にもいないようです!」

「そ、それじゃどこへ……――――」

 

司会者は言葉を止めた。

少し目を離した隙にステージ上に人影。しかし、一人ではなく四人。

 

「は……!?」

 

司会者は目を丸くした。

 

プログラムには記載されていない四人の少女が既にイントロが終わっている曲に合わせて踊りだしたのだ。

ピンク色の髪の毛、黒髪の少女そして二人の幼女――――

 

さらに響めく会場。

だが、この審査がアシストOKだという事を思い出したのか会場は一瞬落ち着いたかのように見えた。

 

ステージ上に立っている四人は初めは緊張していたのか動きがぎこちなかったが、段々と動きが滑らかになり、いつしか会場は歓声に包まれ始めていた。

曲に合わせてクイックターンや時々手を繋いでの微笑ましい踊り。観客席からも時々拍手等で合いの手が入った。

若干照れ気味だったが、彼女達の表情には常時満面の笑みが浮かんでいた。

司会者及び審査のスタッフ一同が何が何だか分からずにぽかーんとする一方観客の歓声が大きくなる一方だった。

 

 

 

ギュンッ!!

 

 

突如――ライトが集中しスタンドマイクが設置されているステージの中央を取り巻くように『青い風』が生じる。

 

「――――………………」

 

風が消える。

その刹那、ホログラムで映し出された映像の如くギターを抱えた5pbが姿を顕す。

ざわっ、と会場が再び響めく。

 

――5pbが静かに目を閉じるとすー……と息を吸い込んだ。

 

 

 

 

 

――――これが、『ボクの道』!

 

 

 

 

 

BGMが吸い込まれるように小さくなり、5pbがギターを弾くのをやめバックダンサーとなっていた女神候補生達も動きを止めた。

5pbは額に浮かんだ汗をグッと拭うと一歩後ろに下がり大きくお辞儀をする。

 

――すると、滝のような拍手と歓声が5pbと女神候補生達に降りかかった。

 

「エントリーナンバー8番『5pb』さんありがとーございましたーッ!」

 

司会者が先程同様マイクを手に拍手しながらステージの真ん中へと歩いてくる。

 

「さぁ、それではこれより審査員の投票を開始いたします。お手元のスイッチを押して――――」

 

「待ってください!」

 

審査員の言葉を遮り、5pbが声を発した。

 

「…………ッ!?」

 

驚きのあまり言葉を失った司会者が5pbを振り返る。

5pbは再びスタンドマイクの前に立つ。そっと、マイクに触れるとキィン……と音が鳴った。

 

「5pbさん……?」

 

ネプギアがその名を呼ぶも、5pbは胸に手を置きすー……と息を吸った。

 

 

「―――ボクは、今審査…………『ファイナル・ディーヴァ』を辞退します。」

 

5pbの思いがけない発言に会場内が再び響めきに包まれる。

会場内が静粛を取り戻すと、5pbは再び口を開いた。

 

「確かに……ボクはアイドルになりたい。けれど、今ボクがこの場に立てているのはボクの力じゃなくて……」

 

そう言うと5pbは一歩横にずれ、女神候補生達に手を伸ばした。

 

「――女神様のおかげなんです。」

 

数秒後、観客席から再び大きな拍手が送られた。

流石に緊張してきたのかロムとラムの手がしっかりと握られている。

ロムは緊張のあまり今にも泣き出しそうだった。

一方のラムは嬉しそうに照れ笑いを浮かべている。

ユニはますます頬を赤らめている。

ネプギアはただただ、5pbを見つめていた。

 

「―――けど、そんな女神様達は……今、窮地に立たされています。よくよく考えてみれば、ボクは未だに女神様に恩返しが出来ていませんでした。だから……ボクは、女神様に恩返しが出来るまでアイドルになることはできません。ボクは、世界中でライブを続けます。そして、女神様を助けて――女神様のために世界でライブを続けてゲイムギョウ界中でボクの名が知れ渡るような歌手になります。その時にまた……審査を受けに来ます!」

 

「5pbさん…………」

 

ネプギアの目には涙が浮かんでいた。

5pbは視線を足元に向ける。

 

「きっと……女神様がこの場にいたら止めるかもしれない……けど、ボクは女神様に恩返しをするまではアイドルになる気にはなれません。もしかしたら、この答えは決して正しい物ではないかもしれない……けど――――」

 

5pbは再び顔を上げた。

 

 

「―――これが、ボクの選んだ『ボク自身の道』です!」

 

 

観客席から再びドッと拍手が――

 

 

「みなさん、ありがとうございましたッ!」

 

5pbが頭を下げると女神候補生達も静かに頭を下げた。

花火のような拍手の中に歓声や観客の誰かが『女神様万歳!』という声や『がんばれー!』『必ず帰ってこいよー!』と言う声をあげていた。

5pbは胸からこみ上げてくる熱い何かが溢れるのを止めることはできなかった。

 

――――しばらく、拍手が鳴り止むことはなかった。

 

 

 

 

 

会場の巨大なスクリーンに腰掛けてステージ上を見下ろしていたソニックは小さく口笛を吹いた。

 

「へへッ、これが『5pbの道』か。なかなか良い答えを見つけたじゃないか。」

 

よっ、とソニックは立ち上がる。

 

「――例え、その答えが間違っていて周りが止めようとも、自分の選んだ道を突き進めよ。間違っているとか正しいとか関係ないさ。『その道を進むこと自体がお前の誇り』だからな。」

 

呟くように言うと、ソニックは大きく伸びをする。

 

「――さてと、もう一回リーンボックスを一回りしてくるか!」

 

ギュンッ!

 

ソニックの姿が青い風となり、一瞬にしてその場から姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

――――後に集められた票数は、辞退したにも関わらずに5pbが圧倒的なそれを獲得しぶっち切りの一位を掌握していたのは言うまでもない。そして、5pbの影響もありゲイムギョウ界の各国のシェアは急激に上昇したとか…………

 

「…………状況を報告しろ。」

「…………………………」

 

レーラは何も言わずに俯く。

何を言えばいいのか分からなかった。

 

「状況を報告しろと言っているのだ。」

 

レーラに背を向けていたマジックが振り向く。

 

「……リーンボックスのゲイムキャラの奪取に失敗。プラネテューヌの女神候補生は各国のゲイムキャラを入手した模様。」

 

つかつかとマジックが歩み寄る。

そして、ガッとレーラの胸ぐらをつかんだ。

 

「…………要は、任務に失敗したということだな。」

 

ガッ!とマジックがレーラの首を掴む。

軽々とその体を持ち上げると腕に力を入れる。

 

「あ……ああぁぁぁぁぁぁ…………ッ!!」

 

レーラが苦痛のあまり声にならない声を発する。

マジックの手をどけようと必死に自分の手でそれを掴むが、マジックの腕はビクともしない。

 

「……何のために貴様を特命部隊隊長に任命したか分かっているのか?本来貴様のような女神は我らが犯罪組織に居なくてもいい存在だ。だが、せめて何かの役に立ってもらおうとあんな弱小部隊の隊長にしてやったのだぞ?」

 

レーラが必死に抵抗を続ける中、マジックは言葉を続ける。

 

「……だが、結果が出せぬようなら話は別だ。次はない。もしまたしくじるようであれば貴様の命はないと思え。」

 

マジックが腕の力を抜くとレーラの体が地に落ちる。解放されたレーラは地に膝をつき咳き込み始めた。思うように息ができないらしい。

 

「く……ッ!」

 

レーラがよろよろ立ち上がるが足に力が入らずガクンッ!と膝をつく。

そして、イラついたかのように地面を殴った。

 

 

 

 

 

 

会場を後にし、女神候補生達と仲間達はリーンボックスの教会に来ていた。

 

「ユニちゃんにロムちゃん、ラムちゃん!今日はありがとうっ!」

 

ネプギアが言うと三人に思いっきり頭を下げる。

 

「なッ!?べ、別にそこまで頭下げる必要ないでしょ!?」

「へっへーん、どういたしましてー!」

「…………(ぺこり)」

 

そんなネプギアに対し様々な反応を見せる女神候補生達にコンパとアイエフを初めとする仲間達は微笑ましそうに見つめていた。

 

「じゃあロムちゃん、帰ろっか!」

「うん……帰ろ、ラムちゃん……」

「私もそろそろ帰るわね。」

 

ラム達はそれぞれ帰りの支度を始めるが―――

 

「え……みんな帰っちゃうの?」

「えぇ。帰ってゲームやりたいし。明日からまたやることあるの。」

「ミナちゃんが待ってるからねー!黙って抜け出してきたしー!」

「うん……メタ●ギアみたいで面白かった…………(くすくす)」

「なにしてんのよアンタ達……」

 

 

――出来れば、皆についてきて欲しかったけど……みんな用事があるなら仕方がないよね……

 

 

「ネプギア、カオスエメラルド貸してくれ。」

「え?あ、うん。」

 

ソニックはネプギアからカオスエメラルドを受け取るとユニ達に歩み寄る。

 

「俺はユニ達をそれぞれの国に送ってくるぜ!お前達は先に帰っててくれ!」

「え?別にそんな必要――」

「カオス・コントロール!」

 

ユニの言葉を無視し、ソニックはカオス・エメラルドを振りかざすと三人の女神候補生と共に姿を消す。

 

「じゃあ、私達もプラネテューヌに帰りましょう。がすと、スカイ・ビークル出して。」

「了解ですの~。」

 

アイエフが言うと、残ったメンバーもいそいそと帰りの支度を始めた。

 

「――――あ、あの!」

 

5pbが声を発した。一同の視線が彼女に集中する。

 

 

「……ぼ、ボクも連れて行って……欲しいです!」

 

 

言い終えると、5pbはバッ!と頭を下げた。

それを言うためのだけに相当の体力を使っているのだろう、5pbは頬を赤くしスカートをギューと強く握っている。

 

「……私からもお願いするわ。この子を連れて行ってあげて。」

 

隣に立っていたチカも静かに頭を下げた。

 

「………………」

 

ネプギアは静かに5pbに歩み寄る。

 

「…………もちろんです!」

 

ネプギアは5pbに手を差し出しニコッと笑顔を浮かべた。

 

「……ありがとう……ございましゅッ!」

 

最後噛んだみたいだが、5pbも手を差し出し二人は固い握手をかわした。

 

「5pb、必ず夢を実現させて帰ってきなさい。それがベールの『夢』でもあるのよ。」

「犯罪組織ってのをぶっ潰したら絶対に帰ってこいよ!お前の晴れ舞台を楽しみにしてるぜ!」

 

ケイブとグランドも5pbに送別の言葉を送る。

 

「みんな……ありがとう!行ってきます!」

 

 

 

5pbを初めとした一同は笑顔でリーンボックスを後にしたのだった。

 

 

 

 

 

見事、各国のゲイムキャラの力を借りることに成功したネプギア。

 

しかし、プラネテューヌへと戻る最中彼女の表情には何処か不安そうな一面を見せていた。

 

一体何故、レーラは犯罪組織に寝返ってしまったのか……

 

そして、残りのカオスエメラルドは何処へ……?

 

 

 

次回より、『犯罪組織の目論見編』―――乞うご期待。

 

 


 
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